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オセアニア区のうれしいおしらせ
今年のコアラ舎のお正月はこんなうれしいお知らせからはじまりました。
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おなかを気にするそぶりを見せていたテルちゃん。年初からとてもやさしい気持ちにさせてくれました。
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そして春の足音ももうそろそろと聞こえて来た頃、ほんの少しだけ見えた小さな小さな赤ちゃん。
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お外があたたかくなるにつれてオセアニア区もたくさんのお客さんの声でにぎやかになってきたけれど
テルちゃんのお部屋は静かなまま。
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そのぶんお姉ちゃんになった、ワカちゃんと
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さらにお姉ちゃんになったバニラが、しっかりしっかりお留守番をしていてくれました。
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だんだんとおひさまがあたたかくなりオセアニア区に吹く風が、お花のかおりから緑のかおりにかわり始めたころ
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だいぶ大きくなった赤ちゃんが、コアラのおうちに時おり顔を見せてくれるようになりました。
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そして先週末の待ちにまったうれしいお知らせ。
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そーっとそーっと、おうちに入ってみると、かわいいかわいい小さな姿。
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高い丸太さんのてっぺんで、小さな体操をくりかえす、ちょっと大きくなったぶくぶく赤ちゃん。
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非公開でのトレーニングはばっちりです。ぷらーんとしたかと思ったら、するすると丸太さんをおりてきて
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あ、こっち見た! まんまるのお顔にまんまる大きな目。みんな小さなやさしい声でかわいいかわいいって言ってます。
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えへへ。楽しくて楽しくて、笑顔の赤ちゃん。ひとりですいすい。
テルおかあさんはユーカリの中でこっくりこっくり。
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おしりの白い毛がおむつみたいだね、ってちっちゃな子が言います。
この赤ちゃんはさらにおむつ度がアップしてるかな。もこもこもこもこ、ふりふりふりふり動くかわいいおしり。
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こんにちは! ぷくぷくちゃん。ちゃーんとみんなにごあいさつ。ひとりで何でもできる頼もしい赤ちゃんです。
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こっちのみんなにもこんにちは。バニラお姉ちゃんにそっくりだね、赤ちゃん。
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耳をぶるぶるー。
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みんなとなかなか会えなかったけど、おかあさんと飼育員さんたちからもらった愛情がからだじゅういっぱい。
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なかなか会えなかったぶん、これからいっぱいいっぱいかわいい様子を見せてね、赤ちゃん。
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ねぇねぇおかあさん。きのぼり遊びはおなかがすくね。だけれどテルおかあさんは眠くってたまりません。
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そんなときはね……葉っぱを食べればいいんだよ。おかあさんが教えてくれたよ。おいしい葉っぱを食べればいいんだよ。
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それからね、おいしいおいしい葉っぱを食べるとね、だんだんだん眠くなるの。それもおかあさんが教えてくれたよ。
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そしてゆっくりと赤ちゃんはテルおかあさんに近づいていきます。おやすみ赤ちゃん。おやすみテルちゃん。
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テルちゃん、今回もかわいい赤ちゃんを見せてくれてありがとう。
そしていつもながらの飼育員さんの手厚いお世話も、ありがとうございます。
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赤ちゃんの冒険は始まったばかり。どうか健やかにケガすることなく大きくなってね、赤ちゃん。
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赤ちゃんの胸、小さな黒いところがあります。もしかして……ちょっと楽しみですね。
by bon_soir | 2014-05-27 08:42 | 金沢動物園 | Comments(10)
おひるねで見た夢、そして夕暮れのウォーキング
5月の日ようびの午後。ひさしぶりにおひるね三昧のヒロキです。
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何度かこうして寝返りをうったり。のんびりとおだやかなおひるねです。
