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ヒロキのがんばった1日

梅雨の晴れ間、朝からお日様がめいっぱいヒロキのお庭を照らします。
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この日は月に1度のアニマルガイドの日。今月はヒロキが、ウォンバットのヒロキがマンスリーアニマルに選ばれました。
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ヒロキは朝からトンネルの中です。のんびりといつも通りのトンネルでのおやすみ。ちらほらとオセアニア区にもお客さんがあらわれてはいたけど、静かな静かな朝でした。
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どんどんどんどんお日さまは高くなっていくにつれ、ヒロキも暑くなってきたのでしょうか。トンネルを出ていつもの壁際で穴を掘り始めます。
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どんどんどん掘っていくヒロキ。
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そしてどんどんどんどんヒロキに会いにくるお客さんが増えてきて、穏やかに、それでもうきうきとした空気がオセアニア区に流れ始めていました。
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ヒロキは、この日のガイドのことがわかっているのかもしれないね。
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ウォンバットは木に登ることはできないけれど、穴を掘ることができる。ヒロキのいつものことばです。
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初めてウォンバットに会いにきてくれた人たち、こんにちは。
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初めてぼくに会いにきてくれた人たち、こんにちは。
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いつも会いにきてくれるあなたにも、こんにちは。
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「ぼくはウォンバットのヒロキです。今日は見にきてくれてありがとう」
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あいさつもそこそこ、ヒロキはすぐに穴に戻ってしまいます。たくさんのお客さんの前で、しょぼい穴では困るから。ヒロキは穴掘りが大好きなウォンバットなのです。
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一体何が始まるんだろう。ヒロキは、一所懸命にがんばる様子を見せてくれます。
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ちょっと不安になってきたようなそぶり。壁ぎわでは気がつかなかったけれど、いつの間にか真夏のようなひざしが照りつけています。
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朝は涼しいこの場所も、この時間ではだいぶ暑くなってきます。
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今度はどこで何をしようかな。だけれどだんだん眠くなってきたヒロキ。少しばかり朝からがんばりすぎたかもしれません。
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そろそろ時間だよ、ヒロキ。合図のように飼育員さんが草を持ってきてくれました。だけどちょっと飼育員さんを見ただけ……
おなかはすいているのかどうなのかな。ヒロキはみんながいる前ではすぐに飼育員さんに寄っていくことは、あまり見かけません。
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この日のようにお客さんがたくさんいても、いなくても。
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もっとみんなの近くに行かなくちゃ。みんな僕に会いにきてくれたんだから。飼育員のお姉さんが僕の話をしてくれる。小さな僕のことをお姉さんはたくさん調べてくれたんだ。
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何となく落ち着かないまま、ヒロキはまさかのトンネルにまで入りました。でもちょっとここは暑すぎたね、ヒロキ。
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飼育員さんがやってきて、ガイドが始まります。ヒロキも 端でもなくすみっこでもない、みんなが見えるこの場所で大好きな飼育員さんのお話を聞くことにしたようです。
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いつも通りの飼育員さんの声が聞こえてきて いつも通りふぅふぅと小さく息をしながら、夢の入り口へヒロキは進みます。
ヒロキがよこはまにやってきた頃 とてもとても小さかったあの頃に 飼育員さんは私たちを連れていってくれました。
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ー ヒロキのガイドは、懐かしいおはなしから始まりました ー
(私がざっくりとまとめたおはなしなので、この通りに飼育員さんのおはなしが進んだわけではありません)

ヒロキは 1987年3月12日に 金沢動物園のオセアニア区の開園の時にやってきました。
推定1歳半のヒロキ、体重は7kg でした。

オーストラリアの保護区で、おかあさんとはぐれてしまい1頭でいたところを保護されて、メルボルン動物園で人工哺育で育った個体です。そのため詳しいお誕生日はわかっていません。推定で、1985年10月ということになっています。
人工哺育で育ったために、小さかった頃のヒロキはとても人慣れしていたウォンバットだったそうです。

