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バニラと秋の終わり
金沢動物園で暮らすコアラ、バニラ
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秋の終わりにバニラは想います
1年前の寂しく悲しい出来事、そしてその時のお母さんの涙のことを想います
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「あの日から1年が過ぎた。とても悲しかったあの日から1年が過ぎた。それは思っていたよりずっとすぐ、ずっとすぐに過ぎた」
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「そこはどんなところですか? そこからみんなのことが見えてますか? ヒロキさんと楽しく遊んでいますか?」
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「お父さん、もう身体は痛くないですか?」
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「1年経ってしまったね、すぐに1年経ってしまったね」
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「お父さん、お父さんがユーカリの木から眺めてたみんなのオセアニア区は今工事中だよ」
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「少し寂しいけど、色々なことが変わっていくの」
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「なんでだろうね、1年前のあの日から色々なことがかわっていくの」
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「もちろん私もユイも一つ歳をとった。少しお姉さんになったよ」
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「大丈夫。いつも仲良くやってるよ」
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「お母さんもワカちゃんも、みんなで仲良くやってるよ」
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「そう、ここは変わらず温かい。なにも1年前から変わらない」
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「でもね、ユウキ君って男の子が来てくれた。なんだかかわいい男の子が来てくれた」
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「そうしたらね、ワカちゃんがお母さんになったんだよ」
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「ポッケから顔を出すのをみんなで待ってる。お母さんもユイも飼育係さんもお客さん達も、みんなで待ってる」
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「動物園は悲しいことばかりじゃない、楽しいこと嬉しいこともきっとある。それはお父さんが言ってたとおりだった」
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「お父さん、1年が経ちました。1年がすぐに過ぎました」
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「大丈夫。みんな元気で楽しくやってます。ユーカリだって毎日美味しく食べています」
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「夏の終わりにヒロキさん、秋の終わりにお父さん。思い出せば寂しいけれど、オセアニア区は大丈夫」
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「オセアニア区でならきっと大丈夫」
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「動物達はみんな温かい」
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「飼育係さんもみんな、オセアニア区のみんなはとっても温かい」
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「お父さん、大好きなお父さん」
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「あれから1年が経ちました」
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「飼育係のお姉さんにそっと抱かれ、お父さんがそっと旅立ってから1年が経ちました」
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「お父さん、私は大丈夫」
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「お父さん、そこから私のことが見えますか? 私は今どんな顔をしていますか?」
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「お父さん、私はずっとお父さんの娘です」





   

by bon_soir | 2015-11-30 13:51 | 金沢動物園 | Comments(0)
ステップ
金沢動物園で暮らすキリン、ステップ
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ステップと秋の終わり
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枝に葉っぱはもう付いてない
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やっぱり好きな物がある
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それはお母さんに貰うもの
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「お母さん、くれるかな?」
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「お母さん」
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「くれた!」
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「美味しいね」
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「私の身体がもっと大きくなったら……きっともらいにくい」
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「大きくなったら貰えない――きっとそういうこと」
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「もっと、もっと」
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「わーい」
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大きくなった
ステップ
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by bon_soir | 2015-11-29 11:48 | 金沢動物園 | Comments(0)
テルちゃんあくび
金沢動物園暮らすコアラ、テル
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いつだって眠ーいコアラ
そんなテルちゃんのあくび
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あくびの終わりを越えました
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普通の顔

コアラを好きになったきっかけのコアラ
テルちゃん
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昔からずっと可愛い
テルちゃん




   

by bon_soir | 2015-11-28 06:57 | 金沢動物園 | Comments(0)
カイト、11月の終わり
金沢動物園で暮らすマーラ、カイト
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最近になってなぜかとても気になる、マーラのカイト
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雌のチルノ、同居していたダーウィンレアのガイアもいなくなってしまって、今は一人
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以前、3頭いたマーラの雄の中で一番弱かったカイトが今一番長生きしています
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何があるかわからない、そんな動物達
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これからもっともっと寒くなるけど、大丈夫かな
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カイト、後ろ頭
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石の裏とかにいて、見えにくいこともあるけれど、少しゆっくり会って欲しい
そんなカイト
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庭にまたお友達が来るといいね
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来ると本当にいいね
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by bon_soir | 2015-11-27 07:53 | 金沢動物園 | Comments(0)
イコロと上野動物園のモノレール
ユキオが遠く高い所へ旅立ってからちょうど一年経った日の昨日
デアの涙を見たイコロはどうしても眠れないまま、いつもと同じような朝を迎えていました

