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冬の雨と願い事
─────毎日毎日晴れていたからさ、こうして雨が降ると空が重く感じてさ
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動物園にはお客さんもほとんどいなくてさ、雨の音だけ小さく大きく聞こえているよ
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「─────マル」
僕は隣を覗いて呼んだんだ
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僕の小さな声は雨の音にかき消されたのか、どうやらマルには届いていない
すぐ傍、隣にいるのにね
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場所をちょっと変えてもう一度
僕はもう一度、今度は少し大きな声で呼んだんだ
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「おはよう、マル─────」
って、こんな調子でね
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雨、止みそうにはなくってさ
こんなに暗い朝も久しぶり
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ヒツジ達も軒先から先、出ることをためらっているようで
眺めていたら冬の雨の冷たさが、やけに変に身にしみた
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雨の中を散歩する
それもたまにはいいねだなんて思っていたけれど
マルが風邪をひかないか、僕は急に結構心配になってきたりしてさ
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寂しいって感じていた雲一つない青空が、やけに優しく思えてきたのもついさっきのこと─────
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そう、きっと今日は一日雨だ
冷たい雨、冬の雨
雨音、小さく、時には強く続いてく
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「早く春にならないかな─────」
ふと僕は呟いた
この冬、初めて言葉にした瞬間
そう、この雨が冷たいからって弱音じゃない
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─────マルに桜のお花を見せてあげたい
そんな願い
僕の願い、願い事なのさ
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弱音じゃない
そう、弱音じゃない─────
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─────雨が強い時間が続く
マルはお部屋に入ってみたり、また出てきてみたり
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マルはきっと何かを探しているんだね
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わかっているよ、気がついた
僕の願いはそれのこと
お引っ越しのタイミング
秋から冬へ、そこでまた秋から冬へ
待っていた春、一回飛び越してしまったわけだから
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大切な春、一回飛び越してしまったわけだから
マルは春を誰より待っているんだね
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春の気配を探しているんだね
毎日一生懸命に、探していたんだね
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まだまだ冬は続くんだ
今日は雨、今度はいつか雪になるかもしれないね
神様いたずらしているわけじゃない
意地悪、ただの暇つぶし
神様そんなことをしているわけじゃない
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どんなことでもこれが自然、それが自然に訪れる
この雨、止むよ
そっと止むよ
急に晴れるか、ゆっくりとした曇り空から始まるか
時間はそっと過ぎていく
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寒い日続いて、僕らはそれを乗り越えて
木は芽吹いて地面に草が伸びて緑が増えてくる
─────お花がさ、一つ一つ咲きだして
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春がやって来るんだよ
そっと近づき僕らを包んでいくんだよ
春はここへやって来るんだよ
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僕ら、桜を見に行こう
桜を見上げて歩いてまわろう
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─────日本の春が僕らの春さ
これからずっと、ずっとずっと訪れ眺めて笑うんだ
僕ら、幸せ話して笑うんだ
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雨はまだまだずっと降り続く
そんな気配の五月山動物園
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静かに流れる動物時間
この日は普段よりももっともっと静かに静かに
聞こえてくるのは雨音ばかり
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マルはずっと探し物
夢の中で聞いて、ずっとずっと楽しみにし始めた春
その気配を感じたくて見つけたくて、雨の中でもせっせっせっせと探し物
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切り株登れば少しだけ遠くまでを見渡せて
少し離れたところにあるかもしれないってちょっと期待を膨らませ
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まだ見えない、見つけることができなかったと
ちょっとがっかり、明日に期待
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ワインの姿を見つけて一度
「こんにちは」
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フクの眺める厚い雲
雨はずっと降り続き、ウォンバット達をしっとり濡らす
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「マル、マル─────」
何度も何度も呼び止め微笑み、目があったときにかける言葉
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今日の言葉はどんな言葉
気持ちを伝えて優しく包む
今日の言葉はどんな言葉、そのとき見せる顔はどんな顔
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この雨いつまで、冬いつ頃まで
春、今はどこまで近くにいるのかな
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フクの顔は泥んこで
雨が洗い流してくれるまで
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少しだけ小ぶりになってきたのは夕方のこと
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─────油断をしていた僕
隣で聞こえる大勢の声に僕は驚き立ち上がる
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マルは平気そうにしているけれど、僕はなんだか気が気じゃない
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「わかっているよ、よくあることさ─────」
時々やってくる飼育係さん以外の知らない人
─────いつだっていつだって、これまでずっと大丈夫
わかっているけど気になって気になってしかたがない
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飼育係さんも一緒にいるから大丈夫だってわかってる
でもこの気持ち

これが“心配”っていうものさ─────
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マルは凄いね
マルは穏やか
マルは僕の大切な─────
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ワインさん、春はいつ頃来るんだろうね
雨が上がって少しずつ
少しずつ少しずつ、近づいて来ているのはわかるんだ
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マルに、もちろんユキ達にもさ
桜、見せてあげたいって思うんだ
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─────春はいつ頃、いつ頃やってくるんだろうね
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─────その夜、僕は夢の中でマルの手に触れたんだ
そしたら月明かりに照らされた桜の木がさ、ふわぁ~って満開になっていったんだ
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マルも同じ夢を見ていたらいいのにねって、思ったけれど─────
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それももったいないかなって、僕はすぐにおもったのさ─────
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「春よ、来い」


