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ユイと春の願い
金沢動物園で暮らすコアラ、ユイ
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春が終わってしまったかのような暑い日、それは初夏のような眩しい陽射し
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あのミモザも花も散りだして、ヒロキがいれば今頃きっと食べて歩いてる
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そんな速い季節の流れに置いていかれないように、急いでたんぽぽ咲き出した
春のそんなオセアニア区
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楽しい季節のはずなのに、今ユイは部屋に一人
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大好きなお姉ちゃん「バニラ」は今、別のお部屋で過ごしていました
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どんなにお客さんが賑やかにしていても、かわいいお花がどんなにたくさん咲いていても
コアラの家はとても静か
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仲良しの二人、ずっと一緒に暮らしてきた二人が揃わなければ楽しいコアラの歌は聞こえてこない

一人寂しい思いの中で健気に過ごし、寂しそうに時々微笑むユイ
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今はただ、バニラがまた戻ってきてくれる日を信じ、色とりどりでも寂しい春を、なぜか無表情で進む季節の流れを涙こらえて眺めていました
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「ポッケの中のどんぐりはいつも私に微笑みかけてくる───そう、お姉ちゃんがくれたあのどんぐりがそっと優しく」
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「部屋に一人でいること、ここがこんなに静かでこんなに寂しくて、そしてこんなに心細いなんて知らなかった」
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「私の傍にはいつだって笑顔があった。今までずっと優しい笑顔に励まされていたんだ」
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「コアラの笑顔にずっと、そっと励まされてずっと───」
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「飼育係のお姉さんにお姉ちゃんのことは聞けないよ。だって怖くてしかたない」
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「何も聞けないよ、怖くて怖くて何も、何も聞けないよ」
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「お姉ちゃん、今どうしているのかな。いつものように笑っているのかな。今頃夢でも見ているのかな」
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「こうして優しく抱っこして貰っているのかな」



雲のない空はどんなに晴れていても何故か寂しい
風が無ければ木はささやかない、自然の声は聞こえてこない
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そんなどこか居心地悪い春の日
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ユイは一人コアラの家からそっと抜け出し、思い出の場所へと歩いていきました
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それはバニラと二人、まだまだ小さかった頃に出かけた場所
───アメリカ区の小さなロッキーマウンテン
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楽しくわいわいと騒ぎながら歩いていったあの日と違い、遠く感じるアメリカ区
長く感じる一人の時間
ユイはただ前を見つめ頭にバニラの顔を思い浮かべ、そしてできる限りの早足で向かいました
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「お姉ちゃんと見たあのチューリップ達に会いたい───力強くそっと伸びてころりとふわっとかわいく咲く、あのチューリップ達に会いたい」
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「きっと今頃、きっとあそこで咲いているはず───きっと、きっとそう」
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静かな静かな金沢動物園
アメリカ区に着いたユイをそっと眺める動物がいました
プロングホーンのブッチです
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ロッキーマウンテンのショートカットの階段を一段一段登っていくユイを見つめ、ブッチはなんども頷くように優しく微笑みました
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「───ユイ。そうだ、お花は今綺麗に咲いている。かわいい女の子を笑顔にするように一生懸命に咲いている」
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「まるで君のことを待っていたように、たくさん咲きだし、そして揺れているんだよ」
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「そうだ、そこに咲いているだろう、あそこにもあっちにも、みんな咲いて君を待っていたんだよ」
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「みんな揺れて笑っているだろう───ここには風が吹いている。小さなロッキーマウンテンにはいつだって風が吹いている」
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小高い丘にたくさんのお花、優しく咲いたチューリップ
みんなユイに話しかけているようでした
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春の風に花は揺れ、会いに来た動物達もみんな一緒に微笑んで
春の優しさ楽しさそっと伝え、また来年と希望をつなぐ
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「ありがとう。そしてお願い───」
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ユイは花と一緒に風に吹かれ、話をしながら一緒に揺れ
溢した涙は土に染み、それを眺め自然の優しさいっぱい感じ───
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いつのまにか小さな笑顔を取り戻したユイ
「また来るね───」とそっと手を振り、小さなロッキーマウンテンを後にしようと階段を降りていきました
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「ユイ」
呼ぶ声の方を振り返ればそこにはブッチ
プロングホーンのブッチがユイに声をかけました
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「ブッチさん。お昼寝かと思って声かけなかったの。こんにちは、なんだか久しぶりになっちゃった」
ユイはブッチの傍へ行き、まだ少し涙のあとが残る笑顔でそっと腰掛けました
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「バニラの様子はどうなんだい」と心配するブッチに「お姉ちゃんはきっと大丈夫」と自分にも言い聞かせるように話し、ポッケの中のどんぐりを見せてもう一度微笑みました
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「お花を、チューリップを眺めてたら元気になった。ここは風も気持ちがいいね」
そう話すユイにブッチはそっと頷きました

「バニラにお花を摘んでいってあげたらどうだい? バニラも元気が出るかもしれない」
ブッチはユイに微笑みます

「それは、駄目。きっと駄目なの。お姉ちゃんもきっと喜ばない」
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「お花を見ること、触れることは本当に優しいこと、素敵なこと。でも今ここで摘んでいったらきっとすぐに萎れてしまう。ここで風に吹かれながら咲いていればもっともっと大勢の動物達に会うことができる。もっと長い時間かわいく咲いていられるよ。お姉ちゃんもきっとすぐに気がつき、そう考えるはず。お姉ちゃんとお花を見にいった時同じようなこと、もっと優しくそう言っていた。私は優しいお姉ちゃんに優しいことを教わった。大切なお姉ちゃんに色々なことを教わってきた。お花達には元気になったお姉ちゃんと一緒にまた見にくる、会いに来ることにしたの。だからさっきお花に、神様にお願いしたの───お姉ちゃんが元気になりますように、って───」
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「そうか、そうだな。それがいい。ユイ、君達は優しい───本当に優しいね」
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願いをこめて過ごすこと
願う前に想い、心に抱いて毎日過ごすこと
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それはきっと辛く寂しく、大切なこと
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みんな誰かに寄り添い優しさ貰って生きていく
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お花、植物、土、大地
風と太陽、全ての自然
───自然と自然に力を貰って生きている

