それはオグロワラビーさんたちの金沢動物園での展示終了のお知らせでした。
大好きなオセアニア区のとっても素敵なお庭で暮らしていた
ちょっと臆病で恥ずかしがりやさんたち。
動物園のどうぶつたちは、それぞれ動物たちの時間の流れを持っているけれど
金沢動物園のワラビーさんの時間は、とりわけゆったりのんびりと流れていきます。
春夏あきふゆ、美しく移り変わるお庭の緑やおひさまに合わせて過ごしている姿を、のんびりと眺めるのが大好きでした。
もちろん他の動物園のワラビーたちを見るのも楽しいけれど
この金沢動物園の素敵なお庭で気持ちよさそうに過ごす彼らが大好きでした。
野毛山動物園とズーラシアへ、分散して引越していった彼ら。
格別みんな仲良しといった群れではなかったけれど、離ればなれになって寂しくはなかったかな。
よそものとして攻められて小さくなってたら……いろいろな勝手な私の思いがよぎります。
ふたつともすぐに会いに行ける動物園なのに、もう会えないくらいにとても遠くに行ってしまったような気がするのは
やっぱりこの美しいお庭での彼らの姿を見ることができないからなのでしょう。
そしてこの前の日ようび、金沢動物園へ久しぶりに行ってきました。
整備中のサインだけがおいてある、彼らのいない庭。
サインがなければ、きっと岩陰に彼らを探してしまいそうになるくらい、いつも通りのお庭でした。
オセアニア区と仲間たちはいつも通り。
にぎやかな笑い声に包まれているおとなりのカンガルーさんの横で、静かにひっそりとしているのも変わりません。
フェンス越しのヒクイドリのナミヘイ。
ひだまりに集まったカンガルーの子どもたち。
相変わらずおさまりがよくなくて、おっこちそうなコアラのバニラ。
そしてトンネルでおひるねしていたヒロキ。だいすきなヒロキ。
夏のくたっとお休み姿から一変して、とても元気に過ごしていました。
鼻ノックの音もきこえないくらい、バックヤードではワライカワセミさんたちのにぎやかなおしゃべりが聞こえてきます。
オセアニア区のみんなが、ワラビーのいなくなった寂しさを埋めているようにも、がんばれと応援しているようにも見えました。
大切なオセアニア区の仲間たち。金沢動物園のワラビーさんたちにはこんなに素敵な仲間たちがいます。
他園のワラビーさんたちには悪いけれど、こんなにも心強い仲間が金沢動物園のワラビーにはついています。
誇らしく勇敢に、そしてのんびりと金沢動物園で過ごした時間と同じように、過ごせますように。
そして金沢動物園以上にみんなから愛されますように。また会いに行くからね。