庭へと出たイコロは空に浮かぶ秋の雲をぼんやりと眺め、一人考えていました
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「デアは確かに泣いていた。きっと一年前の悲しい日のこと、悲しい時間、お別れの瞬間のことを思い出して泣いたんだ。僕が上野動物園に来る前からずっと毎日、毎日デアは星を眺め寂しさをこらえていたんだ。毎日探したデアの星、その星が輝くずっと向こう側、どこかで見守るユキオさんとレイコさんの姿を心に映し、溢れる涙をずっとこらえていたんだ」
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「一年経ってもまだ悲しい、きっと十年たってもまだまだ悲しい。ある日、自分の目の前から大切な、大好きな命がいなくなる───そんな悲しみを僕はまだ知らない」
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「悲しみを知らないままの僕がどんなに慰めても、どんな言葉をかけてあげても、それはきっと薄っぺらな言葉になってしまう」
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「悲しみを知っているだけ、流した涙の分だけデアの方が僕よりずっと大人だ。そしてこのままじゃその差は埋まらない」
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「デアのために、デアとのこれからのために───そして僕のために」
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「僕はもっと大きな、身体も心も大きなホッキョクグマになりたい。僕は誰よりも優しく強い男のホッキョクグマになりたい」
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「ユキオさんのような“上野動物園のホッキョクグマ”に僕はなりたい」
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「デアは今日も遠くを眺めている。きっと今夜も星空を一人見つめ“北極星”を探すんだろう」
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「デア、僕じゃ駄目かい?」


その夜、窓からいつもの様に夜空を眺めるデアを、いつもの様に見たイコロ
これまでと一つだけ違うこと、それはデアが毎日何を想いそうしているのか───それを知っているということでした
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イコロはそっとドアを開け部屋を出ました
静かな夜の上野動物園、そこで見上げた夜空にはたくさんの星が輝いていました

「北極星ってどれだろう、デアが見つめる星はどれなんだろう」と、小さな声で呟くイコロ
部屋へ戻ろうと振り返った瞬間、目の前を横切り、大きな鳥がどこかへ向かって飛んでいくのが見えました
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「こんな夜に鳥だ」
イコロは自然とその鳥が飛んでいった方へと歩いていました
ホッキョクグマの家の裏へと続く坂を登り、夜空に映しだされた猿山の横を抜けて歩くイコロ
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そんなイコロを猿山の上から猿が一人眺めていました
「イコロ君、か」
とその猿は表情を変えずに呟き、そして柵を飛び越えイコロの後を追いかけるように静かに走り出しました
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目の前を飛んでいった鳥を追いかけ、少し早足で歩いたイコロ
イコロが辿り着いたのはモノレールの駅でした
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「これが上野動物園のモノレール──」
イコロは駅の中で静かに停まるモノレールを見つけ、しばらくの間動けずただ見つめていました
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「あっ、さっきの鳥は、あの大きな鳥はどこだ───」
駅の中をくまなく探したイコロは自分のことを見ている大きな目に気が付きました

券売機の所にそっと止まり、目を光らせイコロを見つめていたのは一羽のフクロウでした

「フクロウ、フクロウさんだよね? こんな夜にどうしたの?」
イコロがそう訊いてもフクロウは何も答えず、ただ丸く大きな目をくるくると動かしています
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「イコロ君」
戸惑うイコロの後ろから小さな声がしました
振り返るとそこには猿が立っています。イコロを追いかけ走ってきた猿もまた、明るい夜空にぼんやりと照らされたモノレールの駅へとやって来ていました

