タグ:コアラ ( 164 ) タグの人気記事
ウミと赤ちゃん
王子動物園で暮らすコアラ、ウミと赤ちゃん
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去年の9月に生まれて、ポッケからつい最近出てきたばかり
まだまだ小さな、小さな赤ちゃん
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お母さんのウミ
初めての赤ちゃん
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なかなか見えてこなかった赤ちゃん
ウミはしっかり抱っこして
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ウミが動いたその刹那
赤ちゃんこぼれ落ちるよう、ふいに顔を見せてくれた
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窓から差し込む陽の光
赤ちゃん照らす暖かい陽の光
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小さなコアラ、みんな頑張りつかまるよ
温かくて柔らかい、お母さんの背中にぎゅっとつかまるよ
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きっとまだ抱っこのほうが好きなんだと思うけれど、今は背中にくっついて
おぶってもらって景色を見渡す
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窓から差し込む陽の光
遠くに見えた青い空
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ポッケの中も気持ち良かったけれど、これからこうして育ってく
大きく楽しく、お母さんと一緒に幸せに
これからそうして育ってく
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ぼんやり眺めてうとうとうとうと
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優しい背中にお母さんの愛情、たくさん感じてうとうとうとうと
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幸せ幸せ
うとうとうとうと
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小さなコアラはうとうとうとうと
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隣でウルルものんびりのんびり
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隣でウルルもうとうとうとうと
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ウミちゃん幸せ
春の終わり
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少し動けば赤ちゃんふわり
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がんばれがんばれ
赤ちゃんコアラ、がんばれがんばれ
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がんばれがんばれ
小さなコアラ、がんばれがんばれ
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がんばれがんばれ
がんばれがんばれ
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ユーカリ来たよ
がんばれがんばれ
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ユーカリの匂い、いい匂い
コアラの暮しいい匂い、大切なユーカリのいい匂い
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そっと香っていい匂い
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ウルルが隣で食べてるよ
美味しくユーカリ食べてるよ
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コアラらしく、ウルルらしく
たくさんユーカリ食べてるよ
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ウミちゃんユーカリ食べてるよ
コアラがユーカリ食べてるよ
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小さな赤ちゃん少しずつ、これからこの先少しずつ
美味しいユーカリ食べてくよ
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一緒に食べてそっと笑おう
「No tree No me」
大切なこと
一緒に食べて一緒に眠って、一緒に夢を見ていこう
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ウルルもウメも、ミナトくんにコタロウも
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何処かで暮らすアーティーも
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みんな一緒に笑顔でいよう
儚い命のコアラ達、みんな楽しく笑って幸せ傍から離さない
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今感じた幸せをぎゅっと掴んで離さないように
嫌なことを考えないで、傍の幸せどこかへ行ってしまわないように
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小さなコアラの温かさ、それはなんだか幸せの形
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ぎゅっと今は抱きしめて、絶対に離しちゃ駄目だよ
そっと優しく寄り添って、絶対に離れちゃ駄目だよ
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名前はどんなになるのかな
コアラの名前、どんなにかわいくなるのかな
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小さなコアラを見ているだけでみんなが感じる大切なこと
きっとみんなをもっと優しくしてくれる、そんなこと
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始まりは突然だったのかもしれないことだけど、ウミちゃんきっと絶対大丈夫
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いまそっと放ってる───

コアラの幸せ、コアラの優しさ───見つかる、伝わる、感じてる

───ウミちゃん、赤ちゃん、儚く健気に
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今ここで暮らしてる




   

by bon_soir | 2017-05-22 10:44 | 王子動物園 | Comments(0)
ユウキ君
金沢動物園で暮らすコアラ、ユウキ
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春と秋
気持ちがいいって誰もが感じる時期にだけ会える
そんなコアラ
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そう、ユウキ君が外にいる日は気持ちがいい日
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オセアニア区の大きなユーカリきらきら
風に揺れ、日にあたり
きらきらきらきら
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見上げるユーカリきらきらきらきら
お客さんの声はざわざわざわざわ
今日は賑やか、ざわざわざわざわ
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「そうさ、僕は今結構眠いけどね。ちょっと眠れそうにはないんだよね」
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中ではユイが眠ってる
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広いお部屋でユイ一人が眠ってる
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「大丈夫かい?」
ユイを見つめて声に出た
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春の風はそっと吹き、「少し前に出ておいで───」と静かに誘う
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あの青い空の向こう、雲より高い知らない場所へ
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───あの日越えたコアラの背中、小さな身体のコアラの背中
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眺めてふいに声になる
「寂しいじゃないか───」
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あの日と同じ青い空
輝く太陽眩しくて、眩しいことさえ悲しくて
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「まだそこに、本当はまだそこにいてくれないのか───」と見上げて探す
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お母さんから教えてもらったことのない気持ち、こんな気持ち
何度も何度も、こんな気持ち
もう大人なのに泣いてばかり
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大人だからか───
何度も何度も泣いてばかり
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「この木を登ればもっと風は強いかな、揺れる枝にそっと揺られることはできるかな───」
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「どこか遠く、もっともっと遠くまで眺めることはできるかな───」
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「一歩踏み出す勇気は出ない、そんな僕さ」
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「いつだってこうして眺めることしか出来ない、そんな僕さ」
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「春と秋、限られた日、限られた時間にしか外には出ないのに、風に吹かれ揺れる勇気も無い───そんな僕さ」
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「ユーカリだって食べるかどうか迷ってばかり」
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「美味しいはずなのにね」
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「神様、こんな僕にチャンスをくれよ」
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「みんなを笑顔にさせるチャンスをくれよ」
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「ユイちゃん笑顔にさせるチャンスをくれよ」
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「僕にチャンスを、チャンスをくれよ」
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「神様、僕にチャンスをくれよ」
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春は過ぎて夏が来る
時間の巻き戻しは誰にも出来ない
夏へ秋へ、また冬へ
馬鹿みたいに進むだけ
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朝、昼、そして夜
ただ順番と過ぎるだけ
もたもたしてたら心だけが置いてかれ、気づいた時には後悔ばかり
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「ユイ、傍に行ってもいいのかい?」
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「窓越し、僕には君の涙が見えたんだ。僕は君の手をとって、二人で散歩をしないかい?」
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「お花が風に揺れてるよ」
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「大きなユーカリ、そっと風に揺れてるよ」
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「神様、僕にチャンスをくれよ。みんなを笑顔にさせるチャンスをくれよ───」





   

