タグ:ホッキョクグマ ( 95 ) タグの人気記事
思い出すのは雪が降った日
ズーラシアで暮らすホッキョクグマ、ジャンブイ
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閉園時間が近づく動物園
夏至は過ぎてもまだまだ陽は高く、そして本当に暑い
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ジャンブイ、そっと佇む
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暑そうにただそっと
そっと佇み動かない
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暑さをこらえて夏を行く
何度も過ごした夏を行く
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「いつかまた、降るのかな」
ジャンブイは思い出す、そしてまた夢に見る
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雪が降った日のこと
思い出してまた夢に見る
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「綺麗だったな、気持ちよかったな────寒くて冷たくて、楽しかったな」
ジャンブイは年に何度か、そんな雪の日思い出す
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今、見上げれば日除け
あの日、見上げれば白い空から白い雪
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「そのうち涼しくなるのさ、そのうちまた寒くなるのさ」
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「また雪は降るのさ。僕とツヨシの所へと、また雪は降るのさ」
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「今は緑輝くアラースの谷をまた白く染め、僕とツヨシをお散歩に誘うのさ」
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「僕はまた思い出す、僕とツヨシはまた思い出す」
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「あの日のこと、雪の積もる夜に散歩した日を思い出し、僕等二人そっと笑うのさ」
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「そのうち涼しくなるのさ、そのうちまた寒くなるのさ」
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「また雪は降るのさ。僕とツヨシの所へと、また雪は降るのさ」
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「夏も悪くないけどね。僕達はホッキョクグマだから、ね」
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閉園近づく動物園
あと少しだけれど眠ったのか、いつもの場所でうつ伏せジャンブイ
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上にミスト
がんばれミスト
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夏を行く、夏を越える
ホッキョクグマ、ジャンブイ
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また雪は降る
ジャンブイとツヨシの所へ
動物達の所へ
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夏を越えていく動物達の所へと、冬になれば雪は降る
きっと降る



   

by bon_soir | 2017-07-20 12:00 | ズーラシア | Comments(2)
ツヨシ
ズーラシアで暮らすホッキョクグマ、ツヨシ
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横浜で2回目の夏
春の終わり、夏の始まり
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少し浮つく恋の春、そっと自然に終わりを告げて
次に来るのはただ暑い夏
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変に現実的で、「暑い暑い」とただただ感じる、そんな夏
横浜の暑い夏
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それでも夢が素敵なままでいるわけは、過ぎた春が本当に夢のようだったから
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少し緊張もしたけれど、恋する春を歩いて優しさ触れたから
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ホッキョクグマの輝く春を二人で過ごし、色々話して一緒に笑って
幸せな気持ちになったから
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あの春は終わってしまっても、あの日の夢はまだ続く
きっと続いて暑くて静かな夏にそっと笑顔を作っていく
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そんな日
そんな夏の始まり
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雨の季節を通り抜け、これから始まる暑い夏へ
そんな日
そんな夏の始まり
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ツヨシ、2回目の夏
横浜での2回目の夏
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夏の雲はどんな形、夏の空はどんな色
今ジャンブイはどんな顔
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ジャンブイきっといつもの笑顔
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あの春の日、二人は一緒に思い出し
二人は一緒に思いを馳せて
今、二人は同じ笑顔
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次の季節はどんな季節
夏、秋、冬
次来る季節はどんな季節
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次来る春はどんな春
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美味しい魚を食べて時間は過ぎていく
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いつも夢見て、時間は過ぎて
ツヨシの姿に夢を見る
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夏になる、そっとなる
じりじり暑い夏になる
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全ては途中
長く続く幸せに、全ては途中
幸せを眺めることに終わりは無いからいつも途中
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幸せの形
少しずつ変わるだけ、少しずつ変わっていくだけ
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かわいいツヨシ、優しいジャンブイ
白いホッキョクグマ
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青い空に白いクマ
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夏の始まり
秋への準備
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ツヨシの夏
横浜での2回目の夏
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by bon_soir | 2017-06-19 14:32 | ズーラシア | Comments(0)
特別な日、特別な旅、特別な二人
上野動物園で暮らすホッキョクグマ、イコロとデア

このお話しは前回→☆☆☆☆☆の続きになります
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北極点から眺める北極星、それは僕の頭の上でそっと瞬き輝いていた
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同じ時刻、きっと大勢のホッキョクグマ達が世界中から眺めていたことだろう
同じ時刻、北への目印にして旅をしている仲間たちがいたのかもしれない
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そんな北極星の隣で僕を見守ってくれていたユキオさんとレイコさんが輝かせるあの星は、さらにゆっくりと瞬き
ときには強く、時には優しく光り、まだ大人になりきれない僕に話しかけてくれているようだった
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「あの光り方、あの感じ。デアも眺めていたのかな───」

帰りのモノレールの中、北極点への旅を思い出していた僕
冬の始まり、少し冷えてきそうな窓の外、星空見つめ、僕はふと呟く
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───毎日窓の外を眺めるデアの顔を綺麗な星空に重ね、ふと、そう呟いていた
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「そろそろ動物園に着きますね」
運転手の猿はいつもの小さな声だ
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その声は少しぶっきらぼうにも感じるけど不思議と聞き取りやすく、何故か優しく僕の心をそっと撫でる
見下ろせば街の灯───今回の旅はもう少しで終わりになる

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「デアはまだ眠っているのかな」と、またデアのことを考えた
思えば最初から最後まで僕の頭の中にはデアの顔があった

出発する時、北極の氷の大地に立った時、北極点を目指し歩いている間一人道に迷った時
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そして北極星を、ユキオさんとレイコさんの星を見上げている時───
ずっと、ずっとデアのことを思い浮かべていた
───僕にとってのデアは上野動物園で暮らす理由、その全てになっていた
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右側の窓の向こうにエミューの姿が見えた
「ただいま」と、小さく呟いてみた
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モノレールは東園駅へと静かに吸い込まれていく
「到着です」と、運転手の猿は停まったモノレールのドアを静かに開け、僕の方に振り返る
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「楽しかった、素晴らしかったよ。そして色々なことを考えた」
僕がそう言うと運転手の猿は軽く頷き、そしていつもより少しだけ大きな声で言った
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「また来なさい。特別だと思った日、大切だと思った瞬間、いつだって私は大好きなモノレールを走らせます。動物達を乗せて走らせるモノレール、それはとても素敵なものです。時には悲しい時、寂しい時もありますけどね」
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「そうだね、きっとまた来るよ」
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僕がそう言うと運転手の猿は一度大きく頷いて、すぐに猿山に向かって走り出した
その背中は小さいけれど暖かい
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「ああ、そうだイコロ君。その時はまたフクロウから切符を貰ってくださいね」
と振り返って最後に一言
「あぁ、わかってる。今日はありがとう」と、僕が言うと、柵を軽く飛び越え運転手の猿は猿山へ帰っていった
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───僕も早く帰ろう
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明るくなり始めた東の空、気の早い小鳥の賑やかな声が遠くの方から聞こえていた
北極圏ほどじゃないけれど、やっぱり少し冷えてる夜明けの時間
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なんだか急に眠くなってきた僕は東園駅からホッキョクグマの家に向かって少し急いで歩く
空を見上げて大きく息を吸った
朝日の明るさで星はもう見えない、朝の月がぼんやり大きく街の建物のすぐ上にただ浮かんでいた
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『キッ』と少し音がするドアを開けてそっと部屋に入る
デアの部屋の方へ視線を静かに動かすと、目を覚ましていたデアは僕のことをじっと見つめている
入ってくる所から全部見られていたのかもしれない
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二人目を合わせて何秒間───すっ、とデアの姿は見えなくなる
どうやら床で横になったようだ
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壁を背にして座った僕はふと部屋の天井を見つめた
するとその天井は急にどこまでも広がり僕を囲む
無機質な色、風合いは青い夜空に変わり、北極点から見上げた星空、北極星が真上に輝くあの星空が部屋一面に広がった
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僕の身体は宙に浮き、部屋の星空へと吸い込まれていく
「夢への入り口───今日はここ、こんなふうなんだ」
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不思議な夢
不思議で楽しいホッキョクグマの夢
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ホッキョクグマの夢
大勢のホッキョクグマが北極点へと歩く夢
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北極点の夢
自転の芯棒そびえ立つ、あの北極点にホッキョクグマが集まり笑う
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そんな夢
なかなか覚めないそんな夢
深い眠りの僕が今、見ている夢はそんな夢───
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広がる青空、冬の空
アシカの声が大きく響く
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夢から覚めても僕はぼんやり、頭の中にはあの星空とデアのことばかり
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大勢のお客さん達が今日も僕等に会いに来ている
入れ代わり立ち代わり、すぐに過ぎていく人、長く見ている人
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一人のような人、二人で来ている人、大勢で来ている人
みんなそれぞれだ
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そんなお客さん達を眺めていて、僕はふと思った
───昨日一日、僕は動物園にいなかったはずなのに、なんでみんなは何も思ってないんだろう
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そういえば飼育係さんに会った時もみんないつもどおり、普通の朝だ
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あの時確かに運転手の猿は言っていた