目が覚めて僕は誰にも聞こえない小さな声でつぶやいた
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by bon_soir | 2018-02-07 18:34 | 五月山動物園 | Comments(4)
千の言葉を一つ一つ
「あの日、動物園はそこいらじゅうが黄色でさ、もしかしたら世界中が黄色なのかもしれないなんて思ってみたりしてみてさ、そんな黄色の世界の真ん中でワインさんが泣いててさ──────」
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「『フクちゃん、フクちゃん』って僕を呼ぶ、あの優しい声が頭の中に聞こえてきたよ」
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「僕も黄色い世界の中を歩き出し、一歩一歩足踏み出せばワンダーさんの声の次にはあの笑顔が空に浮かんできたよ」
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「乾きかけたイチョウの落ち葉に涙が一粒、それはすぐに染みていったんだ」
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「見上げた空は青空だ。星が輝き出すまで時間がかかる。今はあの青色が寂しくてたまらない、悲しくてたまらないんだ」
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朝が来ればいつものように日が昇り、星が姿を消していくかわりに黄色く染まった地面がみんなの瞳に浮かび上がる
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一歩一歩、足踏み出せば優しい声と優しい笑顔のウォンバットのことを頭に描く
食べた干し草、お皿ですっかり冷えている
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そう、季節はもうすっかり冬で、吹く風はどんどん身体を冷たくしていきそう
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マルを眺めてフクは思う、冬の朝にフクは思う
目の前でフクをそっと見つめるガラスの自分もぽとりと一粒、涙を葉っぱの上に落としてる
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「─────僕はあんなふうにただ優しく大きな声で泣くことができるのだろうか」
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「寂しいこと悲しいことが無いのが一番、それは誰もが思ってる──────楽しいこと嬉しいことばかりじゃないってことも今の僕にはわかってる」
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「賑やかだった秋、どうしようもなく寂しい今の冬──────次の春はどんな春になるんだろう」
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「マルと二人、僕等はどんな景色を見るんだろう──────どんなことを話しているんだろう」
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「──────今はまだ、わかるわけがないんだ、先のことなんて誰もわかるわけ、ないんだ」
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ワイン、ワンダー、そしてフク
三人で暮らしてきた五月山動物園に、タスマニアからマル、コウ、ユキが来たのはほんの少しだけ前のこと
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秋、そして今の冬
まだ二つだけ
フクとマル、二人で過ごした季節はまだ二つだけ
その冬なんてまだまだ始まったばかり
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二人の思い出まだまだ少し
未来のほうがずっと長い
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「マル、次の季節は春なんだ─────楽しみだ。僕等二人で過ごす春ははどんな春になるんだろうね」
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ご飯を食べてお散歩始めた黄色い世界
ワンダーが最後に残した幸せ祈る、幸せ託すその黄色
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窓越し見える遠くの景色、フクを見つめるお客さん
涙で霞む、なにもかも
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ワインの涙に感じて見えた愛情、絆、暮らしの歴史
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頭に浮かぶ、空に浮かぶ
目を開いていても、閉じていても
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『フクちゃん、フクちゃん』
優しく呼ぶ声、浮かんだ笑顔と一緒に聞こえて涙がぽろり、またぽろり
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庭の黄色が温かく、庭の黄色はときおりなんだか悲しく見える
いつかこのイチョウの葉っぱは無くなっていくこと知っているからよけいに寂しい
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また来年、一年後
イチョウが色づき青い空に輝きだしたら、それが合図
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大切な日がやって来る
忘れちゃいけない日がやって来る
そんな合図
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時間がその後少し経ち、また黄色い世界に包まれて
見上げた青空きっと寂しく寂しく澄んでいると今から思う
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雲一つない青空はどこか寂しい晴れた空
どこを見つめたらいいのかわからない、何もない空、どこを見つめたらいいのかわからない
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どんなに綺麗な青空だったとしても、なにもないこと、なにも浮かんでいないこと
それは寂しい冬のこと
秋の終わりの出来事を冬になっても思い続けた日々のこと
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星の数ほどたくさんの、言葉を探して伝えていけば
きっと一つの想いを届けることができるかも