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楽しい時、上手くいっているように感じている時
心がはしゃぎ浮かれている時
見えなくなっていること必ずある
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どんなに好きだと思っていてもどんなに大切だと考えていても、動物達にはいつでも会えるわけじゃない
いつまでも会えるわけじゃない
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動物達を想うこと、大切だというのなら日々忘れずに想うこと
それからはじめて願うこと、願い続けるということ
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願うだけなら叶わない

大切なことなのに忘れてる
大変なことが起こるまで気がつかない


「帰ろう。オセアニア区へ」
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「お母さんの写真が待つ、あのオセアニア区へ早く帰ろう───」
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「私達はコアラ。金沢動物園で暮らすコアラ」
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by bon_soir | 2017-04-20 07:00 | 金沢動物園 | Comments(10)
がんばれコアラ
多摩動物公園で暮らすコアラ、タイチ
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大きなお部屋の一人暮らしはまだまだ続く
少し寂しいかもしれないけれど、今はタイチに頑張って貰うしかない
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人は動物達にお願いしてばかり
先のことのためにお願いしてばかり
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「がんばれがんばれ」
わりと勝手に応援して、わりと勝手に期待してばかり
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動物達は健気に頑張って、動物達はただ健気に人の傍にいてくれる
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ほとんどの場合何も言わず、そっと傍にいてくれる
タイチも今ここで、今は一人
───そっと傍にいてくれている
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「かわいいね」
そんな声はタイチまで届いているかな
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「かわいいね」
そんな声をタイチはどう思っているのかな
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コアラが動けばみんな言う
「かわいいね」ってみんな言う
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そう、コアラはかわいい
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今、ここで一人暮らすコアラ
タイチは健気に人に顔を見せ、コアラ館を守ってる
ガマグチヨタカ、フサオネズミカンガルー、フクロギツネ、フクロモモンガ、みんなの力を借りながら
コアラ館の温かさ、タイチは一生懸命守ってる
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温かく見守るそんな気持ち
がんばるタイチに伝えることができるもの、できそうなもの
やっぱりただそれだけ
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でもきっと大切なただそれだけの温かい気持ち
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こうしてかわいい顔を見せてくれているときもコアラ
ぐっすり眠って動かないときも、タイチはもちろんコアラ
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大切なのはそっと見守る優しい気持ち
温かい心
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がんばれがんばれ───
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「言われなくても頑張ってるよ」って怒られちゃいそうだけど、それでも思う
───がんばれがんばれ
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がんばれタイチ
がんばれがんばれ、タイチがんばれ
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がんばれコアラ
がんばれがんばれ、コアラがんばれ
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飼育係さんもすごく忙しそうに、今できることを頑張ってくれている
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勝手にごめんね
でもがんばる動物達にかけてあげられること
一人暮らす、過ごしているコアラ達にかけてあげられる言葉は一つ
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───がんばれコアラ、がんばれがんばれ
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タイチ、今はここで一人
優しいタイチ、一人今は人の傍
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一人のんびり人の傍
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今日のユーカリどうだろう
美味しいのかな、そうでもないのかな
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大丈夫だね、美味しいね
春のユーカリ、ふんわりやわらか陽射しを受けて美味しくなった
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“NO TREE NO ME”
きっと大丈夫
どこかでユーカリ、どこかでどんどん伸びている
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心配しないでたくさん食べて
美味しいユーカリたくさん食べて
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美味しく食べてあとはのんびり
うとうと眠る、ぐっすり眠る
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長い長い夢を見る
楽しい夢をきっと見る
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今日の夢はどんな夢
コアラの夢はどんな夢
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今日も応援、人は少し勝手に今日も応援
がんばれがんばれ
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いつも応援、わすれないでどんなときも
がんばれがんばれ
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がんばれコアラ
がんばれがんばれ
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“いつかきっと”をただ信じ、かける言葉、かけてあげられる言葉はがんばれがんばれ
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がんばれコアラ
がんばれがんばれ
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がんばれがんばれ
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がんばれユイ
バニラはきっと大丈夫
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───がんばれがんばれ





   