『動物がモノレールに乗っていくこと、それは飼育係さんも知らない内緒のこと───』

そういうことなんだと
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聞いたときは深く考えなかったけど、こうして後から考えるととても不思議だ
「まあいいか」と、空を見上げ呟いた
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あの星空、輝く北極星の素晴らしさと比べたら、そんなことはちっぽけなこと
そう、ちっぽけだ
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冬の夕暮れ、それは凄く駆け足
動物園に閉園の時間が来るより早く陽は落ちて、いつのまにか増えてきた雲が空一面を覆ったこともあってか、辺りはもう薄暗い
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部屋へ戻るドアがいつものようにゆっくり開いて閉園の時間だといつものように僕に言う
動物園は今日一日何もなく、みんなただ穏やかに過ごせたようだ
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部屋に戻り夜を待つ
真っ暗になる少し前からデアはいつものように窓の外、いつもの夜空を眺め始める
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北極点への旅、あの素晴らしい光景のことをデアに話したかったけど、夜空に星を探し見つめるデアに僕は話しかけることが出来ない
星にユキオさんの姿を重ね、一緒に過ごしたその日々を想う時間───デアにとってきっと何より大切なその時間
───邪魔することなんて僕には出来ない
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長い時間、夜空を見つめるデア
「君はいつもそうだ───」

デアの心には星がはっきり見えているのか───今日も夜空は曇り空、目では見えないはずなのに
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気がつけばもう何日も曇りの日が続いていた
すっきりと青く高い空、澄んだ空気、綺麗に見えるようになった冬の星座も眺めることが出来ない
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ある日のこと
朝が来て目を覚ましたデアは空を見上げため息一つ、今日も肩を落としていた
今夜もこのまま曇り空───さみしげに思うこと、それはそういうことなんだろう
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僕等にとって気持ちがいい季節、冬はもう始まっているはずだった
雲の向こう、空はきっと青いんだ
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雲の向こう、夜空の星はとても綺麗なはずなんだ───
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デアが夜空を眺める時間はだんだんと短くなっていった
やっぱりどんなに想像力があったとしても、星の無い夜空は寂しいんだろう
雲の向こうにユキオさんとレイコさんが輝かせるあの星をいくら思い描いたとしても、きっと本当の輝きには勝てやしない
雲の向こうで輝いているはずなのに目で見ることが出来ないということ───きっとなにより寂しいんだろう
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窓から離れたデアの背中、悲しげなその背中を見た僕に不思議な力が湧いた───初めて「デア」と声をかけたあの日のように
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「デア」
この一言がまたやっと声に出た
初めて声をかけたあの日、その時よりも力強く大きな声で、僕はデアを呼び止めた
北極点から見上げた北極星、あの輝きが僕の心に力をくれる
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振り返り僕を見たデアの顔、涙に濡れてる綺麗な瞳
不思議な力に後追され僕の想いは声になり、驚くほどに次から次へと言葉になった
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「デア、この前僕は旅をした。上野動物園のモノレールで行く、動物達の素敵な旅だ」

「旅?」
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「そう、旅だよ。あまり長い旅じゃないけれど、僕は遠くへ行ったんだ。どこだと思う?僕が目指したのは北極点さ。全ての北の終わり、北が集まるただ一つの場所、それが北極点なんだ。北極点には何があると思う?僕も知らないことだったけど、北極点には地球が回転するために必要な芯棒が立っている。芯棒は地球をつらぬき、その端っこがはみ出して、高くそびえ立って見えるんだ。それは本当に大きな大きな芯棒なんだ」

「北極点───」
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「デア、僕は北極星が見たかったんだ。そう、僕が声をかけたあの時、君が毎日眺めていると言っていた星、北極星。この世界で一番大きく見えるかも知れない場所から北極星が見たかったんだ。モノレールの運転手さんから聞いた北の果て、それが北極点。世界で北極星に一番近いかもしれない場所、それが北極点。そこまで行ってデアの北極星、デアが眺める北極星を僕は探し、眺めてみたかったんだ」

「私の北極星───」
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「デアと同じ星を眺めたい───違うな、色々な意味で同じ風景を見たい、って僕の気持ち───少しはわかってくれるかい?」

「わかるよ、伝わるよ。イコロさんは今、とっても真剣だもの───」
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『キッ』と少し音がするドアを開けて部屋の外へ出た二人
イコロはデアを連れ、モノレールの東園駅へと歩き出しました
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それは曇ったままの重苦しい空の下、風一つ無い静かな夜のこと
饒舌だったさっきまでとは違い、イコロは少し緊張していて何故かやや早足
横を歩いていたはずなのに、いつの間にか歩くはデアの数歩前
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後ろで聞こえる足音、静かな吐息、微かに感じられるその体温
それは今まで感じたことの無い存在感となり、イコロをさらに緊張させていきました
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「大丈夫、僕は一度経験している。大丈夫、前と同じように星とホッキョクグマ達が僕等を導いてくれる───」
デアに聞こえないように小さく呟いたイコロ
歩いたまま一度振り向くと、ただイコロの背中を見つめ後を一生懸命についてくるデアと目が合いました
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「あっ」
つい声が出てしまったイコロは少し照れ、前に向き直すともうすぐそこにモノレールの駅が見えてきていました
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イコロは一度大きく頷いて、もう一度小さく呟きました
「大丈夫、きっと大丈夫───僕はデアを連れて行く。北極星を、デアの北極星を大切な場所で二人一緒に見上げるんだ」
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「止まったままのデアの時間をまた動かすんだ───」
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「フクロウさん、いますか?」
駅に着くとまず最初に券売機の前に立ち、イコロはフクロウの姿を探しました
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「あっ」
フクロウを呼んで数秒、暗闇に大きな丸い目が浮かんでいることをデアは見つけ、「ねえ、あそこ───」とイコロにそっと声をかけました
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二人に気がついたフクロウはパタパタと飛び、券売機のすぐ上、イコロとデア、今度は二人の前に止まりました

「良かった、今日もここにいてくれたんだね」と、イコロは一人小さな笑顔
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「北極点、北極点までの切符をください。今日は二枚、僕とデアのぶんです。切符を二枚ください」

イコロから行き先を聞き頷いたフクロウは券売機のボタンをそっと押しました
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すっと出てきた二枚の切符、それは前と同じように『北極点』と書いてある小さな切符
「デア、これを持って」と、イコロは切符を一枚デアに渡し、フクロウにお礼をしました
つられてデアもお礼をし、開いているドアに向かって思わず走り出したイコロの背中に可愛らしさを感じ、「待って───」と、後を追いかけます

