人気ブログランキング | 話題のタグを見る

いつかまた、二人

イチョウ舞い散る黄色い地面、僕はそっと切り取って、君をふわっと包む毛布にしよう
あの空、上手に切り取って、君を映し僕等を映す水色の窓にしよう
あの雲、幾重に重ねてさ、君が大空羽ばたき翔る羽にしよう
いつかまた、二人_a0164204_15114512.jpg
いつかまた、二人_a0164204_07375561.jpg
~~~~ ①ワイン ~~~~
いつかまた、二人_a0164204_07422396.jpg
────朝と夜、太陽が見えない間はずいぶんと寒くなった
秋が終わって冬が来たんだ
いつかまた、二人_a0164204_07422235.jpg
冬に向かって空の様子はどんどん変る
晴れた空はより青く、夜空の星はどんどん数が増えていく
そう、一日一日と空気は澄みきっていくんだ
いつかまた、二人_a0164204_07473628.jpg
いつかまた、二人_a0164204_07473678.jpg
「あの星座はなんて言ったかな────」
みんなが寝静まった頃、なぜか眠れない僕は一人夜空を見上げ、なんとなく呟いた
月明かりに明るく照らされた動物園と僕、そして少しづつ動き夜空を漂う雲
冷えた空気の中で輪郭光り、すべての形がはっきりと浮かび上がっている
いつかまた、二人_a0164204_07534792.jpg
ワンダーさんは部屋で眠っている
寝息と一緒にときおり動く手と足は昔から変わらず小さい
ずっと見てきた、触れてきたかわいい手とかわいい足だ
いつかまた、二人_a0164204_07422271.jpg
いつかまた、二人_a0164204_07534784.jpg
「ワンダーさん、大丈夫かい────」
なにか楽しい夢を見てそうにそっと微笑むワンダーさんの寝顔を近くで眺め、そっと呟いてみる
僕は気になっていた
いつかまた、二人_a0164204_07565051.jpg
いつかまた、二人_a0164204_08034904.jpg
足元から影が伸び始めだしたあの夕暮れ時
なんだか少し身体が重い、ご飯があまり美味しくないと、ワンダーさんから聞いたからだ
いつかまた、二人_a0164204_07565096.jpg
いつかまた、二人_a0164204_08034827.jpg
いつかまた、二人_a0164204_08055463.jpg
あの時の無理して見えた力の無い笑顔に僕は胸騒ぎ
色々なこと、昔のとある日々のことを思い出す
気がつけば見上げた月の色と模様がいつもと少し違って見える
「どんなことでも“いつもどおり”がいいんだけどね」
いつかまた、二人_a0164204_08121434.jpg
いつかまた、二人_a0164204_08055534.jpg
いつかまた、二人_a0164204_08121484.jpg
穏やかだった夜風がふいに強く吹き、イチョウの枝と僕の身体を少し震わせる

「寒いね」
無意識なうちに出たのは冬の言葉だ
急に寒くなったからワンダーさんも少し調子を崩したんだろう、慣れればきっと大丈夫────と、不安を無理に隠すように僕は自分勝手を納得させる
いつかまた、二人_a0164204_08215561.jpg
────そう、誰だって嫌なこと、嫌な気持ちからは離れていたい
ごまかしてばかり
良くないことだと知っておきながら、こんなときに駄目な僕は自分の気持ちから距離を置こうとしてしまう

「知っていることあったらさ、僕に教えてくれないか────」
いつかまた、二人_a0164204_08215546.jpg
僕は気配を感じた方へ向かってささやいた
「近くにいるんだろ、僕に教えてくれないか────不安で不安でどうにかなりそうなんだ」
いつかまた、二人_a0164204_08364833.jpg
いつかまた、二人_a0164204_08364922.jpg
「ワンダーさんを眺めていたんだ。ワイン君、気がついていたのかい?────久しぶりだね」

静かな優しい声と一緒に部屋の中へ影が伸び、すっと入ってくる
感じた気配どおり、ウォンバットの神様は部屋の外
変に明るい月明かり、星明かりにそっと照らされていた
いつかまた、二人_a0164204_08430692.jpg
いつかまた、二人_a0164204_08430661.jpg
「────ワインさん、誰かいるの?」

ワンダーさんは静かに、そっと目を覚ました
いつかまた、二人_a0164204_08492954.jpg
~~~~ ②ワンダー ~~~~
いつかまた、二人_a0164204_08512696.jpg
─────ワインさんの庭との間、私はフェンスの横を走り回ることが好きだった

お天気の良い日、気分がいい日に外へ出ればワインさんは必ず近くへ来てくれた
すれ違いざま何度も何度も目が合って、私達は他愛もない短い話を何度もかわし、小さな幸せの中、ゆっくりと日が暮れる