「そう、僕はイコロ。ホッキョクグマのイコロです。あなたは、あなたは誰ですか?」
名前を呼ばれたことを不思議に思い、目の前に立つ猿にイコロは訊きました
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「私はただの運転手です。自慢は上野動物園の動物達のことを誰より知っていること」とその猿は言い、フクロウと一緒に券売機の横に立ちました

状況がつかめず戸惑ったままのイコロに向かい猿は話を続けます
「どこか行きたいと考える場所があるんじゃないのですか? だからモノレールの駅まで来た、そういうことではないのですか?」
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「僕はただ夜空を眺めたくて部屋を出た。部屋にはデアがいるからね、すぐ傍で一緒に眺めていたらきっと嫌がると思ったんだ」

「なるほど」
猿は表情一つ変えずただ頷きます

「そうしたら目の前をそこにいるフクロウさんが飛んでいった。ただ気になって追いかけただけなんだ」

「なるほど。誰かにこのモノレールの話を聞いたわけではないんですね──」
猿はイコロの顔をじっと見つめ、少しだけ大きな声で話しを続けました
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「イコロ君、上野動物園にはモノレールがあります。それは知っていますね? 動物園に来たお客さんを乗せて何度も走る、このモノレールです」
猿は目の前に静かに停まる上野動物園のモノレールを見ました。

「知ってるよ、でも実際に見るのは初めてだ。こういう形でこんな色なんだね。なんだか楽しそうだ」
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そう言って楽しそうに微笑むイコロを見た猿はまた頷き、今度はモノレールのドアを開けて言いました
「上野動物園のモノレールは動物達を乗せて走る日があります。飼育係さんも知らない内緒のことです」

「えっ?」
イコロは何のことなのかわからず、なにも答えることができません
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「今日は特別です。ユキオさんが旅立ってから一年経った次の日、今日は特別な日です。私は運転手、君のためにこのモノレールを今日は走らせましょう」
小さな声でそう言った運転手の猿はモノレールの中へと入って行きました

「どこか行きたいと思う場所をフクロウに言い、そこまでの切符を貰いなさい。イコロ君の行きたいと思う場所はどこですか? 円山動物園ですか? おびひろ動物園ですか? それとも他に何処かありますか?」
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「行き先を言わなければ切符は貰えません。切符がなければモノレールを走らせることはできません。さあ早く、フクロウに行き先を言いなさい」
そうして淡々と運転手の猿に言われたイコロの口からぽつりとした言葉が出てきました

「北極星が見たい」
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「北極星?」
運転手の猿はイコロに訊き返します

「そうだ、僕は北極星が一番きれいに見える所に行きたい。それはどこですか? そもそも北極星はどこにありますか?」
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運転手の猿はそのイコロの言葉にどこか懐かしさのような物を感じだしていました
「北極星は北に光ります。その名の通り遥か北で光っています。ここからも見えるはず──」

そう言いかけた運転手の猿の話が終わらないうちにイコロは大きな声で言いました
「それならば北だ、とにかく北へ行きたい。少しでも北極星の近くへ行ってそこで見たい。北へ、北の果てに僕は行きたい」
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そのイコロの言葉に運転手の猿は大きく頷き、嬉しそうに微笑みました
「それならば“北極点”ですね。ユキオさんも大好きだと言っていた、そんな素敵な場所です」

「北極点───そうだ、僕をそこまで連れて行ってください。世界で一番大きな北極星を僕に見せてください」
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運転手の猿の頭の中に忘れられないあの光景がはっきりと戻ってきていました
「ユキオさんはレイコさんを連れ北極点まで行きました。イコロ君はデアと一緒じゃなくてもいいのですか?」