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今度は反対を向いたヒロキ。ゆっくりとふくらんだりしぼんだりするむくむくおなかを見ていたら、だんだんと眠くなって……
ヒロキの催眠術なのかもしれません。
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「何度も寝てしまうのにはわけがあるんだ。せっかく来てくれたあなたには申しわけないけど」
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「今日は二度寝をしたら、夢の続きを見られたよ。だけどあともうちょっとだったのに、残念なところで目が覚めちゃった」
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「ふふふ。さっきの夢の続きが見られるように、もう一度眠るよ。」
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そんな風にヒロキのお昼寝ループは続きます。気持ちよくおひるねするには一年のうちで今がいちばんよいころです。
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口元でにぎにぎ、ぎゅっ。にぎにぎ、ぎゅっ。ヒロキのかわいい小さな手が動きます。
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「あれ? ここは夢の中なのか、それとも目が覚めているのか、ちょっとわからなくなってきちゃった」
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のっそりと歩き出しますが、ぼんやりして足取りも軽やかとはいきません。あれだけへんてこな格好で寝てたら足もしびれるよ。
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ヒロキはまたもやぺたんと眠る格好になりました。
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「夢の続きを見られるなんて、とっても貴重な日だ。だからあともう少しだけ寝かせてもらってもいいかな。もうちょっとなんだ」
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指をちょんちょん動かしてかわいいったらないのに
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さらにヒロキは小さな指たちをぺろっとなめていました。どんな夢を見ているんだろう……
ヒロキのお昼寝にはいつでも楽しい妄想がついてまわります。
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さわやかだったおひさまのひかりもだんだんと、オレンジと青色になってきます。ヒロキも夢の終わりを見届けたようです。
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「今日の夢はもうおしまい。次から次へと続く長い長い夢だった」
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「うんと素敵な冒険の夢だったりびっくりするほど怖い夢だったり、そんな時にはみんなにいち早くきいてもらいたいけど」
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「あんまりにもばかばかしくて吹き出しちゃうような夢は、みんなにいえないな……」
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でもヒロキのかわいい寝姿の様子で、楽しい夢だったに違いないことはわかります。
手をペロペロしてたのは、おいしいものをたくさんたくさん食べていたのでしょう? ヒロキ。
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思い出したようにお部屋の扉のチェックに急いだヒロキでしたが
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「全然気配なしだ!! ぼく今は起きているよね。夢の中じゃないよね」
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「でも今日はいいんだ。まだお部屋には帰りたくない。最近は夕暮れのウォーキングをすることもなかったから」
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たくさんのおひるねとたくさんの夢を見たヒロキ。そして夕暮れの坂道。その姿を撮影する私。
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初めてヒロキに会った頃は、この日のようなスケジュールで一日を終えていたことを思い出します。
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ちゃっちゃ、ちゃっちゃとのんびりとしたヒロキの足音。いつまでもかわらない、ヒロキだけが出せる音。
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いつまでもいつまでも聞いていたい音。
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この日は閉園までおうちに帰ることはなかったヒロキ。
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楽しい足音を聞きながら帰るのもとてもなつかしく
今日はどんな風に帰ったのだろうと思いを巡らしながら帰るのもとても久しぶりな日曜の午後でした。
ヒロキの見た夢、どんな夢だったのでしょうね……
by bon_soir | 2014-05-21 02:30 | 金沢動物園 | Comments(2)
ユキオに会ったフジ
運転手の猿が走らせる上野動物園のモノレール。
マレーグマのフジを乗せて 釧路に向かって静かに走って行きました。
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キョウコさんが眠っている時、フジは2回目の旅に出掛けていました。
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「やっぱり楽しいよ。この前の星空の中を走るのも綺麗だったけど、よく晴れた昼間に空を走るのも本当に素敵だね」

