タニ、始まる秋の日々とガイド
ズーラシアで暮らすセスジキノボリカンガルー、タニ
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暑い夏はもう終わり
これからどんどん空は高く青く、吹く風は軽く隣を通り過ぎる
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まだ外れない日除けのタープ
隙間、タニとモアラは大好き
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雨が降れば聞こえてくる音
ポツポツポツポツ
空は少し狭くなったけれど、楽しい音で雨の日だって好きになる
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タニ、一人静かに思うこと
ぼんやりぼんやり考えてしまうこと
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それはアマゾンセンターで暮らす大好きなワリのこと
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飼育係さんのお話しを少し聞いてしまったタニが思うワリのこと
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「ワリさん、大丈夫かな───」
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「ご飯、食べないと駄目だよ」
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「日本のこと、季節のこと、教えてくれたのはワリさん───優しいおばあちゃん、ワリさん」
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「ワリさんは凄いおばあちゃん、自慢のおばあちゃんなんだ」
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「会いたいな、ワリさんに────」
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「ご飯は大切。ワリさん、今何が食べたいの?わかれば私が採ってきてあげるよ────」
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「尻尾、かゆいね」
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「ワリさん、秋になったよ。ワリさん、冬が来るよ」
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「これからがワリさんの大好きな日向ぼっこの季節だよ────」
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「ワリさん、何が食べたいの? 私が採ってくるよ、私が届けるよ」
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「きっと美味しい物がたくさんあるよ────秋だから、ね」
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「カンガルーも跳ねていく。秋の風、みんな大好き」
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「私はモアラの気配を感じてちょっと覗く」
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「モアラー!」
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雨降りそうで暗い空
こんな日でも動物園はもう秋の日々
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まだ少し暑い日時々あるけれど、冬に向かって少しずつ
少しずつ進みだした秋の日々
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のんびりのんびり
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のんびりゆっくり進んでいくのは動物時間

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『────動物が動かないよ』
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────見てごらん、動いているよ
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────ゆっくりとした動物時間の中でちゃんと動いているよ
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────のんびりのんびり暮らしているよ
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タニ
耳を傾けてそっと聞いているのは飼育係のお姉さんの声
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もうすぐ始まるガイド
ガイドの準備をしている音も聞く
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始まるよ
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急げ急げ
始まるよ
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焦りすぎた
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大丈夫
いつもどおり、のんびりゆっくりでも大丈夫
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ゆっくり登って上に行く
よく見える場所、テラスに上がる
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秋のガイド
キノボリカンガルーの楽しいガイド
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始まるよ
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何を教えてくれるかな
何を話してくれるかな
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みんな、キノボリカンガルーを好きになってくれるかな
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今日のおやつはなんだろうね
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ニンジン
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ニンジン美味しく食べたかな
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インゲン
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インゲン美味しく食べたかな
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次は何かな
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ブロッコリー
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落としちゃったね
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大好きなのに落としちゃったね
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後で拾ってくれるよ
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覗きすぎ
かわいいタニ
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まだあるよ
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お芋に
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それはなんだろう
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キャベツかな
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後は何かな
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小松菜だ
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美味しいね!
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「もう無いの?」
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もう無いよ
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「もう無いの?」
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もう無いよ
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後は枝葉
主食、大切な食べ物───枝葉
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クワかな
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美味しいね!
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ブロッコリーも拾ってくれた
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今度は落とさないように両手でしっかり
美味しいね!
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「───こんなに美味しい秋なのに、ワリさん少し元気ない」
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「ワリさんのお話し、楽しくて優しくて───オーストラリアから引っ越した私をすぐ笑顔にしてくれた」
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「ワリさん、何が食べたいの?」
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「ワリさん、私が採ってくるよ」
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「秋だよ、ワリさん」
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「ワリさん、何が食べたいの?」
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「採ってくるよ、ワリさんが食べたい何か、採ってくるよ、私が採ってくるよ」





    

# by bon_soir | 2017-09-09 15:30 | ズーラシア | Comments(4)
9月8日
9月8日は金沢動物園で暮らしたコアラ、「ハヤト」が小さな身体で遠く高い空の向こうへ旅に出かけてしまった日
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こちらがこのブログでハヤトのタグが付いた記事です→☆☆☆☆☆
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ワカのポッケを覗く飼育係のお姉さん
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お母さん「ワカ」のポッケから初めて出来てくれた時のこと
一生懸命にしがみつく姿に小さな力強さを感じました