イコロは寂しそうに微笑み、デアの顔を思い浮かべます
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「今はまだ、今はまだ駄目なんだ。デアの心には僕より大きなユキオさんがいる。デアの中にある僕の存在はまだまだちっぽけなんだ」
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「なるほど」
と小さな声で言い納得した様子の運転手の猿はその後は何も言わず、何かを想い一生懸命に伝えようと頑張っていたイコロにそっと微笑みかけました
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「いつか一緒に、いつか絶対にデアとも行くよ。二人で笑って楽しく行ける日が来るように、そんな日のために今日は一人で行く。そんな僕の気持ちがわかるでしょう?」
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「ええ、もちろんわかりますよ」
運転手の猿はそう言ってもう一度頷き、券売機の前に止まるフクロウの方へ目をやりました

イコロも頷き、微笑みながらフクロウに言いました
「北極点まで、北極点までの切符を一枚ください」
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「僕は今モノレールに乗っている。静かで速い、そんな乗り物。運転手は猿だ」
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あの時、僕が『北極点までの切符を──』と言うと、フクロウはくちばしで券売機のボタンを押した。すると一枚の切符が出てきたんだ
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“上野動物園→北極点”と書いてある小さな切符だ。それを運転手の猿に見せるとモノレールは静かに走りだした
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出発してすぐ、左側窓の外に大きな鳥の顔が見えた。券売機のフクロウじゃない黒っぽくてもっと大きな鳥だ。『“エミュー”です』と運転手の猿は言う
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モノレールに乗るお客さん、そして動物達を毎日いつも見送ってくれていると運転手の猿は言う
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そんなエミューに『行ってきます』と僕は小さな声で言った。旅の目的地は北の果て“北極点”だ
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デアは今も夜空を眺めているのだろうか、今日もデアの北極星を探しその光を見つめているのだろうか
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今日もユキオさんのことを想い一人涙をこぼしているのだろうか
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僕が喋らなければ運転手の猿もしゃべらない、そんな静かなモノレール
僕は窓の外でキラキラと光り流れる街並を見ながら、そんなデアのことを考えた
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『北極点までは遠いんです。スピードを上げますよ』と小さな声で運転手の猿が言う
するとモノレールのモーターの音が少しだけ大きくなった
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『うるさいのは少し苦手』と運転手の猿は言う
だから僕も小さな声で話す
「僕もユキオさんの様になれるかな?」
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すると運転手の猿は“大好き”だというモノレールの運転を続けたまま、前を向き振り返らないまま小さな声で話す
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「それはわかりません。ユキオさんはユキオさん、イコロ君はイコロ君です。ただこうして旅に出れば少しずつ大人になっていくことと思います。あなたはホッキョクグマです。北極点に行けばきっと何かが変わります。その時、夜空に輝く北極星を見上げ、イコロ君が何を感じ何を思うか──それがなにより大切なことかもしれませんね」



上野動物園のモノレールはどんどんスピードを上げていく
街の明かりは遠くなり、今度は輝く星空へと吸い込まれていく

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「デア、そこから夜空を走るモノレールが見えるかい? 僕は一度見てくるよ。北極点から北極星を、一番大きく輝くそんな北極星を見てくるよ」
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「いつか一緒に北極点へ行こう。ユキオさんとレイコさんの様に二人で歩いて北極点まで行こう。二人で北極星を見上げ、そして一緒に笑おう」
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「大丈夫、その時は僕がかっこ良く案内するよ。一度行けば大丈夫、一度見れば大丈夫。僕は道のりを忘れない」
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流れる星空の向こうにデアの顔が浮かび続ける
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窓の外を眺め微笑んでいる、そんなデアの顔が浮かび続けている
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「イコロ君、もう少しです。北極点の近くまで来ましたよ」
運転手の猿が少しだけ大きな声で僕を呼ぶ
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窓の外は氷の大地だ