by bon_soir | 2017-04-15 13:04 | 多摩動物公園 | Comments(6)
タイチと広い部屋
多摩動物公園で暮らすコアラ、タイチ
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ミライが埼玉へ行き、ミリーが遠く高い所へと旅立ってしまった
そんなコアラの家
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今は一人
広い部屋でタイチ一人
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タイチ一人夢の中
夢の中ならみんなに会える時がある
眠ればいいと一人思う
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広い部屋
広すぎる部屋
春が来たこと、話す相手が今はいない
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「こんなに広かったんだ───」
僕は呟いた
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三人から二人
二人から一人
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ミライさん、早く戻ってきてくれないか、と思うのは僕のわがままなのか
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今僕はどこの部屋でも自由に使える
橋がかけてあるからね
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壁の上をささっと通過
簡単だよ
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一人で過ごすことが好きな人
いると思うよ
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でもね、一人で過ごすことと一人ぼっちなのは違うんだ
わかるだろ?
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ミライさんは帰ってきてくれるかもしれない
でもミリーさんの温かさは帰っては来ないんだ
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寂しいね
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広い部屋に僕は一人
今はただ一人ぼっち
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ああ、そうだ
今この部屋は広すぎる、よ
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コアラの家に遊びに来ないかい?
僕の所へ、僕に会いに来ないかい?
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静かにそっと暮す僕だから
静かにそっと会いに来てくれよ
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静かに僕と話そうよ
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コアラの家に遊びに来ないかい?
僕の所へ、僕に会いに来ないかい?
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きっとまた賑やかな部屋になる日が来るよ
みんなが僕に会いに来てくれたらね、また賑やかなコアラの家族に会えるようになるよ
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静かにそっと暮す僕だから
静かにそっと会いに来てくれよ
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騒々しいのは苦手だよ
静かに僕と話そうよ
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ミライさんのこと、待っててあげて欲しいんだ
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ミリーさんのこと、覚えていてあげて欲しいんだ
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僕はここにいる
広い部屋だ、どこかにいるから探してね
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コアラの家に遊びに来ないかい?
僕の所へ、僕に会いに来ないかい?
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静かにそっと暮す僕だから
静かにそっと会いに来てくれよ
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今日もユーカリが美味しいよ
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夕方が来て夜になる
誰もいないコアラの家は本当に静か
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夏が来れば虫の声が聞こえてくるのかな
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誰かと話す
大切なことだ
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一人になればきっとわかるよ
そんな簡単なことが、ね
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広い部屋に僕は一人
今はただ一人ぼっち
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一人ぼっちの春が来た
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by bon_soir | 2017-03-11 14:21 | 多摩動物公園
ユイのポッケにどんぐり一つ



金沢動物園で暮らすコアラ、バニラとユイ
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ずっと一緒、くっついて暮してきた二人
お姉ちゃんのバニラ、そして妹のユイ
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今、同じ家のままだけど少しだけ距離は離れ、二人はのんびりのんびり
のんびりと暮らす毎日
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時々は前のように肩寄せあって小さな声で話をする
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そんなバニラとユイ、オセアニア区のコアラの家
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悲しいこと(☆☆☆☆☆)があってからずっと涙をこぼし続けてきたユイ、いつも傍にいたバニラ
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オセアニア区の大きなユーカリに見守られる動物達の誰も気が付かない小さな物語
誰よりも優しいコアラ“バニラ”の誰も知らない物語
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「ユイは私の大切な妹───ユイが笑って私に話すこと、私がいつでも笑顔になれるそんなこと」
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───あの日からユイの笑顔は変わった
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今までよりももっともっと輝いて、もっともっと幸せそうな優しい笑顔
何度もあった悲しいことをそっと優しく包んでやわらげる、そんななにより素敵な笑顔───

それは“お母さんの笑顔”と一緒だった
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ユイはそんな笑顔で私に言う

「お姉ちゃん、ポッケの中に赤ちゃんが入っていった」
「お姉ちゃん、ポッケの中の赤ちゃんが少し大きくなってきた」
「お姉ちゃん、ポッケの中の赤ちゃんがもぞもぞ動いてるよ」
「お姉ちゃん、ポッケの中の赤ちゃんが小さな小さな小さな小さな声を出した」
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ユイは幸せそうだった
飼育係さんもお客さんもみんな、みんなが笑顔で、みんながユイを眺めていた

でもある日、ユイからそんな笑顔が消えた

「お姉ちゃん、ポッケの中の赤ちゃんが動いていないの───」
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「眠っているだけだよ。コアラだもん、長いこと眠っているだけ───」
私の言葉を遮るようにユイは何度も首を振った
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「お姉ちゃん、言わなかっただけ。もうしばらくこのまま、このままなんだ───」
ユイの目から最初はぽろぽろと、そしていつのまにかたくさんの涙が溢れ出していた

気がついてからもしばらくユイは頑張って笑っていたんだろう
みんなを心配させないように、もう一度動き出すと信じて───明日にはまた心から笑えるように
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しばらくして飼育係さんがユイのポッケの中をそっと覗く
ユイは飼育係さんの顔を見ようとはしないで遥か遠くを眺めていた
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飼育係さんは手で顔を覆い肩を落とし、ふらふらと戻っていく
私の心が悲しさでいっぱいになっていく
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ユイにもそれは伝わった、きっとわかってしまった
本当は最初からわかっていたことを、もう一度確認してしまっただけのことなのかもしれない
泣いてない、もちろん笑ってもいない
ただ一言呟いた
「お母さん、私はお母さんのようになれなかった、みたいだよ」

ユイから表情が消えてしまっていた───
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そのまま時間は過ぎていく
楽しいことがあっても悲しいことがあっても、時間だけはどんなときでも変わらず過ぎていく
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夕暮れオセアニア区が夜へと変わる
冬の始まり夜空には、冬の星座とたくさんの星
青い夜空を飛んでくる、青い羽の一羽の鶏
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ユイのポッケをちょっとつつく
優しくそっと、ちょっとつつく
そんな不思議な青い羽の不思議な鳥
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今が何時かなんてわからない
星空見えても昼なのか、青空見えても夜なのか
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ユイのポッケがぼんやり光る
小さな小さな、小さなコアラがポッケの中から顔を出す
青い羽の鳥の背中にそっと乗る