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かわいい体重測定
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少し経って
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大きくなっていくのがとても嬉しい小さなコアラ
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「ハヤト」
名前も決まり楽しい日々
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寝顔もよく見せてくれました
どんなに動かなくてもかわいい顔からとびきりの温かさを感じさせてくれたハヤト
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すぐに後を追ってしまった優しいお母さん、ワカとの思い出
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コアラの親子
ワカとハヤト
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コアラの可愛さ、素晴らしさ
色々なものが溢れ出る姿です
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小さな男の子、ハヤト
1歳と半年にも満たない小さな小さな男の子
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ポッケから出てくるようになって一年にもならない
小さな男の子
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まだまだ本当にこれから
楽しい日々、幸せな毎日はまだまだ本当にこれからというところ
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かわいいコアラ
儚くそっと輝くかわいいコアラ
ハヤトはその一人、短い間に色々なことを伝えてくれたコアラの大切な一人
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9月8日は「ハヤト」が小さな身体で遠く高い空の向こうへ旅に出かけてしまった日
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ヒロキの旅立ち、8月24日からすぐにやって来る
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夏の終わりから秋の始まり
9月8日は小さな男の子を想う日、思い出して涙を浮かべる日
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ワカと一緒に楽しくお話してるかな
ワカと一緒にどこかお散歩してるかな
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9月8日は「ハヤト」が小さな身体で遠く高い空の向こうへ旅に出かけてしまった日


9月8日は小さな男の子を想う日、思い出して涙を浮かべる日





   

# by bon_soir | 2017-09-08 12:43 | 金沢動物園 | Comments(10)
ミカンとノノン、夏の思い出
高い所で風に吹かれてスーチョワンバーラル
そこから何が見えるかな
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金沢動物園で暮らすスーチョワンバーラル達
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続けて生まれた二人のこども
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見たまんま、見分けることが難しい
ミカンに
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ノノン
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多分そう

それは傍で微笑むお母さん
お母さんで見分けることがいいような
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サキの傍にいつもいる
だからきっとミカン
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ご飯を食べていたからちょっと休憩
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雨続いたり暑すぎてしまったり
今年も夏はとても大変
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木陰で風
気持ちが良いのはそんなこと
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一人で座って微笑んで、ふと歩きだして
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ミカンが目指すその場所は
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さっと登ってお母さんの傍
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サキもなんだか嬉しそう
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高い所で風に吹かれてスーチョワンバーラル
そこから何が見えるかな
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秋の方から風は吹き
秋そのものをつれてくる
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高い所で風に吹かれてスーチョワンバーラル
そこから何が見えるかな
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お母さんの傍は暑いんじゃなくて温かくて
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お母さんの傍は一番安心楽しくて
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なんだか夢を見てるよう
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角が長い雄のみんな
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角の先の所、長さが合うところならちょいちょいっと身体掻く
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手前は掻けないね
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夏の思い出
きっとみんなが増やしてる
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夏の思い出
動物達も増やしてる
一年一年少しずつ
春夏秋冬少しずつ
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今年生まれたミカンとノノン
二人よりも二年分、思い出多いねラージ君
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角も伸びて、みんなと混ざっって
もう立派な大人
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ミカンも大きくなっていく
きっと大きくなっていく
風吹く庭、素敵な庭で大きく大きくなっていく
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違う夏の日
ジャイアント家族
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小さなノノン、かわいいお名前
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お母さんとお姉ちゃん
似ているね
ノノンもきっと似ていくね
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みんなと一緒
楽しいね
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後ろを通ってそっと座る
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特等席には少し恐いウランがいるね
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時間が経つとウランはそこからいなくなり、みんなで登って風受けた
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高い所で風に吹かれてスーチョワンバーラル
そこから何が見えるかな
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高い所で風に吹かれてスーチョワンバーラル
風の色が変わっていくこと、そこからちゃんと見えるかな
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何が見える?
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見上げて眺めるみんなが見える?
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高い所で風に吹かれてスーチョワンバーラル
夏の終わり、秋の始まり
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ミカンと
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ノノン
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小さな二人、季節巡りの始まり
風に吹かれて見る夢は、きっと風吹く世界の明日明後日、未来へ続く
そんな夢



   