デアは笑っていました
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静かに優しく、女の子らしく、そして可愛らしく
イコロと上野動物園のモノレールを見つめ、デアは笑っていました
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「君はまたすぐに来ると思っていました」
イコロがモノレールの中を覗くと、運転手の猿の小さな声がしました
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運転席に座ったままイコロに振り向くと、後ろにいるデアのことに気がついた運転手の猿
「デア、よく来ましたね」と、にっこりとした笑顔を浮かべ、イコロを見つめて頷きました
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「運転手さん、これ。また今日もよろしくお願いしたいんだ。ほら、デアも切符を渡すんだ」
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「『北極点』ですか。今日はデアも一緒の旅。なにより素敵な旅になりそうですね」
二人から切符を受け取った運転手の猿は受け取った切符を大切そうに袋に入れ、モノレールを動かす準備を丁寧に始めました
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「危ないですからね。さ、二人共、早く座ってください───」
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静かに上野動物園のモノレールは走り出した
僕を乗せて、デアを乗せて
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今日もエミューが見送ってくれている
「行ってくるよ」
僕は言う、声にはしないで心の中で
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上野動物園のモノレールはスピードを上げ、高く昇っていった
僕等の目には街の灯り、色とりどりの街の灯り
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デアはだんだん離れる街の灯りを眺めて微笑む
小さく一言「綺麗」と呟き微笑む
そう、それでいい───運転手の猿はうるさいのは嫌いなんだと言っていた
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動物園から大きな空へ
それが上野動物園のモノレール
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静かに聞こえるモーターの音
雲を抜けて星空へ、雲の隙間の青空走って、いつのまにか切符に書かれた目指す場所
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それが上野動物園のモノレール
それが動物達が内緒で乗ってる上野動物園のモノレール

運転手は猿だ───
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「デア」
街の灯りが見えなくなって、僕はそっと声をかけた
デアのお返事は無い
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見ればデアは眠っていた
子グマのように無邪気な顔で、お母さんのように優しい顔で
デアはモノレールにゆっくり揺られ、一人そっと眠っていた
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窓の向こう、夜空に浮かんだデアの顔
今はこうして、今日はこうして傍で微笑む
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どんな夢を見てるんだい
誰の夢を見てるんだい
夢に北極星はみえるかい
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僕も眠るよ
君の傍で僕も眠るよ───
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「イコロ君、もう少しです。北極点の近くまで来ましたよ」
運転手の猿が少しだけ大きな声で僕を呼ぶ
前と一緒だ
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身体を起こして覗いて見下ろす窓の外
これから歩く氷の大地
北極圏に僕等は着いた

───僕等、北極点まであと少し
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「本当にまたここでいいんですか?デアもいるのに───」
モノレールを地面に降ろし、ドアを開けた運転手の猿が訊いてくる
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「大丈夫、道ならわかるよ。この前歩いて思ったんだ。北極点はただ見ればいいってわけじゃない。この気持ち、どう説明すればいいのかわからないけどね───」
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運転手の猿とそんな話をしているうちにデアはモノレールを降り、夜空を見上げた

「凄い───」

そう一言呟き、あたり一面の星の中にいつも眺める星座を探す
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動物園から眺める夜空の何倍の星が輝いて見えるんだろう、星座を探すのもままならない
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でも僕にはわかる、北極星の光る場所、ユキオさんとレイコさんの星が光る場所
一度見上げた僕にはわかる

「デア、大切なものは自分で見つけるんだ。迷ったら僕が教える、僕が導く───そう決めたんだ」
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「私はここで待っています。二人で好きなだけ旅を楽しんできてください。二人にもし何かあれば私はわかります。その時はイコロ君達を探しに行くことにしましょう」

運転手の猿はモノレールを走らせることが大好きだと言っていた
表情はあまり変わらないけれど、楽しそうにしていることだけはわかる
そしてこの場所、僕とデア、二人のホッキョクグマがここにいるということ。それを大好きだったって言うユキオさんとレイコさんとの旅に重ね、その日のことを思い出しているんだろう

まだ全然ユキオさん達の歴史には足らないけれど、僕とデアもホッキョクグマだ
───上野動物園のホッキョクグマだ
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「明日の動物園はどうなるの? 私達がいないと飼育係さんやお客さん達がびっくりしちゃう」
デアは落ちついた小さな声で運転手の猿に訊いた
前回の旅で僕は気にも止めなかったこと
デアはしっかり者だ
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「一日と一日の間に“動物達だけの特別な一日”を増やしておくんです。飼育係さん達やお客さん達にはその一日は気がつきません。そうすれば旅を思う存分楽しむことができると思います。時間ばかり気にしていたら旅が素敵なものにはなりませんからね。みんな最初は不思議に思うかもしれませんね。でも私にはそれが出来るんです」
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この前もそうだったんだ、と僕は感心した。
不思議なことというのは必ずある、どこにでもある
そうだ、運転手の猿は凄いんだ───ちっぽけなんかじゃない
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「じゃあ行ってくるよ」
僕が言うと、「ああ、ちょっと待ってイコロ君、デア」と、僕等を呼び止める
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「さっきイコロ君は『道ならわかる』と言いましたね。そう、一度歩いたイコロ君なら道が確かにわかるはずだと思います。行き方がわかるなら後は大事なのがその途中、“旅の途中”が大事になるんです。ただ見ればいいってわけじゃないとも言っていたから安心していますけど、今一度イコロ君に教えましょう。旅に大切なことというのはゴールだけじゃありません。旅の途中にたくさんあるんです。道がわかるなら後は途中、何を見るか、何を聞くか、何に触れるのか───そして誰と何を一緒に感じるか」

運転手の猿は少し大きな声で話す
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「誰と何を一緒に感じるか、旅が二人以上の時、誰かと知り合う時───そんな時には大切なことです」
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僕は歩いて、デアの前を
僕は歩いて、北極星を正面に
僕は歩いて、北に向かい
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僕等は歩く、歩いてく
僕等二人、北極点を目指して歩く
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夜空を埋めるたくさんの星、どこを見ても丸い星空
振り返るたびに流れ星、す、す、すーっと流れ星
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北極点へ向かう空、向こうに見える星の輝き
なんでだろう、何故か本当に懐かしい
なんでだろう、何故か本当に暖かい
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なんでだろう、背中がいつもよりも大きく見える
「わかるよ、また伝わるよ。イコロさんは今、とっても真剣でとっても優しいもの───」
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「芯棒が見えてきた───あともう少しだ」
心の中でふと呟く
もうきっとデアも気がついていることだろう、遠くに地球が自転するための芯棒が見えてきた
空を見上げなくなったデア、何も言わず北極点を見つめているんだと思っていた
でもそれは少し違っていた
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芯棒が近づいてくるたびにデアの目には涙が溜まってきている
そしてそれは一歩一歩と歩くたびに、ぽた、ぽた、と落ち始めていた
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芯棒まで本当にあと少し、というところで僕も気がついた
「誰だろう───」
芯棒の下からこっちを眺めているような光が見える
───優しい光のホッキョクグマ
「あれはきっと、ユキオさんとレイコさんだ───」
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僕等は北極点に着いた
自転するための芯棒もユキオさんとレイコさんも目の前だ
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「……はい、元気です。元気で変わらずやっている、そんなつもりです」
デアはユキオさんと話しているようだった。
涙があふれた瞳をたくさんの星で輝かせ、嬉しそうに話を続けた

なぜか僕にはユキオさんの声が聞こえない
でもそれでもいいと思った
悲しく寂しいお別れで涙をこぼし続けたデア、そのデアが今こんなに嬉しそうに涙をこぼしてる
僕にはそれだけで十分だ
北極点まで二人で来れたこと、不思議なことでデアが笑顔を見せてくれたこと
僕にはそれだけで十分だ
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見上げた空には北極星
僕とデア、そしてユキオさんとレイコさんの上で輝く北極星
僕等を誘い、導き続けるそんな星
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北の果て
寒くないんだ、冷たくないんだ