ヒロキはスーティちゃんと一緒に横浜へやってきました。スーティはヒロキより小さな5kgの1歳の女の子。来日したときから2頭で生活をしており、きょうだいのようにじゃれあいながら飼育員のあとをくっついて歩く、人なつこいウォンバットでした。

しかし大人になるにつれて自己主張がはげしくなって、飼育員さんとたたかうようになります。それはなぜかというと、おうちに帰りたくないから。10代後半から20代前半ころは、盾をもった男性の飼育員さんと押しあいながらおうちへ帰っていたヒロキ。そんな様子でヒロキは取材を受けたこともあったようです。

ヒロキは現在29歳。体重は33kg。日本のウォンバットの中でいちばんの長生きです。(動物園での)平均寿命は20--25歳なので、とうにその年をこえて生きています。お誕生日が定かでないので何ともいえませんが、もしかすると世界でいちばん長生きなウォンバットかもしれません。

最近のヒロキは生活のリズムも調子がよく、たいていは16:00--17:30 にはひとりで帰ってきますが、たまに帰ってこない時もあります。ただ昔のようにたたかいながら帰宅することはしません。好きなごはんを見せながら、ヒロキが帰りたくなりまで、ひたすら待ち続けます。

ヒロキは30 -- 50cmほどの深さになる穴を掘ります。これがヒロキのストレスの解消方法。それを飼育員さんがうめもどす毎日です。
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飼育員さんのおはなしが終わり、たくさんのお客さんたちも他の動物たちに会いに出かけていった様子。普段の静かなヒロキのお庭に戻りました。
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ヒロキは夢の中。楽しくねむるいつも通りのヒロキ。2015年6月20日 29歳のヒロキ。
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28年前のお庭はどんな様子だったのでしょう。赤くてかわいいドロップのようなヤマモモの実。当時はヒロキと同じくらい小さくかわいい木だったはずだね、ヒロキ。
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小さな耳がピンとしました。何か聞こえたのでしょうか?
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キウイの木から、ぱさぱさっとかわいい音をたててすずめたちがやってきます。今日も誰かの声を運んできてくれたかな。
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今日もヒロキはがんばりました。本当にがんばりました。
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おなかもすいてたし、ちょっとたくさんのお客さんにびっくりしたけどがんばりました。空の上のみんなに伝えてね。すずめたち。
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今日もたくさんのお客さんたちが笑顔で帰ってくれるかな。ヒロキは思います。
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それは動物園でくらすどうぶつたち みんなとの約束。金沢動物園のどうぶつたち、小さなヒロキを送り出してくれたメルボルン動物園のどうぶつたちとの約束。
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笑顔といっても笑い者になるわけじゃありません。
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みんながほっとして心がほどけますように。やさしくなれますように。そう思いながら、ヒロキはずっとずっとこの道を歩きます。昔も今もこれからも。
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どうかヒロキも毎日を笑顔で健康で、誰にも邪魔されず思うままに暮らせますように。そんな気持ちでヒロキを見守ってあげられたらと思います。
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ヒロキ、これからもどうぞよろしくお願いします。




Commented by pecopecopekico at 2015-06-24 17:26
ここに来るまでは、ほんとにほんとに、ウォンバットがこんなに可愛らしいものとは知らなかった。
お写真を拝見してるだけで、ワタシの目まで
ヒロキさんのようにトロ~ンととろけちゃいそう(^。^)
Commented by bon_soir at 2015-06-24 23:59
pekicoさん こんばんは。コメントありがとうございます。
ウォンバットのかわいらしさに気づいていただけてとても嬉しいです。
本当は実物に会っていただけたら、さらにさらにヒロキの持つ独特の空気を感じていただけると思います。
もうそれは何年ヒロキの元に通い続けても、飽きることなく
優しい気持ちにさせてくれます。
他のどうぶつでも同じような気持ちにはなるのですが、ヒロキの包容力は特別な気がします。
本当に不思議な彼です。
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by bon_soir | 2015-06-24 00:01 | 金沢動物園 | Comments(2)