小さなコアラ、ユイの赤ちゃん
儚くそっと笑ってる
聞き取れない、声にもならない小さな声でユイに言う
口の動きを見ていればすぐにわかる

「あ り が と う」

私の目から涙が溢れる
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ユイに声をかけたけど、私はちゃんと喋れなかった
言ってあげたいことがあったのに、私はちゃんと喋れなかった
きっとユイには何も聞こえていない
ユイはただぼんやり空を見上げ、もう枯れてしまっていた涙の最後のひと粒をぽろりとこぼした
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ぱたぱたぱたぱた
小さなコアラを背中に乗せて青い羽の鳥が飛んで行く
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大きなユーカリの大きな枝の間を抜けて、オセアニア区の上でぐるっと大きく一回り

ぱたぱたぱたぱた、ぱたぱたぱたぱた
ふわっと浮かぶ白い雲の上まで、青空の中、星空の中へ

ぱたぱたぱたぱた
小さなコアラを背中に乗せて青い羽の鳥が飛んで行く
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「ユイ、ユイはちゃんとお母さんだよ。その子の大切なただ一人のお母さんだよ───」
私はさっき言ったことをもう一度言った
でもユイにはまた届いていない、きっと届くはずがない

お腹のポッケが空っぽになる、考えてもなかった出来事でポッケの中には何も無くなってしまう
きっと、そんなに悲しいことは他にない

ユイは疲れたのかいつのまにか眠っていた
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ユイが見る夢どんな夢───
コアラのお母さんが見る夢どんな夢───
小さな赤ちゃん抱っこする、小さな赤ちゃんおんぶする
風に吹かれて木に揺れて、二人で笑って二人でお昼寝
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ユイが見る夢どんな夢───
コアラのお母さんが見る夢どんな夢───
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あの日からユイに私は話しかけることが出来ないでいた

ただ毎日お願いだけをしていた

「ユイを守ってあげてね、お母さん───」
オセアニア区の大きなユーカリの木よりももっと上を見つめ、どこかで見守ってくれているお母さんにただ毎日お願いをして過ごした
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「お姉ちゃん、なんでコアラにはポッケがあるの?」

クリスマスが近づいたある日、ふと遠くを眺めながらユイが言った
ユイの方を見ると目に涙が浮かんでいる
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「ポッケ、無くてもいいよね」

ユイの声はどこか冷たく、かわいい顔は涙に濡れ、そしてその日は少しも動かず少しもユーカリを食べなかった


「ユイ、駄目だよ───思い出してよ、私達のお母さんのポッケのことを。あの温かくって柔らかくって優しくて幸せだった、あのポッケのことを思い出してよ───」
そう言えばいい、と思っても言葉に出来ない
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私にはユイの気持ちがよくわかる
そして勇気の出ない私は弱虫だ
大切な妹一人励ましてあげることが出来ない
あの日からずっと、私はずっと弱虫コアラだった
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元気がないユイを見ていると何かしなくちゃって思う
それはユイのためかもしれない、弱虫コアラのままの私のためなのかもしれない

「───お母さん、ヒロキさん」
大好きだった二人の顔がぼんやり浮かぶ
私は外へのドアをそっと開け、ヒロキさんのお庭へと歩いた
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「何も変わってないね、ヒロキさん
涙で霞むヒロキさんの庭、そしてヒロキさんの写真を眺めているとふと小さく声に出た
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すると今にも開きそうなドアの向こう、中庭から声が聞こえたような気がした
「ヒロキさん? ヒロキさんなの?」

少し隙間の出来たドアの向こうにそっと浮かぶヒロキさんの顔
それが本当のことなのか、私の頭の中だけのことなのかはわからない
変わらない、優しいヒロキさんが今目の前にいる
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(バニラ、君は優しいコアラ、コアラの女の子だ。そしてみんなが言うとおり少し不思議な不思議コアラ、昔からそうだろう。ユイのために出来ること、当たり前のことばかり考えていたってしかたないよ。君がすること、なんでもみんなを楽しくさせてきた。想像力だ、バニラ。君が思っているほど君は駄目じゃない)


「ヒロキさん、私駄目なの。私は弱虫、弱虫コアラなの。大切だと思っていても、思っているだけ。怖くて怖くて、何か言ってあげる、してあげることも出来ない弱虫コアラなの」
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(バニラ、君は弱くない、虫でもない。そうだ、弱虫コアラなんかじゃないよ。ユイのために何かをしなくちゃいけないよ、そしてきっと何かしてあげられるはずだ。想像するんだ、楽しいことを。ユイを笑わせる、なんだか楽しいことを想像するんだ。大切な妹のことを想い、想像する。君が笑った時、きっとユイも笑顔になるよ)
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「ヒロキさん」


(バニラ、僕の庭の花壇を見てごらん。もし君の顔に笑顔が戻ったのなら、今度は君が、君がユイを笑顔にしてあげるんだ。いいね、バニラ───)


私はヒロキさんの庭の花壇を見た───
季節外れのたんぽぽ一つ、ヒロキさんも私もユイも大好きな、黄色いたんぽぽ一つ
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なんだかニコニコ笑ってる
黄色いたんぽぽ一つ、花壇のすみに咲いていた