そんないつもどおりの日々の中、私はフェンスの横を走り回ることが好きだった
いつかまた、二人_a0164204_08512697.jpg
いつかまた、二人_a0164204_08512590.jpg
─────ワインさんの庭との間、私はフェンスの横を走り回ることが好きだった
いつかまた、二人_a0164204_09061660.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09061615.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09061647.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09081652.jpg
ふとしたある日、私は自分が少しおかしいことに気がついた
いつかまた、二人_a0164204_09111694.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09081715.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09081651.jpg
今までのように身体は動かず、あまり急いで走れない
すぐに疲れてぺたりと座りたくなってしまう
いつかまた、二人_a0164204_09171531.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09171405.jpg
ご飯もあまり美味しいとは感じない
見る夢も短くて、その景色は不思議と色が薄く見えた
いつかまた、二人_a0164204_09171461.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09291464.jpg
そう、私が私でないように
色々考えてみたとしても、頭の中に浮かんでくるのは不安なことばかり
なんだか寂しいことばかり
いつかまた、二人_a0164204_09223606.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09223693.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09223785.jpg
ワインさんはぐっすりと眠っているような、とある日、晴れた夜のこと
夜風はそっと優しくて、月も星もふんわり明るく私を照らす
いつかまた、二人_a0164204_09271440.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09271412.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09271445.jpg
なぜか眠れない私は一人夜空を見上げ、星と星とを見えない糸で繋いで星座を作る
下手くそだったり、少し無理があったり
一つ作って、二つ作って何度も笑う
「こうして、こうして、あっちとこっち─────できた、これがワインさん座」
いつかまた、二人_a0164204_09291417.jpg
夜空に浮かぶワインさん
ワインさんはその夜空でも優しく笑っていた
いつかまた、二人_a0164204_09291464.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10431358.jpg
穏やかだった夜風がふいに強く吹き、イチョウの枝と私の身体を少し震わせる
「寒い」
夜露が降った庭の中、空気は冷えて温かい手を恋しくさせる
いつかまた、二人_a0164204_09291480.jpg
いつも触る、いつも握る優しくて温かい
そんなワインさんの大きな手
身体がうまく動かない、今の私はいつもどおりの優しさに触れることもままならない
いつかまた、二人_a0164204_09455797.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09455769.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09455788.jpg
「これから私、どうなっちゃうんだろう────」
声に出るのはそんな弱音
いつかまた、二人_a0164204_09564981.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09564905.jpg
そう今、私の身体は弱っている
いつかまた、二人_a0164204_09564902.jpg
ぽろりと一粒、涙が落ちた
─────ワインさんの庭との間、ゆっくりでもいいからフェンスの横を走り回ること
私は後どのくらい出来るんだろう────
いつかまた、二人_a0164204_09581102.jpg
いつかまた、二人_a0164204_09581048.jpg
今すぐワインさんを小突いて起こして優しい声を聞いていたい
今すぐワインさんの目を見つめながらその手にそっと触りたい
いつかまた、二人_a0164204_10014332.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10042692.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10014394.jpg
いつもどおりの日々というのは優しさ愛情溢れた日々のこと
─────知っている
私は凄く幸せなウォンバットなんだ
いつかまた、二人_a0164204_10042636.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10083141.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10092043.jpg
涙を私はもう一つ、続けてこぼれてもう一つ
ほっぺをつたって落ちるその瞬間、流れ星も一つ二つと輝き、消えた
いつかまた、二人_a0164204_10122879.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10151063.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10122834.jpg
「お母さん」
私を呼んだ懐かしい声
いつかまた、二人_a0164204_10174503.jpg
振り返るとそこには二人のウォンバット
サツキとサクラ─────私とワインさんの大切な子供達
いつかまた、二人_a0164204_10174509.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10174686.jpg
私は二人をぎゅっと抱きしめる
なんだか上手く動かなかった身体にその時ぐっと力が入った
いつかまた、二人_a0164204_10233417.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10254450.jpg
「お父さん、眠っているけど起こそうか。今まであんまり何も言ってなかったようだけど、きっとあなた達には会いたいと思っていたはずだから」
そう言った私にサツキとサクラ、二人は涙をこぼして横に首を振る
いつかまた、二人_a0164204_10275602.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10233347.jpg
「駄目、お父さんにはまだ言えないこと、これからお母さんには伝えなければいけないから」

サツキとサクラはそう言ってもう一度涙をこぼす
最初よりもたくさんの涙、月明かりと星明かりできらきら光る
いつかまた、二人_a0164204_10275623.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10254450.jpg
私にはわかる
二人が何を言おうとしているのか、それがわかる
「大丈夫、あなた達の顔を見た時に全部わかったよ」
そう話すと私達三人は静かに抱き合い、そして静かに涙をこぼし続けた
いつかまた、二人_a0164204_10380334.jpg
二人が言うとおり、ワインさんにはまだ伝えることができない
悲しい気持ち、寂しい気持ち
ただそれだけの日、ただそれだけの残り時間になってしまいそうだから
いつかまた、二人_a0164204_10380313.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10380365.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10462339.jpg
残り何日かはまだわからない
ただ遠く高い所でサツキとサクラは待っている
心配そうに見つめてくるワインさんに身体のことだけ少し話し、いつもどおりの日々が少しでも長く続くように力を振り絞って私は笑った
いつかまた、二人_a0164204_10513956.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10513981.jpg
いつかまた、二人_a0164204_10513810.jpg
なるべく多くお昼寝をして身体を休める
そして夜にもまた長く眠っていた
不思議と怖い夢を一つも見ない
いつかまた、二人_a0164204_10590203.jpg
夢の世界の良い所
夢の中なら毎日毎日少しだるい私の身体もちょっと自由
ささいだけれど大切な、そういうこと
いつかまた、二人_a0164204_11011458.jpg
いつかまた、二人_a0164204_11011402.jpg
夢でワインさんとサツキとサクラが遊んでいる
まるでそれは家族写真のように幸せ映して私の頭の中へ
お客さんのように私達は写真なんて撮らないけれど、そんなふうにとても幸せ
心の中へとしっかり残る
いつかまた、二人_a0164204_11011386.jpg
みんな笑ってる
ワインさんもサツキとサクラも
みんな、みんな夢の中で笑ってる
私には今、なんの不安も無い
いつかまた、二人_a0164204_11100425.jpg
いつかまた、二人_a0164204_11100576.jpg
夢の中に誰なのか知らない声がそっと聞こえてきた
誰の声かは知らないけれど、優しそうで温かそうで
─────とても素敵な声がそっと聞こえた
いつかまた、二人_a0164204_11100504.jpg
夢の中に現実のことが少し滲んでいるみたい─────
滲み出した元の方を見るように、私は夢から一度醒め、声のする方そっと見る
いつかまた、二人_a0164204_11163332.jpg
いつかまた、二人_a0164204_11163353.jpg
「────ワインさん、誰かいるの?」