北極点は温かいんだ
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「……大丈夫です。私にはイコロさんがいます。だからレイコさんと二人、また幸せにのんびりとしていてください。いつも見守ってくれているのもちゃんと感じています。ユキオさん、レイコさん。ありがとう、いつもありがとう───今日はさようなら」

ユキオさんとデア、二人の短い邂逅は終わった
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ユキオさんとレイコさん、二人は手を繋いだ
僕は二人にお辞儀をした───その時だ
「デアをよろしく、イコロ君。きっと君なら大丈夫だ。明日も明後日も───そう、何年後もね」
───僕にも聞こえた
優しくて大きなホッキョクグマ、ユキオさんの声が僕にも聞こえたんだ
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遥か空へ、あの星空へ
二人のホッキョクグマはあの星空へ

───デアが眺め続けた、あの星へ
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「あ、あの星は!───」
デアの驚きは声になる
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ユキオさん達が帰っていった星が強く輝いた
デアが見つめ続けてきた星“デアの北極星”が本当の北極星の隣で輝いているということにデアは気がついた
デアの瞳からたくさんの涙がもう一度溢れ出していた
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「デア、また来よう。ここに、北極点にさ。何度でも来ようよ。きっとここから眺める星が一番綺麗だよ」

「駄目だよ、ここには特別な日にだけ来よう。この先きっとやって来る、特別な日にまた来よう。ここは特別な場所だから」

「特別な日? 特別な日ってどんな日だい?」

「もちろん今日みたいな日」

「今日は特別な日になったのかい?」

「イコロさん、あなたは特別だって感じない?」

「感じるよ、感じるよデア───今日はとびきり特別さ」

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僕等の所にやって来る
きっとまた特別な日がやって来る
上野動物園で二人一緒に暮らしていれば必ず特別な日がやって来る
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今日は始まり、その始まり、まだまだ始まり
これからこれから、まだまだこれから
僕は明日を信じてる
今日を明日を明後日を、この先ずっと何年も───
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僕等は未来を信じてる
僕等はもっと笑えるはずさ
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ホッキョクグマの春はその特別、特別なんだ
僕等の春がやって来る
毎年必ず、冬の後にやって来る

特別な気持ちで心がいっぱい、そんな季節

特別な季節さ




      

by bon_soir | 2017-06-15 06:13 | 上野動物園 | Comments(4)
みゆき
王子動物園で暮らすホッキョクグマ、みゆき
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「朝から暑いな」
ふと声に出る頃、みゆきは思い出す
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いつも一緒だったもう一人のホッキョクグマ
いつもの声が聞こえなてこなくなったあの日のことを
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最後の言葉、静かな声にしてくれた優しい言葉を思い出す
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その言葉は誰にも教えたことがない
言葉は伝わり、また先へと伝わって、伝わり続けていく途中───
少しづつ少しづつ、必ず変わっていってしまう
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みゆきはそれが凄く嫌だった
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もう聞くことが出来ない大切な言葉
少しでも変わって伝わること、それが本当に嫌だった
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自分にかけてくれた言葉
心の奥底、大切にとっておいた
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「朝から暑いな」
ふと声に出る頃、みゆきは思い出す
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一緒に暮らしてきたホッキョクグマ、その最後の言葉を思い出す
思い出して涙をこぼす
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ぽろりと一粒
涙をこぼす

お客さんがみゆきを見てる
涙はプールでごまかした
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プールで泣いた
溢れる涙、濡れてごまかし泣き続けた
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大切な言葉、大切な笑顔
涙と一緒に心にしまう
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忘れないように、なくさないように
───またいつでも思い出せるように
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言葉思い出すうち、言葉繰り返すたび
何度も何度もつぶやくたびに、言葉はだんだん歌になる
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リズムに乗せてゆっくりゆらゆら
言葉はだんだん歌になる
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あの言葉はみゆきが歌う歌になる
少し悲しいあの日の風景、空の色
最後の笑顔
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合わせて歌う歌になる
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さみしい時つらい時
いつでも口ずさめるように
最後の言葉、静かな声にしてくれた優しい言葉
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みゆきが歌う歌になる
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歩けば足跡、いつもどおり
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歌のリズム刻むよう
ゆっくりスロー、歩きながら口ずさむ
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いろんなことが形になって、2年経って想いになって
言葉はみゆきの歌になって
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みゆきは一人、口ずさむ
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たまに吹く風、リズムになって葉っぱを揺らし
テンポ合わせて歌にした
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みゆきが聞いたアイスの言葉
みゆきが歌う歌になる
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一人で歌うみゆきの歌
何度も何度も口ずさむ
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「朝から暑いな」
ふと声に出る頃、みゆきはゆっくり歌い出す
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大切な言葉、悲しい歌
涙の笑顔で口ずさむ
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いろんなことが形になって、2年経って大きな想いになって
アイスの言葉、心の言葉───
ホッキョクグマ達そっと癒やす、みゆきが歌う歌になる
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ゆっくりスロー
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つぶやくように
リズムに乗せて
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みゆきが歌う心の歌、口ずさむ
みゆきは一人、口ずさむ






   

by bon_soir | 2017-05-24 08:21 | 王子動物園 | Comments(0)
ツヨシのお気に入り
ズーラシアで暮らすホッキョクグマ、ツヨシ
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遊ぶツヨシのお気に入り
この日はこの小さい方の黒いパイプ
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こうして進む
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けっこう何度も
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楽しいね!
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でも本当のお気に入りはジャンブイ
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勝手に遊べるわけじゃないけれど……

※4/26のことになります



    

by bon_soir | 2017-05-02 12:13 | ズーラシア | Comments(2)
ジャンブイとツヨシ
ズーラシアで暮らすホッキョクグマ、ジャンブイとツヨシ
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ツヨシ、横浜での二回目の春
それは二人一緒に過ごす姿、初めての春
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ぱっと輝く流れ星が交わるように、この刹那、どんなことより特別に
───膨らんだ蕾がそっと咲くように、どこか当たり前のように訪れた二人一緒の春
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二人のホッキョクグマ、時には温かさを越え熱く、時には穏やかに広がる波紋のように静か
短い春に訪れる短い時間
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ホッキョクグマの庭、恋する気持ちが二つ、何度でも何度でも交わればいいと駆け抜ける
そんな二人の輝く季節
それは大切な物語、まだまだ途中の春のこと
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「名前? 私、ツヨシ。本当は男の子の名前なんだよね。少し恥ずかしい───」
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「恥ずかしいことなんてあるもんか。とても素敵な名前だよ───優しくてかわいい名前だよ」
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ツヨシの横浜での暮し、それはそんな話で始まった
一年と少し前、たくさんの花が咲きだしてきた春の始まりのことだ
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ツヨシのこと、まだ名前しか知らない去年の春のこと
あれからどうだ、僕はツヨシのことをもっとたくさん知ることが出来たのか
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全部知ってるなんてことは絶対ない
半分、半分の半分か
まだまだほんとちょっぴりなのか
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───そうだ、僕は今ツヨシのこと、どれだけ知っているんだろう
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追いかける
ツヨシは僕から離れていこうとする
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何故なんだ
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ツヨシが僕を見つめている
なのに他のことに僕は夢中だ
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すれ違う
届かない
見えない
感じない
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きっとツヨシのことを僕がまだ何も知らないからだ
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二人一緒の春は短い
短い春の中、もっともっと短い時間
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そっと追いかけ、そっと待ち続け
すれ違う僕達の春はそっと過ぎていく
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チロちゃん、バリーバさん───そしてツヨシ
みんな違う、誰もみんな違ってる
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二人一緒に過ごすこと
それは簡単なことじゃない
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ツヨシが僕にそっと微笑む
微笑みながら僕を見ている
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春の風、草の匂い
強い陽射しと青い空
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僕はふと思う
いつだってそんな春が好きだった、待ち遠しかった
誰かと一緒の時間、それはとても幸せな時間なんだ
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チロちゃんのことは悲しかったけれどね
あれは春の終わり、夏の始まりの日のこと、か
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守りきれなかったあの日
今でも思い出すよ
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そう、どうすることも出来ない時がある
なんとかなる時もある
明日のことはわからない、一時間先、一分先のことだって本当はわからない
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確かなのは気持ちだけ
今出来るのはその気持で触れるだけ
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ツヨシの身体に、ツヨシの気持ち、ツヨシの心にそっと触れること
ただそれだけだ
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もしそれが出来たならもっと知ること出来るだろう
かわいいツヨシのこと、もっとたくさん知ること出来るだろう
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僕は知らなくちゃ駄目だ
もっとたくさんのツヨシのこと、感じていないと駄目なんだ
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今よりもっと、もっと大きな幸せのために、ね
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───僕は今まで何度も何度も夢に見た


