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モモコと夏の声探し
茶臼山動物園で暮らすウォンバット、モモコ
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山の動物園の夏は進む
朝の陽射しで暑くなり、午後の風で少し涼しくなっていく
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その繰り返しで一日一日、夏は進む
空高く涼しい秋へと夏は進む
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動物達の時間はきっと人の時間よりものんびりゆっくり急がず進む
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24時間、365日
それは何も変わらないけどのんびりゆっくり急がず進む
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動物園では動物達に時間を合わせてのんびりゆっくり
のんびりゆっくり
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声に音に耳を傾け、いつかみんなものんびりゆっくり
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動物達の傍にいるときくらいはのんびりゆっくり
夏を進む
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モモコの朝は人を待つ
いつもの優しい声を聞きたくて聞きたくて
ドアの前で人を待つ
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「おはよう」

「おはよう」

言葉を交わす
モモコは人の声を聞く
人はモモコの声を聞く
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人の声が聞こえるよ
ウォンバットの声が伝わるよ
優しい声は伝わるよ
優しい声が聞こえてくるよ
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「人の口が動いてる。ぱくぱくぱくぱく、きっと何かを喋ってる」
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「なんでだろう、私には何も聞こえてこない。きっとみんなは話していて、話しかけられているはずなのに、何も聞こえてこない」
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「飼育係さんの声は聞こえる、優しい声、いつもの声」
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「他の人の声は聞こえてこない。口がぱくぱく、口だけぱくぱくぱくぱく────聞こえてこない」
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「私はウォンバット、ウォンバットの声で話す。伝わるのかな、伝わっているのかな」
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「聞こえてこない声に耳を傾け考える。私はウォンバット、今ここにいるみんなは人────」
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「夏の声の一つ、セミの声。何を言っているのかわからない。伝わらないこと、それは少し寂しいこと」
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「近くにいる人、口がぱくぱく。口だけぱくぱく。少し寂しい聞こえない声、聞こえてこない声」
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「飼育係さんの声はちゃんと優しく聞こえてくる、きっと私の声も伝わっていく。なのになんで────ぱくぱくぱくぱく」
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「私の声、伝わるのかな。伝わっているのかな」
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「みんなの声を探さなきゃ。私、声を探さなきゃ。夏の声を探さなきゃ────いけないね」
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「さっきもらった食べ物、『トウモロコシ』って飼育係さんが言っていた」
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「黄色いところはまだあるみたい。まだ食べるところはあるのかな」
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「ふわりと優しく甘い味。夏の食べ物なのかもしれない、そんな味」
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「そういえば、今日の私はいつもと違う場所にいる。隣の庭、フェンスの向こうのお庭にいるよう」
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「すぐ隣の場所だけど、なんだか少し違う雰囲気。そんな動物園」
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「聞こえなかった声と何か関係あるのかな」
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「私は夏の声探し。いつもと違う庭を歩いて、景色を眺めて声探し」
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「秋が来る前、夏だけの───夏に聞こえて夏と一緒にそっと通り過ぎてく声探し」
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「それは何の声。それは夏の虫の声、それは夏の鳥の声、それは夏の空の声に風の声」
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「そして優しい人の声」
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「ここにあるかな、向こうかな」
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「私は夏の声探し」
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「口がぱくぱくぱくぱく、それだけだったら寂しいよ」
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「私に声を聞かせてよ、夏の声を聞かせてよ」
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「優しい声で優しく私に話してよ」
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「優しいあなたの声を聞かせてよ────傍にいるから、傍へ行くから、私にあなたの優しい声を聞かせてよ」
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「私の声も伝わるよ、あなたにきっと伝わるよ」
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モモコはこの日もみんなの傍へ────
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優しいモモコはこの日もみんなのすぐ傍へ────
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みんなの優しい声を聞きに来る
みんなに優しい声を届けに傍へ傍へとやって来る
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ウォンバットの声が聞こえてきた時、ウォンバットに声が伝わった時
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優しいモモコに優しい気持ちで
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モモコの手、優しい手
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そんなモモコに触れる時は優しい気持ちで優しい手で
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そっと、そっと
優しく優しく温かく
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頑張るモモコをそっと優しく温かく
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夢見るモモコを邪魔しないように
モモコの夢を途中で終わらせてしまわないように
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優しい気持ちの優しい声はモモコに届く
夢の中へもそっと届く
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モモコの声が聞こえたら、モモコに気持ちが届いてる
モモコに声が届いた時は、モモコの気持ちを貰ってる
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それはモモコの心の中に、それはみんなの心の中に
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口だけぱくぱく
伝わらないでぱくぱくぱくぱく
そればっかりじゃ少し寂しい
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声を感じて声を伝えて
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みんな夏の声探し
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口だけぱくぱく
伝わらないでぱくぱくぱくぱく
お互いぱくぱく
寂しい気持ちにならないように優しさ持って、温かい気持ちを伝えて過ごす夏のこと
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「今は聞こえる、声が聞こえる」
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「私はウォンバット、みんなは人。それでも聞こえる、ちゃんと聞こえる」
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「優しい気持ちの優しい声はちゃんと聞こえて、それならきっとそこへ伝わる、広がっていく」
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「飼育係さんが私を連れ出してくれる場所、そこには優しい気持ちがあふれてる」
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「夏の声探しは、いつもと同じ温かい気持ち探し。ウォンバットはのんびりゆっくりだけど止まらない」
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「進む季節に、優しい飼育係さんに導かれて止まらない」
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「私の夏の声探し、夢の中までずっと続く大切な声探し────」




   