ワインさんの横には大きなウォンバットが立っている
─────きっとウォンバットの神様だ
いつかまた、二人_a0164204_11192400.jpg
いつかまた、二人_a0164204_11163282.jpg
いつかまた、二人_a0164204_11195490.jpg
「二人共、僕の話を聞いてくれないかい─────」
いつかまた、二人_a0164204_11192400.jpg
いつかまた、二人_a0164204_11192442.jpg
~~~~ ③二人の旅 ~~~~
いつかまた、二人_a0164204_11540822.jpg
いつかまた、二人_a0164204_11540720.jpg
「本当なら目的地まで行く途中のことも楽しめるのが旅なんだ。でもいつか説明したいけど今回は時間が無い。二人でそっと目を閉じて、二人で一緒の夢を見なさい。二人一緒に目を覚ました時、そこは旅の目的地─────君達はタスマニアにいるはずさ」


────そうだ、僕とワンダーさんは今タスマニアにいる
いつかまた、二人_a0164204_11540869.jpg
いつかまた、二人_a0164204_11540841.jpg
あの時、ウォンバットの神様は僕と後から目を覚ましたワンダーさんに言った
「遅くなってしまったけど旅に出かけよう。いつかワイン君が言っていたはずさ。フクの所にお嫁さんが来たら、その時出かけようって言っていた旅だ」
いつかまた、二人_a0164204_12031762.jpg
いつかまた、二人_a0164204_12031870.jpg
いつかまた、二人_a0164204_12031730.jpg
そう、いつか確かに僕は言った
僕等の遠い記憶の片隅、タスマニア
色々見て回ってフクや動物園のみんなに土産話をすればきっと楽しいよって、ね
いつかまた、二人_a0164204_12105498.jpg
その時の話、タスマニア旅行へ今僕等は出かけてきている
帰ったらちゃんとみんなに旅の話をしてあげよう
でも、そうだ─────フクはもうマルに色々聞いているのかもしれないね
いつかまた、二人_a0164204_12105693.jpg
いつかまた、二人_a0164204_12105657.jpg
まあいいさ、大丈夫
僕等はマルもコウとユキも知らないタスマニアを見て回ればいいだけのこと
きっとそういうことだ
いつかまた、二人_a0164204_12131202.jpg
いつかまた、二人_a0164204_12131239.jpg
少し歩いた所で気がついた
身体が重いと言っていたワンダーさんは今は平気だと笑顔で走り回って見せてみる
僕等はやっぱり夢を見ているのだろうと考えたけど、大丈夫
夢じゃないようだ
いつかまた、二人_a0164204_12321518.jpg
いつかまた、二人_a0164204_12321569.jpg
楽しいことを夢に見るのもいいけれど、やっぱりちゃんと起きている時にしっかりと自分の目で見て回ること
きっとそれがいちばん大切なのさ
なぜなんだろう、夢というのはいつか忘れてしまうもの
なぜなんだろう、実際に見たこと感じたことっていうのはいつまでも忘れたりはしないもの
いつかまた、二人_a0164204_15013644.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15013533.jpg
できるというなら後回しなんてしては駄目
少し無理してでも頑張るべきなんだ──────

いつかまた、二人_a0164204_15044486.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15044432.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15044476.jpg
綺麗な街、たくさんの公園、たくさんの大きな公園
たくさんの山、滝、洞窟に湖と川
ワンダーさんが歩きたがっていた深い森
いつかまた、二人_a0164204_12131210.jpg
いつかまた、二人_a0164204_12131259.jpg
ここタスマニアには本当に多くの自然がある
流れる空気、吹き抜ける風、冷たいお水に澄んだ空

そして何よりクレイドルマウンテンだ
いつかまた、二人_a0164204_12321518.jpg
いつかまた、二人_a0164204_12321668.jpg
その景色に僕とワンダーさんは言葉を失う
そうだ、表現なんてできっこない

ここの景色をどうすれば伝えることが出来るのだろうか
ここで感じたこの気持ち、僕等はどうすれば伝えることが出来るのだろうか
いつかまた、二人_a0164204_12321563.jpg
いつかまた、二人_a0164204_12321668.jpg
─────答えは出ない、出るわけない
来るしかないんだ、見るしかない、感じるしかないことなんだ
いつかまた、二人_a0164204_15131191.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15131291.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15131265.jpg
タスマニアの11月は春から夏に変わる時期
高原は色とりどり、見たことのないお花がたくさん咲いている
「ワイルドフラワーって言うんだよね」
見渡すかぎりのお花に囲まれたワンダーさんは幸せそうに笑って喜ぶ
いつかまた、二人_a0164204_15173591.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15173556.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15173547.jpg
「このお花、中でも一番かわいいね」
ワンダーさんがとびきりの笑顔を見せた
いつかまた、二人_a0164204_15201044.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15223570.jpg
この笑顔、僕は今まで何回か、何回も見ているはずさ
凄く凄く懐かしい、そんな気持ちが心の中をそっと少しずつ熱くする
いつかまた、二人_a0164204_15200951.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15223582.jpg
「このままここで星が見たい」