by bon_soir | 2017-05-14 09:24 | 金沢動物園 | Comments(6)
バニラとユイの幸せの種
「今日も戻ってこなかった───」
飼育係さんがいなくなった夜の動物園でふと呟いた
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お姉ちゃんが一人の部屋で過ごすようになってからだいぶ経つ。私だけの広い部屋、今は薄暗さと静けさが息苦しい
わかっていた───お母さん、ハヤト、そしてワカちゃん
あの部屋で過ごすようになるとある日いつのまにか、そして急にお空の向こうへとみんな行ってしまう
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───怖くて怖くてしかたない。どんどんやって来る嫌な予感に私は脅され続けている
「大丈夫、お姉ちゃんは大丈夫」って、負けないように何度も何度も声に出してみても、またすぐにその嫌な予感に押しつぶされる
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お姉ちゃんとお別れなんか絶対にしたくない───大好きなお姉ちゃんとずっと二人、一緒に窓の外を眺め微笑んで、一緒にお散歩に出かけて笑って、二人同じ夢を見て気持ちよく眠っていたい
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優しいお姉ちゃんといつまでも、ここでのんびりいつまでも暮していたい───ただそっと暮していたい
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ふと眺めた窓の外の星空に、きらりと一つ大きな大きな流れ星
「あっ───」とただそれだけ声が出た
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“本当はもう、ドアの向こうにはもう誰も───”
怖くてずっと動けなかった私の気持ちはその大きな流れ星に気付かされ、そして急かされた
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静まり返ったオセアニア区、コアラの家
私の小さな足音だけが小さく響く
立ち止まったドアの向こうで寝息と寝言、ここの部屋はユウキ君が眠っている
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「こっちかな───」
別のドアの前に立ち、少し迷ってから静かにドアを開けてみた
私の目から涙が溢れた
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聞き慣れた寝息といつもの匂い
きっと何か夢を見ているんだろう───時々その小さな口を動かしてお姉ちゃんは一人眠っていた
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「来たよ、お姉ちゃん」
私は眠っているお姉ちゃんを起こさないように気をつけて隣に座り、むにゃむにゃと動く小さな手をそっと握った───
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「おはよう」
今日もちゃんと朝が来て、飼育係のお姉さんの顔を見ることが出来た
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この小さな部屋で過ごすようになってどのくらい経ったんだろう
もう何日もユイの顔をずっと見ていない
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ユイは今何をしているんだろう
大きな部屋で一人、静かに窓の外を眺め、怖くなればユーカリにの中へ逃げ込んで、毎日きっと寂しくしている───
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ずっと一緒に暮らしてきた私、ユイの気持ちはどんなことでもよくわかる
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今すぐユイの傍へ行きたいけれど、なんだか身体が上手く動かない
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ここで過ごすようになったときからわかっていた
───そう、私は病気になってしまったんだ
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朝が来て段々と明るくなるオセアニア区、大きなユーカリの木の向う側へと沈む太陽───そして晴れた夜の明るい月とたくさんの星
この部屋からはどれも眺めることが出来ない
小さな窓から小さな景色がみえるだけだ
私はその景色を好きになれなくて、小さな窓の向こうを見ないようにしていた
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飼育係のお姉さんの「おはよう」で朝に気がつき、「また明日ね」という優しい笑顔でまた夜になることを知る
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“夢を見るための準備”はあまり上手く進まない
ぼんやりといつのまにか眠りについた私が見る夢は昔の風景、そして楽しかった思い出のことばかり
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───しかたない
病気になってしまった私、ずっと待っていた春の風景をまだ見ていないのだから
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「春、終わっちゃうね」と、チューリップのお花が風に揺れる様子を頭のなかに描いてふと呟いた
ユイと一緒にお花を見にいくこと、今年はこのまま出来ないかもしれない
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───ごめんね、ユイ
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「おはよう」とドアは開き、また変わらない朝が来る
飼育係のお姉さんは一日に何度も何度も様子を見に来てくれて、そのたび優しい笑顔を見せてくれる
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お姉さんの言葉に耳を澄まし、ふと思う───私はちゃんと笑顔を返してあげられているのか
それが気がかりだった

日に日にぼんやりとしていく私
“自分が今どんな顔をしているのか”、それがわからないでいた
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精一杯、一生懸命に精一杯、だから私は笑顔を作る
私が笑顔なら、コアラが笑顔なら───動物達が笑顔であったなら
きっとみんな笑顔になれる、みんなの笑顔で優しく温かくなっていく
動物園ってきっとそんな場所
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飼育係のお姉さんの笑顔を見ていつだってそう思っていた
悲しいことがあった日もそうして毎日少しづつ、私は素敵な笑顔に元気を貰っていたから
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お母さんの笑顔を思い出す
ワカちゃんとハヤトの笑顔を思い出す
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少ししかないお父さんの思い出も頭の中に浮かんでくる
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みんなの声が聞こえてくるようだ
小さく、時々はっきりと楽しいコアラの声が聞こえてくるようだ
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なのにユイは今一人、きっと一人
「ごめんね、ユイ」と声に出すと涙が一粒、また一粒とこぼれていくのがわかった
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気がついていた
───私がみんなの所、“お空の上”へといく日が近づいている
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病気になること
それは悲しくて悔しくて、そして凄く怖いことだ
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私はコアラだった
どんなときでも眠くなる、いつのまにか眠っている
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必要だった眠ること、大好きだった夢の中
今は不安でしかたない
一度閉じた目はまた開くのかがわからない、「おはよう」って声をまた聞くことが出来るのか───
今は不安でしかたない
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夢の中でユイに会う
泣いてる私の傍へ来る、そっと傍へ来てくれる
一緒に暮らしてきたあの日のように、ユイは私の傍へ来る
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夢の中のユイが私の手をそっと握る
あったかくて柔らかい、私はゆっくり目を開く
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「お姉ちゃん───」

「ユイ───」


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「おはよう」
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その日からユイは毎日来てくれるようになった
飼育係のお姉さんが帰ればすぐにドアを開け、朝日が登りだせばそっと静かに帰っていく
そんな日が何日か続いていった
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ユイの話に頷いて、ユイの笑顔で私も微笑む
怖い気持ち、不安な気持ちは少しずつ少しずつ、そっとどこかへ消えていった
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ユイは私の妹、たった一人の大切なかわいい妹だ
今までも、これからもずっとずっと変わらない
ユイは私の妹だ
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一度お別れをする日のことはもう怖くない、もう不安じゃない
ただ寂しく、ただ悲しいだけ

ただそれだけだ
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本当はいつまでもこの優しい日々が続いて欲しい
ただそれだけだ
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───私はいつものようにお昼寝をして、またユイが来る夜を待っていた
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新しいユーカリの匂いでふいに目を覚ます
ゆっくりと目を開けると飼育係のお姉さんの目に涙が溜まっているのが見えた
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「泣かないで」
そう言ったつもりだったけど飼育係のお姉さんに私の声は届かなかったみたいだ
ほっぺを涙がつたっていき、ぽたりとそのまま床へ落ちる
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「私は元気、こんなに元気だよ」と、そう言いたいのに上手くしゃべることが出来ない

───食べてるところを見ればきっと安心してくれる
そう思った私は新しいユーカリに手を伸ばす
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「おかしいな」
力が入らない
ユーカリをいつものように上手く掴むこと、それが私にはもうできなかった
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それからはもう眠くならなかった
私は今まで好きになれなかった小さな窓から外を眺め夜を待ち、そしてユイが来るのを待った

───お母さんの声がどこからかずっと聞こえてきている
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「よくがんばったね、バニラ。本当によくがんばったね」
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声がするたび私は頷き、頷くたびに涙がこぼれる
夜が来るのはあっという間だ
空はまた暗くなる

「お姉ちゃん───」
いつものように笑顔のユイがドアを開ける
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「ユイ───」
涙を手でぬぐい大好きな名前を言葉にすると、少し温かい気持ちになった
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───大丈夫、私もユイもきっと大丈夫
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「ユイ、今日はお願いがあるの」


「何?なんでも言って」
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「ヒロキさんの家に“旅の箱”が置いてあるのは知ってるよね。その中にミモザの種が置いてあるの。去年の夏にヒロキさんの庭で拾って集めて入れておいた種が内緒で置いてあるの。それを取ってきて欲しいんだ」
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「大丈夫、私はここで待ってるから。ユイが戻ってくるのをここで待ってるから、ね───」
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「───あった、ミモザの種。お姉ちゃんが言ってたのはこれだ」

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「取ってきたよ、お姉ちゃん。これのことでしょ───」
ユイは少し息を切らしてバニラの待つ部屋へと戻ってきました
手には一掴みの“ミモザの種”
去年、ヒロキの庭のミモザが落とした種でした
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「これ、どうするの?」
そう訊くユイにバニラはそっと微笑み、そのミモザの種を受け取り半分に分け、そっとまたユイに渡しました
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「ユイ、今から言うこと、少し聞いて───」
バニラはユイの目を優しくそっと見つめ、ゆっくりと話を始めました
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「ユイ、今渡したミモザの種をどこかに蒔いてお水をかけてみて。そう、陽の当たる所がいい。いつか芽を出し伸びていきお花が咲く。あの黄色いお花が咲いてくる。ただヒロキさんのミモザのように大きくなって木になるには何年も何年もかかるはず。木が大きくなるにはたくさんの時間がかかるの。動物園にある大きな木、みんな長い時間をかけてあれだけ大きくなった。動物達みんなが木陰で休めるくらい大きくなった。凄いでしょう、大きな木は長く長く生きてるの。この種、半分は私が蒔く。お母さん達と一緒に、お空の上の方でね───」
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「そう、私はお母さんとお父さん、そしてワカちゃんとハヤト、そしてヒロキさんの所へいかなければいけない時が来た───」