# by bon_soir | 2017-09-07 08:00 | 金沢動物園 | Comments(2)
ひかりのコアラ
前回(→☆☆☆☆☆)からの続きです


ヒロキさんの声はワライカワセミの小さな子に乗せて私の元へ────
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────夜中まで動物園が終わらない日
その日が来るまで何度か眠り夢を見て、また何度か目を覚ます
その時それが何回目の夢なのかなんて数えたりはしなかった
ただのんびりと、いつもどおりの時間を過ごせば、楽しみにしている瞬間はきっと普通にやって来る
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あの時ヒロキさんから聞いた言葉
“優しい人からのプレゼント”
その言葉を時々呟き、私はのんびりいつものようにお部屋で一人過ごしてた
時々ぼんやり眺める窓の外、セミの声は減った気がするし、雲は軽く空が高い
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「お空の上のみんなもまた高く、距離は少し離れちゃったかな───」
お母さん、お姉ちゃん、ワカちゃんにハヤト
みんなの顔が秋の空にぼんやり浮かぶ
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飼育係のお姉さんが交換してくれるユーカリの美味しさも、やっぱり少しずつ変わっているような気がしていた
きっと夏のユーカリから秋のユーカリへ───
種類は一緒かもしれないけれど、でもどこか少し違う
昨日と今日、そしてきっと今日と明日も同じ日が無いように、色々なことが少しづつ変わっていく
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たった一日、それだけで色々なことが変わっていく
去年と今年、そして今年と来年ならもっともっと違うだろう
「みんなどうしているのかな───」
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いつもそう───考えていること、それはすぐに言葉になった
傍にお母さんが、お姉ちゃんが、そしてワカちゃんやハヤトがいてくれた日々
それをついさっきのことのように思い出す
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思い出はいつも心の中に───
すぐに浮かぶその風景
私が思い出をしまっている場所は奥底の方じゃない
凄く手前に置いてある
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「みんなどうしているのかな───」
また同じことを呟いた
数えていないだけで、きっと何度も何度も呟いているはずだ
でも今、部屋に私は一人
───独り言は誰かに聞かれるわけじゃない
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何度も何度もその時思う言葉を呟いて、思い出したり想像したり───
いつものようにお部屋に一人、暗くなってもお客さんが帰らない日を私はただ待っていた
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夏は長いようでいて振り返れば結構短い
一日一日、本当に短い

“暗くなってもお客さんが帰らない日”

そう───その日はすぐに訪れた
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「あっ───」

コアラの家、廊下で動くたくさんの人影
寝起き、すぐに気がついた私は振り返り、窓の向こう“オセアニア区”をゆっくり眺める
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大きなユーカリの木の陰に隠れ始めた太陽はスピードを徐々に上げ、山の向こうへと足早に沈んでいく
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───暗くなってもお客さんが私を見てる
「今日だ───」
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楽しみにしていた気持ちは大きく急に膨らんで、私の胸や頭をいっぱいにする
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「もう一度、早くもう一度眠らなきゃ───」
私は急いでぎゅっと目を閉じた
ユーカリの葉っぱに埋もれこっくりこっくり、コアラはそっと夢を見る
私はコアラ、眠るのなんて簡単なはずだった


「駄目だ────眠れないよヒロキさん」
今の私は目を閉じているだけのコアラだ────
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お昼に眠りすぎていたせいなのか────

ずっとわくわくしてきた、夢を見るための準備は必ず出来ている
それなのに眠くならない時があることを私は初めて知った
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「眠らなきゃ眠らなきゃ───」
そう思えば思うほど気持ちは焦り、胸がドキドキしてくることがわかる
ヒロキさんは空が暗くなり始めたらまた眠りなさいと言っていた
目が覚めたままでいると“優しい人からのプレゼント”は貰えないのかもしれない
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ドンドン、ドーン
遥か遠くで花火の音が聞こえだし、そして時間が過ぎてまた静か
お客さんもいなくなりいつもの夜へと戻ってしまう
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───暗くなったらまた眠る
私はこの日、その大切なことが出来なかった

チャンスは明日、もう一度
明日一日、最後のチャンス
神様お願い眠らせて
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───そっと始まる夢の中、いつものように私を夢の中へとそっと滑り込まさせて
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────いつもより短く感じた夜は明け、動物園はまた始まった
「おはよう」
飼育係さんの声がする
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私の頭の中は今夜のことでいっぱいだ
考えながら過ごす時間は変に長い
いつもよりも遅く進み、暗くなリはじめを気にするあまり何度も何度も空を見上げてしまう
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「ずっと眠っていたら駄目なのか────」
ふと思ってみたりもしたけれど、きっとそれじゃ駄目なんだ
明るい間に見る夢は、夜から始まる夢とは違う
そういうこと、きっとそんなこと────
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「そろそろだ」
昨日と同じように大きなユーカリの木の陰に隠れ始めた太陽がだんだんと山の向こうへと沈んでいく
どんなに遅く進む時間でも、こうしていつかは時間が過ぎて朝から昼、昼から夕方
短い夕方さっと過ぎて、また必ず夜が来る
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────眠るんだ、暗くなったら眠るんだ

オセアニア区の大きなユーカリ夜風に揺れて優しいリズム
気の早い秋の虫の声は優しい歌を歌うよう

私はそっと目を閉じた

『とっ、とっ、とっ、とっ』
音が聞こえる
『とっ、とっ、とっ、とっ』
どこからするのか静かに音が聞こえてきてる
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誰かの音、誰かが生きてる心臓の音
ポッケの中で聞いていた、あの柔らかくて温かいポッケの中でずっと聞いていた
なんだかとっても懐かしい、優しく包むあの音に私はそっと癒される