夢の時間は夢への時間
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二人の気持ちはすれ違い、繰り返す
春の風、二人の気持ち、いつか交わりそっと触れ
夢へと続く夢になる
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ジャンブイ、何度も見てきた青い夢───
忘れることない、あの青い空と青い水
大きな白い身体に青く澄んだあの気持ち
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ジャンブイとツヨシ
二人の春、二人一緒の青い春
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ツヨシのこと、もっと知りたいと思っていた
ずっとね
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でもあの日、あの時僕達は手を伸ばし触れ合った
僕はツヨシのことをもっと知り、ツヨシは僕のことをきっと少しわかってくれたはずなんだ───
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優しく、激しく
二人の気持ちは弾けながら交差して
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きらきらきらきら波しぶき
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ジャンブイ、ツヨシ
身体の距離と心の距離、短い春に縮まって
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気持ちと気持ち
巡り合わせの二人の気持ち
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きらきらきらきら波が立ち
きらきらきらきら水しぶき
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ジャンブイ、ちゃんと優しいか
ツヨシは本当にかわいいか
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そっと近づきそっと距離をおいていた
二人は近づき触れ合った
ジャンブイ、大人の恋
ホッキョクグマ、春の恋
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短い春、二人の気持ちが交差して
青い夢を見る日々、もっと素敵な夢のため
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短い春から長い夏、巡る季節
その刹那
春が終われば静かな夏がやって来る
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夏より熱いホッキョクグマ達の春
そっと傍へやって来てそっと向こうへ離れてく
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尊い尊い優しい気持ち
傍に誰かがいてくれる
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ジャンブイ
ツヨシ
出会い、お互い知っていたのは名前だけ
二人は今思う───特別な気持ちで二人を知る
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ジャンブイはツヨシのことをもっと知り、ツヨシはジャンブイのことを少しわかった春の日々
少しづつ少しづつ傍の気持ちにそっと触れ、大きな夢へと少しづつ少しづつ
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たどり着くのは簡単なことじゃないけれど、いつだって少しずつ少しずつ
二人のホッキョクグマ、触れ合いながら少しずつ
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簡単じゃないこと奇跡的なこと
たどり着くかはわからない
だから二人は少しずつ、優しい気持ちで少しずつ
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長く感じる夢だけど、見ている時間は実は一瞬
夢というのは一瞬のこと
一瞬の夢を積み重ね、少しずつ少しずつ積み重ね
描いた夢まで届くかはまだ誰も、誰もまだわからない
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今はただ優しい二人に会えるなら、会うことが出来たならそれで十分
普段会えない顔に会えただけ
それだけで十分なこと
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ジャンブイが、ツヨシが見た一瞬の青い夢
二人と一緒に見ただけ、感じただけ

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ただそれだけで十分なこと───
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かわいいツヨシ、横浜に来てくれてありがとう
僕は見た、確かに見たんだ
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あの青い夢を、ね
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ツヨシ、君の傍に僕はいる
だから心配いらないよ
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チロちゃん、そしてバリーバさんが教えてくれたんだ
優しいことってどんなこと、ってことをね
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ツヨシ、君が横浜にいる間、僕の傍にいてくれる間
僕は君を守るよ
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今度は運命からも守る
今度こそどんなことからも守る
チロちゃんも応援してくれているんだ
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だから離れないで、僕の傍にいて
ツヨシ、いつまでも傍にいて
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二人で夢を見よう
夢を見ながら夢に近づいていこう
少しずつ少しずつ近づいていこう

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春は暑い
もうこんなに暑いんだ
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名前しか知らなかった君のこと
僕は今どれくらいわかったかな、話して感じて今どれくらい知ること出来たかな───
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“レ”禿のあるホッキョクグマ、こんな僕のことどれだけわかってもらえたのかな
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横浜の夏は北海道の夏よりずっと暑いんだろ?
夏の太陽ギラギラしてきたら、僕ら二人ゆっくりしよう

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日陰でゆっくり眠ってさ、プールをゆっくりと泳いでさ
暑い夏を二人そっと越えていこう
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セミの声が聞こえてこなくなればすぐ秋だ
秋はすぐに過ぎていく、そうすればもう冬だよ
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そうだツヨシ、アラースの谷にお花を眺めに行かないか?
夜空に輝く星、北極星を眺めに行かないか?
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ツヨシ、不思議だね
この場所で、僕達二人が出会ったこと
こうして二人で春を過ごすこと───不思議な事だね
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───なんだか不思議で嬉しくて、とっても素敵なこと
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僕の傍に今───ツヨシ、君がいる
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バリーバさん、今どうしていますか
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僕は今ツヨシという女の子と一緒に春を、ホッキョクグマの春を過ごしています

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あの時と同じように春の風が木を揺らし、緑の香りが庭を包む
大切な気持ちをバリーバさんと過ごした日、あの日と同じように今を感じています
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お客さん達で賑やかな何日かの間───
過ぎればもう夏の陽射しです
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身体に気をつけてゆっくりと過ごしましょう
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春に比べて夏は長いからね
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そう、すぐに夏が来る
僕はきっとあの青い夢を何度も見て、夏を越えていく
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ツヨシと一緒にね
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by bon_soir | 2017-04-29 15:22 | ズーラシア | Comments(2)
ツヨシと待ち合わせの印