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「そんなの嫌だよお姉ちゃん、私も一緒に───」

「駄目、絶対に駄目だよ。お母さんも言っていた、自分から望んじゃ駄目なこと、絶対にいけないことがある。いつになるのか、どんな風になるのかは誰にもわからない。今の私のようにその日が来るまで、その日が来るまでただ毎日のんびりと頑張って、ここで暮してみんなと笑顔でいなければいけないんだよ。もし自分でお空へ行こうとしてしまったら、きっと私達に会うことは出来ないんだよ。ユイ一人どこか変な所へたどり着いてしまうんだよ。そんなの私は嫌、またいつか大好きなユイに会いたいよ。みんなでユイを迎えたいよ。またみんなで笑いたいよ。わかって、ちゃんと───」
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「だからね、ユイはミモザが種から大きな木になるまでを見ていくの。さっきも言ったとおり何年も何年もかかること。それでも途中で止めちゃ駄目だよ。大きく育ってたくさんのお花が咲くのを見ていないと駄目なんだよ。私はお空の上で同じように種を蒔き、お花が咲いて大きな木になっていくのを見ているよ。最初に芽が出てきたら同じように芽が出たかなって考えて、最初にお花が咲けばユイのミモザも咲いたかなって笑顔になれる。何年も何年もずっと先、ずっとずっと先のこと、立派な大きい木になれば───そろそろユイに会えるかなって涙を流すことができるでしょ───」
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「ユイ、大丈夫だよ最初のお花が咲く頃にはきっとお友達が増えてるよ。木になって、木が大きくなってたくさんのお花が咲く頃になればこのコアラの家も賑やかになってるよ───今こうして分けたミモザの種は私達二人の幸せの種。コアラの未来へ続く私達二人の幸せの種。みんなをきっと笑顔にしてくれる、そんな種は幸せの種───」
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「わかったよ、お姉ちゃん───」
バニラが別の部屋で過ごすようになってからずっと溜めていた涙をユイは一度に溢していました
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バニラは何度も何度もユイのほっぺをぬぐっても涙はどんどんあふれ、ぜんぜんぬぐいきれません
「泣きすぎだよ」
バニラは優しく微笑み、そしていつのまにか溜まっていた涙を同じようにあふれさせました
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二人はいつまでも涙を溢し続け、バニラはユイを、そしてユイはバニラを優しくぎゅっと抱きしめて二人最後の朝を迎えました
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「行かなくちゃ」
そう一言小さく声に出し、そしてバニラはミモザの種を自分のポッケにしまって部屋のドアを開けました
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明るくなり始めた空の不思議な色、綺麗な光はドアの隙間をそっと抜け、バニラを温かく包みます
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光に照らされたバニラはの身体はユーカリの葉っぱを掴むことが出来なかったことを忘れてしまうほどに動くようになり、足は自然とオセアニア区の大きなユーカリの木の方へと向います
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ユイは何も言わずバニラの後ろを歩き背中を見つめ、バニラと過ごした日々のことを思い出していました
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どんなことでも頭の中へ浮かび、そっと心の奥へとしまわれていきます
悲しいこと寂しいこともたくさんあったコアラの家での二人の思い出
いつだって二人一緒に泣いて、笑って過ごした大切な思い出はきっと忘れることがありません
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「ポッケの中のミモザの種は幸せの種。きっと大きく育ってく───」
あと少し、これからは離れてしまう二人
一緒に芽を出し長い時間をかけて大きく育っていくミモザの木
きっとそれは二人の心を繋いだままにしてくれると信じ、種の入ったポッケをそっと触り、ユイはふと“種の源”ヒロキの庭のミモザの木を眺めました
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夜の間は気がつかなかった風景───
朝日の中で見たミモザの木は満開に咲いていました
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本当ならもう花も終わっているはずのミモザの木は眩しく、黄色く輝き、ヒロキがまだ暮していたあの頃のように立派な枝を風に揺らせていました
バニラを少しでも明るく送り出すために“ヒロキがかけてくれた魔法”だとユイは信じ、「ヒロキさんらしいな」と小さく呟き、どんどんと前を行くバニラを早足で追いかけました
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「お姉ちゃん、待ってよお姉ちゃん」
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「たんぽぽだ。たんぽぽは咲いてるんだ。今年もこんなにたくさんかわいらしく咲いているんだ───」
大きなユーカリの木に向かう途中でたくさんのたんぽぽが咲いていることに私は気がついた
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どこにでも咲いている花だけど、どこで出会っても優しさをくれる花、たんぽぽ
私はたんぽぽが大好きだった
「───きっとお母さんも、ワカちゃんとハヤトも、ヒロキさんはもちろんのこと、お父さんも大好きなんだろうな」
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かわいらしく咲いているたんぽぽの傍に綿毛を見つけた
まだ丸い綿毛、少し欠けた綿毛───色々なたくさんの綿毛

綿毛は風に乗り色々な所を旅して回る
そしてお気に入りの場所を見つけて、またお花を咲かせるんだ
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「よかったら私と一緒に来てくれない?」
綿毛にそうお願いをした
出来ることなら私の傍でも咲いていてほしい、みんなの傍でかわいらしく咲いていて欲しい
そう思った
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すると一本の綿毛がこくりと頷いた
ただ春の風に揺れたってわけじゃない、本当に頷いてくれたんだ───
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「痛かったらごめんね」
私は頷いてくれた綿毛をなるべく優しく切り取った
そして潰れてしまわないようにそっとポッケの中へとしまった
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「後はあの木に登るだけだ」
一本の大きなユーカリの前で立ち止まり、幹や枝、そして葉っぱの形をよく確かめた
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間違いない、この木を登ってお母さんは旅立った
あの時途中まで追いかけたからちゃんと覚えてる
この大きなユーカリは雲の上、もっともっとずっと上まで伸びている
───金沢動物園のコアラのためのユーカリだ
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「ユイ、寂しいけれどここでお別れ。一度さよならだよ」
私がそう伝えるとユイはやっぱりまた泣き出した
でも大丈夫、もうユイはちゃんとわかっている
このお別れはどうしてもしかたないことを、そしてまたいつか会える日が来るということを
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ユイの涙は止まらない
ぼやけて何も見えなくなりそうなくらい涙は溢れ続けていた
「動物園が始まっちゃったら大変だから私は行くね」と言うとユイは泣きわめいたまま何度も何度も頷いた
今では私よりも身体の大きなユイ、そのときだけは何故かとても小さく見えた

───私達が一緒に暮らし始めたあの日のように
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「ありがとう」
私は最後の言葉をユイに言う
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「ありがとう」

それが金沢動物園、オセアニア区でユイから聞いた最後の言葉だった


オセアニア区の大きなユーカリの木を登っていくのは簡単なことじゃない
普段よりもずっと高く伸びているユーカリの木だ、何故か身体は疲れないけれどやっぱり時間はかかる
ただ上を見て登っている間にはたくさんの思い出が青い空に浮かび上がってきてくる
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楽しい毎日だった
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本当に楽しい毎日だったんだ
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楽しかったね、ユイ
ユイは私の妹、これからもずっと、ずっとかわいい私の妹
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楽しかったよ、ユイ
毎日毎日本当に、本当に楽しかったよ
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思い出した───お母さんのポッケ、あったかかったな

一番あったかい場所
私はそこへ行くのかもしれないな───
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───お姉ちゃんが大きなユーカリの木を登っていく
私はあの姿を忘れない、絶対に忘れない
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登ってきた太陽が眩しい
けれど目を離しちゃ駄目なんだ
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窓の向こう、段々と遠くへ飛んでいく鳥たちは一度でも目を離すともう二度と見つけることは出来なかった
きらりと光る飛行機だってそうだった
一度でも目を離しちゃ駄目、特に大切なことからは絶対に目を離しちゃ駄目なんだ
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「ありがとう」
私はお姉ちゃんにそれだけしか言えなかった
もっともっとたくさん伝えたい事があったはずなのに「ありがとう」ただそれだけだ
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お姉ちゃんが青い空に溶けていく
オセアニア区を離れ、空の向こうへだんだんと
だんだんと青い空に溶けていく