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きっと時間はかかるけど、伝わる時はたぶん一瞬
一秒前と一秒後
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千の言葉を一つの想いに変えていく
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一つの想いで足らなければまた千の
千の言葉をまた伝え
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繰り返し繰り返し
言葉を想いにそっと変え
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星の数ほど言葉を伝えて、届け届と心に願う
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傍で眺めているだけだったら何も何も伝わらない
ただ眺めているだけだったなら、きっと何も伝わらない
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想い
一つも届かない
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仲良くなったその先の
ずっとずっとその先まで二人一緒に行くため、願いに色をつけるため
積み重ねていく言葉一つ
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積み重ねていく言葉一つ一つ
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たった一つの大切な想い届けるために今日も一つ、この瞬間に一つづつ
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軽くなったりしないよう、一生懸命考えて最初の千に向かって言葉を一つ
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大切に
一つ一つ大切に
重ねる言葉、一つ一つ
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まだ最初の秋、まだ最初の冬
まだ焦ることなど必要ない
丁寧に、優しく伝える一つ一つ
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ワインはワインの言葉を一つ一つワンダーに伝えて想いを届けてずっと
ずっと一緒に暮らして、一度別れて涙を溢した
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想いがこもった熱い涙
どんどんどんどん溢れ出したあの熱い涙
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──────あんなふうに優しく愛せるのだろうか、二人未来へ進むこと、できるのだろうか
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フク、寂しいことがあった冬に一人思う
思い想うただ一人
伝える言葉心の中で温めて、冬の風に冷えぬよう
冬の風に負けぬよう
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想いに変える大切な言葉を心の中で温めて、冬の風に冷えぬよう
冬の風に負けぬよう
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「あの日、動物園はそこいらじゅうが黄色でさ、もしかしたら世界中が黄色なのかもしれないなんて思ってみたりしてみてさ、そんな黄色の世界の真ん中でワインさんが泣いててさ──────」
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「『フクちゃん、フクちゃん』って僕を呼ぶ、あの優しい声が頭の中に聞こえてきたよ」
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「僕も黄色い世界の中を歩き出し、一歩一歩足踏み出せばワンダーさんの声の次にはあの笑顔が空に浮かんできたよ」
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「乾きかけたイチョウの落ち葉に涙が一粒、それはすぐに染みていったんだ」
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「マル、次の季節は春なんだ─────楽しみだ。僕等二人で過ごす春ははどんな春になるんだろうね」
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「春になるまでに僕は君にいくつの言葉を伝えることが出来るかな」
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「空を見上げて星を見つめ、木を眺めて風に吹かれてさ。僕は思っていること言葉に変えてくよ」
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「いつかそれがその意味が、僕の気持ちが君に伝わればそれでいい」
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「仲良くなったその次の、ずっとずっと一緒にいるために大切な、大切なことなのさ」
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「ワインさんとワンダーさんに教えてもらった大切な、本当に大切なことなのさ」
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「僕の幸せ、君の幸せと一緒なら。僕の悲しみ、君の悲しみと一緒なら、僕等二人きっとその時上手くやっているはずさ」
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「ワインさんの涙を見てさ、僕は少しわかった気がしたんだよ」
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「あとはそれを千の言葉、星の数の言葉に変えて君に伝えていくだけさ」
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「春が来るまでにいくつ言葉にすること出来るかな」
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「いくつの言葉、君に伝えることが出来るかな─────」
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千の言葉を一つ一つ
大切に想いをこめて大切な想い伝わるように
一つ一つ
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by bon_soir | 2017-12-23 13:35 | 五月山動物園 | Comments(4)
ただ訪れる冬
前回(→☆☆☆☆☆)からの続きになります

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「あれが北斗七星、向こうがカシオペア、その間のあの星が北極星────ホッキョクグマの星」
普段見えないような星まで見える不思議な冬の夜空の中に、僕は見覚え、聞き覚えのある星をみつけてなんとなく呟く
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────綺麗な星空、一生のうちに何回見ること出来るのか
僕は辺りを見渡した
ワインさん、ワンダーさん、コウとユキ
ヒツジ達にヤギたち、レモンライム
そしてもちろん隣のマルも────
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────真夜中さ、みんな眠って夢を見てる
そうそれはいつもと同じこと
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僕は部屋に戻りマルが眠っていると思われる場所の壁をそっと叩いてみる
本当は夢を途中で遮ることをしたくはなかったけど、僕はどうしても今日の星空をマルに見せたかった
「起こしてごめん。マル、起きてよ。少し寒いけど外へ出ておいでよ」
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「大丈夫、少し前から目は覚めてたから」
マルはみんなを起こさないように小さな声でそう言った
起こして嫌な気持ちにさせないかと不安だった僕は目を閉じ「ふぅ」と小さな深呼吸
またドアからそっと庭へ出た
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「わぁ」
隣でかわいい声が聞こえた
マルもこの星空に気がついたんだ
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「綺麗だろ。こんな星空は僕も見たことが無いんだ」
僕はタスマニアとは違う星、星座が広がっていることを少しだけ教えた
たくさん教えるには時間がかかる
それに今は必要がない
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マルの顔を僕は見る
昼間と一緒、傍にある優しい顔だ
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マルの瞳にはこの満天の星
これからの冬の星空全部をまとめて一度に広げてしまったような数の星が映る
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僕とマルの間にはいつもの金網
けど今それは気にならない
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二人見上げた星空は今もこれからもずっと一緒、同じ物
空が区切られること、ここの動物園に僕ら二人一緒にいれば絶対に無い
────それだけでも幸せさ
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「あっ!」
見上げた直した夜空に一つ二つと流れ星
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「見えた?」
とささやく僕にマルは言う
「うん、見えた」
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そうさ────僕ら二人、一緒の星空を見上げてる
そういうことなんだ
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“カシャ”

小さな音がした方を見てみると、マルの可愛い爪が金網からそっと出ているのが見えた
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僕はそっとその爪の上に自分の爪を重ねていた
何も考えずただそっと、当たり前のように自然にただ
ただそっと
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────マル

マルの爪に、マルの手に温かさを感じたその時だった
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僕ら二人の身体がふわりと地面を離れ浮かび上がる
ゆっくりゆっくり、だんだんと高く金網の上を越えていく
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久しぶりに見る金網越しじゃないマルの顔
身体が何故浮いているのかと考えるのは後回し
僕は傍にある顔をただ、ただ見つめて「マル」とさっきまでより少しだけ大きな声で言った
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「────っ」

マルが恥ずかしそうに小さな小さな声で何かを言った瞬間のこと────
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「えっ!?」
僕等の身体はすごいスピードで星空へ吸い込まれるように高く飛んで行く
マルが何を言ったのか、突然のことで僕はちゃんと聞き取れなかった
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僕の名前を呼んだような感じ
どう呼んでくれたのかはわからない
どんな状況かも今は関係ない
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ただ金網越しじゃない、かわいい顔が隣に、一番傍で微笑んでいること
それが一番大切なこと、きっときっと大切なこと
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僕は今どんな顔でいるんだろうと、映るガラスの無い夜空に向かってそっと微笑んでみた
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その間にもどんどんどんどん地面を離れて夜空の奥へ
向かう先は雲一つない星空さ
僕等は何も怖くない、不思議だけれど怖くはない
向かう先は雲一つない綺麗な綺麗な星空さ
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「夢、夢なのかな?」
僕はマルに訊いてみた
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訊いておきながら僕は思う
現実のことであったら嬉しいと、夢であっても構わない、と
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いつもよりも多く近くで輝く綺麗な星、遥か下の方輝き流れる街の灯り
そして傍にある顔────現実だろうと夢であろうと僕は今幸せさ
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僕の目に映るものは変わらない、別にどっちであっても幸せさ────
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「────夢だよね」
と、言おうとしたその瞬間、マルがにっこり笑って僕に言った
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「多分────きっと、きっと夢だよ」