フジは運転手の猿に静かに話しかけました。
運転手の猿はうるさいのが嫌いなことをフジはちゃんと気にしているのです。
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「運転手さん、海の方を見てよ。海は青いでしょ。空も青い。両方がとっても青いから海と空の境目がどこなのかわからないんだ」
フジは窓から海と空を眺め。そう言いました。


「私はいつだって楽しいですよ。モノレールを走らせている時はいつだって楽しい」
運転手の猿は小さな声で言いました。
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「それに今回の旅の釧路は私の目的地への旅です。初めてのことなんです」


フジは運転手の猿に聞きました。
「その、初めに言っていたユキオさんのことが好きなのかい?」
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「彼こそが私にとっての上野動物園です。今は釧路で暮らしていますが、ずっとずっと上野動物園で暮らしていたんです」
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「私にとって、上野動物園の動物達にとってとても大切な存在であることは間違いありません」
そう言って運転手の猿はそれきり一言もしゃべることはありませんでした。


「お父さんもお母さんも、キョウコおばさんもユキオさんのことが好きだったのかな……僕もユキオさんに会うんだ」
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運転手の猿が言った「フジが会わなければいけない―」という言葉、その意味をフジは一人考えていました。
フジには上野動物園のモノレールの静かな音だけが聞こえていました。


「あっ!」
今までわからなかった青い海と青い空の境目にふと気がついたフジは小さく声をあげました。
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その時、運転手の猿も同時に口を開きました。
「釧路が見えてきました。ユキオもきっと私達に気がつくと思います」


フジはモノレールの窓からだんだんと大きくなってくる動物園を覗きました。

「ユキオさんに会えるんだね。やっぱり運転手さんもドキドキするのかい?」
フジがそう聞くと運転手の猿はいつもの様に小さな声で言いました。
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「してますよ。私だって動物です。今、最高の気分です」



上野動物園のモノレールは慌てることなく釧路の動物園に降りて行きました。
いつものように静かにゆっくりと旅の目的地に着陸しました。

運転手の猿の目に涙が溜まっていました。
二人の目の前にホッキョクグマのユキオが立っていたのです。

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フジが見たユキオ、それは本当に大きく、そして堂々としていました。

「お久しぶりです、ユキオさん」
運転手の猿にしては大きな声がフジに聞こえました。

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「旅は続けていますか?運転手さん」

フジにとってユキオのその声は優しくたくましく、そしてなにより温かく聞こえました。
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「ユキオさん、この子がマレーグマのフジ君です。ウメキチの弟です」
運転手の猿がフジを紹介しました。


「あぁ、そうだと思ったよ。お父さんのアズマによく似ている」
ユキオはフジをそっと見下ろし、何度かうなずきました。
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「君が産まれ、そして外に出てくる前に私は釧路に引っ越してしまった。あの時私は君に会える日を心待ちにしていたんだけどね」
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「ユキオさん、初めまして。僕がマレーグマのフジです」
フジはきちんと挨拶をしました。
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「上野動物園はどうだい、変わったことはないかい?ここは上野動物園から遠い、あまり情報がないんだ」
ユキオはフジに聞きました。
運転手の猿はフジの方を見て目が合うと一回だけうなずきました。
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フジは自分が知っている色々なことをユキオに話しました。今年は上野動物園でもたくさんの雪が降ったことや色々な動物達に赤ちゃんが産まれたこと、そして悲しいお別れのことなど、一生懸命に話をしました。


フジの話をゆっくりとうなずいて聞いていたユキオが少しさみしそうに言いました。
「そうか、グンマも長い旅に……しかたのないことだけど辛いことだね」

ユキオはよく晴れた青い空を見上げ、釧路に来る前の上野動物園でのことを思いました。
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「ユキオさん、ユキオさんのことを僕に聞かせてください。僕は大人になる前にユキオさんのお話を聞きたいんです」
フジはユキオに言いました。
きっとユキオは何でも知っている―そう感じていたのです。
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「私は上野動物園が大好きなんだよ」
ユキオのお話はその一言から始まりました。
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「ドイツの動物園から日本に来たんだ。初めは上野動物園じゃない小さな動物園だ」
ユキオはフジの目を見つめ、落ち着いて話していました。