ワンダーさんはそう言って、暗くなり始めた空をいつもの何倍にも輝く瞳で見上げていた
夕暮れ綺麗なタスマニアの空に一番星が光りだす
明るく輝いていた太陽は山あいにゆっくり沈む
きっと最高の夜が僕等の所にこれから静かにやって来る
いつかまた、二人_a0164204_15315944.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15315936.jpg
この夜、僕等と一緒にいるのは星明りと百万本のワイルドフラワー

そういうことさ
いつかまた、二人_a0164204_15315910.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15354762.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15354753.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15354697.jpg
いつも見ている夜空とは違う星空
南半球、タスマニア
僕等は今、遠く離れた場所にいる
本当は懐かしいはずなのに僕は何も覚えちゃいない
僕等は日本のウォンバット、素敵な動物園で優しい人達と一緒にずっと過ごしてきた日本のウォンバット
いつかまた、二人_a0164204_15432800.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15432860.jpg
そういうこと
きっとそういうこと
いつかまた、二人_a0164204_15432858.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15444140.jpg
「ワインさん、素敵な旅だね」
僕のすぐ傍、隣で肩寄せ、ワンダーさんはそっと小さく声に出す
「本当だね」と、僕はただ一言

きっとそれだけ言えばいいはずだ
いつかまた、二人_a0164204_15454194.jpg
「日本へ一緒に行った、ずっと一緒に暮らしてきた男の子がワインさんで良かった─────ありがとう」
ふいにそんなことを言い出すから僕は戸惑いあわてて夜空を指差し、少し早口

「ワンダーさん、ほらあれが南十字星─────」

いつかまた、二人_a0164204_16013539.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16013678.jpg
お返事は聞こえない
ワンダーさんは眠っていた
いつかまた、二人_a0164204_15454167.jpg
いつかまた、二人_a0164204_15454064.jpg
たくさん歩き回ってたくさん喋ってたくさん笑って、きっと疲れてしまったんだろう
月明かりが幸せそうに微笑みながらそっと横になったワンダーさんを優しく照らす
「ワンダーさん、そろそろ動物園に帰ろう─────」
僕はワンダーさんの隣で横になり、そっと目を閉じた
いつかまた、二人_a0164204_16055730.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16055726.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16055830.jpg
二人でそっと目を閉じて、二人で一緒の夢を見る。二人一緒に目を覚ました時、そこはきっと動物園
僕等の大好きな五月山動物園──────そういうこと、きっとそういうこと
いつかまた、二人_a0164204_16084622.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16084687.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16084503.jpg
~~~~ ④いつかまた、二人 ~~~~
いつかまた、二人_a0164204_16112922.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16112985.jpg
──────僕はどれくらい眠ってしまったんだろう
目を覚ますとどうやら辺りは薄暗い
これから夜になるのか、それともこれから夜が明けるのか
いつかまた、二人_a0164204_16151998.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16151844.jpg
「─────お父さん」
どこか懐かしい言葉を聞いた僕は、その声がした庭の方を部屋の中からそっと見た
いつかまた、二人_a0164204_16192130.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16192038.jpg
二人の女の子─────僕の目から涙が溢れる
「サツキ、サクラ、どうしたんだい?」
僕は二人のところへ駆け寄った
僕はすっかり歳をとってしまったけれど、サツキもサクラはあの頃と何も変わらない
サツキ、サクラ─────僕とワンダーさんのかわいい子供達
いつかまた、二人_a0164204_16284299.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16284218.jpg
「ワインさん」
気がつくとワンダーさんは僕達のすぐ後ろで泣いていた
僕等の庭とお部屋の間の金網が今は綺麗さっぱり何も無い
いつかまた、二人_a0164204_16294860.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16294841.jpg
「しばらく内緒にしておいたことがあります。ワインさん、私はサツキとサクラと一緒に出かけなければいけなくなりました」
いつかまた、二人_a0164204_16294823.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16382001.jpg
─────サツキとサクラの姿を見た時に、嬉しさと一緒に感じたこと
それはやっぱり間違いじゃなかったんだ
いつかまた、二人_a0164204_16382002.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16381985.jpg
明日の深夜か明日の朝
そのくらいで最後の旅に出ると言う