────そうだ、僕等二人同じ夢の中、同じ夢を今一緒に見ている
きっとそうなんだ
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────夢のほうがいいことがある
今こうして目の前に金網が無いように、たくさんの星の傍にいるように
想えばなんでも出来そうだって思えるように
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そう夢の中なら僕は自由、夢の中なら僕等は自由
僕等は二人一緒に雲一つないこの夜空を、この星空を駆けることが出来るんだ
自由に、醒めるまでは僕等は自由
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同じ時間、同じ瞬間、同じ夢の僕とマル
────そう、今僕等はきっと夢の中
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夢は素敵で楽しい方がいい
きっと現実はそればかりじゃないからね
────なんでもない日常が一番幸せ
僕はワインさんとワンダーさんに教わったのさ
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僕等は自由に星空を駆ける、飛んで駆けていく
夢の中なら僕等は自由、想うだけで僕等は自由
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ほら、見てごらん
あそこにいるのがタスマニアデビルの二人、女の子
同じタスマニアから来て今あそこで笑ってる
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────そう、僕等は今、きっと東京上空
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リンゴがたわわな山道を眺めて、土管の中をくぐり抜け
僕等は笑って夢の中
ウォンバットが今日もどこかで夢を見ている
今もどこかで、夜も昼間も夢を見ている、僕等二人、みんなは日本で暮らすウォンバット
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ウォンバットは木には登れない
穴を掘ることが出来るんだ
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食べて眠って散歩して、穴を掘ってあくびして、飼育係さんや歌のお姉さん、そしてみんなと一緒に笑うんだ
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そう、わかるかい?
なんでもない日常がきっと一番幸せ、そんな気持ちをわかってもらえるかい────
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きらきらきらきら、すぐ傍で星が光る
きらきらきらきら、すぐ傍でマルも光る
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きらきらきらきら、光る幸せ僕等の夢さ
きらきらきらきら、マルの笑顔は夢の中でも普通の時間の流れでも
きらきらきらきら、マルの笑顔は光って見えるのさ
きらきらきらきら、笑顔はきらきら、これからずっと瞬いて光るのさ
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爪に、指に触れてこの時間が始まったように
僕はこの先どんなことでもそっと触れて、そっとさわって始めよう
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自然になんでもないように、なんでもない幸せな毎日の中でのことさ
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自然にさ、僕は自然にこの先どんなことでもそっと触れて、そっとさわって始めよう

ワインさん、ワンダーさん
そうだろ? そういうことなんだろう?
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夢の中なら自由だけれど、それよりもっと、もっと幸せなこと────
こうして素敵な夢を見たから僕は本当によくわかる
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二人、幸せに暮らすワインさんとワンダーさんをずっと眺めていたからよくわかる
なんでもない日常はいつか自然に夢通り抜けてもっと先へ、もっと幸せ感じるその時へとたどり着く
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傍にある顔、進む季節
それだけだ
僕の幸せたどり着く、僕等二人の幸せにたどり着くのに必要なのはきっとそれだけ
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後は自然にその時が来る
そっと触れて、そっとさわって、その時にまた進んでいこう
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────夢の中のはずなのに夜が明けていく
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レモンライムの寝言が聞こえる
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僕等、そろそろ目が覚めるのか────

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動物園はいつもの朝だ
今日もよく晴れて木漏れ日眩しい、もうすっかりと冬の朝
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日陰は少し寒くなった
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ワインさんはどんな夢を見たんだろう
どんな夢を見てきたんだろう
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ワインさん、僕は幸せ者だね
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あの星空とマルの笑顔
冬が始まる日の思い出さ
きっとこの先ずっと色あせない、僕等二人の思い出さ
大切な思い出なのさ
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またそのうちに夜が来る
こんなに晴れた日のことさ、またたくさんの星が輝くだろう
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でもそれは、その星たちはここから遥か遠く絶対に手が届かないところで輝いている

────そうだ、隣を見るんだ
僕、隣を見ろ────

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隣の笑顔は今もすぐ傍、これからもずっとすぐ傍に
そうだよ、わかるだろう、わかっただろう────何が一番大切なのかがさ
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大丈夫、最初からわかっていたことさ
夜空を埋め尽くしたたくさんの星と踊りだした冬の星座
昨日のことは確認、きっとそうさ

僕の一番大切な、ね
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あの時、マルは僕のことをなんて呼んだんだろう


   

by bon_soir | 2017-11-16 17:35 | 五月山動物園 | Comments(6)
傍の顔と冬の星空
五月山動物園で暮らすウォンバット、フク
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毎日毎日少しずつ
冷えていく空気と増えていく星の数