by bon_soir | 2017-08-10 11:40 | 茶臼山動物園 | Comments(2)
フクとガラスに映る自分の瞳


五月山動物園で暮らすウォンバット、フク
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秋になれば自分の目に映る世界が変わる、自分も変わる、変わらなくちゃいけないと自覚している夏のフク
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夏の日差し、ガラスに反射
夏の風景、ガラス越し
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フェンスからガラスに変わり、見える世界はどこか現実離れ
一見透明、何も無い
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よく見てみればガラスの色を重ねた世界
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朝から昼間、昼から夕方
晴れの日雨の日曇りの日
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変わる色を薄く重ねた不思議な世界
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不意に映る自分の顔
向こうも見つめる自分の瞳
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「これが僕だ───」
そっとつぶやく
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「君がフクかい?僕はフクだ」
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「今僕の瞳に映っているのは君の瞳、僕の瞳が僕の瞳を見つめている」
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「そう、ただそれだけのことなんだ」
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「ドアの前で考えがまとまらなかったり、何も出来ずにうろうろしていたり────」
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「君はきっと全部を見ているんだろうね」
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「ガラスの僕、君にも見えるだろ? 今日はこんなに晴れている」
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「ガラスの僕、そっちから見たワインさんはどうだい? 暑そうにしているかい?楽しそうにしているかい?」
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「僕はガラスの僕にばかり話しかけ続ける」
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「君はなぜ僕をずっと見つめているんだい? そんなことより教えてくれよ、僕はこのままでいいのかい?僕はこれでいいのかい?」
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「わかっているよ、僕だって間抜けじゃない。君はただの僕だ。ただ少し、僕は馬鹿なふりをしてみただけなんだ」
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「間抜けな降りも僕はそのうちできなくなるのさ。僕も大人だからね」
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「なんてことだ。明日を、次の季節を望んでいると、過ぎた昨日を後悔してしまう」
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「そう、僕は時間を無駄にしているような気がしてくる」
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「ガラスの僕、僕を見つめ続けてくれていい。その黒い瞳に僕を映し続けてくれていればいい。それだけでいい」
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「僕も君を見つめ返してみるよ。わかるだろ?」
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「そうだ、君が笑顔ならその時僕も笑顔なはずだ。そういうことだ────」
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「のんびり行こうよ、ガラスの僕」
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「僕等はウォンバット。のんびり行こう────」
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目の前何かが塞いでる
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ちゃんと見て考えて、きっとこれだと先へ行く
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振り返れば通過したことなんでもないこと
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その繰り返し

春夏秋冬、繰り返し
その中、繰り返さないことがある
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繰り返しやって来ないことは重要なことばかり
フクに大切なことばかり
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その時フクはどんな顔
笑っている時、泣いている時
その時フクはどんな顔
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その時みんなはどんな顔
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ガラスに映ったみんなの顔はどんな顔
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ちょっとどけよと少しわがまま
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甘えてわがまま
一人でわがまま
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動物園の夏の日は静かに進む
変わる、変わっていくその前は変に静かに進んでいく
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静かに駆け出す夏のフク
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木漏れ日そっと影作る
足音かき消すセミの声
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見える世界はどこか現実離れ
ガラスに映った姿、きっと何処かは違っているはず
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変わる色を薄く重ねた不思議な世界
そこにはきっと────
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────そこにはきっとみんなの笑顔
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ガラスに映った顔は笑っているのか涙溢して泣いているのか
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動物園の動物時間
呼吸合わせてのんびりのんびり
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のんびりのんびりまた今度
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今日の続きを信じて帰る
星空信じて今日は帰る

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そんなフク




     

by bon_soir | 2017-08-07 11:09 | 五月山動物園 | Comments(4)
夏のスミレ
茶臼山動物園で暮らすウォンバット、スミレ
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木陰涼しい山の上
朝日は枝葉をすり抜けて、眩しく庭を照らしてる
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山の動物園にウォンバットが二人
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スミレとモモコ

女の子のウォンバットが二人
二人はそっと待っている

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スミレ
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モモコ

そっと会いに来てくれる人、そっと二人は待っている
山の上の動物園、街とは違う風、そんな二人の所にそっと吹く
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なんだか賑やか夏の朝
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スミレが朝見た風景は、飼育係さんと知らない人がモモコを囲む、その風景
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※取材でした

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そんな時、スミレがいつも思うこと
────モモコは自分に出来ないことをやっている、モモコにしか出来ないことをやっている
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モモコ
きっとそんなこと

「ごめんねモモコちゃん。私はのんびりしか出来ない、普通のウォンバット」
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「こうして毛づくろいしたりお散歩したり、私はのんびり過ごしている普通のウォンバット」
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「頑張るモモコちゃん、かわいいモモコちゃんの顔を眺めていつも思う────照れくさいから言葉にしたことはない」
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モモコ
「ありがとう」
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「そう、私がこうしてのんびり気ままに過ごしていられるのはモモコちゃんのおかげ」
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「たいへんなこと全部やってくれる────そんなモモコちゃんのおかげなんだ」
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「お庭にちょこんと立っている何かを見つけた」
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「ここにあるっていうことは、きっと食べ物」
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「どこを食べればいいんだろう……」
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「緑の香り、少し混じった甘い香り」
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「私は甘いものが好き。バナナとかね」
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少し齧って、少し剥いてみて
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それ以上、その先が出来ないスミレ
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いつもの場所でいつものように毛づくろい
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そんなスミレ
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ただ見つめているだけのトウモロコシ
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中まで齧ればほんのり甘い
今はただ、少し勇気が出ないだけ
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暑い夏に身体が少しゆっくりしようと思わせる
それだけ
ただそれだけ
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雲はむくむく
陽射しをすっと、すっとさえぎる
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隣で頑張るモモコに力をもらう
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モモコ
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トウモロコシをもう一度
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少し考え、少しやる気
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それでも少しわからない
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きっと美味しいはずなのに────
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スミレ、夏に出会う
夏の草、夏の花、夏の風に夏の日差し
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今日出会ったのはカブトムシ
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小さいけれど一生懸命
自然に生きる、一人
一人のカブトムシ
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部屋で眠り、ぐっすり眠る
夢の中で何をしてるか、時々むにゃむにゃ
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モモコもすやすや
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疲れてすやすや
セミの声は色々で、夢の中でも大合唱
それでもすやすや
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騒々しい声、風で塞いで、風に隠して
すやすやすやすや
二人はすやすや
すやすやすやすや
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モモコ
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モモコが部屋で眠る頃
夕方、閉園近づいてくる頃
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スミレ一人、夕暮れお庭
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硬めの葉っぱ“ソルゴー”少し食べてみる
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見上げた先にはまた見知らぬ何か
黄色いつぶつぶ、少し光る
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「さっきのなのかな────」
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色々考えている間、昼とは違う声のセミ
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さっき見た夢、齧る夢
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静かに齧ってモモコと笑った
そんな夢
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近づくことは簡単で、見つめることも簡単で
何かできると思ってた
でもなぜか、なぜかできないあと少し
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触れることは難しい
話しかけることも少しだけ難しい
あなたは誰なの、君は何なの
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それでも何かを伝えたい
それでも何かを感じたい
早くしないと季節は過ぎて、早くしなければとただ気持ちがはやる
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誰か一緒に誰かに話しかけようよ
誰か一緒にどこかへお散歩出かけよう
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夏は進んで秋へとすすすと近づいて
雲は軽く高く青い空、手を伸ばしても何も掴めない
そのままそのまま冬が来る
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モモコと二人、スミレの暮し
山の上の動物園で二人は暮し
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モモコ
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夏は暑くて辛いけど、夏にしか見られないことたくさんあるから楽しみで
夏の草、夏の花、夏の風に夏の日差し
色とりどりの夏の色
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いつのまにか陽は沈む
軌道大きく、空に高く、沈む速度は徐々に速く
空を太陽進んで消える山の向こう
まだまだ今でも遠回り
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夜はだんだん長くなる
夏から秋、秋から冬、空はどんどん高くなるのに夜はだんだん長くなる
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昨日は昨日の朝日が昇り、今日は今日の雲が浮かぶ
明日は明日の月が出て、夏には夏の星空、繋がる星座