一度お別れ、さよならだ
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「お姉ちゃん、今まで本当にありがとう」
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「ありがとう」は不思議な言葉
みんなを笑顔にさせる、そんなことば「ありがとう」

「ありがとう」は別れの言葉
綺麗な涙をみんなにそっと落とさせる、そんな別れの言葉

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「ありがとう」は大切な言葉
心を込めて伝えればただそれだけでも大丈夫
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「ありがとう」


「ありがとう」
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バニラ、今まで本当にありがとう
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「あっ、お母さん」
お空の上で最初に出迎えてくれたのはやっぱりお母さんだった
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何も言わずただ笑顔で私のことをぎゅっと抱きしめる
懐かしい匂いと懐かしい温かさ
やっぱり私はお母さんの子供だ───
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綿毛をそっと取り出して、コアラのポッケからそっと優しく取り出して
まん丸欠けてしまわないよう丁寧に、そっと優しく取り出して
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綿毛にふーっと息を吹きかけて、一人一人が旅の空
春の風にすーっと吹かれて思い思いに旅の空
オセアニア区へアメリカ区へ、ユーラシア区、アフリカ区そしてほのぼの広場のみんなの所へ
一人一人が思い思いに旅の空
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バニラのことを好きだったみんなの所へ優しさ持って旅の空
コアラを好きなみんなの所へ愛情込めて旅の空

優しい春風、綿毛をそっと
お空の上のみんなの所へ───
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バニラ
大好きなコアラ

金沢動物園で暮らしたかわいいコアラ
みんなのバニラ
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by bon_soir | 2017-05-10 23:42 | 金沢動物園 | Comments(10)
バニラのお知らせ
金沢動物園のコアラ、バニラが遠く高くへと旅立ってしまいました
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こちらがリリースです→☆☆☆☆☆
大好きだったコアラ、テルちゃんの初めての子供として生まれたバニラ
もちろん私にとってはとても大切な存在、いつしか凄く大きな存在になっていました
そして私だけではなく多くの方に愛されていたコアラでした
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体調不良で非展示となってから覚悟をしつつ奇跡信じ祈っていましたが、やはりリンパ腫というのはどうしてもコアラの命を奪っていきます
先月誕生日を迎えたばかりのバニラ、まだ6歳
やっぱり早すぎます
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今はただ
「さようなら」と「ありがとう」
そして「もっと早くみんなの声を聞いてあげられなくてごめんね」としか言えません

バニラ、本当にごめんなさい


※しばらくブログの更新をお休みします

このブログのバニラのタグが付いた記事→☆☆☆☆☆
コアラのタグが付いた記事→☆☆☆☆☆




by bon_soir | 2017-05-03 07:04 | 金沢動物園
ユイと春の願い
金沢動物園で暮らすコアラ、ユイ
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春が終わってしまったかのような暑い日、それは初夏のような眩しい陽射し
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あのミモザも花も散りだして、ヒロキがいれば今頃きっと食べて歩いてる
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そんな速い季節の流れに置いていかれないように、急いでたんぽぽ咲き出した
春のそんなオセアニア区
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楽しい季節のはずなのに、今ユイは部屋に一人
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大好きなお姉ちゃん「バニラ」は今、別のお部屋で過ごしていました
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どんなにお客さんが賑やかにしていても、かわいいお花がどんなにたくさん咲いていても
コアラの家はとても静か
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仲良しの二人、ずっと一緒に暮らしてきた二人が揃わなければ楽しいコアラの歌は聞こえてこない

一人寂しい思いの中で健気に過ごし、寂しそうに時々微笑むユイ
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今はただ、バニラがまた戻ってきてくれる日を信じ、色とりどりでも寂しい春を、なぜか無表情で進む季節の流れを涙こらえて眺めていました
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「ポッケの中のどんぐりはいつも私に微笑みかけてくる───そう、お姉ちゃんがくれたあのどんぐりがそっと優しく」
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「部屋に一人でいること、ここがこんなに静かでこんなに寂しくて、そしてこんなに心細いなんて知らなかった」
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「私の傍にはいつだって笑顔があった。今までずっと優しい笑顔に励まされていたんだ」
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「コアラの笑顔にずっと、そっと励まされてずっと───」
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「飼育係のお姉さんにお姉ちゃんのことは聞けないよ。だって怖くてしかたない」
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「何も聞けないよ、怖くて怖くて何も、何も聞けないよ」
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「お姉ちゃん、今どうしているのかな。いつものように笑っているのかな。今頃夢でも見ているのかな」
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「こうして優しく抱っこして貰っているのかな」



雲のない空はどんなに晴れていても何故か寂しい
風が無ければ木はささやかない、自然の声は聞こえてこない
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そんなどこか居心地悪い春の日
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ユイは一人コアラの家からそっと抜け出し、思い出の場所へと歩いていきました
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それはバニラと二人、まだまだ小さかった頃に出かけた場所
───アメリカ区の小さなロッキーマウンテン
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楽しくわいわいと騒ぎながら歩いていったあの日と違い、遠く感じるアメリカ区
長く感じる一人の時間
ユイはただ前を見つめ頭にバニラの顔を思い浮かべ、そしてできる限りの早足で向かいました
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「お姉ちゃんと見たあのチューリップ達に会いたい───力強くそっと伸びてころりとふわっとかわいく咲く、あのチューリップ達に会いたい」
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「きっと今頃、きっとあそこで咲いているはず───きっと、きっとそう」
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静かな静かな金沢動物園
アメリカ区に着いたユイをそっと眺める動物がいました
プロングホーンのブッチです
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ロッキーマウンテンのショートカットの階段を一段一段登っていくユイを見つめ、ブッチはなんども頷くように優しく微笑みました
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「───ユイ。そうだ、お花は今綺麗に咲いている。かわいい女の子を笑顔にするように一生懸命に咲いている」
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「まるで君のことを待っていたように、たくさん咲きだし、そして揺れているんだよ」
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「そうだ、そこに咲いているだろう、あそこにもあっちにも、みんな咲いて君を待っていたんだよ」
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「みんな揺れて笑っているだろう───ここには風が吹いている。小さなロッキーマウンテンにはいつだって風が吹いている」
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小高い丘にたくさんのお花、優しく咲いたチューリップ
みんなユイに話しかけているようでした
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春の風に花は揺れ、会いに来た動物達もみんな一緒に微笑んで
春の優しさ楽しさそっと伝え、また来年と希望をつなぐ
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「ありがとう。そしてお願い───」
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ユイは花と一緒に風に吹かれ、話をしながら一緒に揺れ
溢した涙は土に染み、それを眺め自然の優しさいっぱい感じ───
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いつのまにか小さな笑顔を取り戻したユイ
「また来るね───」とそっと手を振り、小さなロッキーマウンテンを後にしようと階段を降りていきました
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「ユイ」
呼ぶ声の方を振り返ればそこにはブッチ
プロングホーンのブッチがユイに声をかけました
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「ブッチさん。お昼寝かと思って声かけなかったの。こんにちは、なんだか久しぶりになっちゃった」
ユイはブッチの傍へ行き、まだ少し涙のあとが残る笑顔でそっと腰掛けました
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「バニラの様子はどうなんだい」と心配するブッチに「お姉ちゃんはきっと大丈夫」と自分にも言い聞かせるように話し、ポッケの中のどんぐりを見せてもう一度微笑みました
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「お花を、チューリップを眺めてたら元気になった。ここは風も気持ちがいいね」
そう話すユイにブッチはそっと頷きました