「イチョウの葉っぱ、まだ散らないのかな」
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冬が来ること、来たことを感じだしてふと呟いたフク
でもただそれはただ、考えもなし深く思うこともなし
ただ呟いただけ
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あの日に見えた、思い描いた未来のこと
そのことがフクの頭の中、心の中にいつまでも残り
マルの顔をふと見るたびにそれはまた色濃く大きなっていく
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毎年この時期に気にしていたこと
イチョウの葉っぱの綺麗な黄色、青く高くなった空のことや軽く流れていく雲のこと
冷たいと感じだした水のことや、かなり減ってきた庭に生える草
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今までは毎日いつも眺め、考えていたこと
そんなこと全部、今はただ瞳に映るだけ
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思うこと、想うこと
起きている間、散歩している時間、ご飯を食べている間
そして夢の中までも
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マルの顔と思い描いた未来がフクの今、全部
隣で、傍で温かく
微笑む顔がただ、今のフクには全ての毎日
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向こう側で散歩を続けるマルを眺めふと思い呟いたフク
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「────今度はいつ、いつこのフェンスは開くんだろう」
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「なんだか恥ずかしいからさ、君に言ったことはないけれど、僕の頭はいっぱいなんだ。これ以上溜めておくことはもう無理、溢れ出してる」
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「あの時に見えてしまった幸せそうなあの未来、そこへ行くにはどうしたらいいのかって考え続けてさ、もう僕の頭の中はいっぱいなんだ」
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「傍で微笑む君の顔をずっと眺めてる、目が合うたびにまたいろんなことを考える」
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「馬鹿みたいだろ────もう僕は大人なのにさ」
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「馬鹿みたいだろ────本当にさ」
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「こんなに晴れた日の朝はさ、少し離れて散歩したっていいんだよ。君の可愛い顔に変な影がかかっちゃうからね」
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「これだけ明るいんだ。少し離れていたって君の顔はよく見える。だから少し離れていたっていいんだよ」
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「ごめん、嘘ついた。どんな時でも傍に居てくれたほうがいい」
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「可愛い顔を傍で見せてくれたほうが嬉しいよ」
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「やっぱり恥ずかしくってさ、こんなこと声には出来ないけどね────」
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「ワインさん、こんな時に僕はどうしたらいいんだい? こんな気持の時は何を考えればいいんだい?」
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「ワインさんとワンダーさんのようにさ、ずっとずっと幸せに暮していくにはどうすればいいんだい?」
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「僕の思い描いた未来はさ、ワインさんとワンダーさんの暮しそのものなんだよ」
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「ワインさん、僕もそこまでいけるかな────マルと二人、僕らは越えていけるかな」
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「わかってるよ。僕が思い描いた未来のこと、それは僕次第。わかってる、僕次第ってことなんだろうね」
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色々考えているうち陽は傾きゆっくりと、なんだか早く沈みだし
動物園は閉園を告げる声
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フクの傍に居たマルは日課のような道草おやつ
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「マル、そろそろ閉園の時間だよ」
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フクがそっと声をかけても楽しそうに駆け回り、お気に入りの道草おやつ
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「────あぁ、まただ。また見える。幸せな未来がさ」
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「マルの後ろをついてまわる小さな小さなウォンバット、君のことがまた見えてくるよ────」
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「はっきりと、ぼんやりと。僕の目には見えてくる。思い描いたあの未来────そう、見えてくる」
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「そこへ行くには、手にするにはどうすればいいんだろう────そのことでまた頭と心がいっぱいだ」
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「そしてそのまま、お部屋に戻る僕さ。そのうちマルも戻るだろう」
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「マル、夜になると冷えるね。冬だよ、もう、ね」
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────部屋に戻ってすぐに眠り、僕はいつものように夢を見た
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庭のガラスに映った僕の変な顔
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そしてすぐ傍となり、マルの顔と猫の声
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その猫達の声で僕はそっと目を覚ます
良くあること
また夢の中へ現実が滲んでいたらしい
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僕は部屋のドアをそっと開け庭へ出た
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真冬のような寒い夜
息は白く、ふとしたはずみに身体は震える
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ただそんなことが関係ないほどに素敵なことももちろんあった
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────見上げた夜空を埋め尽くすたくさんの星
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冬の星座が賑やかに踊りだす
見たことがない星空が冷えた身体を心の中から温める

そんな夜の空気のように僕の気持ち、もやもやとしていた僕の気持ちは透き通っていったんだ────
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───続く





       

by bon_soir | 2017-11-12 15:56 | 五月山動物園 | Comments(4)
フク、そっと
五月山動物園で暮らすウォンバット、フク
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隣でマルが暮らすようになって、話しかけたりしての忙しい時
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伝えたいこと話したいこと
たくさん
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でもちゃんと休む
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隣はちゃんと気にして
でもちょっと変な顔
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ゆっくりのんびり
秋の日々、今年は少し忙しい
そんな今までとはちょっと違う秋の日々
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眠そう
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あれだけいつも忙しくしてたらさ
やっぱり眠いね
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マルはいつも傍にいる
傍にいてくれる
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頑張る
伝えたいこと話したいこと
たくさん
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焦らないで急がないで大丈夫
のんびりのんびり
ウォンバットはそれでいい
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空、見上げよう
必ず一度立ち止まって
空、見上げよう