ズーラシアで暮らすホッキョクグマ、ツヨシ
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暖かいと思ったり、寒いなと思ったり
足踏みしながら少しづつ、少しづつ進む動物園の春
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ツヨシの気持ちも少しづつ
少しずつ少しずつ大きなホッキョクグマの方へと寄せていく
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そんなロマンチック大きく膨らむ横浜の春
こんな気持ち、初めてかもしれない
ツヨシのそんな春
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雨上がり、ホッキョクグマ達の庭
のんびりのんびり岩の上
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しっかり丁寧、地面を整えそろりと横に
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空は少し重さが残るけど、流れる風は春の手触り
ツヨシの傍に優しすぎる愛情溢れ、いつしかそれに包まれて
ふと思い出したお父さんとお母さん
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お母さんはどうしてあんなに優しかったんだろう
お父さんはどうしてあんなに大きかったんだろう
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二人は今どうしているんだろう
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傍にいるホッキョクグマは今どうしているんだろう
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ずっと大人のあのホッキョクグマは今どうしているんだろう───
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少しおとぼけだけど温かくて、誰より優しいあのホッキョクグマは今どうしているんだろう
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「これじゃない」
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「これでもない」
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「───さっき見つけたあれがいい」
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ツヨシが見つけた水色の
ツヨシが見つけた小さなかけら
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ツヨシが見つけた水色の
ツヨシが見つけた大切な一つのかけら
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優しく咥えた水色の
優しく運ぶ小さなかけら
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そっと覗いて探してる
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ぐるっと周って探してる
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あのホッキョクグマを探してる
あの優しくて大きなホッキョクグマを探してる
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小さなかけらをそっと置く
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探して見つけて、そっと運んだ水色の───小さなかけらをそっとここへ
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その時、小さなかけらは二人にとって大切に
───水色綺麗な小さなかけらは二人の印
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「ここで会おうね───」
それは大きな二人の小さな印
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ツヨシの所に春の風
運んで来たのは心を灯すあの気持ち
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ツヨシを包む春の風
胸で膨らみ大きくなったあの気持ち
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「少しおとぼけだけど温かくて、誰より優しいあのホッキョクグマは今どうしているんだろう───」
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「誰より大きなあのホッキョクグマは今、今何を考え、今何を思っているんだろう───」
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「───声が聞こえる」
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「優しく私を呼ぶ声が今───今、聞こえてきた」
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「───大丈夫、空は曇っているけどとっても気持ちがいい日だよ」
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小さなかけらは二人にとって大切に
───水色綺麗な小さなかけらは二人の印
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少し寂しい気持ちのときは、印のところで待ち合わせ
二人が同じ気持ちになった時、あの印のところで待ち合わせ
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動物見る夢どんな夢
ツヨシが見る夢どんな夢
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ツヨシが見る夢どんな夢
鼻に「レ」マーク、あの大きなホッキョクグマの夢
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二人が見る夢どんな夢
きらきらきらきら北極星
笑顔がたくさん、ちいさな笑顔もたくさん輝く
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かわいいホッキョクグマの女の子
ツヨシが見る夢、そんな夢
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みんながツヨシを眺めてる
飼育係さんもお客さんも───どこかで二人を見守るチロちゃんも
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みんなが二人を眺めてる
今、そっと輝く二人のホッキョクグマを眺めてる
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少し遅れてやって来た二人の心の中の春
今きっと何よりどんなことより温かい
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そのとき傍へ、みんなの傍へ
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誰でも感じる、誰もがわかる
きっと必ず、きっとそう
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動物達のかわいい姿
今日の思い出
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動物達の優しい気持ち
ずっと忘れない、心に刻むそんな思い出
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動物達に愛情貰う
動物園から愛情あふれた
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恋する動物達はきっと何かを、何かをみんなに───
二人の恋が遥か先まで進むなら、もしも奇跡が二人の間に起こるなら───
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───そっと静かに、ホッキョクグマの大きな愛がそっと静かにあふれてきたのなら
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きっとそこには見たことないジャンブイと、見せたことのないツヨシの笑顔が輝いているはず

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きっとそう
きっと、きっといつか輝く、そんな笑顔に会えるはず
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毎年毎年いつだって、動物達にとっては特別な春のはずだけど
少し遅れたこの春はきっとこのまま進んでく
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暖かいまま、温かいまま
少しづつ少しづつ
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チロちゃん、バリーバさん
そしてツヨシ
横浜でジャンブイが出会ってきた女の子達
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出会いはいつも特別で、一緒に過ごしてきた時間はいつだって特別で
昔のことを思い出せば涙も溢れる
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未来のことを考えれば祈るように笑顔が溢れ
動物達の出会いは動物園に会いに来るみんなまでそっと優しくしていく大切なこと
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小さなかけらは二人にとって大切に
───水色綺麗な小さなかけらは優しさつめた恋の印
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ツヨシ、ジャンブイはどうしていますか?
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歳に似合わず可愛い顔したホッキョクグマ、そんなジャンブイはどうですか?
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ツヨシ、ジャンブイは、優しいホッキョクグマ、「レ」禿のジャンブイはどうですか?
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by bon_soir | 2017-04-11 13:58 | ズーラシア | Comments(4)
イコロが見た北極星、デアが見ていた北極星
上野動物園で暮らすホッキョクグマ、イコロ
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このお話は前回→☆☆☆☆☆の続きになります
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エミューに見送られ上野動物園を出発したモノレールは星空の中に吸い込まれ滑るように走り続け、
そして今度は北極圏、月に照らされぼんやり輝く氷の大地に引き寄せられるように降りていく。
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運転手の猿はいつまでも静かに上野動物園のモノレールを走らせ、動物園を出発してからもあまり話はしなかった。
走り出してから一言二言ほど話し、そしてさっき『北極点の近くまで来ました───』と言ったっきり、また黙っていた。
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上野動物園のモノレールはスピードを落として地面のすぐ上を走っていた。
ときおり雪のような氷の粒が舞い上がるのが見える。
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───どこまでいくんだろう
星空の中を抜け出してからだいぶ時間が経った気がした僕は、運転手の猿に小さな声で訊く───運転手の猿はうるさいのが嫌いなんだ。

「あとどれくらいかかるんだい?」
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その声を聞いた運転手の猿は運転席の前の窓をちらりと上目遣いで見た。
きっと僕の顔が映っているんだろう。
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「そうですね、ではこの辺りにしましょうか───」

そう小さな声で一言言うと、上野動物園のモノレールは更にスピードを落とし、そして氷の大地の上にそっと停まった。
静かに動いていたモノレールのモーターの音が止まり、そっとドアが開く。
「さあ、着きましたよ」と、運転手の猿は僕の方に振り返る。
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ドアの外へ出た僕はまず最初に夜空を見上げた。
普段見る夜空とは何もかもが違う、僕一人を包み込むような力強い星空が広がっている。
「あぁ、凄いや───」
僕の口からふいに言葉が出る。
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傍で僕を見つめる運転手の猿の顔は少し微笑んでいる。
「どうかしたのかい?」と僕が聞くと、
「みんな同じ、だなと思いましてね」と、星空を見上げて言った。
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「ここへ来た、またはこんな星空を見た動物達はみんなイコロ君と同じような顔をして、同じようなことを言うものです。運転している間、ずっと考えていたんです───イコロ君はどんな顔してなんていうかなって、てね」
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「そうしたら想像通りの感じでイコロ君は星空を見上げた。それが少し可笑しかった、ってだけのことです」
運転手の猿は今までで一番楽しそうだ。
少し照れくさかった僕は少し慌て、少し早口で訊いた。
「北極点、北極点はどこなんだい?僕は北極点に行くためにモノレールに乗ったんだ」
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「実を言うと、北極点まではまだもう少しかかります。まだ見えているわけじゃありません」
あいかわらずの小さな声で運転手の猿は話す。顔はもう笑ってはいないように見える。
「またモノレールに乗れってことかい?」
僕は戸惑いを隠すように、なるべくゆっくり、なるべく静かに一言また訊いた。

運転手の猿はゆっくりと首を横に振り、指差しながらまた小さな声で話し始めた。
「向こうの方角です。ここから先はイコロ君、自分で歩いて一人で行きなさい。考えていた、モノレールを走らせながらずっと考えていたんです。なにも、星空を見上げた時のイコロ君の顔のことだけ考えていたわけじゃありません」
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「自分で、自分で歩く───」
運転手の猿が指差す方を僕はじっと見つめたけど何かが見えるわけじゃない。ただ氷の大地がどこまでも広がっている。
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「───いいですか」
運転手の猿はそう切りだし、静かに話を始めた。

「もう動物園からはずっと遠い所に私達はいるんです。モノレールを走らせれば北極点まではすぐに着きます。ただ、さっきも言ったとおり私は考えていた。イコロ君にとって一番いい形で北極点まで行くことということは、それはどんなことなのか、ってことをね。考えた結果が最後は自分で歩いて行く、っていうことなんです」

風も無い北極圏、たくさんの星はそれぞれがそれぞれに瞬くけど、当たり前のように音がするわけじゃない。
静かな静かな北極圏に運転手の猿の小さな声だけが聞こえている。

「少しの距離でも自分で歩き、一人でたどり着く。ただ誰かに連れられて行ってきたってだけじゃない、ということ。それだけでも意味があるでしょう。特にイコロ君、君は男のホッキョクグマだ。旅には冒険、素敵なことです。大丈夫だとは思いますが万が一迷いそうになってもその時は───きっと君を誰かが導いてくれることでしょう」
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───北極点に向かって長い時間、もう何時間も僕は歩いていた。
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ユキオさんの代わりになろうとなんて思っていない、僕が上野動物園のホッキョクグマだとと胸を張って言える日なんていつ来るのかわからない。
けどデアと一緒に暮らしたい、暮していきたい。勝手だけれどデアの傍でデアを支えていきたいと思っていた僕には迷いがなかった。
「きっと何かを感じることができるでしょう───」と運転手の猿は言った。
僕はもっとたくましく、立派な大人になりたい。