「その2つの動物園も嫌いじゃない、大切な思い出だ。だけど―」
ユキオは一回間をとり自分自身にも確認するように言いました。
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「上野動物園で私はレイコさんと出会ったんだ」




上野動物園でずっと一緒だったレイコさん。それはユキオの全てでした。

「レイコさん……」
運転手の猿がつぶやきました。
釧路に来て2年ほど経っても忘れるわけが無い大切なレイコさんとの思い出、それは上野動物園の動物達全員の思い出でもあったのです。

ユキオはフジにレイコさんとの上野動物園での思い出を話しました。
長い時間を一緒に過ごしたユキオとレイコさん。思い出の数も本当にたくさんありました。
そして悲しいお別れのことをフジに話した時にはユキオの目には涙が溜まっていました。

「レイコさんは優しかった。いつも私のことを見ていてくれた」
ユキオはフジに話していると自分でも忘れかけていたレイコさんとの何気ない毎日まで思い出されてきました。

上野に帰りたい―そう思うのに時間はかかりませんでした。
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フジは一つ一つ一生懸命に聞き、ユキオに質問をしました。
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「ユキオさんはレイコさんのことが好きだったんですか?」


「もちろんだよ。大好きだった」
ユキオは恥ずかしそうに空を眺め、小さな声でフジに言いました。
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「フジ君、君もきっと出会うことになる。僕にとってのレイコさんのような存在のマレーグマの女の子にね」

フジは円山動物園でウメキチと一緒にいた女の子のことを思いました。
「お兄ちゃんにとってのレイコさんなのかな……」


「ユキオさん、レイコさんもユキオさんのことが大好きだったんですか?」

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「それはわからないよ、恥ずかしくってそんなことレイコさんに聞けないだろ」
ユキオは恥ずかしそうに笑いました。

フジも運転手の猿もみんなで笑いました。


「運転手さん、モノレールはよく走らせてますか?」
ユキオが運転手の猿に聞きました。
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「時々ですね、この前はフジ君とお母さんのモモコを乗せて円山動物園に行ったんですよ」
猿がそう言うと、続けてフジがユキオに話しました。

「お兄ちゃんの所に行ったんだ、お母さんと一緒にだよ。運転手さんには大雪も降らせてもらって本当に楽しかった」
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「最近ではそのくらいです。動物達みんな忙しいんでしょうか、私は少しさみしいんですけど」
運転手の猿はいつもの小さな声をもっと小さくして言いました。


フジが聞きました。
「ユキオさんはモノレールで旅をしたことはあるの?」
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運転手の猿がユキオを見て少し微笑みました。
ユキオもうなずいてフジにお話を始めました。それはレイコさんとユキオの二人の素敵な旅の思い出でした。

「内緒だよ、私とレイコさんは何回も旅に出ている、上野動物園のモノレールに乗ってね」
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ユキオとレイコは二人でユキオの生まれ故郷、ドイツのミュンスター動物園やレイコさんの生まれ故郷、ロシアのレニングラード動物園にも行きました。
二人が上野動物園に来る前の池田動物園やドイツのルーエ動物園にも行ってみたりしました。
その他にも色々な場所を旅して二人は笑っていました。
ユキオとレイコさんはいつも二人で仲良くモノレールにのって旅をしていたのです。

仲良く幸せそうな二人を見ていると運転手の猿も幸せな気持ちになりました。
夜の旅では星の数が多く見え、昼の旅では白い雲が大きなホッキョクグマに見えました。
運転手の猿は二人を乗せてモノレールを走らせることが大好きでした。

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「ホッキョクグマ舎が長い工事になったんだ。お客さんにもずっと会えないとても長い工事だった」
ユキオはゆっくりと座り、話をつづけました。

「私とレイコさんはそれまでより長い旅に出かけたんだ」


「どこに行ったんですか?」
フジはユキオの口調がなにか変わったことを感じ、自分も座って話を聞きました。

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「北極点だよ」
そう言うとユキオは静かに話を続け、ときおり空を見上げました。