   



by bon_soir | 2017-11-06 13:03 | 五月山動物園 | Comments(4)
思い描く未来
────賑やかに、動物園は賑やかになったんだ
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いつか僕にさ、いつかまた僕にお嫁さんを────って飼育係さん達が言っていたんだ
アヤハのことが僕の頭の中にあるからさ、気分は少し複雑だったけどね
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ワインさんは言っていた
「フク、君は優しいウォンバットだ。でもね優しすぎて辛いこともあるだろう」
って、ね
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前を、先のことを見ることだって大切だって、そうワインさんは言う
幸せになれる分岐点がもし来るようなことがあれば迷わず進めって、そう話す
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行き先を変え、進んだからって昔のことを忘れるわけじゃない、昔があるから今がある
あの笑顔を忘れるわけじゃない、色あせないから大丈夫────そう言うんだ、ワインさんはゆっくりとそう言ったんだ
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いつの頃からだろう
僕のために、動物園のために、大勢の人が頑張ってくれていた
歌声とともに広がり、強い力になっていったんだ────後で聞いた話だけどね
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そう、僕の目の前に小さなウォンバットが二人
そしてかわいい女の子が僕を見つめていた
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「こんにちは」
女の子は少しなまった小さな声で僕に言う
────タスマニアなまり
そうだ、タスマニアから遠く日本まで来てくれたんだ
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その日から僕は女の子を見つめるようになった、かわいい声に耳を澄ますようになった
僕はその女の子をいつだって気にするようになっていた
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大丈夫
アヤハのことは少しも忘れてない
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日本のご飯は美味しいかい
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飼育係さんは優しくしてくれているかい
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星空、少し違うだろ
風、少し違うだろ
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また冬になるんだよ
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ワインさんとワンダーさん
二人の優しい笑顔が見えるかい
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飼育係さんに歌のお姉さん
みんなの笑顔が見えるかい
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君に上手く話しかけることが出来ない僕の戸惑う顔が見えるかい
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そうだ、ここが日本、五月山動物園だ
僕の名前はフク
────君はなんて言うんだい
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タスマニアの話を聞かせてはくれないかい
日本の話を聞いてくれないかい
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君のことを教えてはくれないかい
僕のこと、知ってはもらえないのかい
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────僕はあの子と追いかけっこ
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────あの子は僕と追いかけっこ
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ころころころころ
ふわふわふわふわ
晴れの日も雨の日も、朝でも夜でも
僕等二人は追いかけっこ
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夢の中でも僕等はずっと
────二人は一緒、二人は笑顔で追いかけっこ
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ワインさんがこっちを見てる
ワンダーさんの声が聞こえる
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僕等はずっと追いかけっこ
────夢の中でもそうさ、僕等二人追いかけっこ
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────ごめんよアヤハ

今、僕は分岐点にいるようだ
新しい出会いと新しい未来
進む道は一つの分かれ道
大きく曲がって今までとは違う先、違った方向、行き先は今までとは別の幸せだ
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ごめんよアヤハ
僕はその方向へと歩きたい、歩いていきたい
ごめんよアヤハ
君のこと、忘れるつもりはないんだよ
色あせない思い出さ
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サツキさん、どこかで聞いてくれてるかい?
僕の道は今
そうさ────
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このままこのまま
進まなくたっていいのかもしれないね
無理して先へと進まなくたっていいのかもしれないね
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幸せさ
今、僕は幸せさ
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ワインさんとワンダーさん
小さな二人のウォンバット
そして、みんなが言う「僕のお嫁さん」
楽しい笑い声
賑やかな動物園で今、僕は幸せなんだ
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ウォンバットの神様────
動物園に時計なんて必要あるのかい
僕等の暮しに時計なんて必要ほんとにあるのかい
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僕は思う
ただ楽しい毎日が続いていけばいい
ただ楽しい今日一日があればいい
ただ楽しい明日がまた繰り返しくればいい
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ワインさんもワンダーさんもずっとずっとこのままさ
そうだろワインさん────
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僕等の今、こんなに楽しいんだから
僕の今、こんなに幸せなんだから
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『フク、君の見ているものはそんなに小さな物だけでいいのかい────』

そんな声が聞こえた気がしたんだ

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ふと僕は隣を眺める
────そう、女の子の方だ
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なぜだろう
女の子はワンダーさんのように見え、ワインさんと話をしているように笑っていたんだ
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傍にあと二人────
サツキさんと、あれはサクラさんなのか
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みんな笑顔だ
みんなだ
みんなが幸せそうに話し、笑っていたんだ
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さっきまで雨が降っていたはずなのに、今、空はやけに青く高く
みんなの笑顔に照らされているように辺りはぼんやり明るく包む
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ふとそこにいるみんなが僕の方へと振り返る
ワインさんとワンダーさんに見えていたのに、振り返った顔は僕と女の子────
そしてサツキさんとサクラさんと思っていたのは小さな小さなウォンバットが二人
タスマニアから来た二人じゃないようだ
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不思議な光景僕の中へ、僕の頭の奥の方へ────
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僕の頭を通りぬけて温かく
胸まで滲み広がり心を満たす
「ああ、わかったよ」と、僕は微笑む
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────今僕の心に広がり灯ったもの
今僕が見たものは僕等の未来だ
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時間は進む
必ず進む
地球の自転は止まらない、太陽の周り回ること
それも絶対止まらない
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僕にもわかったよ
大切なこと、それは思い描いた未来に向かうことなんだ
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僕が今思い描いた未来
幸せさ
今感じている幸せよりももっと、もっともっと
幸せさ
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ワインさんとワンダーさんにも見せてあげたいね
動物園がもっと幸せでもっと優しく温かくなるところを、ね
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世界中のみんなに見せてあげたいね
あの新しい機械でさ
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時間を少しかけてもいい
のんびりのんびり僕は進もう
僕等のんびりのんびり少しづつ、ゆっくりと進んでいこう
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あの思い描いた未来へさ

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イチョウが黄色くなれば、またすぐに冬になる
“温かライト”の準備もオッケー
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行こう
思い描いたあの未来へ
僕等二人一緒に行こう
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そう、これからずっと、ずっと一緒だ
ワインさんとワンダーさんのように、ね
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太陽が夕日に変わり沈んでく
また明日、朝日に戻って昇るのさ