「ヒロキさん───」
振り返るともうそこにヒロキさんはいない
───大丈夫、夢でもなんでも大丈夫
ヒロキさんが言ったとおり私は笑顔になっていた
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涙をぬぐって走り出す
大きなユーカリの木が揺れて応援してくれる
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ユイの笑顔が頭に浮かぶ
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楽しい毎日、お母さんも隣で笑うあの楽しい日々
色々なことが頭に浮かぶ
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「あの日からずっと、ユイはポッケを見ていない」
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「お母さんになれなかった───そう考えてしまっているから駄目なんだ」
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「ユイはちゃんとお母さんできていたのに、ポッケの中にかわいい赤ちゃんがちゃんと入ってたのに。赤ちゃん、笑顔でお空の向こうへ行ったのに───」
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「───それなのに」
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「ユイはポッケのことを見ようとしない」
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「ユイがこのまま、ユイがこのままポッケを嫌いになる前に」
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「大切なポッケを嫌いになって、そのまま嫌いなまま、笑顔も取り戻せなくなるその前に───」
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「私は何をすればいいんだろう、何してあげればいいんだろう」
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「ユイがそっと笑うには、可愛い笑顔を見せてくれるには、私は何をすればいいんだろう───」
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クリスマス前のオセアニア区
冬の風が吹き外を駆けるバニラの身体をだんだんと冷やしました
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アフリカ区へ向かう坂道の途中で少し休憩をして、「アフリカ区、それともユーラシア区かなぁ」と呟いたバニラ
ヒロキに言われたように一生懸命にユイのことを想い、そして笑顔になるその時を想像していました
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「ユイ、やっぱりポッケは大切だよ。あの温かさ、覚えてるでしょ。ポッケを嫌いになんかならないで、ユイ───」
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「ユーラシア区に行ってみよう」
そう呟いたバニラがあるき出したその時、藪の中からコロリと転がり出てきた物がありました
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それは一粒のどんぐり
リスたちが食べ忘れた、少し大きめの丸いどんぐりでした

「どんぐりさん?どんぐり君? どっちかわからないけどこんにちは」
爪を立てないように、そっとどんぐりを掴んだバニラ
秋のこと───ハヤト、そしてワカが旅立ってしまった日のことがどんぐりに写っているような気がして、ふと寂しく微笑みました
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「ワカちゃん、ハヤト、私達を見守っていてね」
ぎゅっとどんぐりを掴み、そっと呟いたバニラ
ゆっくりと手を開き、またどんぐりを見つめました
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その時風が吹き、どんぐりがぶるっと震えたような気がしました

「お帽子、無いんだね。落っことしちゃったのかな、忘れてきちゃったのかな。もう冬だもん、寒いよね」
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「そうだ───ねえ、温かい所に行かない? 連れてってあげる、決めた!」
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ユイのポッケにどんぐり一つ
ユイのポッケにどんぐり一つ連れていこう
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ユイのポッケにどんぐり一つ
ユイのポッケにどんぐり一つ入れておこう
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ユイのポッケにどんぐり一つ
ユイのポッケにどんぐり一つ笑っているよ
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ユイのポッケにどんぐり一つ
ユイのポッケに丸くてかわいいどんぐり一つ

ユイのポッケに、ユイのポッケにどんぐり一つ
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バニラは眠っているユイにそっと近づき、帽子の無い丸いどんぐりをそっとポッケの中にしまいました
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バニラはそっと自分の部屋に戻り、静かに振り返るとユイはまだ眠ったままでした
「おやすみ、ユイ」
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バニラは微笑み、そして自分も夢の中へと滑り込んでいきます
“夢を見るための準備”
今日一日いろいろなことを考え、いろいろな物を見てきたバニラにはたくさんの準備が出来ていました
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ユイの見ていた夢は途中から変わっていました
バニラがポッケの中へどんぐりをしまってからすぐのこと
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それはコアラのお母さんの夢
ポッケの中で赤ちゃんが育っていっていた、あの幸せなとき毎日のように見ていた
そんな夢でした

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コアラが見る夢どんな夢───
コアラのお母さんが見る夢どんな夢───
小さな赤ちゃん抱っこする、小さな赤ちゃんおんぶする
風に吹かれて木に揺れて、二人で笑って二人でお昼寝

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「なんだろう、なんでこんなに温かい、幸せな夢を見てしまったんだろう」
ユーカリの中でそっと目を覚ましたユイは、明るくなってきた窓の向こうを眺めながら今見た夢を思い返しました
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自分の顔が笑顔になっている、そのことには気がつかないユイ
でも気がついたのはポッケの中に何かがしまってある、ということ
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笑顔になっていたユイはあの日から今まで出来なかったこと
“ポッケの中を覗く”
そんなことが出来るような気がしました
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そっと手でポッケを開き、中を覗いたユイ
そこにはコアラのような顔が描いてあるどんぐりが一つ入っていました
そっと取り出してどんぐりを見つめました
裏側には小さな文字で「あ り が と う」と書いてあります

「お姉ちゃん」
ユイはそう言いながら、隣の部屋を見るとバニラは微笑みながらまだ眠ったままでした
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「お姉ちゃん、こんな下手くそな顔描いちゃ、どんぐりがかわいそうだよ」
そう言ってユイは笑いました
久しぶりに見せるその笑顔はどんぐりに描かれたコアラの笑顔と同じくらい楽しそうに、そして輝いていました
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コアラの姉妹が今日も暮らす、金沢動物園のオセアニア区
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この先どんなことがあったとしても、二人はずっと仲良し姉妹
いつも二人で笑って暮らす、不思議コアラの仲良し姉妹
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二人で一緒に楽しんで、二人で一緒に喜んで
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二人で一緒に涙をこぼす
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バニラとユイ
かけがえのないコアラの二人
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「ユイのポッケにどんぐり一つ、私のポッケにもう一つ」
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「ユイのポッケにどんぐり一つ、みんなのポッケにどんぐりたくさん一つづつ」
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「ユイのポッケにどんぐり一つ、帽子が外れたどんぐり一つ」
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「ユイのポッケにどんぐり一つ、魔法をかけたどんぐり一つ」






