────桜、また一緒に眺めたかったのに
そうだ、あの時は気がつかない
こうして花びら風に舞い、その時初めて気がついた
────もう少し、もう少しだったんだ
桜、もう一度、桜、いつまでも
僕は一緒に眺めたかったのに
僕とダーウェントよりも早くここで暮らしていた二人
僕等が来てからマルジューナはすぐにどこか遠く
ここまで遠く、ずっと一緒
ずっと二人で一緒だったんだ
涙が止まらないとか当たり前、そうだろう────
仲良しだったマルジューナ
僕はダーウェントといつでも喧嘩
どっちも素直になれない僕等
「春になれば桜って花が咲く。見上げた大きな木にたくさん、青空透けて優しいピンク。今の寂しさ悲しみこの気持ち、きっと優しく私を包む────」
初めての春、初めて見た桜
それは本当に綺麗でさ、これならメイディーナも少し元気になれるかもって
────なれるかもって思ったものさ
空いっぱい
咲き出し、丸いつぼみと一緒にピンク色
全部が咲いて、これが満開
強い風で舞い散り僕等、春に包まれまた次の季節へ向かう
変わりだせばすぐに暑い夏
桜も緑の葉が茂る
今年の春にあなたはいない
もう少し、もう少しで桜はこうして咲いたのに
────桜、また一緒に眺めたかったのに
今年の桜、もう散りだしてしまったよ
今どこにいるんだい、どこかで眺めていたりはしないのかい
マルジューナも一緒にさ
今どこにいるんだい、どこかで眺めていたりはしないのかい
内緒でお部屋にいるなんてことはないのかい?
僕に声をかけてくれたりしないかい
ダーウェントにでもいいんだよ
僕等と話は出来ないかい?
なぜか今日はとても静かな春の日だ
小さな声でも必ず聞き分けること出来るだろう
メイディーナ、そしてマルジューナ
僕は二人の声をいつまでだって覚えてる
一人で眺めたこの桜、きっとこれも忘れない
────桜、また一緒に眺めたかったのに
そうだ、あの時は気がつかない
こうして花びら風に舞い、その時初めて気がついた
────もう少し、もう少しだったんだ
桜、もう一度、桜、いつまでも
僕は一緒に眺めたかったのに
そういうことじゃないのかな
仕方ないけどそういうことさ
顔は腫れていたけれど、とても痛そうだったけど
笑顔は見ること出来ててさ
それは変わらずかわいらしくてさ
それはメイディーナ達を待っているようだったのさ
そうさ────
去年の桜を眺めて今の僕と同じこと
メイディーナもこうして寂しいままだった
きっとそうさ
それは思うたびに思うこと
ずっとそれが続くよう
ずっとそう────
それはメイディーナ、マルジューナの代わりじゃないよ
ただの新しい出会いなだけさ
咲いて、散って、眺めて見届け、また来年って思う時
その時その子はどう思うんだろう
今の僕等のような気持ちでは無いはずさ
大丈夫
桜はとても綺麗だよ
今も散って、風の形が見えるよう────
ずっと繰り返しそのたび僕は思い出す
寂しさ悲しさ、なるべく隠して眺めて笑った
メイディーナの静かな微笑み、あの笑顔
メイディーナ
────桜、また一緒に眺めたかったのに
そうだ、あの時は気がつかない
こうして花びら風に舞い、その時初めて気がついた
────もう少し、もう少しだったんだ
桜、もう一度、桜、いつまでも
僕は一緒に眺めたかったのに
メイディーナ、マルジューナ
僕とダーウェントよりも早くここで暮らしていた二人
僕等が来てからマルジューナはすぐにどこか遠く
メイディーナはたくさんたくさん泣いていた
ここまで遠く、ずっと一緒
ずっと二人で一緒だったんだ
涙が止まらないとか当たり前、そうだろう────
とても優しいメイディーナ
仲良しだったマルジューナ
僕はダーウェントといつでも喧嘩
どっちも素直になれない僕等
今どんな夢を見ているんだい?
わかっているよ、ダーウェント
桜とメイディーナの夢なんだろう?
眠ってしまいたいのに眠れやしない
眠れないよ
もしもこのまま、眠れないまま一日一日過ぎていく
────そう、きっとあっと言う間だろう
それは嬉しいことなのかい?
それは寂しいことなのかい?
────それは僕のわがままだったのかい
僕はきっと鈍感だから
腫れた顔の笑顔の奥の色々なことに、気がつことが出来なかった
また一緒に眺めようって
誰もわからない、わからなかったんだ
きっとこのままずっと
ずっと難しいままなんだろうね
僕のことだから
ありがとう
ありがとう
メイディーナ
僕、二度目の桜
一緒に眺めた去年と一緒
風が吹くたびに、ね
────桜、また一緒に眺めたかったのに
そうだ、あの時は気がつかない
こうして花びら風に舞い、その時初めて気がついた
────もう少し、もう少しだったんだ
桜、もう一度、桜、いつまでも
僕は一緒に眺めたかったのに
考えてばかりの僕なのさ
メイディーナ
今年も桜は咲いたのさ
君がいなくなってからすぐ
────桜はすぐに咲いたのさ