見上げて見えた
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暑くて辛い夏だけど、過ぎていく時少し寂しい
変わらないこと少し寂しいことだけど、変わっていく時少し悲しい
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雲が晴れれば星が見える
そんな夜
雲が残れば思い出見える
そんな夏
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「モモコちゃん、今日ね、トンボを見たよ────」
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「モモコちゃん、今日ね、少し穴を掘ったんだ────」
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モモコ

「────モモコちゃんのトンネルみたいに大っきく掘れるようになれるかな」
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by bon_soir | 2017-08-06 09:16 | 茶臼山動物園 | Comments(4)
フクといつもの夏、新しい秋

五月山動物園で暮らすウォンバット、フク
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秋には────ということで女の子のウォンバットが日本へ、五月山動物園へと来てくれる
それを知ったフク
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「本当かな────」
夏の青空ふと見上げ、気がつけばすぐに大きくなる夏の雲を眺め、何度も呟いてしまう
そんなフク
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「もし本当に来てくれるなら、今は最後の夏だ。一人気ままにのんきに暮らせる最後の夏だ」
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「もう悲しい思いはしたくないしさせたくもないからね。そう、アヤハのことは忘れないよ」
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「僕はもう子供じゃない。ワインさんとワンダーさん、二人をずっと眺めてきてわかったんだ」
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「助け合う、支え合う、なにより二人で一緒に笑うってことの大切さをね」
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「あの二人は本当に素敵なウォンバット。僕にはそう見えるよ」
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「ここに来た人もみんなきっとそう感じた、そう見えたはずだ。二人に会えたならきっとそう思ったはずなんだ」
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「────そして優しい気持ちをたくさん貰ったはずなんだ」
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「それがわかる僕は誤魔化せない。知っていることに何もしない訳にはいかない。それは男らしくも優しくもない。知らないよりも悪いこと」
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「こんな僕の所へ遠くタスマニアから来てくれるんだ。僕は傍で優しくいつまでも微笑むんだ。ワインさんのようにね」
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「一人気ままにのんきに、きっとそれも悪いことじゃない。でも僕はワインさんとワンダーさんに出会ったからね。あの幸せから目をそらしてしまっては駄目だろうね」
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「二人で一緒に食べて寝て、お散歩したり星を眺めたり────笑って、そして悲しい時には一緒に涙をこぼすんだ」
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「ずっとずっといつまでも、ね」
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「まずはそれだけ、本当に大切なのはそんな幸せ。期待されているのはわかるけど、赤ちゃんはその次のこと。予定なんてすることじゃない」
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「簡単じゃないんだ、大きすぎる幸せを感じる、作り出すってことはね」
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「今日も本当に暑いんだ。ずっと外に、日向にいれば身体には悪いくらい。冬寒かった僕の庭でギリギリだ。ワインさん、ワンダーさんは平気かな」
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「でもこれがいつもの夏。セミがうるさい当たり前の夏のこと」
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「ただそのうちに特別な秋が来るってこと、それを知ってからこの夏は少し変わった」
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「特別な秋の前、この夏もまた少し特別な夏。色々なことをたくさん考える、気持ちの準備をする────特別の前の少し特別」
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「それがこの夏────わかるだろ?」
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「見えるかい?イチョウだって秋へと準備をはじめてる。秋はそのうちやってくる。みんなの所へちゃんとやってくる」
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「僕達の庭はまた黄色く染まるのさ」
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「みんな決して騒がない。本当にいつもの夏なままなのか、いつもどおりなフリしてそっと夏を越えるのか」
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「動物園はいつもの夏。少し特別だと感じているのは僕だけか」
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「まあでもそれでいい、それが一番いいことだ」
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「どんな顔した女の子が来てくれるんだろうね、どんな笑顔をするんだろうね────」
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「今日も太陽が眩しいよ」
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「────レモンライム、夏って本当に暑いよね」
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一人気ままにフクの夏
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のんきに少しわがままに
そんなフクの暑い夏
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でも、そんなフクの夏も今年が最後
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秋が来れば傍で微笑むウォンバットに恋をして、その子に何をしてあげることが出来るのか毎日毎日考えて
そして一緒に笑うフクになる
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ワインとワンダー、二人を眺めて育ったフクは知っている
幸せってどういうことか、悲しみってどういうことか────フクはきっと知っている
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────優しさってどういうことか
きっとフクは知っている
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庭のフェンスはガラスへ変わり、見える景色は色鮮やか
春の色、夏の色、黄色い秋から青濃く広がる空の冬へ
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いつもの夏はいつのまにか少し特別な夏になって、そして特別な秋へと少し駆け足
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その特別からまたその先の特別へ
行けたらいいなと声を出さずにそっと願う
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その特別は時間をかけてただ幸せな日常へ
そこまで進めば一安心
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長く長く続いていくための“ふりだし”はきっとその時
のんびりのんびり、静かに幸せ
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聞こえてくるのは鳥の声、耳をすませば虫の声
風にそよぐ草の音と木々の音
流れる時間は動物時間
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素敵な動物園はきっとそんな動物園
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遥か彼方タスマニア
ウォンバットが橋を架ける
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これからずっと幸せであるように
これからずっとみんなが優しい気持ちであるように
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動物達も人達も、みんな笑顔であるように
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みんなの愛情、気持ちに変えて
ウォンバットが海を越え、未来へ繋ぐ橋をそっと架ける
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セミの声が聞こえてこなくなる頃か、イチョウが色づく頃なのか
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黄色い絨毯の上を駆け抜け、空が高くなる頃か
ほっぺた木枯らし当たる頃になるのか────
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動物達はあわてない
ウォンバットはあわてない
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いつもの夏を駆けていく
少しの特別そっと感じて、ただ夏を駆けていく
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のんびりゆっくり動物時間
動物園に居る時は人も一緒に動物時間
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それがいい
きっとそれが一番いい
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新しい秋へと向かうフク
いつのまにか大人のフク
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by bon_soir | 2017-08-02 19:08 | 五月山動物園 | Comments(8)
優しいモモコに優しく傍で
茶臼山動物園で暮らすウォンバット、モモコ
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茶臼山動物園のウォンバットの家
あらかじめ決まっている日に、そしてまた突発的に、モモコと近くで会えるイベントが行われています
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この日はちょうど突発的な方のイベントが行なわれました
・飼育係さんにお時間がある
・モモコが部屋の方で起きている
そんな日に行うことが多いそうなので運次第なところもあると思います
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そんなイベント中でのモモコ
最初、お部屋の入り口でごそごそと
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そして飼育係さんがドアを開けると、モモコはゆっくりと外へ
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家の周りの通路を歩くウォンバット───
穏やかなウォンバット、モモコ
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モモコも外の景色を眺めたり、普段あまり来ない場所にいることが楽しそう
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お客さんの靴紐噛むのが好きっぽいモモコ
当然ながら靴は汚れてしまうので、それは自分で洗いましょう
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外へ出てしまいそうになったので連れ戻されたモモコ
かわいらしくてしかたない
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体重、大体30kgくらいとのこと
コモンウォンバットの平均的な感じでしょうか
手足の裏はぷにぷに
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外をまた眺めるモモコ
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人懐っこいというよりは、近くに知らない人がいても特に気にしないといった印象
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どうやら布っぽい物、紐っぽい物が好きそう
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汚れます
やっぱり自分で洗いましょう
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そんなこと、わかっていて許せる人、なんでも許せる優しい人、他なにかあっても自分の責任にできる人
モモコの傍にいさせてもらいましょう
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モモコの温かさ、モモコの優しさ感じることが出来たなら
きっともっと、もっともっとモモコのことが好きになる、はず
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この時のスミレ
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何も気にせず上の方で一人
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階段降りて踊り場うろうろ
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花壇的なところなのかなんなのか
壁際隙間に登るモモコ
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隙間にある土の固まり
ぼりぼりと大きな音がする
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噛み砕くのが好きなよう
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木の根っこなどを齧るだけあって、やっぱり顎の力はとても強い
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なんで土を齧るのかちょっとわからないけど、なんだか凄いね
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そんな時のスミレ
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盛ってもらった土の上でなんだかポーズ
急いで駆けて撮りました
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これは怒られたのかな……
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机の下、落ち着くのかな
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でもどうやら外へ出てみたそうなモモコ
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好きあらば階段降りていく
みんなと一緒にね
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「初めて出ました」
という階段降りた外のこと
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知らない景色ばかり
楽しいね!
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連れ戻されつつ、ウォンバットのお話
足はどうしても上がっちゃうのかな
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「ここがポッケ」
飼育係さんの楽しい説明
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ウォンバットは有袋類
ポッケのある女の子
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楽しいね、かわいいね
もっともっと、ずっとずっと好きになるね
頑張ってくれてありがとう
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モモコが疲れないうちにイベントは終わります
いつもやってるわけじゃない、長い時間やってるわけじゃない
モモコ次第、その日次第
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無理強いは駄目、絶対駄目
全てはモモコ次第、その日次第
モモコ、今日はありがとう
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そんな時のスミレ
盛り土の上でうとうと
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もうすぐ閉園の時間だね
部屋に戻らなくていいのかな
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なんだかまた静かに怒られた
そんなスミレ
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当たり前のようにずっと傍にいてくれるけど、きっと少し疲れているのかも
そんなモモコ
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スミレ、夕方ちょっと目を閉じた
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イベント終わって人またまばら
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モモコ今日はさようなら
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スミレも今日はさようなら
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モモコはお部屋へ
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もしこうしてモモコが傍に来てくれたなら
その時はどうか優しくしてあげてください
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難しいこと何も無い
ただ優しく、優しく優しくしてあげてください
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こんなに特別なことは無いのだから
日本でこの先、こんなに素敵なことはきっと無いことだから
モモコが本当に優しいウォンバットなだけだから
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動物園が笑顔で溢れるように───モモコは頑張ってくれています
支える人達も一生懸命頑張ってくれています

