ズーラシアで暮らすセスジキノボリカンガルー、タニ
苦手な暑さ、タニもモアラも涼しいお部屋で一休み
少し涼しくなっていればまた誰か
タニの夕方
大好きな”トコロ”の葉っぱを貰って食べて
葉っぱを一枚一枚、丁寧丁寧たべて蔓を手繰り寄せ
次々次々
そのうちきっと他の虫も鳴き出す季節
いらなくなるのはいつになる
それはたくさん、色々あるからだから今
今、美味しいものをたくさん食べる
今しかない今
みんな今を一生懸命
明日も必ずたくさん食べてね
夏、気がつけば真ん中過ぎた
空は夕方
夏至はとうに過ぎて、冬至へ向かう
自転公転、地球は動き続けて時間の流れを伝えて回る
夕日に染まりかける雲のようにゆっくり流れる動物時間
今日はこれから何しよう
全てを染めていくにはどれくらい
あとどれくらい
木に登るよキノボリカンガルー
だからキノボリカンガルー
タニはキノボリカンガルー
器用に器用に不器用に
木に登っているよキノボリカンガルー
あの木の上に
今はこうして丸坊主
毎日変わるよ、変わっていくよ
今日はもうあまり飛び跳ねなくてもいいかもね
静かにそっとたたずむよう
長い尻尾は揺れて身体のバランスとって
夕方キノボリカンガルー
本当ならいい時間、暑くてあまり動く気がしないだけ
座ってそのまま、長い時間
何想う、何か想う
「帰るよ」
優しい声
優しい声
静かな動物園は夕方もっと静かになって
閉園間際にもっともっと静かになって
────今日一日は楽しかったのかい
お腹がいっぱいになれば準備はそれで終わる
準備はワクワクする気持ちと食べ物
夢も旅も、どんなことでも
お家に帰ろう
閉園時間だ、お家に帰ろう
道は必ずどこかでつながる
つながっているからそれは道
今まで何度も、これから何度も通ってきた道、通る道
何度も何度も聞こえているよ優しい声が
今まで何度も、これから何度も
何度も何度も、今まで何度も
これから何度も
聞こえているよ、聞こえてくるよ
今日もそっと帰っていくよ
動物たちが帰っていくよ
動物たちが帰っていくよ
これからもっと暗くなるのは夕方
夏の端に秋、滲んでいるから
とっくに染まりだしている夕方のことだから