多摩動物公園で暮らすタスマニアデビル、マルジューナとメイディーナ
二人一緒の春が来て、二人一緒に探し出す
春らしいこと、春らしい物
二人一緒に探し出す
南半球の夜空から、北半球、日本の夜空に輝く星へとなった
マルジューナ
“マルジューナ”
それは星のこと
澄んだ夜空、静かにまたたく星のように───儚く健気に、そっと暮らすタスマニアデビル
それがマルジューナ
『あなたの名前は星───』
「私はそう教えられた」
「戸惑った。私が星でメイディーナが影だなんて、そんなことあるのかと、私は戸惑った」
「ずっと走り回るメイディーナの方が私よりもずっと光ってるって思っていたから」
「いつのことだったか、私はメイディーナそうささやいた」
「メイディーナは少し怒って私に言った」
『自分で気がついていないだけ───マルジューナはいつだって輝いてる、私の傍でそっと優しく輝いている』
「メイディーナは言う───夜空にある星、はっきり明るい星ばかりじゃないよ、と」
傍にいるから温かい
傍で言うからここちいい
───いつだって二人は傍に、傍にいるから星と影
はっきり輝く星の傍に、はっきりとした影が伸び
ぼんやり輝く星の傍に、ぼんやり優しい影が浮かぶ
どっちか片っぽづつ───
そんなことは無い
マルジューナとメイディーナ
二人も一緒、星と影
メイディーナとマルジューナ
ずっと一緒、傍で暮らす
輝き、照らされ、二人一緒の星と影
どっちか片っぽ
それは無い、きっと無い
タスマニアから日本へ、二人一緒にやって来た
マルジューナとメイディーナ
二人は一緒にやって来た
同じ瞬間、同じ時間
同じ日、同じ月、同じ年
同じ季節、同じ春───
マルジューナとメイディーナ
星と影はいつも一緒
「強く風追い越して、私達は駆けていた」
「走って跳んで、私達は笑ってた」
「ねえメイディーナ。春が来たね」
「ねえメイディーナ。かわいいお花を探しにいこうよ」
「夢の中と同じように、二人で駆けて可愛いもの探しに行こうよ」
「早く見つけて、二人で笑おうよ」
「早くしないと苦手な夏が来ちゃうから、ね」