    

by bon_soir | 2017-03-03 00:45 | 金沢動物園 | Comments(6)
アークと“コアラ”に会える動物園
天王寺動物園で暮らすコアラ、アーク
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日本の動物園で暮らすコアラの中で、多分きっと一番コアラらしく暮すコアラ
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オーストラリア大陸、ユーカリの森
そこでコアラ達はきっとこうして暮らしている───
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それを感じさせてくれる、コアラの本当を教えてくれる
そんなアークと天王寺動物園
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アーク、今朝は曇り空
まだまだ寒い冬の終わりかけ
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朝一番で登ったユーカリの木
それはアークが選んだ木
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「今日はこの木で眠ろうか───」
朝ドアをくぐり外へ出て、自分で少し考えて、今日一日のことを考えて
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そうしてアークが選んだ木
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「今日もお客さんが僕を見上げているよ、見上げてコアラを探しているよ」
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「もっと、もっと上の方───そうだよ、僕はここにいるよ」
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「見つけることが出来たかい? 僕のことが見えるかい? そうだよ、僕はここにいるよ。コアラはユーカリの木の上にいるんだよ」
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「いつも僕に会いにきてくれる人の姿が見えるね───見上げるみんな、見下ろす僕さ」
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風に吹かれて木が揺れる
枝に揺られてコアラも揺れる
そんな毎日、そんなアーク
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吹かれて揺れてユーカリの上
今日ものんびりユーカリと一緒
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落ちたりしないよ、大丈夫
コアラだから
アークはコアラだから大丈夫
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小さな小さなユーカリの森
アークが暮らす、小さな小さなユーカリの森
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アークがすやすや静かに眠っているとやって来るのは小鳥たち
今日の友達、ヒヨドリさん
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アークはずっと眠ったまま
時間はそっと過ぎ、いつの間にか雲が流れて動く
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働くアオサギ
アークの側を飛んでいったら、見上げる空はすっかり冬の青空
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眠ったままのアークに陽が当たる
風にそよぐユーカリの葉の間を抜け、アークのところに陽が当たる
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「暖かいね」
アークが見渡す動物園
今日ものんびり、ゆっくりゆっくりコアラの時間は過ぎてった
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閉園まではあと少し
吹かれて揺れて夢を見るのもあと少し
アークがユーカリと一緒に揺られて見る夢も、もうあと少し
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2月も半ば
閉園の時間が近づいてきても空はまだ明るい
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アーク、時間だよ
今日はそろそろ時間だよ
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アークを呼びにいくためのハシゴはそっとかけられた
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するする伸びていくハシゴ
のぼってアークをそっと起こす
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アーク、今日は時間だよ
ほんとのコアラの楽しい時間、今日はそろそろ終わりだよ
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大丈夫、また明日
地球は回ってまた明日
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今日は帰ってまた明日
一度さよなら、そしてまた
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また、明日
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“コアラ”のアークにまた明日
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ゆっくりゆっくり丁寧に
アークを人の世界に迎えるように、そっと迎えるように
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儚く健気な優しい動物
もっともっと、もっと優しい気持ちで迎えるように
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アーク、今日はありがとう
“コアラ”に会わせてくれて、本当に今日はありがとう
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何時間かぶりの地面だね
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アーク、今日はさようなら
会いにきてくれたお客さんと、今日はさようなら
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アーク、空を眺めてふと思う
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明日の空はどんな空、明日の風はどんな風───
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明日はどのユーカリを登ろうか───
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どこまで登って、どの枝にそっと腰掛けて───
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明日の夢はどんな夢、明日見る夢どんな夢───
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あなたの夢はどんな夢、今日ここでコアラを見上げたあなたの夢は
───あなたの夢はどんな夢

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今日はさようなら
“コアラ”のアーク、今日は一度さようなら
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次の日の午後
朝から晴れてぽかぽかぽかぽか、みんなは冬を忘れてる
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輝くユーカリ、風に揺れてきらきらきらきら
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アークはどこにいるのかな
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あそこだよ
あそこでコアラは眠っているよ
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ぽかぽかぽかぽか
“コアラ”のアークは眠ってる
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今日のユーカリ、登ったユーカリ一番陽が当たる
小さな小さなユーカリの森の中、一番多く陽が当たる、そんなユーカリ
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「今日はどの木に登ろうか、どこまで登って、どの枝に腰掛けて───」
どんなことでもアークが決める
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それはアークが“コアラ”だから
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いつもユーカリだけを食べ、ずっとユーカリと一緒に生きていく
そんな動物“コアラ”だから
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アーク、夢の合間
動物園を静かに眺める
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そこから見える景色はどんなかな
聞こえる音はどんなかな
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誰の声が聞こえてくるのかな
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今日の陽射しに輝くユーカリ、そよぐ風に枝は揺れ
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アークを包んできらきらきらきら
きらきらきらきら
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ユーカリの花もかわいらしく咲きだしきらきらきらきら
きらきらきらきら
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アークとユーカリ
一緒になってきらきらきらきら
アークとユーカリ
一緒になって風に揺れ
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きらきらきらきら
きらきらきらきら
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見上げてみなよ、コアラがいるよ
あんなところにコアラがいるよ
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凄いね、コアラがいるよ
あんな高いところにコアラがいるよ
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風に揺れたコアラがいるよ
のんびり暮らすコアラがいるよ
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“コアラ”がいるよ
動物園に“コアラ”がいるよ
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いつもの一日
コアラの一日
今日ものんびり過ぎていく
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そう、また今日も閉園の時間
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アークのところに今日もハシゴが伸びてきた
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今日もまたさようならの時間
“コアラ”のアークと今日もまたさようなら
一度さようなら
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迎えに来たのは“大きなコアラ”
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ただし、木登りは慎重
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登り始めた足には地下足袋
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アークを迎えるために、慎重に
とても優しく
そんな大きなコアラ
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ゆっくりゆっくり降りてくる
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大きなコアラとお話しながら
ゆっくりゆっくり
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二人で一緒に
ゆっくりゆっくり
ゆっくりゆっくり今日も終わるよ
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天王寺動物園にコアラは一頭だけで暮らしてる
少し寂しいけど、コアラは一頭だけで暮らしてる
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でもアークは一人じゃない
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いつも見上げる大勢のお客さん
なによりアークを支える優しい人達
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コアラは一頭でもアークは一人じゃない
のんびり暮らすアーク、きっと寂しいわけじゃない
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今日もまた何時間ぶりの地面だね
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アーク、今日はさようなら
会いにきてくれたお客さんと、今日もまたさようなら
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アーク、アークは本当に一人じゃないよ
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いつも会いにきてくれる人がいる
何時間も見守ってくれている優しい人がいる
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そしていつも一生懸命に支えてくれてる優しい人がいる
いつもアークの傍にいてくれる
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そしてこんなに素敵な笑顔だってあるんだよ
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コアラは一頭
でもアークは一人じゃない