「バニラにお花を摘んでいってあげたらどうだい? バニラも元気が出るかもしれない」
ブッチはユイに微笑みます

「それは、駄目。きっと駄目なの。お姉ちゃんもきっと喜ばない」
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「お花を見ること、触れることは本当に優しいこと、素敵なこと。でも今ここで摘んでいったらきっとすぐに萎れてしまう。ここで風に吹かれながら咲いていればもっともっと大勢の動物達に会うことができる。もっと長い時間かわいく咲いていられるよ。お姉ちゃんもきっとすぐに気がつき、そう考えるはず。お姉ちゃんとお花を見にいった時同じようなこと、もっと優しくそう言っていた。私は優しいお姉ちゃんに優しいことを教わった。大切なお姉ちゃんに色々なことを教わってきた。お花達には元気になったお姉ちゃんと一緒にまた見にくる、会いに来ることにしたの。だからさっきお花に、神様にお願いしたの───お姉ちゃんが元気になりますように、って───」
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「そうか、そうだな。それがいい。ユイ、君達は優しい───本当に優しいね」
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願いをこめて過ごすこと
願う前に想い、心に抱いて毎日過ごすこと
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それはきっと辛く寂しく、大切なこと
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みんな誰かに寄り添い優しさ貰って生きていく
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お花、植物、土、大地
風と太陽、全ての自然
───自然と自然に力を貰って生きている

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楽しい時、上手くいっているように感じている時
心がはしゃぎ浮かれている時
見えなくなっていること必ずある
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どんなに好きだと思っていてもどんなに大切だと考えていても、動物達にはいつでも会えるわけじゃない
いつまでも会えるわけじゃない
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動物達を想うこと、大切だというのなら日々忘れずに想うこと
それからはじめて願うこと、願い続けるということ
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願うだけなら叶わない

大切なことなのに忘れてる
大変なことが起こるまで気がつかない


「帰ろう。オセアニア区へ」
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「お母さんの写真が待つ、あのオセアニア区へ早く帰ろう───」
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「私達はコアラ。金沢動物園で暮らすコアラ」
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by bon_soir | 2017-04-20 07:00 | 金沢動物園 | Comments(12)
がんばれコアラ
多摩動物公園で暮らすコアラ、タイチ
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大きなお部屋の一人暮らしはまだまだ続く
少し寂しいかもしれないけれど、今はタイチに頑張って貰うしかない
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人は動物達にお願いしてばかり
先のことのためにお願いしてばかり
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「がんばれがんばれ」
わりと勝手に応援して、わりと勝手に期待してばかり
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動物達は健気に頑張って、動物達はただ健気に人の傍にいてくれる
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ほとんどの場合何も言わず、そっと傍にいてくれる
タイチも今ここで、今は一人
───そっと傍にいてくれている
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「かわいいね」
そんな声はタイチまで届いているかな
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「かわいいね」
そんな声をタイチはどう思っているのかな
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コアラが動けばみんな言う
「かわいいね」ってみんな言う
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そう、コアラはかわいい
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今、ここで一人暮らすコアラ
タイチは健気に人に顔を見せ、コアラ館を守ってる
ガマグチヨタカ、フサオネズミカンガルー、フクロギツネ、フクロモモンガ、みんなの力を借りながら
コアラ館の温かさ、タイチは一生懸命守ってる
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温かく見守るそんな気持ち
がんばるタイチに伝えることができるもの、できそうなもの
やっぱりただそれだけ
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でもきっと大切なただそれだけの温かい気持ち
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こうしてかわいい顔を見せてくれているときもコアラ
ぐっすり眠って動かないときも、タイチはもちろんコアラ
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大切なのはそっと見守る優しい気持ち
温かい心
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がんばれがんばれ───
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「言われなくても頑張ってるよ」って怒られちゃいそうだけど、それでも思う
───がんばれがんばれ
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がんばれタイチ
がんばれがんばれ、タイチがんばれ
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がんばれコアラ
がんばれがんばれ、コアラがんばれ
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飼育係さんもすごく忙しそうに、今できることを頑張ってくれている
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勝手にごめんね
でもがんばる動物達にかけてあげられること
一人暮らす、過ごしているコアラ達にかけてあげられる言葉は一つ
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───がんばれコアラ、がんばれがんばれ
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タイチ、今はここで一人
優しいタイチ、一人今は人の傍
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一人のんびり人の傍
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今日のユーカリどうだろう
美味しいのかな、そうでもないのかな
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大丈夫だね、美味しいね
春のユーカリ、ふんわりやわらか陽射しを受けて美味しくなった
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“NO TREE NO ME”
きっと大丈夫
どこかでユーカリ、どこかでどんどん伸びている
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心配しないでたくさん食べて
美味しいユーカリたくさん食べて
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美味しく食べてあとはのんびり
うとうと眠る、ぐっすり眠る
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長い長い夢を見る
楽しい夢をきっと見る
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今日の夢はどんな夢
コアラの夢はどんな夢
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今日も応援、人は少し勝手に今日も応援
がんばれがんばれ
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いつも応援、わすれないでどんなときも
がんばれがんばれ
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がんばれコアラ
がんばれがんばれ
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“いつかきっと”をただ信じ、かける言葉、かけてあげられる言葉はがんばれがんばれ
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がんばれコアラ
がんばれがんばれ
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がんばれがんばれ
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がんばれユイ
バニラはきっと大丈夫
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───がんばれがんばれ





   

by bon_soir | 2017-04-15 13:04 | 多摩動物公園 | Comments(6)
タイチと広い部屋
多摩動物公園で暮らすコアラ、タイチ
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ミライが埼玉へ行き、ミリーが遠く高い所へと旅立ってしまった
そんなコアラの家
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今は一人
広い部屋でタイチ一人
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タイチ一人夢の中
夢の中ならみんなに会える時がある
眠ればいいと一人思う
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広い部屋
広すぎる部屋
春が来たこと、話す相手が今はいない
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「こんなに広かったんだ───」
僕は呟いた
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三人から二人
二人から一人
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ミライさん、早く戻ってきてくれないか、と思うのは僕のわがままなのか
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今僕はどこの部屋でも自由に使える
橋がかけてあるからね
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壁の上をささっと通過
簡単だよ
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一人で過ごすことが好きな人
いると思うよ
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でもね、一人で過ごすことと一人ぼっちなのは違うんだ
わかるだろ?
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ミライさんは帰ってきてくれるかもしれない
でもミリーさんの温かさは帰っては来ないんだ
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寂しいね
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広い部屋に僕は一人
今はただ一人ぼっち
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ああ、そうだ
今この部屋は広すぎる、よ
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コアラの家に遊びに来ないかい?
僕の所へ、僕に会いに来ないかい?
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静かにそっと暮す僕だから
静かにそっと会いに来てくれよ
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静かに僕と話そうよ
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コアラの家に遊びに来ないかい?
僕の所へ、僕に会いに来ないかい?
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きっとまた賑やかな部屋になる日が来るよ
みんなが僕に会いに来てくれたらね、また賑やかなコアラの家族に会えるようになるよ
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静かにそっと暮す僕だから
静かにそっと会いに来てくれよ
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騒々しいのは苦手だよ
静かに僕と話そうよ
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ミライさんのこと、待っててあげて欲しいんだ
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ミリーさんのこと、覚えていてあげて欲しいんだ
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僕はここにいる
広い部屋だ、どこかにいるから探してね
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コアラの家に遊びに来ないかい?
僕の所へ、僕に会いに来ないかい?
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静かにそっと暮す僕だから
静かにそっと会いに来てくれよ
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今日もユーカリが美味しいよ
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夕方が来て夜になる
誰もいないコアラの家は本当に静か
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夏が来れば虫の声が聞こえてくるのかな
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誰かと話す
大切なことだ
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一人になればきっとわかるよ
そんな簡単なことが、ね
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広い部屋に僕は一人
今はただ一人ぼっち
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一人ぼっちの春が来た
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by bon_soir | 2017-03-11 14:21 | 多摩動物公園
ユイのポッケにどんぐり一つ



金沢動物園で暮らすコアラ、バニラとユイ
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ずっと一緒、くっついて暮してきた二人
お姉ちゃんのバニラ、そして妹のユイ
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今、同じ家のままだけど少しだけ距離は離れ、二人はのんびりのんびり
のんびりと暮らす毎日
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時々は前のように肩寄せあって小さな声で話をする
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そんなバニラとユイ、オセアニア区のコアラの家
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悲しいこと(☆☆☆☆☆)があってからずっと涙をこぼし続けてきたユイ、いつも傍にいたバニラ
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オセアニア区の大きなユーカリに見守られる動物達の誰も気が付かない小さな物語
誰よりも優しいコアラ“バニラ”の誰も知らない物語
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「ユイは私の大切な妹───ユイが笑って私に話すこと、私がいつでも笑顔になれるそんなこと」
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───あの日からユイの笑顔は変わった
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今までよりももっともっと輝いて、もっともっと幸せそうな優しい笑顔
何度もあった悲しいことをそっと優しく包んでやわらげる、そんななにより素敵な笑顔───