僕は遠くまで来た
北の果て北極点まであと少し──








by bon_soir | 2015-11-26 08:00 | 上野動物園 | Comments(4)
イコロとデアの北極星
上野動物園で暮らすホッキョクグマ、イコロ
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と、デア
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イコロにとっては上野で過ごす初めての11月
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そしてデアにとっては大好きだったユキオが高く遠い所へと旅立ち一年が経つ、そんな11月
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イコロとデア、これからは二人で小さな幸せなを作り、上野動物園を明るく温かく照らす
そんなことを期待させる、色々な風景の11月
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「春、おびひろ動物園からやって来た僕は、ここで一人の女の子に出会った」
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「その女の子はあまり僕に話しかけては来ない」
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「ときおり目が合ってもすぐに違うところを見る」
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「いつだってどこか遠くを眺め、何かを探している」
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「それは昼の間でも、夕方部屋に戻っても一緒だ」
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「僕には笑顔を見せてくれない」
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「僕はいつだって二人で笑おうと準備しているのに」
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「弱気な僕は話しかけられない。いつの間にか話しかけようとも思わなくなっていた」
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「ただ、『デア』って笑顔で呼べばいいだけなのに」
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「私の時間は止まってしまった。思っていたよりもずっと、そして強く止まってしまっていた」
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「あの秋の終わりの日からすぐに寒い冬が来てお花が咲く春がきた」
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「突然夏が来て、いつの間にか過ぎていった」
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「そしてまた――また秋が来た」
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「この一年、当たり前だけど季節は変わる。一日一日と少しずつ色々なものが変わっていく」
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「でも私の時間は止まっている。びっくりするほど止まったままでいる」
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「そう、ユキオさんが上野動物園からいなくなってしまってから、私の時間は止まったままだ」
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「デアはかわいいんだ」
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「会ってすぐに好きになった。これからは僕の傍にデアがいる、そう思っただけで嬉しかった」
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「これからは上野動物園のホッキョクグマに二人でなろうって、そう考えた」
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「引っ越しの寂しさなんかすぐに忘れたよ。デアと初めて会ってからの僕の目、この目に映る風景が今までとは違って見えたから」
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「僕の頭の中にはいつもデアがいる。朝も昼も、そして星が輝く夜の間もだ」
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「でもデアの頭の中に僕は今いない、きっといない」
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「僕だって馬鹿じゃない、デアの顔を見ればわかるんだ」
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「そんなデアに僕は話しかけることが出来ない。デアのことが本当に好きなのに弱虫な僕は話しかけようとも思わない」
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「大きくなった気でいたけど、やっぱり僕はまだ子どもだ」
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「これからどうしたらいいのか――僕はわからないでいる」
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「毎日毎日ただデアを見つめ、ただ時間が過ぎ一日が終わる」
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「気持ちがいい秋もすぐに終わりそうだ」
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「デア」
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「君は何を見ているんだい? 君は何を考え何を想うんだい?」
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「君の中に僕は少しもいないのかい?」
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「デアは部屋の窓から夜空を眺める。眠る前の長い時間、ただ静かに夜空を眺めている」
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「それは毎日、曇りの日でも雨の日でも。夜空を眺め、何かを探し、ふと寂しそうに微笑んでいる」
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「どうしたんだろう、と初めのうちはそんなデアを僕はずっと見つめていた」
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「いつの間にかそれも普通のこととなり、僕は『今日もか――おやすみ』と心の中だけで言い、先に眠ってしまうようになっていた」
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「秋もそろそろ終わりだと言っているような、とても冷えたある日の夜のこと。窓の側に座るデアの様子がいつもとは少し違っていた」
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「デアの目から一粒の涙がこぼれ、『一年経ってしまいました』と寂しそうに悲しそうにぽつりと呟いていたんだ」
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「デアは続けていくつもの涙をこぼす。“どうしたんだい?”と考えた刹那、僕の心の奥から力が湧いた」
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「僕は『デア』と精一杯の小さな声で話しかけていた」
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「するとデアは窓から夜空を見上げたまま言ったんだ」
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『イコロさん、私は毎日ある星を見ています。曇って見えない日も雲の向こうに思い浮かべ、毎日欠かさず、ある星を見ています』
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『それはユキオさんとレイコさんが温かく光らせてくれている私だけの北極星。その私だけの星を見ればどこかからユキオさんが見守ってくれているような、そんな気持ちになれるんです』
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「そう話しゆっくりと振り返ったデアの瞳の奥に輝く光を僕は見つめ『星、北極星――』と、ふと呟くと、何故か出る涙で目が霞んだ」
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「『ユキオさんが旅立ってから今日で一年が経ったんです』とデアは涙で光るその目で僕を見つめ返し、そして悲しく微笑んだんだ」
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「ユキオさん――デアの心の中にずっとあるのはユキオという大きなホッキョクグマとの辛い別れだ」
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「そうだ――デアの時間を止めているのも北極星、そしてデアの時間をまた動かすのもきっと北極星だ」
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「北極星はどこだ? 北極星っていったいなんなんだ?」