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「北極点?」
フジには聞き慣れない場所でした。

「そうだよ北極点さ。北極という氷で出来た大地にそれはある。全ての場所からの北の先、北の終わりが集まる所に北極点はある」
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「地球の回転の中心だ。大きな芯棒が立っている。それをレイコさんと一緒に見に行ったんだ。私達ホッキョクグマにとっての大切な場所だ」
ユキオは大切な思い出、レイコさんとの一番の思い出をフジに話しました。


「モノレールはそんな遠くまで走れるの?」
フジはドキドキしていました。
自分が想像もしたことのない所をユキオは知っているのです。

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「もちろん行けますよ」
運転手の猿はフジに言いました。

「でもユキオさん達は途中からは自分達で歩くと言ったのです。自分達で最後は歩く、と」


ユキオは話を続けました。
「二人でお話をしながら歩きたかったんだ。私はレイコさんにお礼がしたかった」
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「今まで一緒に暮らしてくれてありがとう、って伝えたかった。本当に毎日幸せだったからね」

フジは静かにユキオの話を聞いていました。

「そして、二人のお家は新しくなるけど、変わらずこれからもずっとよろしくと話をしながら歩いたんだ。静かな道のりだった」
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「レイコさんは優しく微笑えんでくれたよ。こちらこそよろしく願いますって言ってくれたんだ、いつまでも忘れない」


フジは見たことが無い北極の氷の大地を思い浮かべていました。ユキオとレイコさんが並んで歩いている北極の大地です。


「そして私達は北極点に着いたんだ。それがどんなに嬉しかったか、フジ君、君にはわかるかい?」
ユキオは目に涙をたくさん溜め、レイコさんのことを思いました。
「北極点にある大きな芯棒を二人で見上げたんだ。その時は二人のこの幸せがずっと続くと信じていたんだ」


その時、何故かフジには見えました。見たことも想像したことも無い大きな地球の自転の芯棒、北極点が見えたのです。
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「だけど新しい家が出来てすぐ、レイコさんとのお別れが来てしまった。突然だった」
ユキオには小さい方の放飼場で笑っているレイコさんの姿が思い出されてきました。お別れしてからの毎日、いつも思い出す優しい笑顔です。
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「レイコさんは最後に言ってくれたんだ。今まで本当にありがとうってね。私は涙をおさえられなかった」
そう話しながらユキオの目から溜まっていた涙がこぼれ落ちていました。


「私はすぐに気がついた。これで永遠に会えないわけじゃない、レイコさんは先に行ってるだけだ、と。どこかで私を待っていてくれてるだけなんだとね」


涙がこぼれないようにフジは空を見上げました。見上げた空には一番星が輝いていました。
もうすぐ夜が来るのです。
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ユキオが運転手の猿に言いました。
「運転手さん、帰りのモノレールに私も乗せて貰えませんか?」


運転手の猿は少し考えてからいつもの小さな声で言いました。
「やっぱり上野動物園の方がいいのですか?」


「釧路は夏も暑くないし、冬は大好きな雪がたくさん降るんです。それでも私は上野動物園に帰りたい」
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「やっぱり私はレイコさんと同じ“上野動物園のホッキョクグマ”でありたいのです。そしてレイコさんが見ていた最後の景色、それを見ながら私も最後の旅に出たいのです」
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「そう、少しでも早くレイコさんに会えるように」


フジにもわかりました。ユキオにとっての大切な物、それがどれだけ大切なのかということを。

「運転手さん、大丈夫だよね。ユキオさんも一緒に上野動物園に帰れるよね」
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「きっと飼育係さんはびっくりしてしまうでしょう。でも大丈夫です。飼育係さんもユキオさんのことが大好きなんですから」
運転手の猿の顔にはなんの不安もありません。

「本当はユキオさん、私はあなたを迎えに来たんです。さぁ、モノレールに乗ってください」
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ふとユキオが振り返ると少し離れた所から3人を見つめているホッキョクグマがいました。ツヨシです。
ユキオはツヨシの所に歩いて行き、ツヨシに話しました。