こんなに素晴らしい日が一日でも多くあるように
ウォンバットを、動物達を好きだと言う人が一人でも多く増え、愛情みんなに伝えられるように
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優しく優しく
なにより大切、なにより必要な───優しく優しく
貰った愛情、大きく増やして

優しく優しく───





      

by bon_soir | 2017-04-06 10:06 | 茶臼山動物園 | Comments(4)
スミレと春の毛づくろい、盛ってくれた土
茶臼山動物園で暮らすウォンバット、スミレ
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山の上にあるのんびりとした動物園に降り注ぐ朝の陽射し
そして温かい春の地面の上で
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スミレ、気持ちがよくてなんだか楽しい
そんな季節の途中、ゆっくりとした時間の中で
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飼育係さんが部屋のお掃除に来るまでお部屋で眠っていることも多い、そんなスミレ
それでもこんなにとても気持ちよく晴れ、風も穏やか過ごしやすい、とある春の朝
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部屋に入ることなく庭で過ごすスミレ
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スミレの庭にもふきのとう
雪解け春の大切なお客さん
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スミレは誰より毛づくろいが好き
大好き
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少しうとうと夢の入り口
気持ちがいい朝、春を感じていたいのか
───陽だまりそっと眠ってみたいのか
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気持ちがいいね
うとうとうとうと
気持ちがいいね
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でもやっぱり大好きな毛づくろい
お昼寝するのは少し後
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手、足、柱、色々使って毛づくろい
ウォンバットだから
───スミレだから
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お尻は柱で
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誰より念入り、誰より長い
そんなスミレ
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何もなかった雪の下
雪は溶けて一昨日より昨日より、春の草が伸びだした
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季節は過ぎる
どんどん過ぎる
4つの季節は次々とかわるがわる過ぎていく
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どんなところでも、どんなときでも
スミレはいつもの毛づくろい
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春の訪れ細胞活発
寒い時期から暑い時期へ
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そしてスミレは女の子
動物達は時間をかけて毛づくろい
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部屋で眠っていたときに付いた干し草、顔から全部無くなった
でもまだまだ
まだまだスミレは毛づくろい
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この短い棒はお尻向け
こすってお尻も気持ちいい
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どんなに器用な手と足でも、届かない所たくさんあるね
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そんなとき、この短い棒がお手伝い
やっぱりとっても気持ちいい
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大好き、念入り毛づくろい
スミレのかわいい毛づくろい
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一番上まで来たスミレ
ここはガラスと盛ってくれた土の隙間
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きっとここが温かい
きっとここが気持ちいい
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モモコの様子を少し確認
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スミレはいつの間にかに夢の中
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スミレの見る夢どんな夢
スミレの見る夢、もちろん春の花の夢
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きっとどこかでそっと咲いている小さな“スミレ”の、そんな夢
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「お客さんの傍で眠っていると、色々な声が聞こえてくる」
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「夢の中でもそっと、そっとお客さんの声が聞こえてくる」
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「そう、私達はウォンバット。この動物園でそっと暮らす二人の女の子」
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「モモコちゃんが言う。『ふきのとう食べた?』って楽しそうに言ってくる」
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「そう、もうそんな季節───春なんだよね」
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「飼育係さんが土を盛ってくれた。少し小高くってなんだか柔らかい」
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「今までより少しだけ遠くまで見える。そんな気がする」
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「なんだか楽しい。お部屋で眠ってはいられない」
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「楽しいのは今日に限ったことじゃないのかも。なんだかずっと、毎日楽しいって思ってる気がするから───」
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「毛づくろいばっかりしちゃうね」
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「しかたないよ、気持ちがいいからね」
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「そしてそんな気持ちよさはというと、ね」
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「眠気に、変わる……」
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「地面からふきのとうが伸びてるんだよね───後で齧ってみようかな」
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「モモコちゃんも言ってたし、ね」
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「モモコちゃん、楽しいね。二人で過ごす毎日は、本当に楽しいね」
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「春が来たよ。私達の大好きな春がまたやって来たよ───」
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飼育係さんにも時々怒鳴るスミレ
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でも人の傍で静かに眠っているときもある
そんなスミレ
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気難しいのか優しいのか
それはわからない
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でもそれがスミレ
何もかもがかわいいウォンバット
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それが茶臼山動物園のウォンバット、スミレ
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眠っていたかと思ったら、トコトコ歩いて庭のどこかへ
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陽だまり春の暖かさ
花咲く季節に体が動く
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暖かい、そして温かい
春の動物園はそんな場所
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部屋に戻る
ドアはずっと開いている
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中で青草ひとつまみ
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美味しいね
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スミレとモモコ
二人のウォンバットがそっと暮らす
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のんびりとした動物園で女の子が二人
二人のウォンバットがそっと暮らしてる
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眠っているかもしれません
歩いているかもしれません
どこかを眺めているかもしれません
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でもそれが全て
どれもみんなウォンバット
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スミレとモモコ、会いに行けばかわいい二人は待っている
それは確かな素敵なこと
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その先はみんなの愛情しだい
それに気づいた二人しだい
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そしてウォンバットの神様しだい
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眠っているところもかわいいから大丈夫
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きっと大丈夫
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毛づくろい
本当に大好き
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斜面を下る
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少し緊張
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すぐにこうしてしまうというU字形
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季節の青草
大好き
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美味しいね!
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モモコと同じようにふきのとうを気にして散歩
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この日お気に入りの場所
盛ってくれた土を少し掘った場所
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スミレの顔も本当に個性的
かわいいね
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みんなの記憶に経験に、今日のことが優しく残ったならそれは幸せ
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儚く健気に、そっと暮らすウォンバット達のこと
みんなの心の中にそっと残ってくれたなら、きっとそれで幸せ
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スミレとモモコもそう思ってる
きっとそう思ってる
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夕暮れ寂しい動物園
スミレは部屋へ戻ります
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部屋で何かをそっと呟き、そしてまた───
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───ふきのとう待つ庭をまた登っていくスミレ
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もう静かな動物園
一人静かに夕暮れ楽しむウォンバット、スミレ
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「モモコちゃん、私にはわかるよ。きっと明日もよく晴れる」
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「ふきのとう、かわいいから食べられないよ」
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「今日も楽しかった。春の一日、とても楽しかった」
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「明日もきっと楽しいよ。春の動物園はきっと毎日楽しいよ」
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「また明日───モモコちゃんと二人、明日もここで待ってるよ」
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by bon_soir | 2017-04-05 14:45 | 茶臼山動物園 | Comments(4)
モモコと最初はふきのとう