続く


by bon_soir | 2015-11-25 06:00 | 上野動物園 | Comments(2)
タイラ
金沢動物園で暮らすタンチョウ、タイラ
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タイラの庭も秋から冬へ
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この日のタイラはとても静か
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鳴いたり走ったりはしません

辺りを見渡し
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羽繕い
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色々な顔して
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「いらっしゃいませ」
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かわいいタイラ
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瞳はつぶら
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by bon_soir | 2015-11-24 07:35 | 金沢動物園 | Comments(2)
ペンケさん
金沢動物園で暮らすシロイワヤギ、ペンケ
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秋の日の爽やかなアメリカ区、小さなロッキーマウンテンで見上げる
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お部屋で会うペンケさんよりも距離は遠いけど、やっぱりこうして見上げることがとても素敵
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枝を食べるペンケさん
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いつの間にか身体の毛は伸び、ふわふわになった
そんなペンケさん
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山を登りテラスから眺めるロッキーマウンテン
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小さかったイワオは角も伸び始め大きくなりました
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秋の色に染まりつつある樹の下でくつろぐ、そんなペンケさん
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やっぱり足がふわふわ
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これでも昔よりは毛が伸びていないとうペンケさん
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昔はどれだけふわふわだったのか、と遠い日のことを振り返る
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シロイワヤギはヤギはかわいい
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寒い日はふわふわが羨ましいね
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もう冬はすぐそこ
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動物達が感じる四季はどんな色
見る色、聞く音、風の香り
毎日毎日変わります



   

by bon_soir | 2015-11-23 12:25 | 金沢動物園 | Comments(2)
穏やかにサイ
上野動物園で暮らすクロサイ、アルゴとマロ
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とある日の上野は曇り空
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そんな日でも二人は穏やかに、そして少し楽しそう
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置いてあった枝と遊ぶ
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サイは硬い所もちゃんと噛む
すると唇が可愛らしくなる
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楽しいね!
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そんなアルゴを柵越しに見つめるマロ
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見られてる、見られてる
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そわそわしだすのは何故?
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おやつを貰えるから
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じつに美味しい
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向かい合うアルゴ
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唇が可愛らしくて仕方ない
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アルゴは噛みつかない
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遊んでおやつを貰うだけ
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実に美味しい
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お客さんが見てる
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かわいいところをみんなで見てる
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そんな楽しい時間
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口の中にニンジン
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もっと欲しいな、と思うけどマロの所へ行ってしまう
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早くください
そうせがむ
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なんだか楽しいね!
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もうすぐ冬
もう街はクリスマス
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動物達のクリスマス
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by bon_soir | 2015-11-22 08:53 | 上野動物園 | Comments(0)
マヌルネコとケープハイラックス
上野動物園で暮らすマヌルネコ
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名前はわかっています
ただ私では見分けがつきません
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ごめんね
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動物達の名前は人との繋がり
わからないということはとても悲しい
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何を見上げる?、マヌルネコ
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隣にはケープハイラックス達
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顔が結構個性的
見分けやすい
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でも私には名前がわからない

あなたのお名前は?
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あなたのお名前は?
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そして、あなたのお名前は?

名前は大切
それは人と動物達が繋がっていることの証



    

by bon_soir | 2015-11-21 08:38 | 上野動物園 | Comments(3)