「ごめんね、君のことが嫌いなわけじゃない。ただ私が上野動物園のホッキョクグマってことなんだ。私は上野動物園に帰らなくてはいけない」

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ツヨシは全てをわかっていました。
ユキオの中にはレイコさんがずっといるということを。そして二人をつないでいるのは上野動物園だということを。

「ミルクにもよろしく言っておいてね。ツヨシ、短い間だったけどありがとう」





フジとユキオを乗せた上野動物園のモノレールは静かに走り出しました。
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来た時は青い空が広がっていましたが、帰りはたくさんの星と明るい月が輝く綺麗な夜空です。

フジがユキオに会わなければいけないという理由。
最後まで運転手の猿は教えてくれませんでしたが、フジには少しだけわかったような気がしていました。
もう少し大人になればきっと全部わかる、と考えたフジは横に座っているユキオの横顔を見つめました。
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立派な大人の動物がフジを導いてくれます。
立派な大人のマレーグマになるために毎日色々な経験をして、その経験で夢を見る準備をして楽しい夢をフジは見ます。

フジが大人になるまであと少しです。

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エミューがフジ達3人を迎えてくれました。
運転手の猿が軽く挨拶をしました。
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ユキオと別れ、フジがマレーグマ舎に戻るとキョウコさんはまだ眠っていました。
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「ただいま」
フジが声をかけてもキョウコさんは眠っています。

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「ユキオさんが帰ってきたことをみんなが知ったらビックリするだろうな」
フジは釧路までの旅を思い返していました。


ユキオは上野動物園のホッキョクグマ舎に帰ってきました。
デアを探しましたがデアは見当たりません。
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ふいにレイコさんの匂いがしたような気がしました。

「ただいま」
ユキオはそうつぶやき、懐かしいホッキョクグマ舎をくまなく見て回りました。

ユキオが最後の旅に出るのはまだずっと先になるでしょう。
でもその時は大好きなレイコさんと同じ入口から旅に出ることが出来るのです。
少しでも早くレイコさんと再会するために。


変わること、変わらないこと。色々なことをフジは感じて大人になります。
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不忍池のオオワシ、そしてユキオ。
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今日一日、たくさんのお話を聞き、色々な経験をしたフジ。
大人になるのはもうすぐです。






 









by bon_soir | 2014-05-18 05:50 | 上野動物園 | Comments(4)
ゴロさんと小さなオーストラリア
北九州の片隅で穏やかに暮らすウォンバットの「ゴロ」
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寒かった冬もすっかり終わった4月。
時々少し寒い日もまだありますが、今日のような暖かい日はついつい居眠りを繰り返してしまいます。
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飼育係のお姉さんに優しく起こされるゴロさん。
「ゴロさん、そろそろお待ちかねの夕ご飯だよ」
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ゴロさんは夕ご飯のある家に向かって歩き出しました。
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ゴロさんの大好きな物がたくさんの夕ご飯。
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美味しいものを食べていると楽しくなって来ます。
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食べながら笑顔になるゴロさん。
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美味しいご飯を食べたり、お庭をお散歩したり……
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ときおり辺りの音に耳を澄ませ、何かを考えたり……
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こうしてウォンバットのゴロさんは夢を見るための準備をしています。
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どんなだったかすぐに忘れてしまうけど、本当に大切な楽しい夢を毎日見るために準備をしているのです。


お庭に穴を掘ったりして過ごす、ゴロさんの夜。
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夕ご飯を食べたあとそんなウォンバットの夜の前にゴロさんはいつものように眠っていました。
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夕日が落ちてから夜空にたくさんの星が輝き出す少しの間です。
その日に見た夢、それは今まで見た夢と違っていたのです。
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「今から朝までを特別な日にしてあげよう」
夢の中でそう言われたゴロさん。