それは“お母さんの笑顔”と一緒だった
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ユイはそんな笑顔で私に言う

「お姉ちゃん、ポッケの中に赤ちゃんが入っていった」
「お姉ちゃん、ポッケの中の赤ちゃんが少し大きくなってきた」
「お姉ちゃん、ポッケの中の赤ちゃんがもぞもぞ動いてるよ」
「お姉ちゃん、ポッケの中の赤ちゃんが小さな小さな小さな小さな声を出した」
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ユイは幸せそうだった
飼育係さんもお客さんもみんな、みんなが笑顔で、みんながユイを眺めていた

でもある日、ユイからそんな笑顔が消えた

「お姉ちゃん、ポッケの中の赤ちゃんが動いていないの───」
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「眠っているだけだよ。コアラだもん、長いこと眠っているだけ───」
私の言葉を遮るようにユイは何度も首を振った
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「お姉ちゃん、言わなかっただけ。もうしばらくこのまま、このままなんだ───」
ユイの目から最初はぽろぽろと、そしていつのまにかたくさんの涙が溢れ出していた

気がついてからもしばらくユイは頑張って笑っていたんだろう
みんなを心配させないように、もう一度動き出すと信じて───明日にはまた心から笑えるように
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しばらくして飼育係さんがユイのポッケの中をそっと覗く
ユイは飼育係さんの顔を見ようとはしないで遥か遠くを眺めていた
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飼育係さんは手で顔を覆い肩を落とし、ふらふらと戻っていく
私の心が悲しさでいっぱいになっていく
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ユイにもそれは伝わった、きっとわかってしまった
本当は最初からわかっていたことを、もう一度確認してしまっただけのことなのかもしれない
泣いてない、もちろん笑ってもいない
ただ一言呟いた
「お母さん、私はお母さんのようになれなかった、みたいだよ」

ユイから表情が消えてしまっていた───
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そのまま時間は過ぎていく
楽しいことがあっても悲しいことがあっても、時間だけはどんなときでも変わらず過ぎていく
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夕暮れオセアニア区が夜へと変わる
冬の始まり夜空には、冬の星座とたくさんの星
青い夜空を飛んでくる、青い羽の一羽の鶏
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ユイのポッケをちょっとつつく
優しくそっと、ちょっとつつく
そんな不思議な青い羽の不思議な鳥
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今が何時かなんてわからない
星空見えても昼なのか、青空見えても夜なのか
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ユイのポッケがぼんやり光る
小さな小さな、小さなコアラがポッケの中から顔を出す
青い羽の鳥の背中にそっと乗る

小さなコアラ、ユイの赤ちゃん
儚くそっと笑ってる
聞き取れない、声にもならない小さな声でユイに言う
口の動きを見ていればすぐにわかる

「あ り が と う」

私の目から涙が溢れる
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ユイに声をかけたけど、私はちゃんと喋れなかった
言ってあげたいことがあったのに、私はちゃんと喋れなかった
きっとユイには何も聞こえていない
ユイはただぼんやり空を見上げ、もう枯れてしまっていた涙の最後のひと粒をぽろりとこぼした
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ぱたぱたぱたぱた
小さなコアラを背中に乗せて青い羽の鳥が飛んで行く
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大きなユーカリの大きな枝の間を抜けて、オセアニア区の上でぐるっと大きく一回り

ぱたぱたぱたぱた、ぱたぱたぱたぱた
ふわっと浮かぶ白い雲の上まで、青空の中、星空の中へ

ぱたぱたぱたぱた
小さなコアラを背中に乗せて青い羽の鳥が飛んで行く
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「ユイ、ユイはちゃんとお母さんだよ。その子の大切なただ一人のお母さんだよ───」
私はさっき言ったことをもう一度言った
でもユイにはまた届いていない、きっと届くはずがない

お腹のポッケが空っぽになる、考えてもなかった出来事でポッケの中には何も無くなってしまう
きっと、そんなに悲しいことは他にない

ユイは疲れたのかいつのまにか眠っていた
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ユイが見る夢どんな夢───
コアラのお母さんが見る夢どんな夢───
小さな赤ちゃん抱っこする、小さな赤ちゃんおんぶする
風に吹かれて木に揺れて、二人で笑って二人でお昼寝
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ユイが見る夢どんな夢───
コアラのお母さんが見る夢どんな夢───
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あの日からユイに私は話しかけることが出来ないでいた

ただ毎日お願いだけをしていた

「ユイを守ってあげてね、お母さん───」
オセアニア区の大きなユーカリの木よりももっと上を見つめ、どこかで見守ってくれているお母さんにただ毎日お願いをして過ごした
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「お姉ちゃん、なんでコアラにはポッケがあるの?」

クリスマスが近づいたある日、ふと遠くを眺めながらユイが言った
ユイの方を見ると目に涙が浮かんでいる
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「ポッケ、無くてもいいよね」

ユイの声はどこか冷たく、かわいい顔は涙に濡れ、そしてその日は少しも動かず少しもユーカリを食べなかった


「ユイ、駄目だよ───思い出してよ、私達のお母さんのポッケのことを。あの温かくって柔らかくって優しくて幸せだった、あのポッケのことを思い出してよ───」
そう言えばいい、と思っても言葉に出来ない
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私にはユイの気持ちがよくわかる
そして勇気の出ない私は弱虫だ
大切な妹一人励ましてあげることが出来ない
あの日からずっと、私はずっと弱虫コアラだった
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元気がないユイを見ていると何かしなくちゃって思う
それはユイのためかもしれない、弱虫コアラのままの私のためなのかもしれない

「───お母さん、ヒロキさん」
大好きだった二人の顔がぼんやり浮かぶ
私は外へのドアをそっと開け、ヒロキさんのお庭へと歩いた
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「何も変わってないね、ヒロキさん
涙で霞むヒロキさんの庭、そしてヒロキさんの写真を眺めているとふと小さく声に出た
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すると今にも開きそうなドアの向こう、中庭から声が聞こえたような気がした
「ヒロキさん? ヒロキさんなの?」

少し隙間の出来たドアの向こうにそっと浮かぶヒロキさんの顔
それが本当のことなのか、私の頭の中だけのことなのかはわからない
変わらない、優しいヒロキさんが今目の前にいる
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(バニラ、君は優しいコアラ、コアラの女の子だ。そしてみんなが言うとおり少し不思議な不思議コアラ、昔からそうだろう。ユイのために出来ること、当たり前のことばかり考えていたってしかたないよ。君がすること、なんでもみんなを楽しくさせてきた。想像力だ、バニラ。君が思っているほど君は駄目じゃない)


「ヒロキさん、私駄目なの。私は弱虫、弱虫コアラなの。大切だと思っていても、思っているだけ。怖くて怖くて、何か言ってあげる、してあげることも出来ない弱虫コアラなの」
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(バニラ、君は弱くない、虫でもない。そうだ、弱虫コアラなんかじゃないよ。ユイのために何かをしなくちゃいけないよ、そしてきっと何かしてあげられるはずだ。想像するんだ、楽しいことを。ユイを笑わせる、なんだか楽しいことを想像するんだ。大切な妹のことを想い、想像する。君が笑った時、きっとユイも笑顔になるよ)
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「ヒロキさん」


(バニラ、僕の庭の花壇を見てごらん。もし君の顔に笑顔が戻ったのなら、今度は君が、君がユイを笑顔にしてあげるんだ。いいね、バニラ───)


私はヒロキさんの庭の花壇を見た───
季節外れのたんぽぽ一つ、ヒロキさんも私もユイも大好きな、黄色いたんぽぽ一つ
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なんだかニコニコ笑ってる
黄色いたんぽぽ一つ、花壇のすみに咲いていた