   

by bon_soir | 2017-10-28 09:55 | 五月山動物園 | Comments(4)
フクとガラスに映る自分の瞳


五月山動物園で暮らすウォンバット、フク
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秋になれば自分の目に映る世界が変わる、自分も変わる、変わらなくちゃいけないと自覚している夏のフク
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夏の日差し、ガラスに反射
夏の風景、ガラス越し
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フェンスからガラスに変わり、見える世界はどこか現実離れ
一見透明、何も無い
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よく見てみればガラスの色を重ねた世界
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朝から昼間、昼から夕方
晴れの日雨の日曇りの日
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変わる色を薄く重ねた不思議な世界
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不意に映る自分の顔
向こうも見つめる自分の瞳
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「これが僕だ───」
そっとつぶやく
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「君がフクかい?僕はフクだ」
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「今僕の瞳に映っているのは君の瞳、僕の瞳が僕の瞳を見つめている」
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「そう、ただそれだけのことなんだ」
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「ドアの前で考えがまとまらなかったり、何も出来ずにうろうろしていたり────」
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「君はきっと全部を見ているんだろうね」
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「ガラスの僕、君にも見えるだろ? 今日はこんなに晴れている」
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「ガラスの僕、そっちから見たワインさんはどうだい? 暑そうにしているかい?楽しそうにしているかい?」
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「僕はガラスの僕にばかり話しかけ続ける」
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「君はなぜ僕をずっと見つめているんだい? そんなことより教えてくれよ、僕はこのままでいいのかい?僕はこれでいいのかい?」
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「わかっているよ、僕だって間抜けじゃない。君はただの僕だ。ただ少し、僕は馬鹿なふりをしてみただけなんだ」
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「間抜けなふりも僕はそのうちできなくなるのさ。僕も大人だからね」
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「なんてことだ。明日を、次の季節を望んでいると、過ぎた昨日を後悔してしまう」
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「そう、僕は時間を無駄にしているような気がしてくる」
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「ガラスの僕、僕を見つめ続けてくれていい。その黒い瞳に僕を映し続けてくれていればいい。それだけでいい」
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「僕も君を見つめ返してみるよ。わかるだろ?」
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「そうだ、君が笑顔ならその時僕も笑顔なはずだ。そういうことだ────」
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「のんびり行こうよ、ガラスの僕」
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「僕等はウォンバット。のんびり行こう────」
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目の前何かが塞いでる
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ちゃんと見て考えて、きっとこれだと先へ行く
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振り返れば通過したことなんでもないこと
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その繰り返し

春夏秋冬、繰り返し
その中、繰り返さないことがある
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繰り返しやって来ないことは重要なことばかり
フクに大切なことばかり
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その時フクはどんな顔
笑っている時、泣いている時
その時フクはどんな顔
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その時みんなはどんな顔
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ガラスに映ったみんなの顔はどんな顔
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ちょっとどけよと少しわがまま
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甘えてわがまま
一人でわがまま
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動物園の夏の日は静かに進む
変わる、変わっていくその前は変に静かに進んでいく
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静かに駆け出す夏のフク
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木漏れ日そっと影作る
足音かき消すセミの声
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見える世界はどこか現実離れ
ガラスに映った姿、きっと何処かは違っているはず
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変わる色を薄く重ねた不思議な世界
そこにはきっと────
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────そこにはきっとみんなの笑顔
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ガラスに映った顔は笑っているのか涙溢して泣いているのか
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動物園の動物時間
呼吸合わせてのんびりのんびり
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のんびりのんびりまた今度
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今日の続きを信じて帰る
星空信じて今日は帰る

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そんなフク




     