アーク、今日はさようなら
また今度会う日まで、今日は一度さようなら
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明日はどのユーカリに登るかな
どこまで登って、どの枝に腰掛ける───
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そしてどんな夢を見るのかな
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本当はもっと大勢のコアラがいてくれたのなら
かわいい女の子や子どもたち
一緒に、傍にいてくれたのならいいね

本当はそれもいいね
きっと楽しいだろうね







  

by bon_soir | 2017-02-17 14:52 | 天王寺動物園 | Comments(11)
コアラ

東山動物園で暮らすコアラ達
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かわいい顔はみんなそれぞれ
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眠っていること多いけど、一日の過ごし方もみんなそれぞれ
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みんなかわいいコアラ達
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まだ小さなコアラ、ピーター
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お母さん、チェリーともちろん一緒
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ふわっと動いて「こんにちは」
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こうして親子一緒に過ごす時間はいつまでもってわけじゃない
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人が眺めて「かわいいね」って思うより、それ以上
コアラの親子の大切な時間
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お母さんの温かさ、お母さんの柔らかさ、そしてポッケの中の温かさと柔らかさ
ぎゅっと抱きつく小さな手
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ずっと忘れないように、短い間一緒にいる時間の中でみんな忘れないように
優しいコアラになれるように、いつまでも優しいコアラでいるように
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儚く健気な親子の時間をただそっと眺めてみんなは思う
かわいいねって思う気持ちの動物園
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二人一緒にうとうとうとうと
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大きなユーカリの木に登る夢でも見たのかな
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大きなユーカリの、大きな森でどこまでも高く登る夢
それは男のコアラの旅の夢
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大きなお母さんから生まれたピーター
きっとすごいコアラになれる
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ピーターのお父さん、ピース
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東山動物園のいいところ、ピーターとティリーの隣にお父さんがいてくれること
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少し隔てられているけれど、みんな一緒だね
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コアラらしくかわいい女の子、ココ
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よく上の方から下を覗いているココ
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パタパタ動く耳の毛がふさふさ
コアラらしくかわいい顔のココ
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この日、施設の点検で飼育係さん達が大勢いたので気にしていたココ
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気になるね
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やっぱり耳の毛ふさふさ
そんなココ
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去年の春、タロンガ動物園からやって来てくれた女の子、ホリー
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ティリーもそうだけど、オーストラリアからやって来てくれるコアラ達の顔は特に個性的
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かわいいね
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飼育係さんにお尻を触られても気にしない
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気にしない
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オーストラリアの風と一緒に日本まで
小さな箱にユーカリの葉っぱと一緒に入って飛行機でひとっ飛び
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日本で暮しはじめてもうすぐ、やっと一年経つね
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元気で暮してくれたらいい
それでいい
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来てくれただけでもう特別なこと
そっと暮してくれるだけ、ホリーが楽しく暮してくれるだけ
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それだけでもほんと十分
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チャーリーはまったりと
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クレメンツは奥の方で顔が見えませんでした