───そう、一人で北極点にたどり着く
大好きなデアの顔を思い浮かべれば大丈夫、簡単だ
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「日本も北極圏も今は冬の始まり、特に北極圏の夜は驚くほど長い。だから時間がかかってしまっても大丈夫」と、運転手の猿は教えてくれた。
だから最後まで頑張りなさいという、そんな小さな声のメッセージだ。
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───デアは今頃どうしているんだろう。
いつものようにデアの北極星を窓から探し眺めているのだろうか、それとももう夢の中へと入っていったのだろうか───
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ユキオさんのことを今日も思い出し、そっと涙を溢しているのだろうか───
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それとも、今部屋にいない僕のことを少しでも思ってくれてはいるのだろうか───
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圧倒的な数の星にも慣れてきた僕は、その星空を眺め考え出していた。
「そうだ、北極星ってどれだろう───」
一人でいる時、考えていることはふいに声になる。
でも今はまず先に北極点に行くことだけを考えなくてはいけないのかもしれない───そう、北の果てまでの冒険中だ。緊張感が無ければ僕自身の強さはきっと生まれない。
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夜は長く昼が短いと言っても少しずつ空は明るくなりだしていた。
もうどれだけ歩いたんだろう、僕はまだ北極点にたどり着かないことに少し焦りを感じ出していた。
早くたどり着かないと星も見えなくなってしまうかもしれない。北極星を見ることが出来なければここまで来た意味が無くなってしまいそうだ。

北の果てで世界中で一番大きな北極星を見る───それがこの旅の目的だ。
運転手の猿は元の場所で待っている、今僕は北極圏に一人、ただ一人歩くホッキョクグマだ。
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寂しくなるとデアの顔が頭に浮かぶ。
デアだけじゃない、お母さんやキロル、みんなの顔が次々に思い出されていく。
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「みんな、元気かな」
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流れ星が続けて輝き、明るくなりだした夜空へと次々に消えていく。
流れ星は見る方向見る方向で輝き流れている時もあれば、何故かなかなか目に入らない時もある。
星空の動きが止まり静かさがふと僕を包んだ瞬間、僕はやっぱり不安になった。
「星ばかり眺めすぎたのか───道に迷ったのかもしれない」
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「緊張感を───」と考えていたはずなのに、すぐに忘れてしまっていた僕はなかなか駄目な奴だ。
一度不安になると急に怖くなってくる。思えば一人でどこかへ行ったことなんか今まで無かった。
初めての引っ越しだってキロルと一緒だ。お母さんがいない寂しさもキロルと二人一緒だったから自然と乗り越えていたのかもしれない。

今、僕は一人だ。運転手の猿はモノレールと一緒に待っていてくれているのかもしれないけど、後戻りはしたくない。
僕は一人でもデアを支え、守ることができるホッキョクグマにならなくてはいけない。
“北極点には着かなかった” ってことじゃ恥ずかしくてたまらない。
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ふと見上げた星の一つが急に強く、明るく瞬き出した。
その星の色は白く、瞬くリズムはゆっくりと落ち着いていて、眺めていると何故か気持ちが落ち着いてきた。
明るくなり始めた空に雲が一つ浮かんで見える。その雲はホッキョクグマのような形だと僕は思った。
頭の中にデアの顔がまた浮かび、今度はその雲から声が聞こえた。
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『輝く星が見えるかい?その方向へ歩くんだ。後は君ならすぐわかる』
落ち着いていてどこまでも優しい声、その声は男のホッキョクグマだ───

「ユキオさん、かい?」
僕はふと声に出して、星の方へと歩きだしていた。
会ったこともないのに絶対にそうだと、ユキオさんの声だと決めつけた。

そう決めた瞬間、今の僕の顔は小さかった頃のように無邪気に笑っている、そんなことを感じだしていた。
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一回、二回、三回、四回……と星が瞬く。僕は何故か子供のように数を数えて歩いている。
「十回だ」と呟いて声がした雲の方に振り返った。
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もうそこにさっきの雲は浮かんではいなかった。
「ユキオさん」
僕はもう一度呟いた。
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ふと足元を見ると大きな足跡が一直線に続いていた。
僕でもわかる。ホッキョクグマの足跡、大きな男のホッキョクグマの足跡だ。
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───北極点を目指して歩いたホッキョクグマが今の僕一人ってわけじゃない。
野生のホッキョクグマ、日本の、世界の色々な動物園で暮らしているホッキョクグマ。
そして遥か昔のことまで考えることをしたならば、それはもう数え切れない数のホッキョクグマが北極点へと歩いたことだろう。
いまここにある足跡はそんな北極点を目指し歩いたホッキョクグマの足跡だ。
僕より少し前のことかもしれない、もしかするとずっと昔のこと、ユキオさんの足跡なのかもしれない。
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そうだ、今はこの足跡をたどるんだ。
仲間たちの、先輩たちのこの大きな足跡を追いかけて、僕は北極点まで歩いていけばいい。
僕は今一人だけど一人ぼっちじゃない。今もどこかでホッキョクグマは暮らしてる。
そして上野動物園にはデアがいて、ユキオさんとレイコさんが僕達二人をきっと見守ってくれている。

僕は歩いた、足跡をたどり星を時々見上げ、疲れているのに早足だ。
「デア、僕は北極点まであと少し、僕の北極星に会えるまであと少しみたいなんだ」

頭の中に浮かぶのデアの顔はいつのまにか優しく微笑んでいた。
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さっきよりもより明るくなってきた空に照らされ、ぼんやりと浮かび上がる柱のようなものが遠くに見えてきた。
高く空を突き抜けていくようにそびえ立ち、足跡もそこへと向かって一直線───

「北極点だ───」

僕は力を振り絞って走り出す。あと少し───そんな時はきっと誰でも走り出す。
早くそこまで行きたい、早くそれを見たい───それは当たり前の気持ちなんだ。
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遠くから見たとおり北極点には大きな棒が立っていた。ずっと上まで伸びていて真下から見上げるとてっぺんは見えない。
触るとほんのり温かく、小さくずっと振動している。
少し上には“N”と書いてあった。
注意深く辺りを見回すとこの棒に向かってたくさんの足跡が集まってきている。
それは色々な方角からここを目指したホッキョクグマ達の足跡だ───

───僕は今、北極点に辿り着いた

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「デア───」
そう呟いたときにはもうイコロは眠ってしまっていました。
北極点にそびえ立つ“地球が自転するための芯棒”にもたれかかり腰掛けて、幸せそうにそっと微笑み、すぐにイコロは夢の中。
たくさん歩いて身体は疲れ、いつのまにか夢の中。

今日の夢は何の夢
今日の夢はホッキョクグマが笑う夢
今日の夢は世界中のホッキョクグマが北極点で集まりみんなで笑う、イコロの夢はそんな夢
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静かな静かな北極圏、北極点にそびえ立つ大きな芯棒の下
一人眠り続けたイコロ。

「おはよう、イコロ君」
夢から醒めそっと目を開くと、目の前には運転手の猿がいました。上野動物園のモノレールもしっかりと側まで来ています。

辺りを見回し「おはよう」とだけ少し寝ぼけた声で言うイコロ
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「そうだ、北極点に僕は今いるんだった。ありがとう運転手さん、ここまで来てくれたのかい?」