わかっていたほうがいいのか、わからないままお別れしてしまうのがいいことなのか
今の僕にはわからない、考えることもできやしない
ただ後から後から溢れる涙をこらえ、ときおり拭うだけで精一杯だった
いつかまた、二人_a0164204_16454866.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16454765.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16454867.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16472199.jpg
イチョウ舞い散る黄色い地面、僕はそっと切り取って、君をふわっと包む毛布にしよう

あの空、上手に切り取って、君を映し僕等を映す水色の窓にしよう

あの雲、幾重に重ねてさ、君が大空羽ばたき翔る羽にしよう
いつかまた、二人_a0164204_16484413.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16484356.jpg
夜から朝まで寒くて寒くてしょうがない
だから、イチョウ舞い散る黄色い地面、僕はそっと切り取って、君をふわっと包む毛布にしよう
いつかまた、二人_a0164204_16484400.jpg
僕等を映すカメラが新しくなったのさ
だからいつでも君が動物園を眺めることができるように、あの空、上手に切り取って、君を映し僕等を映す水色の窓にしよう
いつかまた、二人_a0164204_16484364.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16531078.jpg
空の向こうずっと遠く、遠くに行くっていうのは大変なことさ
途中で疲れてしまわないよう、あの雲、幾重に重ねてさ、君が大空羽ばたき翔る羽にしよう
いつかまた、二人_a0164204_16530934.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16530881.jpg
ははっ、なんてことだ
どれも全部僕が必要な物じゃないか
どれも全部僕が欲しい物じゃないか
いつかまた、二人_a0164204_16573969.jpg
寒い日、夜空に君の星を眺めるために
空の上のカメラで君を眺めるために
君の所にいつでも飛んでいけるように

僕が必要だって思う物ばかり─────こんなわがまま言うような僕なのさ
きっと何一つ叶えることなんかできないよ、ワンダーさんにあげることなんかできないよ
いつかまた、二人_a0164204_16573974.jpg
いつかまた、二人_a0164204_16573909.jpg
僕はいつまでたっても君に甘えてばかり
歳をとっても時間が過ぎても、僕は君に甘えてばかり
いつかまた、二人_a0164204_17025411.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17025458.jpg
僕にはワンダーさんが必要なんだ
僕にはあの優しい笑顔が必要なんだ

僕は弱虫、僕はこんなに弱虫
ただの弱虫
「ワンダーさん、こんな僕とずっと一緒で、それで本当に良かったのかい─────」
いつかまた、二人_a0164204_17025568.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17025391.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17130996.jpg
サツキとサクラは帰ること無くずっとワンダーさんの傍にいる

背中に乗った小さなサクラ、隣で笑うかわいいサツキ
新しくなったガラス窓に僕等全員、一度に映る

僕らはお客さんのように写真を撮ったり出来ないけれど、この風景はそう「家族写真」
色鮮やかに小さな幸せそっと写したような、そっと見つめる僕の心に優しい優しい家族写真
いつかまた、二人_a0164204_17173681.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17173706.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17173660.jpg
─────なぜワンダーさんは遠く旅立ってしまうのか
この前の旅でその理由がわかったって、ワンダーさんはそっと話してくれたんだ
いつかまた、二人_a0164204_17264713.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17264833.jpg
「ワインさんと私の物語は終わらない、まだまだずっと続くから────」
涙が光る優しい笑顔でワンダーさんは言ったんだ
いつかまた、二人_a0164204_17264809.jpg
生きてる間じゃ時間はぜんぜん足らないってワンダーさんは涙をこぼして笑うんだ
僕と出会ったから、僕と過ごしてきたから、だから足らない、まだまだ二人の物語は続いてく
物語は同じ場面ばかりじゃない、寂しいこと悲しいこと、嬉しいこと楽しいこと
今までだって色々あったって、熱をこめて話し続ける
いつかまた、二人_a0164204_17303617.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17303738.jpg
─────そうだ、今この瞬間も僕達二人の物語
まだまだ続く、ずっと続く僕達二人の物語
一度離れ離れになったって、いつかまた
いつかまた、二人_a0164204_17303726.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17410852.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17410851.jpg
僕達二人はいつかまた、一緒に歩ける時が来る─────
いつかまた、二人_a0164204_17432000.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17432060.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17431938.jpg
お別れは本当に寂しいね
今までずっと一緒だったのに、これから先は一度お別れ
飼育係りさんよりずっと長く、誰より長くワンダーさんと一緒いたはずの僕だけど、これから先はみんなと一緒、ワンダーさんと一度お別れさ
これからできることはただ一つ、今までどおりワンダーさんを想うこと
ただそれだけさ
いつかまた、二人_a0164204_17482995.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17482766.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17482818.jpg
心残りはただ一つ
これから高く遠くまで行かなきゃいけないっていうのにさ、隣でワンダーさんの手を引いてあげることはできないんだ─────サツキとサクラに任せるより他はない
いつかまた、二人_a0164204_17482995.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17482766.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17543815.jpg
次の日の夜が明ける前のこと、ウォンバットの神様やって来た
朝といえば朝だけど、まだまだ空には星が光る
いつかまた、二人_a0164204_17543809.jpg
いつかまた、二人_a0164204_17543758.jpg
「忘れないで」と、ウォンバットの神様は落ち着いた声で静かに話す
サツキとサクラがワンダーさんを連れて行くのはあの星光る向こう側だと、ウォンバットの神様は僕に話す
ティアもアヤハもすぐ傍にいるという

──────あの幾つかの優しい光、それはウォンバット達の星なんだ
いつかまた、二人_a0164204_18051954.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18051989.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18052042.jpg
イチョウ舞い散る黄色い地面、僕はそっと切り取って、君をふわっと包む毛布にしよう
あの空、上手に切り取って、君を映し僕等を映す水色の窓にしよう
あの雲、幾重に重ねてさ、君が大空羽ばたき翔る羽にしよう

僕はもう一度そうやって呟いた
心の中で言葉をそっと温めて、一言一言気持ちをこめて呟いた
いつかまた、二人_a0164204_18084268.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18084218.jpg
ウォンバットの神様が涙を流して僕に言う
「見てごらん、その願い事は一つだけ、一つだけはちゃんと届いたようだ」と、空を見上げて僕に言う
いつかまた、二人_a0164204_18084172.jpg
「あっ」