その相手はウォンバットの神様だったのです。



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目の覚める前の浅い眠りの中、外からゴロさんに話しかける声が聞こえました。
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「ゴロさん、起きてよ。こっちに来てよ」
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ひびき動物ワールドの閉園後、いつものようにゴロさんの家の周りを散歩しに来るシマオイワワラビーの子です。

「今日はいつもより少し早くないかい?もう少しだけ寝かせてくれよ。ここのところ夜も暖かくなって気持ちが良いんだ」
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ゴロさんは家の外で呼ぶシマオイワワラビーの子に言いました。
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「それに今不思議な感じの夢を見たんだ。特別な日になるとかなんとか。僕は夢の続きを見なくてはいけない」
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「とても気になる夢だったんだ」
ゴロさんは家の外の子にそう言いましたが、どんどんとシマオイワワラビー達が集まってきていました。


「大変だ、大変だ……」
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「ゴロさん、いいから起きてよ。こっちに来てよ」
シマオイワワラビー達は大勢でゴロさんを呼びます。
いつのまにか夜空にはたくさんの星と大きな月が輝いていました。

「どうしたんだい?」
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ゴロさんは家の中から外を覗いてみました。
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「本当にどうしたんだい?そんなに大勢で集まって」

「ゴロさん、こっちだよ。こっちに来てよ」
シマオイワワラビーのみんなが呼ぶ方へ歩き出したゴロさん。


「飼育係さんが外から入ってくる時のドアの方だ」
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「あれ、変だな。鍵が無くなっている」
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飼育係さんがかけて帰る鍵が無くなっていたのです。
ゴロさんはそっとドアを押してみました。
ドアは静かに開きました。

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ゴロさんは恐る恐るドアをくぐり外へ出ました。
たくさんの星と大きな月に照らされてひびき動物ワールドは広がっていました。
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「ここはこんなに広いんだ、知らなかったよ」
ゴロさんは夜の穴掘りの事をすぐに忘れていました。今は目の前に広がるひびき動物ワールドにドキドキしていました。
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「ゴロさん、行こう。僕達がここを案内してあげるよ」

ゴロさんはシマオイワワラビー達に連れられて園内を歩き出しました。


たくさんの星と明るい月に照らされてゴロさんの長い影ができていました。
シマオイワワラビー達と長い影と一緒に動物園の中をくまなく歩きました。


大勢のカンガルー達が暮らす横を通りました。
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多摩動物公園からやってきたワラルー達の前を通りました。
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動物達みんなが楽しそうに暮らすひびき動物ワールド。ゴロさんは安心しました。
「良かった。僕の所にやって来る飼育係さん達は他のみんなにも優しくしてくれているようだ」
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本当に大勢のゴロさんのお友達、みんなが幸せそうにしているのがゴロさんにも幸せでした。
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「ゴロさん、次は僕達のお庭だよ」
見えてきたのはシマオイワワラビー達が暮らす素敵な岩山でした。
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そこはとても広く、大きなユーカリの木も立ち一番上の方はとても高いところにある素敵なお庭でした。

「素敵なお庭だね。そして本当に広い。君達が羨ましいよ」
ゴロさんは岩山の頂上を見上げながら言いました。

今まで気にしてこなかった自分の家の外、ウォンバット舎の外にはとても素敵な動物園があったのです。
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「ゴロさん、もっと素敵な所があるんだ」
そう話しかけたのはシマオイワワラビーのコタロー君でした。
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「ゴロさん、僕は昨日ね、動物園の外に出たんだ。もちろん飼育係さん達には内緒だよ」

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「今は春だろ。外にはたくさんの綺麗なお花が咲いているんだ。それは本当に綺麗なんだ」
シマオイワワラビーのコタローが目を輝かせながらゴロさんに説明しています。
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「僕のお庭にもたんぽぽが咲いているんだ。僕はお花が好きなんだ」
ゴロさんはシマオイワワラビーのコタローに言いました。
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「僕は見つけちゃたんだ、動物園の外に出る抜け道を……」
コタローは小さな声でゴロさんやみんなに言ったのです。