茶臼山動物園で暮らすウォンバット、モモコ
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たくさん積もっていた雪は溶け、出てきた地面はまだ何もなく土の色ばかり
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それでもどこかに確実に、そっと春の訪れ見えてくる
そんなウォンバット達の庭
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探せばきっと見つかる春のこと
みんなに季節の移り変わりをお知らせしていく小さな手がかり
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柔らかくてほっと優しい緑色
それは春の始まり、自然の色
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晴れた日、日向はぽかぽか陽気
光と影と、その境い目はっきり紫外線
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モモコの背中に陽があたる
ゆっくり身体が温まればみんな少し眠くなる
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少しして歩き出したモモコ
眠ってばかりはいられないと、爽やかぽかぽか気持ちも歩く午前中
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スミレはスミレらしく隣でいつもの毛づくろい
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モモコもふと少しだけの毛づくろい
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朝から大勢のお客さん
春の動物園はどこでも賑やか笑い声
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モモコ、ガラスの向こうの春に気づく
みんなの服は色とりどりで可愛いものばかり
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ぽかぽか陽気、明るく晴れて強めの太陽紫外線
冬がしてきた春の準備、今度は春がしていく夏の準備
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お花を咲かせて次の緑へ
そんないつもの春のこと
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庭の隅にふきのとう
最初の花はふきのとう
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匂いを嗅いでそっと触れ
春を感じたふきのとう
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食べる食べない考えた
そんなかわいいふきのとう
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「雪が溶けるとすぐに春。私もスミレちゃんもそのことだけは知っている」
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「土ばっかりに見えるこの地面。どこかに、ほんとはそこいらじゅうに春の手がかりあるんだよ」
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「スミレちゃんも探してる。きっとどこかに“スミレ”も咲きだしているのかもね」
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「チャタロウさんのお庭が一番自然。眺めてみれば季節がわかる」
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「ほら、みんなにも見えるかな」
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「向こうにはたくさんのふきのとう。綺麗な緑が増えてってるね」
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「春の色が見えるかな、春の香りはわかるかな───みんなに季節がわかるかな」
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「必ず感じてもらえるはず、動物園で自然を眺めて必ず感じてくれるはず」
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「お散歩してれば私にはたくさん見えるから、たくさんたくさん見つかるから」
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「春の始まり、どんなとこにもどこにでも───」
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「ほら、ここにも小さなふきのとうがいっぱいだよ」
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「かわいいね」
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「食べてみようかどうしようか、もったいないかな美味しいのかな」
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「えいっ」
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「ふきのとうはやわらかくていい匂い」
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「でも、やっぱり食べちゃ駄目みたい」
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「もう食べるのはやめておこう……」
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「ふきのとうに悪いことしちゃったかも」
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「ふきのとう───ごめんね」
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「なんかあくび出た。眠いのは春だからってわけじゃない───ウォンバットだからだよ」
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「スミレちゃんは珍しくお外で眠ってる」
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「お客さんは笑顔だね。動物達と一緒、春が来て暖かくなってなんだか楽しくて、みんなみんな笑顔だね」
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「そう、優しい笑顔で動物達に会っていってね。みんな優しい動物達だから、そっと優しく会いに来てね」
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「愛情いっぱいあげるから、愛情いっぱいくださいね」
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「それが楽しい動物園、それで幸せ動物園───みんな傍にいたいから、優しい声を聞かせてね」
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「約束だよ」
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儚く健気にウォンバット
そっと静かに、そっと暮らす
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どこで会ってもみんな一緒
きっと野生でもただそっと
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そっと暮らすウォンバット
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ウォンバットの優しさに、動物達の優しさに一度気持ちが触れたなら、きっとみんな温かくなっていく
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きっとみんな優しくなれる
純粋過ぎる動物達の優しさに、強さを感じる季節の移り変わりに触れたなら、きっとみんな優しくなれる
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動物達の可愛らしさ、動物達の優しさを、ウォンバットはきっと教えてくれる
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優しい気持ちで会いに来たのなら、会って優しい気持ちになれたなら───
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モモコはきっと傍に来てくれる
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優しい気持ちに向かって、優しい気持ちをたくさん持って
傍に傍に
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モモコは優しい人の所へやって来る
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動物達はそっと静かに季節を眺めてる
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同じようにそっと静かに、そして優しく動物達を眺めていれば
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きっと傍へ───
動物達はそっと傍へ、みんなの傍へ来てくれる
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間にガラスがあっても柵があっても、たとえ距離が少しあっても
───それでもきっとみんなの傍へ
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動物達から愛情たくさん貰ったら、今度は動物達にそれ以上の愛情を───
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それできっと上手くいく
春夏秋冬、きらきらふんわり暖かい、そんな時間が過ぎていく
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日本で暮らす、日本で暮してきたウォンバットの中でも一番優しくて、一番人に寄り添っているのはモモコ
きっとモモコ
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そんなモモコに、貰える以上の愛情あげることができるのか
それはなかなか難しい
けどもし会いに行くのなら、もしもモモコに会えたなら───
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優しさ伝えていくように、持ってる限りの愛情全部モモコにあげていかないと───
モモコもきっと笑わない
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優しく優しく、温かく
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優しい気持ち、動物達に───