少しだけ明るくなり始めた東の空に漂う雲が集まりだして、ワンダーさんの傍で幾重に重なり羽になる
ワンダーさんをそっと空へと連れて行く、大きな大きな羽になる
いつかまた、二人_a0164204_18163473.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18163404.jpg
「ワインさん、ありがとう」

ワンダーさんの目からは涙がこぼれ、傍にいた僕の手の上にそっと落ちた
その涙は冷たい空気の中でひときわ温かく、悲しみ冷えた僕の心を温める

「ワンダーさん、ありがとう」
いつかまた、二人_a0164204_18163320.jpg
続けた言葉は二人同時に重なった
「いつかまた、二人でさ─────」
いつかまた、二人_a0164204_18221311.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18244058.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18244080.jpg
大きな羽が羽ばたくたびに黄色く染まったイチョウの葉っぱが何枚も何枚も舞い落ちる
ワンダーさんが夜空を黄色く輝かせ、動物園を真っ黄色に染めていく
いつかまた、二人_a0164204_18274307.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18274355.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18274287.jpg
サツキとサクラが手を振っているのが見える
「ワンダーさんをよろしくね」
涙で霞む三人の姿から目を離さないように、僕はまばたきをしないで見つめ続ける
いつかまた、二人_a0164204_18303532.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18303527.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18303558.jpg
たとえば空に溶けかけた鳥から一度でも目を離せば、もう決して見つからないことを僕は知っていたからだ
見つめ続け、空の彼方に消えるまで、少しでも長くみんなの背中を見続けなければいけない
僕が最後にできることはただそれだけだ
いつかまた、二人_a0164204_18341402.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18341313.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18381673.jpg

ワンダーさんが空の向こうへ消える頃、動物園はイチョウの葉っぱでいっぱいになった
今までのどの秋の終わりよりも黄色く染まって輝いている

「凄いや」
僕は辺りを見渡し、涙をていねいに拭ってから教えてもらった星がある方角をもう一度眺めた
星の数がさっきよりも三つ増えている
いつかまた、二人_a0164204_18381747.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18381659.jpg
ワンダーさん、空の上から動物園の場所がわかるかい?
君が黄色く染めた場所だよ、そこから僕が見えるかい?
いつかまた、二人_a0164204_18411498.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18411433.jpg
その日の朝、飼育係さん達がワンダーさんのいない部屋に驚いて、あたり一面のイチョウの葉っぱと一緒にどういうことなのかを気がついて泣き出した
大人なのに泣くということはウォンバットも人も一緒、同じこと

「ありがとう」
ワンダーさんのために涙をこぼしてくれる人達に僕はお礼をしていくことにした
いつかまた、二人_a0164204_18431736.jpg
今はもう僕の庭の隣にワンダーさんはいない
今頃きっと太陽に照らされ黄色く光る動物園を空の向こうから眺めてる
サツキとサクラ、ティアとアヤハときっと一緒だ
いつかまた、二人_a0164204_18464038.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18464123.jpg
いつかまた、二人_a0164204_18464096.jpg
庭へ出た僕をマルが少し不思議そうに目で追った

─────そうだ、一つ困ったことがあったんだ
いつかまた、二人_a0164204_19315981.jpg
いつかまた、二人_a0164204_19333165.jpg
僕はくるくるくるくる左回り
いつのまにかにね
いつかまた、二人_a0164204_19333189.jpg
いつかまた、二人_a0164204_19333067.jpg
いつものように君が優しく呼んでくれないと、僕はどこへ向えばいいのかわからない
だから今日も僕はくるくるくるくる
僕はくるくるくるくる左回り
いつかまた、二人_a0164204_19370419.jpg
いつかまた、二人_a0164204_19370541.jpg
ああ、まただ─────
僕はくるくるくるくる左回り
いつのまにかにね
いつかまた、二人_a0164204_19390097.jpg
いつかまた、二人_a0164204_19390189.jpg
いつかまた、二人_a0164204_19390096.jpg

僕がまっすぐ歩くには、ワンダーさん、君が必要だったのさ
今僕はどこへ行けばいいのかわからない
星が出てない昼間はさ、僕は何を見つめたらいいのかわからない
いつかまた、二人_a0164204_19431642.jpg
いつかまた、二人_a0164204_19431696.jpg
いつかまた、二人_a0164204_19431644.jpg
いつかまた会えると知っていても、今この瞬間が僕のことを寂しく悲しくさせてしまう
いつかまた、二人_a0164204_19444748.jpg
僕は少し疲れて一休み
泣き疲れて僕は一休み
のんびりいこう、僕はもう大人なんだから─────
いつかまた、二人_a0164204_19444733.jpg
いつかまた、二人_a0164204_19444631.jpg
喜びと悲しみを僕等は感じて大人になった
二人笑顔の喜びは突然やって来る悲しみに打ち消され、その悲しみを超える喜び見つけて、重ねて繋げてさ
いつかまた、二人_a0164204_19444647.jpg
僕はこれ以上大人にはなるのかな
喜ぶことはきっとまだまだたくさんあるけれど、ワンダーさんが隣にいない悲しみ以上の悲しみがこの世にあるはず無いのだから
いつかまた、二人_a0164204_19475298.jpg
いつかまた、二人_a0164204_19475275.jpg
いつかまた、二人_a0164204_19475130.jpg
それに僕はもうお爺さんだ
いつかまた、二人_a0164204_19510587.jpg
生きてる間だけじゃわからないこと多すぎる
きっとみんな、全部のことをしらないままいつかそっと旅立っていくんだろう
いつかまた、二人_a0164204_19550502.jpg
いつかまた、二人_a0164204_19550403.jpg
大丈夫、僕達の物語、みんなの物語はずっとずっと続いていく
─────そうだろ、ワンダーさん
いつかまた、二人_a0164204_19550551.jpg
いつかまた、二人_a0164204_19510625.jpg
まだまだこれから
まだこれからだ
いつかまた、二人_a0164204_19582380.jpg
冬だって始まったばかり
きっとそういうことなんだ
いつかまた、二人_a0164204_19582293.jpg
色々なことに悲しんでばかりじゃ駄目なんだ
忘れないこと、想うこと
その気持ちがあれば大丈夫
きっと大丈夫
いつかまた、二人_a0164204_20034123.jpg
いつかまた、二人_a0164204_20010052.jpg
大切な誰かにきっと
わかってもらえるさ
いつかまた、二人_a0164204_19582363.jpg
いつかきっと自分にも
わかる日が来るのさ
いつかまた、二人_a0164204_20005950.jpg