「ヒロキさん───」
振り返るともうそこにヒロキさんはいない
───大丈夫、夢でもなんでも大丈夫
ヒロキさんが言ったとおり私は笑顔になっていた
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涙をぬぐって走り出す
大きなユーカリの木が揺れて応援してくれる
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ユイの笑顔が頭に浮かぶ
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楽しい毎日、お母さんも隣で笑うあの楽しい日々
色々なことが頭に浮かぶ
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「あの日からずっと、ユイはポッケを見ていない」
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「お母さんになれなかった───そう考えてしまっているから駄目なんだ」
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「ユイはちゃんとお母さんできていたのに、ポッケの中にかわいい赤ちゃんがちゃんと入ってたのに。赤ちゃん、笑顔でお空の向こうへ行ったのに───」
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「───それなのに」
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「ユイはポッケのことを見ようとしない」
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「ユイがこのまま、ユイがこのままポッケを嫌いになる前に」
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「大切なポッケを嫌いになって、そのまま嫌いなまま、笑顔も取り戻せなくなるその前に───」
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「私は何をすればいいんだろう、何してあげればいいんだろう」
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「ユイがそっと笑うには、可愛い笑顔を見せてくれるには、私は何をすればいいんだろう───」
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クリスマス前のオセアニア区
冬の風が吹き外を駆けるバニラの身体をだんだんと冷やしました
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アフリカ区へ向かう坂道の途中で少し休憩をして、「アフリカ区、それともユーラシア区かなぁ」と呟いたバニラ
ヒロキに言われたように一生懸命にユイのことを想い、そして笑顔になるその時を想像していました
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「ユイ、やっぱりポッケは大切だよ。あの温かさ、覚えてるでしょ。ポッケを嫌いになんかならないで、ユイ───」
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「ユーラシア区に行ってみよう」
そう呟いたバニラがあるき出したその時、藪の中からコロリと転がり出てきた物がありました
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それは一粒のどんぐり
リスたちが食べ忘れた、少し大きめの丸いどんぐりでした

「どんぐりさん?どんぐり君? どっちかわからないけどこんにちは」
爪を立てないように、そっとどんぐりを掴んだバニラ
秋のこと───ハヤト、そしてワカが旅立ってしまった日のことがどんぐりに写っているような気がして、ふと寂しく微笑みました
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「ワカちゃん、ハヤト、私達を見守っていてね」
ぎゅっとどんぐりを掴み、そっと呟いたバニラ
ゆっくりと手を開き、またどんぐりを見つめました
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その時風が吹き、どんぐりがぶるっと震えたような気がしました

「お帽子、無いんだね。落っことしちゃったのかな、忘れてきちゃったのかな。もう冬だもん、寒いよね」
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「そうだ───ねえ、温かい所に行かない? 連れてってあげる、決めた!」
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ユイのポッケにどんぐり一つ
ユイのポッケにどんぐり一つ連れていこう
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ユイのポッケにどんぐり一つ
ユイのポッケにどんぐり一つ入れておこう
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ユイのポッケにどんぐり一つ
ユイのポッケにどんぐり一つ笑っているよ
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ユイのポッケにどんぐり一つ
ユイのポッケに丸くてかわいいどんぐり一つ

ユイのポッケに、ユイのポッケにどんぐり一つ
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バニラは眠っているユイにそっと近づき、帽子の無い丸いどんぐりをそっとポッケの中にしまいました
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バニラはそっと自分の部屋に戻り、静かに振り返るとユイはまだ眠ったままでした
「おやすみ、ユイ」
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バニラは微笑み、そして自分も夢の中へと滑り込んでいきます
“夢を見るための準備”
今日一日いろいろなことを考え、いろいろな物を見てきたバニラにはたくさんの準備が出来ていました
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ユイの見ていた夢は途中から変わっていました
バニラがポッケの中へどんぐりをしまってからすぐのこと
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それはコアラのお母さんの夢
ポッケの中で赤ちゃんが育っていっていた、あの幸せなとき毎日のように見ていた
そんな夢でした

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コアラが見る夢どんな夢───
コアラのお母さんが見る夢どんな夢───
小さな赤ちゃん抱っこする、小さな赤ちゃんおんぶする
風に吹かれて木に揺れて、二人で笑って二人でお昼寝

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「なんだろう、なんでこんなに温かい、幸せな夢を見てしまったんだろう」
ユーカリの中でそっと目を覚ましたユイは、明るくなってきた窓の向こうを眺めながら今見た夢を思い返しました
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自分の顔が笑顔になっている、そのことには気がつかないユイ
でも気がついたのはポッケの中に何かがしまってある、ということ
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笑顔になっていたユイはあの日から今まで出来なかったこと
“ポッケの中を覗く”
そんなことが出来るような気がしました
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そっと手でポッケを開き、中を覗いたユイ
そこにはコアラのような顔が描いてあるどんぐりが一つ入っていました
そっと取り出してどんぐりを見つめました
裏側には小さな文字で「あ り が と う」と書いてあります

「お姉ちゃん」
ユイはそう言いながら、隣の部屋を見るとバニラは微笑みながらまだ眠ったままでした
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「お姉ちゃん、こんな下手くそな顔描いちゃ、どんぐりがかわいそうだよ」
そう言ってユイは笑いました
久しぶりに見せるその笑顔はどんぐりに描かれたコアラの笑顔と同じくらい楽しそうに、そして輝いていました
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コアラの姉妹が今日も暮らす、金沢動物園のオセアニア区
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この先どんなことがあったとしても、二人はずっと仲良し姉妹
いつも二人で笑って暮らす、不思議コアラの仲良し姉妹
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二人で一緒に楽しんで、二人で一緒に喜んで
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二人で一緒に涙をこぼす
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バニラとユイ
かけがえのないコアラの二人
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「ユイのポッケにどんぐり一つ、私のポッケにもう一つ」
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「ユイのポッケにどんぐり一つ、みんなのポッケにどんぐりたくさん一つづつ」
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「ユイのポッケにどんぐり一つ、帽子が外れたどんぐり一つ」
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「ユイのポッケにどんぐり一つ、魔法をかけたどんぐり一つ」






    

by bon_soir | 2017-03-03 00:45 | 金沢動物園 | Comments(6)
アークと“コアラ”に会える動物園
天王寺動物園で暮らすコアラ、アーク
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日本の動物園で暮らすコアラの中で、多分きっと一番コアラらしく暮すコアラ
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オーストラリア大陸、ユーカリの森
そこでコアラ達はきっとこうして暮らしている───
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それを感じさせてくれる、コアラの本当を教えてくれる
そんなアークと天王寺動物園
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アーク、今朝は曇り空
まだまだ寒い冬の終わりかけ
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朝一番で登ったユーカリの木
それはアークが選んだ木
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「今日はこの木で眠ろうか───」
朝ドアをくぐり外へ出て、自分で少し考えて、今日一日のことを考えて
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そうしてアークが選んだ木
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「今日もお客さんが僕を見上げているよ、見上げてコアラを探しているよ」
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「もっと、もっと上の方───そうだよ、僕はここにいるよ」
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「見つけることが出来たかい? 僕のことが見えるかい? そうだよ、僕はここにいるよ。コアラはユーカリの木の上にいるんだよ」
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「いつも僕に会いにきてくれる人の姿が見えるね───見上げるみんな、見下ろす僕さ」
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風に吹かれて木が揺れる
枝に揺られてコアラも揺れる
そんな毎日、そんなアーク
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吹かれて揺れてユーカリの上
今日ものんびりユーカリと一緒
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落ちたりしないよ、大丈夫
コアラだから
アークはコアラだから大丈夫
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小さな小さなユーカリの森
アークが暮らす、小さな小さなユーカリの森
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アークがすやすや静かに眠っているとやって来るのは小鳥たち
今日の友達、ヒヨドリさん
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アークはずっと眠ったまま
時間はそっと過ぎ、いつの間にか雲が流れて動く
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働くアオサギ
アークの側を飛んでいったら、見上げる空はすっかり冬の青空
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眠ったままのアークに陽が当たる
風にそよぐユーカリの葉の間を抜け、アークのところに陽が当たる
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「暖かいね」
アークが見渡す動物園
今日ものんびり、ゆっくりゆっくりコアラの時間は過ぎてった
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閉園まではあと少し
吹かれて揺れて夢を見るのもあと少し
アークがユーカリと一緒に揺られて見る夢も、もうあと少し
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2月も半ば
閉園の時間が近づいてきても空はまだ明るい
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アーク、時間だよ
今日はそろそろ時間だよ
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アークを呼びにいくためのハシゴはそっとかけられた
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するする伸びていくハシゴ
のぼってアークをそっと起こす
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アーク、今日は時間だよ
ほんとのコアラの楽しい時間、今日はそろそろ終わりだよ
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大丈夫、また明日
地球は回ってまた明日
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今日は帰ってまた明日
一度さよなら、そしてまた
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また、明日
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“コアラ”のアークにまた明日
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ゆっくりゆっくり丁寧に
アークを人の世界に迎えるように、そっと迎えるように
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儚く健気な優しい動物
もっともっと、もっと優しい気持ちで迎えるように
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アーク、今日はありがとう
“コアラ”に会わせてくれて、本当に今日はありがとう
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何時間かぶりの地面だね
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アーク、今日はさようなら
会いにきてくれたお客さんと、今日はさようなら
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アーク、空を眺めてふと思う
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明日の空はどんな空、明日の風はどんな風───
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明日はどのユーカリを登ろうか───
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どこまで登って、どの枝にそっと腰掛けて───
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明日の夢はどんな夢、明日見る夢どんな夢───
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あなたの夢はどんな夢、今日ここでコアラを見上げたあなたの夢は
───あなたの夢はどんな夢

