茶臼山動物園で暮らすウォンバット、モモコ
一人、外へと出てきて、眺める隣
どうしても気にしてしまう隣のウォレス
今はいない、今は顔見たくない
どうしてもどうしても、叫び怒鳴ってしまうから
どこか優しく風に揺れ
その風どこか、気がつけばどこか
どこか涼しく秋の物
夏の背中が見えている
季節は必ず先へと進み、春夏秋冬その年の
今度は今年の秋へと変わる
誰かの声が聞こえてモモコ
それは時々、どんなときでも
なぜか声に
意識をしながらきちんと声に
言葉、声にと
何故か怒鳴ってしまうウォンバットの顔、思い浮かべて言葉、声にと
『いつもどおりで』
頭を心を言葉ぐるぐる
ぐるぐるぐるぐる
言葉、声はただ繰り返し
────わからないけどまだ無理で
心の言葉は声とは別で
そう思うこと自然なこと
避けたいこと逃げたいこと
────自分の心、守るために
夕方来るまで、日が落ちるまで
ずっと眠るよ、夢の中
秋の風吹く夢の中
優しく起こされ穴からそっと
『いつもどおりで────』
あの声一緒に風に乗せ
また言葉を声に
そんなことがいつもどおりの一つのこと
夏の終わり
今年はもうこれっぽっち
そう、今年は今年
今年は今年と来年のこと考えた
今までとは違う夏
突然やってきたかと思えば簡単
寂しい春も突然だったと涙を一粒
やって来る
そのまますぐにとどまり、去って一年
繰り返していく色とりどりな季節
春夏秋冬
今年特別、特別違う
────違う違う
優しい気持ち
夜、まだまだ続く日のことだから
もっともっと空
暗くなっていくわけだから
秋が傍で微笑み、モモコの身体にそっと触れる
『やあ、こんばんは────』
「────こんばんは」