イチョウ舞い散る黄色い地面、僕はそっと切り取って、僕達ふわっと包む毛布にしよう

あの空、上手に切り取って、僕等みんなをそっとを映す水色の窓にしよう

あの雲、幾重に重ねてさ、僕達が大空羽ばたき翔る羽にしよう
いつかまた、二人_a0164204_20100984.jpg
いつかまた、二人_a0164204_20100820.jpg

「いつかまた、二人─────手を取り合って旅に出よう」
いつかまた、二人_a0164204_20100883.jpg
いつかまた、二人_a0164204_20100919.jpg
昼の間、僕は見つめる物を一つ見つけた

タスマニアの旅の時、ワンダーさんが一番かわいいって言っていたワイルドフラワーがそっと一輪咲いていたんだ
庭の片隅、ワンダーさんが日向ぼっこをしていた場所に、ね



    

Commented by ふーのん at 2017-12-06 00:18 x
こんばんは。
帰るまで我慢できずバスの中で読んで、人目も憚らず涙を流してしまいました。
バスを降りて空を仰ぐと、キレイな月と大きな星座が見えました。ウォンバット達の星を探したくて、すっかり冬の星座達になった空を暫く眺めていると、目が慣れてたくさんの星が見えてきました。
どれかはわからなかったけど、ウォンバット達の星が目の中に映っていたらいいな、きっと映ってるだろうな、と思いながら歩いて、また涙が出てきてしまいました。

今日は少し風が強くて、ウォンバットてれびでも銀杏がはらはらと落ちていくのがよく見え、ワインくんのお庭が黄色くなってきていました。
時間がたつにつれ、ワンダーさんが走った道に草が生え、部屋にあった巣穴もなくなり、そうやって変わっていくんだろな、と想像してとても寂しい気持ちになっていたのですが、今回のお話しを読んで、少し前向きになれそうです。
もし変わっても、いつでもワンダーさんを思い出せる、気配を感じることができる。そんなことに気づかせてくれました。

ワンダーさんの旅立ちを話していただき、本当にありがとうございました。
とりとめもない感想になってしまってすみません。
Commented by 高野 充彦 at 2017-12-06 00:47 x
bonsoirさん、こんばんは。
明日の五月山、ワンダーちゃんが残してくれたイチョウの葉で真っ黄色かも知れませんね。
ワインくんとワンダーちゃんが紡ぐストーリー、きっと今も未だほんの序章。
二人でタスマニアを歩いて、星空を歩いて、きっと無限に連なるお話しの未だほんの序章、
そんなふうに思えました。

サツキとサクラは寂しいかも知れませんが、まだまだワインくんには
五月山動物園でのお土産話し、思い出話しをたくさん溜め込んでもらって
ワンダーちゃんとの再会の為にも楽しく過ごしてくれる事を願うばかりです。

そして二人の愛娘に話し尽きないほどのワンダフルな日々を過ごしたワンダーちゃん、
ウォンバットの神様と一緒に日本のウォンバット達に優しく微笑みかけてくれていますね。
Commented by ファルーク・D・マーキュリー at 2017-12-06 13:20 x
昨夜、寝る前に 読ませて頂きました。
何度も何度も…読みました。
涙が、バカみたいに溢れて止まりませんでした。
心に響くストーリーと まるで、ワンダーさん ワインくんが、目の前にいるような写真…
私自身の記憶の中のワンダーさんの姿が次から次へと思い出してしまって…
そのまま 寝落ちしてしまってました。
あんなに寂しくて悲しくて…ワインくんのこと思うと 胸が苦しくて…
それなのに、目が覚めたら…昨日の自分が思ってたこと、ちゃんと覚えているのに
なんか、ポジティブな気持ちになってました!
だって、ワインくんとワンダーさんのストーリーは、まだまだ続くんですよね!
ふたりの愛と絆は、永遠に踏めてですから。
ただ、まだまだしばらくは、離れ離れで我慢してね。
それに、ワインくんの心の目には、いつでも ワンダーさんが一番大きく近く見えてるんですものね。
こんなに素敵なストーリーをありがとうございます。
おかげで 気持ちが随分切り替えられました!
Commented by パイン at 2017-12-06 18:04 x
しむらさん、こんばんは

昨日までは、ワインさんの事を考えるとなんだかさみしいだろうな~という悲しい気持ちばかりだったのですが、
今朝、二人の物語を読みはじめ、、、大泣きしました。
読み進めれば読み進めるほどに、これまでの気持ちが切り替わっていくのを感じました。
あたたかなお話のおかげです。

こんなにも温かく優しいお話、これからも続いていくワインさんとワンダーさんなのですよね!
どんなときも離れていても、ずっと心は一緒ですよね!