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今日はさようなら
“コアラ”のアーク、今日は一度さようなら
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次の日の午後
朝から晴れてぽかぽかぽかぽか、みんなは冬を忘れてる
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輝くユーカリ、風に揺れてきらきらきらきら
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アークはどこにいるのかな
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あそこだよ
あそこでコアラは眠っているよ
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ぽかぽかぽかぽか
“コアラ”のアークは眠ってる
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今日のユーカリ、登ったユーカリ一番陽が当たる
小さな小さなユーカリの森の中、一番多く陽が当たる、そんなユーカリ
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「今日はどの木に登ろうか、どこまで登って、どの枝に腰掛けて───」
どんなことでもアークが決める
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それはアークが“コアラ”だから
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いつもユーカリだけを食べ、ずっとユーカリと一緒に生きていく
そんな動物“コアラ”だから
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アーク、夢の合間
動物園を静かに眺める
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そこから見える景色はどんなかな
聞こえる音はどんなかな
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誰の声が聞こえてくるのかな
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今日の陽射しに輝くユーカリ、そよぐ風に枝は揺れ
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アークを包んできらきらきらきら
きらきらきらきら
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ユーカリの花もかわいらしく咲きだしきらきらきらきら
きらきらきらきら
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アークとユーカリ
一緒になってきらきらきらきら
アークとユーカリ
一緒になって風に揺れ
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きらきらきらきら
きらきらきらきら
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見上げてみなよ、コアラがいるよ
あんなところにコアラがいるよ
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凄いね、コアラがいるよ
あんな高いところにコアラがいるよ
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風に揺れたコアラがいるよ
のんびり暮らすコアラがいるよ
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“コアラ”がいるよ
動物園に“コアラ”がいるよ
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いつもの一日
コアラの一日
今日ものんびり過ぎていく
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そう、また今日も閉園の時間
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アークのところに今日もハシゴが伸びてきた
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今日もまたさようならの時間
“コアラ”のアークと今日もまたさようなら
一度さようなら
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迎えに来たのは“大きなコアラ”
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ただし、木登りは慎重
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登り始めた足には地下足袋
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アークを迎えるために、慎重に
とても優しく
そんな大きなコアラ
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ゆっくりゆっくり降りてくる
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大きなコアラとお話しながら
ゆっくりゆっくり
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二人で一緒に
ゆっくりゆっくり
ゆっくりゆっくり今日も終わるよ
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天王寺動物園にコアラは一頭だけで暮らしてる
少し寂しいけど、コアラは一頭だけで暮らしてる
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でもアークは一人じゃない
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いつも見上げる大勢のお客さん
なによりアークを支える優しい人達
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コアラは一頭でもアークは一人じゃない
のんびり暮らすアーク、きっと寂しいわけじゃない
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今日もまた何時間ぶりの地面だね
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アーク、今日はさようなら
会いにきてくれたお客さんと、今日もまたさようなら
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アーク、アークは本当に一人じゃないよ
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いつも会いにきてくれる人がいる
何時間も見守ってくれている優しい人がいる
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そしていつも一生懸命に支えてくれてる優しい人がいる
いつもアークの傍にいてくれる
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そしてこんなに素敵な笑顔だってあるんだよ
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コアラは一頭
でもアークは一人じゃない


アーク、今日はさようなら
また今度会う日まで、今日は一度さようなら
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明日はどのユーカリに登るかな
どこまで登って、どの枝に腰掛ける───
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そしてどんな夢を見るのかな
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本当はもっと大勢のコアラがいてくれたのなら
かわいい女の子や子どもたち
一緒に、傍にいてくれたのならいいね

本当はそれもいいね
きっと楽しいだろうね







  

by bon_soir | 2017-02-17 14:52 | 天王寺動物園 | Comments(11)
コアラ

東山動物園で暮らすコアラ達
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かわいい顔はみんなそれぞれ
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眠っていること多いけど、一日の過ごし方もみんなそれぞれ
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みんなかわいいコアラ達
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まだ小さなコアラ、ピーター
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お母さん、チェリーともちろん一緒
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ふわっと動いて「こんにちは」
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こうして親子一緒に過ごす時間はいつまでもってわけじゃない
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人が眺めて「かわいいね」って思うより、それ以上
コアラの親子の大切な時間
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お母さんの温かさ、お母さんの柔らかさ、そしてポッケの中の温かさと柔らかさ
ぎゅっと抱きつく小さな手
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ずっと忘れないように、短い間一緒にいる時間の中でみんな忘れないように
優しいコアラになれるように、いつまでも優しいコアラでいるように
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儚く健気な親子の時間をただそっと眺めてみんなは思う
かわいいねって思う気持ちの動物園
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二人一緒にうとうとうとうと
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大きなユーカリの木に登る夢でも見たのかな
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大きなユーカリの、大きな森でどこまでも高く登る夢
それは男のコアラの旅の夢
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大きなお母さんから生まれたピーター
きっとすごいコアラになれる
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ピーターのお父さん、ピース
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東山動物園のいいところ、ピーターとティリーの隣にお父さんがいてくれること
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少し隔てられているけれど、みんな一緒だね
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コアラらしくかわいい女の子、ココ
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よく上の方から下を覗いているココ
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パタパタ動く耳の毛がふさふさ
コアラらしくかわいい顔のココ
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この日、施設の点検で飼育係さん達が大勢いたので気にしていたココ
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気になるね
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やっぱり耳の毛ふさふさ
そんなココ
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去年の春、タロンガ動物園からやって来てくれた女の子、ホリー
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ティリーもそうだけど、オーストラリアからやって来てくれるコアラ達の顔は特に個性的
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かわいいね
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飼育係さんにお尻を触られても気にしない
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気にしない
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オーストラリアの風と一緒に日本まで
小さな箱にユーカリの葉っぱと一緒に入って飛行機でひとっ飛び
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日本で暮しはじめてもうすぐ、やっと一年経つね
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元気で暮してくれたらいい
それでいい
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来てくれただけでもう特別なこと
そっと暮してくれるだけ、ホリーが楽しく暮してくれるだけ
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それだけでもほんと十分
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チャーリーはまったりと
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クレメンツは奥の方で顔が見えませんでした


新しく、前よりもっと綺麗になったコアラ達の家
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みんなで暮らすコアラ達
みんなかわいいコアラ達
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by bon_soir | 2017-01-31 14:04 | 東山動物園 | Comments(4)