by bon_soir | 2017-08-07 11:09 | 五月山動物園 | Comments(4)
フクといつもの夏、新しい秋

五月山動物園で暮らすウォンバット、フク
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秋には────ということで女の子のウォンバットが日本へ、五月山動物園へと来てくれる
それを知ったフク
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「本当かな────」
夏の青空ふと見上げ、気がつけばすぐに大きくなる夏の雲を眺め、何度も呟いてしまう
そんなフク
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「もし本当に来てくれるなら、今は最後の夏だ。一人気ままにのんきに暮らせる最後の夏だ」
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「もう悲しい思いはしたくないしさせたくもないからね。そう、アヤハのことは忘れないよ」
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「僕はもう子供じゃない。ワインさんとワンダーさん、二人をずっと眺めてきてわかったんだ」
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「助け合う、支え合う、なにより二人で一緒に笑うってことの大切さをね」
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「あの二人は本当に素敵なウォンバット。僕にはそう見えるよ」
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「ここに来た人もみんなきっとそう感じた、そう見えたはずだ。二人に会えたならきっとそう思ったはずなんだ」
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「────そして優しい気持ちをたくさん貰ったはずなんだ」
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「それがわかる僕は誤魔化せない。知っていることに何もしない訳にはいかない。それは男らしくも優しくもない。知らないよりも悪いこと」
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「こんな僕の所へ遠くタスマニアから来てくれるんだ。僕は傍で優しくいつまでも微笑むんだ。ワインさんのようにね」
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「一人気ままにのんきに、きっとそれも悪いことじゃない。でも僕はワインさんとワンダーさんに出会ったからね。あの幸せから目をそらしてしまっては駄目だろうね」
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「二人で一緒に食べて寝て、お散歩したり星を眺めたり────笑って、そして悲しい時には一緒に涙をこぼすんだ」
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「ずっとずっといつまでも、ね」
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「まずはそれだけ、本当に大切なのはそんな幸せ。期待されているのはわかるけど、赤ちゃんはその次のこと。予定なんてすることじゃない」
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「簡単じゃないんだ、大きすぎる幸せを感じる、作り出すってことはね」
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「今日も本当に暑いんだ。ずっと外に、日向にいれば身体には悪いくらい。冬寒かった僕の庭でギリギリだ。ワインさん、ワンダーさんは平気かな」
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「でもこれがいつもの夏。セミがうるさい当たり前の夏のこと」
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「ただそのうちに特別な秋が来るってこと、それを知ってからこの夏は少し変わった」
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「特別な秋の前、この夏もまた少し特別な夏。色々なことをたくさん考える、気持ちの準備をする────特別の前の少し特別」
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「それがこの夏────わかるだろ?」
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「見えるかい?イチョウだって秋へと準備をはじめてる。秋はそのうちやってくる。みんなの所へちゃんとやってくる」
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「僕達の庭はまた黄色く染まるのさ」
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「みんな決して騒がない。本当にいつもの夏なままなのか、いつもどおりなフリしてそっと夏を越えるのか」
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「動物園はいつもの夏。少し特別だと感じているのは僕だけか」
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「まあでもそれでいい、それが一番いいことだ」
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「どんな顔した女の子が来てくれるんだろうね、どんな笑顔をするんだろうね────」
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「今日も太陽が眩しいよ」
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「────レモンライム、夏って本当に暑いよね」
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一人気ままにフクの夏
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のんきに少しわがままに
そんなフクの暑い夏
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でも、そんなフクの夏も今年が最後
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秋が来れば傍で微笑むウォンバットに恋をして、その子に何をしてあげることが出来るのか毎日毎日考えて
そして一緒に笑うフクになる
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ワインとワンダー、二人を眺めて育ったフクは知っている
幸せってどういうことか、悲しみってどういうことか────フクはきっと知っている
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────優しさってどういうことか
きっとフクは知っている
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庭のフェンスはガラスへ変わり、見える景色は色鮮やか
春の色、夏の色、黄色い秋から青濃く広がる空の冬へ
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いつもの夏はいつのまにか少し特別な夏になって、そして特別な秋へと少し駆け足
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その特別からまたその先の特別へ
行けたらいいなと声を出さずにそっと願う
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その特別は時間をかけてただ幸せな日常へ
そこまで進めば一安心
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長く長く続いていくための“ふりだし”はきっとその時
のんびりのんびり、静かに幸せ
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聞こえてくるのは鳥の声、耳をすませば虫の声
風にそよぐ草の音と木々の音
流れる時間は動物時間
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素敵な動物園はきっとそんな動物園
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遥か彼方タスマニア
ウォンバットが橋を架ける
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これからずっと幸せであるように
これからずっとみんなが優しい気持ちであるように
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動物達も人達も、みんな笑顔であるように
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みんなの愛情、気持ちに変えて
ウォンバットが海を越え、未来へ繋ぐ橋をそっと架ける
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セミの声が聞こえてこなくなる頃か、イチョウが色づく頃なのか
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黄色い絨毯の上を駆け抜け、空が高くなる頃か
ほっぺた木枯らし当たる頃になるのか────
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動物達はあわてない
ウォンバットはあわてない
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いつもの夏を駆けていく
少しの特別そっと感じて、ただ夏を駆けていく
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のんびりゆっくり動物時間
動物園に居る時は人も一緒に動物時間
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それがいい
きっとそれが一番いい
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新しい秋へと向かうフク
いつのまにか大人のフク
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by bon_soir | 2017-08-02 19:08 | 五月山動物園 | Comments(8)
フクちゃん
五月山動物園で暮らすウォンバット、フク
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工事前のとある日
朝のフクちゃん
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何度か部屋に戻っていくけどまたすぐに出てきていたフクちゃん
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フクちゃんの庭、日陰ばかり
見ているお客さんもまた、日陰ばかりでとても寒い

小さな日向でじっとするフクちゃん
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眠いよね
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小さな日向
向こう側にはワインとワンダー
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なんだかちょっと羨ましい
二人の庭は日向が多い
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そしてなにより、二人は幸せそう
毎日毎日、それはそれは幸せそう

フクちゃん木に足を乗せる
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少し不安定
この木は少し不安定
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ワインとワンダーの笑い声、楽しそうな会話が聞こえてくるね
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なにより二人は温かいね
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小さな日向でだんだん身体が温まる
ついついあくびが出てしまう
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地球は回る
自転する
小さな日向も動いていく
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合わせて移動
日向に合わせて移動しなければ寒くて寒くてしかたない
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小さな日向でだんだん身体が温まる
ついついあくびが出てしまう
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あくびの終わり
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気持ちいいね
そんな朝だね
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なんだか少し寒い
そんな冬の終わりの朝のこと
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小さな日向でだんだん身体が温まる
ついついあくびが出てしまう
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小さな日向は今日もまたいなくなる
そっと隠れ、そっと離れてまた後で
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工事前
ブルーシートを気にしてました
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工事終わってよかったね
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頑張れフクちゃん




   

by bon_soir | 2017-03-01 11:00 | 五月山動物園 | Comments(4)
フクちゃん
五月山動物園で暮らすウォンバット、フク
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フクちゃん覗く向う側
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なんだか“そわそわ”
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何か言って微笑む
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撫でてもらった
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よかったね!
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by bon_soir | 2016-12-14 22:59 | 五月山動物園 | Comments(4)