   

by bon_soir | 2017-04-04 14:45 | 茶臼山動物園 | Comments(8)
フクちゃん
五月山動物園で暮らすウォンバット、フク
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工事前のとある日
朝のフクちゃん
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何度か部屋に戻っていくけどまたすぐに出てきていたフクちゃん
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フクちゃんの庭、日陰ばかり
見ているお客さんもまた、日陰ばかりでとても寒い

小さな日向でじっとするフクちゃん
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眠いよね
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小さな日向
向こう側にはワインとワンダー
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なんだかちょっと羨ましい
二人の庭は日向が多い
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そしてなにより、二人は幸せそう
毎日毎日、それはそれは幸せそう

フクちゃん木に足を乗せる
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少し不安定
この木は少し不安定
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ワインとワンダーの笑い声、楽しそうな会話が聞こえてくるね
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なにより二人は温かいね
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小さな日向でだんだん身体が温まる
ついついあくびが出てしまう
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地球は回る
自転する
小さな日向も動いていく
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合わせて移動
日向に合わせて移動しなければ寒くて寒くてしかたない
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小さな日向でだんだん身体が温まる
ついついあくびが出てしまう
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あくびの終わり
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気持ちいいね
そんな朝だね
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なんだか少し寒い
そんな冬の終わりの朝のこと
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小さな日向でだんだん身体が温まる
ついついあくびが出てしまう
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小さな日向は今日もまたいなくなる
そっと隠れ、そっと離れてまた後で
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工事前
ブルーシートを気にしてました
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工事終わってよかったね
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頑張れフクちゃん




   

by bon_soir | 2017-03-01 11:00 | 五月山動物園 | Comments(4)
ワインとワンダー、まだまだ続く物語
五月山動物園で暮らすウォンバット、ワインとワンダー