新しく、前よりもっと綺麗になったコアラ達の家
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みんなで暮らすコアラ達
みんなかわいいコアラ達
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by bon_soir | 2017-01-31 14:04 | 東山動物園 | Comments(4)
ジンベランとドリー
埼玉県こども動物自然公園で暮らすコアラ、ジンベランとドリー
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気になる寝相
確かこれはジンベラン
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そして窓にもたれていたドリー
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かわいい寝顔
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少し起きたり
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目は覚めきらず、またそのまま眠ったり
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そんなコアラ、ドリー
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ユーカリ交換の時間
ドリーは目を覚ませば毛づくろい
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気持ちがいい
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いたずら大好きというドリー
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よく飛びます
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他のコアラを邪魔しにいくのもドリー
なんだかより自由
ぜんぜん悪気ない顔
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埋もれていたユーカリポットを外されたジンベラン
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みんなかわいいコアラ達
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「いつもニコニコ笑い顔!!」
そんなジンベラン
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閉園前の顔
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そのとおりだね、笑っているね
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コアラは“薄暮性”
やっぱり少し薄暗くなってきてから
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オーストラリア生まれのジンベランとドリー
薄暗くなってからがちゃんと活発
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毛づくろいのジンベラン
気持ちいいね!
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「小顔ガール!!」
そんなドリー
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また少し変な寝相
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閉園前に起きて耳をぱたぱた
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昼にあんまり食べてなかったユーカリ
オーストラリアのユーカリと味は一緒かな、違うかな
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美味しいね!
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ジンベラン
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「いつもニコニコ笑い顔!!」
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そう、のんびり暮して笑い顔
かわいいコアラ達
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by bon_soir | 2017-01-13 08:30 | 埼玉県こども動物自然公園 | Comments(10)
へんてこな寝相とハニー
埼玉県こども動物自然公園で暮らすコアラ、ハニー
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説明には「耳が小さくて顔はまんまる!!」
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そんなハニーの凄いところ
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それは寝相
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みんな少しづづ凄い感じだけど、顔も含めてやっぱりハニー
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かわいいね
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コアラの顔は個性的
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この顔出しのようにみんな少しづつ、かわいらしくちょっと違う
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とても素敵
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ハニーは身体も大きな女の子
大人の雄のようとまではいかないけれど、ひと目で分かる大柄さん
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眠いね
それがコアラだね
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あくび
とっても眠いね
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あくびの終わり
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ユーカリを交換中のハニー
ポイントは右手だね
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ベロ出たハニー
コアラのベロはみんな可愛いピンク色
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そのままあくび
またあくび
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いつもまにか右手は「ぱぁー」
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誰か来たね
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登っていったね
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コアラの眠る姿をずっと眺めていると大きなユーカリの木が見えてくる
オーストラリアの風に吹かれて揺れる大きなユーカリの木が見えてくる
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ただ寝ているだけじゃない
みんないつも夢を見ているよ
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高く登って、枝から枝へ、木から木へ一生懸命ジャンプする
海辺を走り、街の中を駆け抜けて笑顔でそっとみんなの傍へ
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オーストラリアの夢を見て、日本の動物園でそっと暮して笑っているよ
不思議なコアラは儚く健気に、そして楽しく暮して笑っているよ
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眠そうだからかわいいよ
眠っていてもかわいいよ
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眠っているからかわいいよ




  

by bon_soir | 2017-01-12 09:00 | 埼玉県こども動物自然公園 | Comments(2)
ピンクのお鼻のピノ
埼玉県こども動物自然公園で暮らすコアラ、ピノ
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お鼻の先がピンク色“pink nose”
で、「ピノ」
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コアラらしく、かわいらしく眠ります
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ピノはまだ1歳とちょっと
小さなコアラ
大きくなるとそのお鼻はどんな風になるのかな
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ユーカリ交換の時間
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食べてる時はこんな顔
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もっと大きく、もっともっと大きく立派なコアラになるために
毎日毎日たくさん食べていかないと
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ユーカリが無ければコアラはみんな暮らせない
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ユーカリを食べ、ユーカリと暮らす
世界のコアラ、みんなそう
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儚く強く、不思議な動物
コアラ
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美味しいね!
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目を覚ましてから少しの間ウロウロしていたお母さんのエミ
そっとピノの近くへ
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お母さんがやって来る
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お母さんが来たよ
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どうやらピノのところのユーカリが食べたかったようだけど
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すかさず甘える、そんなピノ
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このあとポッケに口を入れてミルクを貰っていました
まだまだ子供、かわいいピノ
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動いていなくても伝わる、そんなコアラの温かさ
眠っていても十分伝わる、そんなコアラの優しく儚いメッセージ
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かわいいね
コアラはほんとにかわいいね
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ピノの暮し、まだまだこれから
ピノはまだ子供、生まれたばかり
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今はただそのまま、今はただ普通に大きくなっていけばいい
ピノはコアラ、まだ小さなコアラ
お母さんにまだ甘えてる、そんなコアラ
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by bon_soir | 2017-01-11 13:05 | 埼玉県こども動物自然公園 | Comments(4)
タイチ
多摩動物公園で暮らすコアラ、タイチ
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ミライが引っ越してしまったコアラの家
ミリーさんと二人で過ごす広い家
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二人になっただけなのに、なんだか広くなったと感じるコアラの家
二人になってしまったこと───今、二人だけで過ごすこと
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夢の中のコアラは何人?
夢の中で笑うコアラは今何人?
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一人、二人、三人
三人、四人、五人、十人
百、二百、三百、五百───千人のコアラ
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夢の中のコアラは今何人───



ふと目を覚ませば新しいユーカリのいい匂い
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辺りに大勢のコアラはいなかった
千人のコアラはやっぱり夢
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夢の中のコアラ達
夢の中で笑っていた大勢のコアラ達
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夢は夢、覚めればミリーさんとまた二人
「また夢を見ればいい」
そう考えて色々なことを思い出す
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ゆっくりゆっくりユーカリを食べる
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また夢を見るために、さっきの続きを見るために
もう一度始める夢を見るための準備───
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準備が出来たら眠くなる
またすぐに眠くなる
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コアラはすぐに眠くなる
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また眠るまで、夢の中へと戻っていくまで
タイチはふと思い出す
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「どうしてミライさんは怒っていたんだろう、あのときどうして僕を叩いたんだろう───」
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「いつかまた話しかけようと思っていたのに、今度はきっと仲良くなろうと思っていたのに、お引越ししてしまったよ」
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「ミライさん、元気で過ごしているかな」
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タイチはまた夢の中、きっとすぐに夢の中
コアラの家にはミリーさんと二人
広く感じてしょうがない、コアラの家で二人きり
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by bon_soir | 2016-12-31 11:04 | 多摩動物公園 | Comments(8)