「お母さん、ありがとう」

気持ちはすぅっと温か落ちついて、私はすぅっと眠りに落ちる
お母さんの音、私の音、そして聞こえるもう一つの音

そっと広がる夢の中、3つの音が重なり歌う

優しい優しい夢の中
夢の中なら私は自由、私は自由どこまでも────
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開かなかったドアが開く
そう、夢の中なら私は自由────
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夜の動物園を楽しむお客さんの側をすり抜けて、私はオセアニア区を歩いていく

『ドアを開けて大きなユーカリ眺めながらあそこを歩いて、こっち側、それとも向う側───』
ずっと考えていたこと想像ばかりしていたこと
夢の中なら私は自由、今の私はどこでも行ける
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ヒロキさんの家の側
石のヒロキさんに「こんばんは」
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来年は8月24日にきっと来るねと、ちゃんと約束
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『ユイ、君はアフリカ区を抜けていくんだ』と低い声
石のヒロキさんが私に言った
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「一緒に行こうよ」
私はにっこり笑ってそう言い誘う
『いいね』
石のヒロキさんはにやりと笑う
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今、私達は夢の中
夢の中ならみんな自由、楽しいことおもしろいこと、なんでもきっと必ず出来る

────ヒロキさんが言っていた“暗くなったらまた眠る”ということ、それは今の私に自由が必要だってこと
きっと訳があって外には出られなくなっていた
だから眠って夢の中、夢の中から外へ出るということ
そんなこと、ヒロキさんが教えてくれたことってそんなこと
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私達はアフリカ区を抜け、お客さん達が大勢いる場所へと着いた
『向こうを見てごらん。あれが“優しい人からのプレゼント”だ』
石のヒロキさんはそう言いながら指をさす
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私はその指さす先、なかよしトンネルの方へ振り返った
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「わぁ」

そこには優しく歌い楽しそうに踊るコアラ達がいた────
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ひかりのコアラ
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そう、私を待っていたのは“ひかりのコアラ”達────
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“優しい人からのプレゼント”
みんなをここまで連れてきくれた

私の目から涙がぽとりと地面に落ちた
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ひかりのコアラは歌って踊る
リズム刻んで奏でるメロディー
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ひかりのコアラが歌って踊る
夜風に吹かれて不思議な笑顔
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コアラ、コアラ
私達はみんなコアラ
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コアラ、コアラ
一人、二人、三人四人
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十人、百人、一万人
私達はみんな笑顔のひかりのコアラ
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ブッチさんにキリンさん
みんな一緒に踊っているよ
みんな一緒に歌っているよ
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石のヒロキさんが笑って言った
『ユイも一緒に歌ってみなよ、ユイも一緒に踊ってみなよ』
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石のヒロキさんはそう言って、笑い転げて光の中へ
みんなと一緒に歌って踊る
なんだかとっても嬉しそう、なんだかとっても楽しそう
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私も笑って光の中へ
みんなと一緒に歌って踊ってたくさん跳ねる
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───そう、今の私は夢の中
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優しい優しい夢の中
夢の中なら私は自由、私は自由どこまでも────

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ひかるコアラと歌って踊る夢の中
夢の中なら私は自由───
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あの日ヒロキさんが言っていたこと
暗くなったらまた眠るってこと
そこから始まる夢の中
自由で楽しい夢の中
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心配してくれている飼育係さんに気を使わせないで外へ出るため
───自由に歌って踊って笑うため
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優しい優しい夢の中
夢の中なら私は自由、私は自由どこまでも────
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私は歌う、私は踊る、みんなと一緒に笑ってる
ひかりのコアラと一緒に歌う、一緒に踊る
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夢の中なら私は自由
───私達はみんな自由
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夢を見ようよ
夢で会おうよ
お母さん、お姉ちゃん、ワカちゃんハヤト
────世界中のコアラ達
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夢を見ようよ
夢で会おうよ
───夢の中ならみんな自由

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私の目が覚めてしまうその前に
みんな一緒に笑おうよ
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夢の中、醒める前に自然とつぶやく
「ありがとう」
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それは寝言に、そのまま寝言で
「ありがとう」

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ひかりのコアラ、会わせてくれた優しい人
ありがとう
みんなみんな本当に───
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「ありがとう」
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「ポッケの中まで温かいね───」
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※文中の映像作品は「ひかるどうぶつえん2017」に出展された作品、『コアラのグッバイソング』です
こちらから2016年の動画が見られます


     

# by bon_soir | 2017-09-05 15:38 | 金沢動物園 | Comments(6)