工事が本格的に始まる前、冬の終わりかけの少し暖かい日
ワンダーは穏やかに微笑み、どこか名残惜しく感じる朝を漂い始めていました
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「この風景がもうそろそろ変わるんだね───」
ワンダーはわかっていました
長い間過ごしてきたこの庭が変わる日がすぐそこだということを
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朝の日差しがウォンバット達を少し温め、ときおり吹くゆっくりとした風がまた少し身体を冷やす
そんな晴れた冬の朝
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庭を散歩して眺めていると、なぜだか色々な風景が時々目の前に表れます
懐かしい声が耳の傍で、そして少し離れた所から聞こえてきます
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ワンダーはその度に足を止め、その懐かしい姿を目で追い、聞こえる笑い声に耳を傾けました
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全てはこの庭で過ごしてきた日々の記憶
嬉しいこと、悲しいこと
楽しかったこと、寂しかったこと
そんな全部のこと
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ワインと一緒に笑って、そして泣いた
───二人と五月山動物園の物語
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この風景が変わる前にその物語をもう一度読み返すような、そんな不思議な時間をそっと過ごす
そんなワインとワンダーの、そんなある日の朝のこと
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「ワンダーさん、おはよう」
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「朝ご飯、美味しいかい? たくさん食べられているかい?」
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「美味しく、ちゃんとたくさん食べられているなら安心だ。なんの不安もない」
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「ワンダーさん、気がついているんだろう?この風景がもう少しで変わっていくことを」
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「気がついているんだろう?サツキとサクラ、そしてティアやアヤハの姿も今ぼんやり、そっと見えていることが、ね」
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「そうだ───全ては僕達の記憶の中のこと」
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「───僕ら二人の物語だ」
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「色々なことがあった。楽しいこと嬉しいこと、悲しいこと寂しいこと───本当にいろんなことがあったんだ」
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「ワンダーさん、僕はね。二人でいたから良かったんだと思うよ、一緒に笑って、喜んで───そして一緒に涙を溢してこれたからね
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「一人だったらね、きっともっと味気なく、そしてもっと辛かったはずなんだ───物語はすぐに終わってしまっていたかもしれないね」
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「そうだよ、ワンダーさんと僕の物語は二人だからこれからも続くんだ───」
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「まだまだ途中、終わりなんかぜんぜん見えてこない、そんな物語がね」
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「これからもずっと続いていくんだ」
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「ヒーローは僕、ヒロインは君。いろいろあるけれど、最後は必ず傍にいる───そんな当たり前の物語」
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「それでいいよね、それがいいよね───大丈夫僕ら二人、ほら、わくわくしてる
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「サツキもサクラも、ティアもアヤハもみんな、みんなが動物園を見守っている、見守ってくれている」
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「きっと大丈夫。この物語はハッピーエンドだ」
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心配していたワンダーとワイン
ワンダーは部屋の前でも青草をたくさん食べ、不安はどこにもありません
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ぽかぽかとした陽気の中へ、走るわけでもなくそっと滑り込む
そんなワンダー
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なにより大切な「いつもどおり」
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光る朝日の光、ずっと変わらない陽の光
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ふわふわワンダーの毛がきらきら光る
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そのフェンスはもう無くなるよ
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それは寂しいけれど、必要なこと
人の都合で申し訳ない、動物達にそんなお願い
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動物達に頼ってばかり
そんなわがまま、そんなお願い
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ワンダーさんは穏やかに
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朝日の中で朝ご飯
穏やかな陽の光、穏やかなその笑顔
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ワインを癒やし、みんなを癒やす
小さな身体の大きな笑顔
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ワンダーさんの素敵な笑顔
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そんなワンダーさんをワインはずっと気にかけ眺めるフェンス越し
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それはいつものことだけど、やっぱり嬉しいワンダーさんを大好きな優しいワイン
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なるべく近くへ
なるべくなるべく、なるべく近くへ
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なるべく
近くへ
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かわいいワイン
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ワンダーさんが一度離れてしまっても大丈夫
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ずっと隣を気にしていれば大丈夫
ワインの時間はワンダーさんに捧ぐ、そんな愛情を生むための時間だから
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ワンダーさんの方からちゃんと傍へやって来る
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食べてる間も一緒だよ
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ワインはワンダーさんと一緒だよ
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きっと一緒だよ
ずっと一緒だよ
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ワインとワンダーいつまでも一緒
きっと、ずっと一緒───
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「───ワンダーさん、聞いてるかい?」
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「きっと無くなるフェンスにさ、秋の名残、冬が消しきれなかった物があったんだ」
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「ワンダーさんの大好きなイチョウの葉っぱさ。あの日のことを思い出すだろう、また物語の一部が浮かんでくるだろう?」
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「散歩してれば色々見つけるんだ。季節が変わっていく時はっきりとしていない部分、そんな曖昧なところをね」
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「これが“滲んでる”ってことなんだろうね」
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「そんな“滲み”が今は心地よいね。なんだか曖昧な方がいい、はっきりばかり少し冷たい気がするんだよ」
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「思い出だってそうさ。なにからなにまではっきり覚えていることばかりじゃないだろう?」
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「少しずつ滲み、曖昧になっていくことだってあるだろう」
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「その方が楽なことだって、いくつか思い出の中にあるだろう?」
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「わかるかい?物語はそうして出来ていくんだ」
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「嬉しいこと楽しいことはもっと大きく滲む、嬉しいこと楽しいことは暖かく周りを包むように滲んでいくんだ」
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「そして悲しいこと寂しいことを少し曖昧にしてくれる。そう、そっと包み込むように、ね」
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「こうして、いつのまにか物語は出来上がっていく。最後はハッピーエンド、全体はとっても温かい───そんな僕らの物語さ」
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「いつかどこかで読み返す、一緒に作った物語をいつか二人で読み返すんだ」
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「この物語はどこでだって読めるんだ。二人一緒にいる時はいつだって読めるんだ」
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「もちろん今だってそうさ。物語を作りながら僕達は読み返す。そんな途中───」
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「まだまだ続く旅をしているような物語、書くのは僕らさ」
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「そして読むのも僕ら。そんな僕らのお話、それが僕ら二人の物語」
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「今、物語は重要な場面を迎えたんだ。工事が始まり風景が変わるって言う大事な場面だ」
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「騒々しいのは嫌いな僕らだ。少し我慢をしなければいけないね」
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「慣れた風景がが変わること、寂しくて、でも少し楽しみだ」
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「ほらね、もう少し滲んでる。気持ちはやっぱり曖昧で、もう滲み出している」
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「あとはみんなが変わらず元気で、その変わった風景を一緒に眺めること。それだけでいいんだ」
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「騒々しいのを少し我慢。大丈夫、工事なんか上手くやってくれるさ」
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「ワンダーさん、知っているだろ。君には僕がいる」
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「君のことをかわいいと思ったあの日から、いつだって君の傍に僕はいる」
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「サツキもサクラも、ティアもアヤハも、どこか近くで見てくれてるさ」
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「僕ら二人の物語はまだまだ続く。まだずっと続いていく」
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「何ページあったとしても足らないよ、ぜんぜん足らないよ」
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「長い長いお話さ、どこかに書き留めるには無理がある」
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「だから僕ら二人の心の中に書いていく、それがいい」
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「僕が書き忘れたこと、知らなかったこと───それを君が僕に読み聞かす」
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「君が書き忘れたこと、知らなかったこと───それは僕が君に読み聞かす」
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「二人の物語だからね、それできっとちょうどいい」
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「ワンダーさん、いつか君はどんなお話をしてくれるんだい?」
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「ワンダーさん、君はどんなお話を聞きたいって思うんだい?」
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「いつかどこかで読んで過ごそう、ずっと二人で毎日毎日読み続けて過ごそうよ」
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「まだまだ続く長い物語、二人で暮せば終わりなんか来るはずないよ」
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「先のことは考えなくて大丈夫、きっと大丈夫。さっき言ったとおりさ───」
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「いつかの最後はハッピーエンド、全体が温かい───そんな僕らの物語さ」
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何事もなく工事が早く終わること
それを祈って───




   

by bon_soir | 2017-02-23 07:00 | 五月山動物園 | Comments(8)
ウォレスと人間の神様③

☆☆☆☆☆←前回よりの続きです
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「僕が頼まなければいけないのは───人間の神様だ」