今日は、黄色に輝いている五月山動物園に向かいながら、
一面に広がるイチョウの美しい絨毯は、お互いへの贈り物だったんだな~と、、色々とお話を思い出しながら歩いていました。
イチョウの季節が、もっともっと好きになりました。
本当に、素敵な物語を書いて下さってありがとうございました。
それから、今日はお会いできて本当に色々とお話してくださってありがとうございました。
とってもうれしかったです。
はるばるこられてお忙しいにも関わらず、貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。
また、お会いできた時はよろしくお願いいたします。(*^^*)
これらも動物さんたちのことを見つめつづけて、
心温まる素敵な物語を書き続けてくださいね。
本当にありがとうございました! 
Commented by sen at 2017-12-08 07:49 x
おはようございます。
イチョウの黄色い絨毯の上で微睡むワインの横でワンダーさんも寄り添ってお昼寝していますよね、きっと。
ワンダーさんに直接会えなくなってしまいましたが、二人の物語はずっと続いていってくれますよね。
あのワンダーさんの庭の前にある、イチョウの木の上でみんなのことを見守ってくれている気がいまもしてなりません。
たくさんのお花、かわいい写真や絵に囲まれて、ワンダーさんみんなに愛されていたんだね…とお別れを言いながら感じました。
Commented by bon_soir at 2017-12-08 14:40
ふーのんさん、コメントありがとうございます。
ずっと眺めていた、会ってきた子達の旅立ちは、悲しい寂しいよりもっと特別な何かを感じてしまいますね。
お知らせを最初に聞いた時にこぼす涙と、何日か経って思い出して流す涙はそれぞれ違い、でもどちらも大切な涙だと思います。
想うことしかできなくなるので、その想いはもっともっと強くなっていきますし、存在ももっともっと大切にしていきたくなるものなんだなと、こんな時はいつも思います。
いつだって愛情ってこういうことだと教えてくれたワンダーさん。もっともっと早くから会っていたかったですね。
そうしてやっぱり、こう、想いはもっと強くなっていくものですね。
Commented by bon_soir at 2017-12-08 14:48
高野 充彦さん、コメントありがとうございます。
現実の動物園もワンダーさんがいなくなってしまってから、本当に真っ黄色になったようですね。
今年の秋の皆さんの記憶、そして写真は特別な色になると思います。
ワンダーさんへの思いは必ずワインが一番ですね。二人一緒の姿にどれだけ温かさを感じさせてもらったことかと、本当に感謝しかないです。
二人から優しさを感じたならば、きっとみんなそれまでよりも優しくなれたと思います。
動物達の大切な歴史、そして皆様の想いが大好きな動物達の物語を作っていくと感じています。
もう大切な住人のいないお庭でしたが、イチョウの葉っぱの色で明るく、どこかにまだそっといるような気配を感じることが出来ました。
ただやっぱり、どうしても寂しいですね。
Commented by bon_soir at 2017-12-08 15:14
ファルーク・D・マーキュリーさん、コメントありがとうございます。
ブログにこういうときのお話しを書いている時、書きながら思い出して、色々と余計なことまで考えて涙をこぼしてしまいます。
会っている時に温かさや優しさを十分感じていたはずなのに、もっともっと会いたかったとずっと思ってしまいます。
ワインとワンダーさんの姿には本当に色々なことを教えてもらいました。
二人の物語を続けてもらうには、私達の想いでこの先ずっと繋いでいく必要があると思います。
ワンダーさんには今までたくさんの物を貰ったわけですから、これからはそれを何倍もにして返してあげること。
それが何より大切なことですね。
ワインの気持ち、ほかみんなの気持ちはきっとたくましく、これからもまた私たちに色々とくれることと思います。
みんなが傍にいてくれるときにもたくさんの愛情を返していってあげたいですね。
Commented by bon_soir at 2017-12-08 15:23
パインさん、コメントありがとうございます。
ワインとワンダーさんのお話しを繋いでいくには皆さんの想いが必要だと思います。
これまでの思い出や、考えていたこと感じていたこと。全部をずっとまた忘れずに、もっともっと大きくしていって、想い、そして今でも頑張る子達を通じてワンダーさんに返してあげること。
それがワンダーさんにしてあげられることですね。
五月山動物園のイチョウの季節は印象的で、なにより素敵で大切なときだと考えます。
そんなときに見るみんなの表情はやっぱりどこか楽しげで、ワインとワンダーさん、二人の物語を鮮やかにしていく時間でしたね。
少しでも多く会い、そしてウォンバット達のことを想うこと、今までもこれからもそれしか出来ない私達、お客さんなので、出来る限り想ってあげたいと思っています。
Commented by bon_soir at 2017-12-08 15:28
senさん、コメントありがとうございます。
ワンダーさんは本当に愛されたいましたね。お客さん達、飼育係さん達、そして何よりワインに一番。
残されたワインのことが心配ですが、隣のマル、そしてフクやみんながいてくれて良かったと思いました。
ワンダーさんとの日々で積み重ねたことをワインはみんなに伝えてくれていることと思います。
ワインは優しいなと、顔を見るといつも思います。
ワインとワンダー、二人だったからこそ、ここまで深い愛情を貰えたんだと思います。
やっぱりこれからも出来るだけ返していってあげたいですね。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by bon_soir | 2017-12-05 20:52 | 五月山動物園 | Comments(10)