「最初からイコロ君が到着する頃を見計らって迎えに行くつもりだったんですよ。でも先に着いてしまい、少し待っていました。イコロ君がなかなか来ないから少し心配しました。少し道を外れていたようですが、よくここまで辿り着けましたね。きっと導きがあるとは信じてはいたのですが───もう少しで探しに行こうと思っていたところです」
運転手の猿はイコロに近寄り、そう言って優しく微笑みました。

「イコロ君が気持ちよさそうに眠りだしたから声はかけませんでした。きっと疲れていたんでしょう。でもその分いい夢を見られたんじゃないですか?」
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「なんだ、ずっと見られてたのか。僕は確かに道に迷ったんだ。星があまりにも凄くてさ、ずっと上ばかり見て歩いてたら変な方へと向かってしまったみたい。でもね、そのおかげなのか僕は声を聞いたんだ。その“導き”っていうのかな───きっとユキオさんの声だ」
イコロは頭のなかに残るユキオの声を何度も思い浮かべ、落ち着いて話していきました。

「ユキオさん、ですか?」

「そうだよ、あの声はきっとユキオさんの声だ。わかるんだ、今回はなぜかね」
頷く運転手の猿の顔を見てイコロはそっと微笑みました。

「それとさ、足跡があるんだよ。先にここまで来た大勢のホッキョクグマの足跡が、地面にしっかりと残っていたんだ。途中からはその足跡をたどって歩いたんだ」
薄っすらと残るたくさんの足跡を指差してイコロは笑いました。
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「でもモノレールには気がつかなかった。きっとこの棒しか目に入ってなかったんだろうね。こんな凄いものがあるなんてさ───」
そう言って見上げるイコロ。ずっと眠っていたせいかすっかりと青空が広がり、星は見えません。
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小さな声で運転手の猿は話し出しました。
「この棒はですね、地球を北極と南極をつらぬいています、端っこがこうしてそびえ立って見えるんです。南極点の方もこうして同じようになっています。地球が自転するために必要な芯棒なんですよ。地球が自転しなければ一日が昼ばかりか夜ばかり、どっちかになってしまいます。一日という時間も味気なくなってしまいますね。とても大切な芯棒なんですよ」
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「なるほど、だからほんのり温かくて小さくずっと振動しているんだね」
手を芯棒にあて、もう一度温度と振動を感じ取ったイコロ。
「───あっ」と、大切なことを思い出し、傍で微笑んでいる運転手の猿に訊きました。

「北極星を見ていないんだ。あの時、歩いて行くってことに驚いていたからさ、どの星かを聞くのを忘れた。だからどれなのかわからなかった」
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「大丈夫、そろそろまた暗くなります。星はまたすぐに輝き出します。北極の冬はすぐに暗くなり、なかなか明るくなりません。もう少し待ってなさい」
イコロにそう言うと「寒い」といって上野動物園のモノレールの中へ入り、そっと目を閉じた運転手の猿。

「もう少し、か───」と、空を見上げまた暗くなるのを待つイコロ。
自転のための芯棒は震え続け地球は少しづつ回転し、時間もゆっくりと進んでいきました。
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一人空を見上げていると何度もデアの顔が浮かんできます。
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一人のデア、そして今まで浮かぶことのなかった自分と一緒、イコロとデア、二人のホッキョクグマの姿も浮かんでくるようになりました。
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「デア、北極星を見たらすぐに動物園に戻るからね。そうしたら二人で話をしよう。この旅の話、ユキオさんやレイコさん、そして僕達二人の話をたくさんしよう───」
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「デアは本当にかわいいね」
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モノレールのドアが開き、運転手の猿が静かに出てきました。
(どの星が北極星なんだい?)とは聞かず、ただ芯棒にもたれて座り、「運転手さん」と微笑んだイコロ。
見上げた空はすっかり暗くなり始め、気の早い星から順番に輝きだしていました。
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「イコロ君、真上を見上げて見なさい」

「真上、真上かい?」
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「北極点から真上に光る星、あの星が北極星ですよ」
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「そして北極星は“こぐま座”を形取る星、そういうことなんです」
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北極星を眺め、ふとあることに気がついたイコロは涙を溢していました。
「やっぱりそうだったのか。やっぱり、やっぱり───」と、声にならない小さな声で何度も何度も呟きます。

「イコロ君、」と運転手の猿が声をかけるようとすると、イコロは涙を何度も拭いました。
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「僕を励まし、導いてくれた星はあの星だ。北極星の隣で輝く、優しい光のあの星だ───」
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「デア、ユキオさんとレイコさんが輝かせている星を眺めてるって、それがデアの北極星だって、君はそう言っていたね」
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「僕にはわかる、デアの眺める星はきっとあの星だ───北極星を傍で眺めるあの星だ。僕もユキオさんとレイコさんの星を見ていたんだ」



続く



   

by bon_soir | 2017-03-23 06:01 | 上野動物園 | Comments(4)
遊ぼうよ、イッちゃん
天王寺動物園で暮らすホッキョクグマ、イッちゃん
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イッちゃん朝は遊ぶ時間
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一生懸命遊ぶ、そんな時間
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投げて貰ったおもちゃ達
なんだかとってもお気に入り
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持って上がる
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ちょっと得意げ
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なんだか合体しているおもちゃ
お気に入り
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ぽい
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楽しいね!
たくさん遊んで楽しいね!
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やっぱりなんだかお気に入り
なんでだろ
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いつのまにか別れたね
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遊ぶイッちゃんかわいいね
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楽しそうなイッちゃん
一番かわいいね
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これからもずっと遊ぼうよ、楽しく笑って遊ぼうよ
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遊ぼうよ、イッちゃん
楽しく笑って遊ぼうよ
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いつか、そのうちいつか帰ってくるよ
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凄いホッキョクグマが帰ってくるよ
優しいホッキョクグマが帰ってくるよ
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二人できっと楽しいよ
一緒に遊べばきっと、きっともっと楽しいよ
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遊ぼうよ、イッちゃん
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きっと何かが始まる二人の遊び
まだまだいつになるかはわからない
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まだ、わからない
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ホッキョクグマは冬でもプール
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気持ちよさそうにすいすい、ぷかぷか
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遊びを少し休憩するように
静かに穏やかに、気持ちよさそうにすいすい、ぷかぷか
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かわいいイッちゃん
すいすいっと、ぷかぷか、と
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なんだか少し大人になったね
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優しい顔で泳いでる
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すいすいすいすい泳いでる
ぷかぷかぷかぷか漂うイッちゃん
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なんだか少し大人になったね
優しい顔のまんま、なんだか少し大人になったね
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かわいいね
かわいいね、イッちゃん
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風はすっかり春の風
風だけ先に春になる
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春は駆け足
急にみんなの所へやって来て、急いで夏へと変わってく
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ホッキョクグマに優しい季節はどのくらい
あとどのくらい続くかな
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次の季節が待ち遠しい
過ぎてく季節は名残惜しい
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欲張ることなんかできないね
その時その時、いつも一つの季節だね
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足りなかった遊び
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それは夢を見るための準備
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楽しい夢を見るための
夢の中でも笑顔でいるようにするための
楽しい準備、大切な準備
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遊ぼうよ、イッちゃん
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遊ぼうよ、イッちゃん
楽しく笑って遊ぼうよ
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これからもずっと遊ぼうよ、楽しく笑って遊ぼうよ
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イッちゃん、今日はさようなら
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一度、今日はさようなら





   

by bon_soir | 2017-02-20 13:34 | 天王寺動物園 | Comments(0)
サスカッチ
東山動物園で暮らすホッキョクグマ、サスカッチ
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ほんのり温かいお部屋でうとうと
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やわらかそうなくちびる
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一人になって寂しいね
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でもみんな会いにきてるよサスカッチ
「これからもずっと会いたい」
みんな嘘なんか言わないよ
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またね
かわいいサスカッチ
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by bon_soir | 2017-02-01 19:00 | 東山動物園 | Comments(2)