いつもどおりの優しい笑顔に会い、いつもどおりの楽しい日々を過ごしたい
「特別嬉しいことは必要ない、ただこれまでどおりいつもどおり───」
閉園後、一度部屋に戻ったウォレスは今日お昼寝をしているときに見た怖くて寂しい夢のことを思い返し、“これからもいつもどおりに──”ということだけを願うように考えていました
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そうして考えついたのは
「人間の神様にお願いすること」
そのことでした
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「ウォンバットのことはウォンバットの神様にお願いしている。今の飼育係さんとずっと一緒に過ごせるようにお願いするには、きっと人間の神様にお願いしなくちゃいけない───」
何度も頭のなかでそのことを考え、何度か小さな声でそのことを呟いた
そんなウォレス
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大きな月が夜空に浮かぶ冬の寒い真夜中、ウォレスは一人そっと外へ出ました
澄んだ夜空には月だけじゃなく、たくさんの星が動物園をそっと照らし、どこか動物達を呼んでいるようでした
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綺麗な夜空の下、穴を掘り始めたウォレス
ウォレスはウォンバット、木には登れないけど穴を掘ることができます
静かな夜、ただ静かに“さっさっさっ”と穴を掘り続けるウォレス
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「人間の神様に会ってお願いをする、それはどういうことなんだ。僕はどうすれば人間の神様に会えるんだろう───」
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穴を掘っていた手を一度止め、ウォレスは夜空を見上げました
東の空は光で滲み始め、不思議な色で朝が近づいてきたことを知らせています
「寒いね」
冷たい地面に穴を掘り続けたウォレスは少し前から泥で汚れ、かじかんできていた自分の手を一度見つめ寂しそうに微笑み、温かい干し草のベッドが待つお部屋へと戻っていきました
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「また朝になれば飼育係さんが迎えに来てくれる、眠っている僕を起こしに来てくれる───」
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ウォレスはそっと目を閉じ、すぐに夢の中へと滑り込んでいきました
「飼育係さん、これがオーストラリアだよ」
小さな声で寝言を言ったウォレス
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明け方から朝に見ていた夢
それは夜の動物園で見る星を100倍にもしてぶちまけたような星空の下、大好きな飼育係さんと一緒にオーストラリアの高原を散歩してまわる、そんな夢でした
もちろんひときわ明るく輝く南十字星も二人の目にはそのまま輝いています
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「最高の気分だ」
動物園にはすっかりと朝日が登っていましたが、ウォレスはもう一度寝言を言い、楽しい夢を見続けていました
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夢の中で飼育係さんがウォレスを呼びます
「ウォレス、ウォレスっ!」
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「ウォレス」
その声はそのまま眠っているウォレスを呼ぶ声へと変わっていきました
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「朝だ、ウォレス」
そのいつもの優しい声に起こされたウォレス
少し寝ぼけながら庭へ向かい、ふと立ち止まり晴れた空を見上げ、ウォレスを待ついつもの笑顔を見つめます
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「良かった、今日もいつもどおりの朝だ」
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「そう、またいつもどおりの一日が始まる───」
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ウォレスは毎朝と同じように壁を見て、そして土管へと向かいます
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「今日は昨日よりも少し暖かい」と呟き、とことこと歩くウォレス
いつもと少し違うのは動物園を歩く人の中に“人間の神様”を探すこと───
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少し探したくらいでは見つかりません
そもそも今、人間の神様が傍にいるのかいないのか、ウォンバットのウォレスには全くわかりません
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「この土管の向う側に神様がいればいいのにな」
ウォレスはそう言って、いつものように土管の中に入りました
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「神様に会うためには、そしてお願いをするためには、やっぱりお行儀よくしていた方がいいかもね」
そう考え、はみ出た干し草を集める
そんなウォレス
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全部土管の中へ───
それはお昼寝も気持ちよくするためには重要なこと
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丁寧に丁寧に
手前から奥の方へと、丁寧に丁寧に
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そして今日もお昼寝の間の夢の中
温かい干し草に顔を埋めて夢の中
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テポリンゴ達の声もだんだんと小さくなって夢の中
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ウォレスはいつものように土管の中で夢の中
きっと心配なんていらない、そんないつもどおりの動物園でいつもどおり夢の中
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夏の虫、虫の声に代わり聞こえてくるのは渡ってきている鳥の声
少し冷たい冬の風、空気を澄ませる冬の風
風と一緒に空は澄んで、動物達は青い世界に包まれる
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「ウォレス、ウォレス」
いつものように飼育係さんがウォレスを優しく起こす優しい声がしました
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すぐに目を覚ましたウォレス
「やあ、今日は少し早いんだね。朝の夢が途中で終わってしまったよ」
そう言ったウォレスの顔は嬉しそうに微笑んでいました
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ウォレスが楽しむ動物園、ウォレスが幸せだと感じる動物園
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ウォレスと楽しむ動物園、ウォレスに愛情を、幸せを貰う
そんないつもどおりの東山動物園
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ウォンバットの神様がいるように、どこかに人間の神様がいてくれるなら
この小さな幸せがずっと続くように、ずっといつまでもみんなの幸せが続くように、と
ただそれだけを、お願いします
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人が幸せを祈るように、動物達も幸せであることを祈ります
いつもどおり、いままでどおり
ただそれだけの小さな幸せ
ただそれだけを、お願いします
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「今日は“ほうき”じゃないんだね。草を持ってきてくれたのかい?」
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「みんなにとっての幸せってどんなこと?僕にとっての幸せってこんなこと」
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「好きな人の笑顔を見て僕も笑う、そうやってただ毎日過ごす。今日も明日も明後日も───」
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「僕の幸せって、ただそんなこと」
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「飼育係さんが干し草を撒く。新しいふかふかの干し草だ」
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「僕は干し草を土管の中に集める。また、もっともっと、あるだけ全部集めていく」
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「干し草と一緒に集めるのは愛情だ」
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「みんなになら僕の言っていることがわかるだろ」
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「えっ、反対側から出ちゃってるって?」
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「ああ、本当だね……」
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「大丈夫、少しくらいどうってことない」
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「飼育係さんがたくさん持ってきてくれたんだ、大丈夫」
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「干し草は潤沢だ」
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「一緒に集めた愛情もね、もちろん潤沢だ」


干し草が少し多いこと
それ以外何も変わらない、みんなが望むいつもどおりの一日
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眠っているといつの間にか閉園の時間
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目を覚ましたウォレスはすぐに部屋へと戻っていきました
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「人間の神様、聞こえているかい?どこかで聞いてくれているかい? 今日一日、特に何も無いような一日だった。ただの冬の一日さ」
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「これでいいんだ、これだけでいいんだ。このくらいでも望んじゃだめかい? お願いしちゃ駄目なのかい?」
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「いつもどおり、何も変わらずいつもどおり、こんな日々はずっと続いていくんだよね?」
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「続けさせてくれるんだよね?」
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「特別美味しいものを食べさせろとか、そんなことは言わないよ」
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「草だけでもいいんだ」
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「眠る場所も土管でいい。いままでどおりだって言っただろ。あの土管は大切な物だ」
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「人間の神様、ウォンバットの声は聞こえるかい? 変わらないいつもどおりの毎日を、ずっと、これからも───」

「ウォレス、何を話しているんだ?」
ウォレスが呟いていると、大好きな飼育係さんが家に帰る前にウォレスの様子を見に来ていました
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見上げればいつもの優しい笑顔
「あぁ、ごめん。なんでもないよ」
ウォレスは首を少し横に振り、微笑みながら飼育係さんの目を見つめます
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「そうだ、これから僕と一緒にオーストラリアに行かないかい?」
ウォレスがそう聞くと少し驚いて、飼育係さんが笑いました
「今からかい? そんなこと、できたら楽しいだろうね───」
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「本当さ、僕はからかってるわけじゃない。嘘を言ってるわけでもない───本当のことさ」
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「オーストラリア大陸へ、行こう。僕と一緒に、今から、ね」
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「いいね。行こうか、ウォレス」
飼育係さんは今までで一番優しい顔で微笑みました
ウォレスも微笑んで頷き、「着いてきて」と一言言って歩き出しました
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「オーストラリアへは土管のトンネルを抜けていく。知っているかい?庭にあるあの土管はオーストラリアと繋がっているんだ」
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「行こう、僕と一緒にオーストラリア大陸の旅に出かけよう」
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「わくわくする気持ち、それだけあれば旅の準備は出来ている」
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「優しい人、大好きな人。僕と一緒にオーストラリア大陸へ旅に行こう。土管のトンネルを僕と一緒にくぐり抜けて出かけよう」
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「ちゃんと帰ってくるから怖くない。優しい人、みんなを僕はオーストラリアへと連れて行く」
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「それが僕の役目だ」
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by bon_soir | 2017-02-10 11:00 | 東山動物園 | Comments(8)