「行こうよゴロさん。ゴロさんのお家のドアが開いてる日なんてそんなに無いことだもん。今日行かなくちゃ」

ゴロさんは言いました。
「そうだ、行こう。夢に出てきたウォンバットの神様が言っていた、今日は特別な日なんだ」

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ゴロさんとシマオイワワラビーのみんなは静かに縦一列で歩き出しました。
誰も見ていないのになぜかひそひそ声で辺りをキョロキョロしながら歩いていきます。
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動物園を出た所にお花のプランターがありました。
「見て!ゴロさんの背中とカンガルーのポッケからお花が咲いてるよ」
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ゴロさんはもちろん、シマオイワワラビーのみんなも動物園の外に出るのは初めてです。
とっても広い公園が広がり、どこまで走っても終わりはありません。
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ゴロさんと大勢のシマオイワワラビー達はそれぞれ思い思いの楽しみ方をしていました。
夜だけどたくさんのお花が咲いているのがわかりました。今夜はとても明るい夜だったのです。

楽しい時間はすぐに過ぎていってしまいます。遊びすぎたみんなは少し疲れています。
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みんなを照らしていたたくさんの星と明るい月。
星の数はだんだんと減り、月もいつのまにか遠くに移動していました。
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東の空から明るくなってきます。夜が明けようとしています。

「そろそろ戻ろう、朝が来るよ」
シマオイワワラビーの誰かが言いました。
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ゴロさんと大勢のシマオイワワラビーのみんなはまた縦一列になって動物園に帰って行きました。
楽しかった夜のこと、みんなはきっと忘れません。


動物園の中に帰ってきたゴロさんはもう一度シマオイワワラビーのお庭を見上げました。
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「動物園も広いけど、動物園の外はもっと広かった。でも今日見た中で一番高い所はあそこだ」
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「今日登ろう。あそこまで登ってみよう。今日はウォンバットの神様から貰った特別な日だ」
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「こんな日は何回もない。後悔しないように今日を楽しもう」
そうつぶやいてゴロさんは少し笑っていました。

そして岩山に向かって歩き出し、もう一度岩山の頂上を見上げました。
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ゴロさんは岩山を登りだしました。思っていたよりずっと急な上り坂です。
普段は平らな土の上ばかり歩いているゴロさんには硬い岩山を登ることは大変なことでした。



ゴロさんは黙って登って行きます。一生懸命に登り、半分くらいまで来ました。
さっきまで動物園の外で遊んでいたみんなは楽しかったことをお話しているため、そんなゴロさんには気が付きませんでした。



一人のシマオイワワラビーの子が岩山を登るゴロさんに気が付きました。
毎日夕方になるとゴロさんのお庭の周りまで来る、ゴロさんと仲良しのシマオイワワラビーです。
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「ゴロさんが、ゴロさんが岩山を登ってるよ!」

その声でシマオイワワラビーのみんな、そしてカンガルーのみんなやワラルーの家族もみんなが岩山を登るゴロさんを見上げました。
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みんなはゴロさんを応援しました。
大きな声を出さないでしっかりと見守るようにゴロさんを応援しました。
「頑張って、頑張ってゴロさん」


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「あと少し、あと少し」
ゴロさんには岩山の頂上がもう見えてきていました。
ふもとから見上げた時はとっても高く感じた岩山の頂上まであと少しです。
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「たどり着いた、僕はたどり着きましたよ。ウォンバットの神様、あなたに貰った特別な日、僕は今本当に幸せな気持ちです」

ゴロさんはゆっくりと振り返りました。
ちょうど登ってきた朝日に照らされたひびき動物ワールドがゴロさんの視界に広く広がっていました。
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100匹以上のシマオイワワラビー達、100匹以上のカンガルー達、そして一組の大切なワラルーの家族みんなが頂上に立つゴロさんを見つめ、またゴロさんもひびき動物ワールドで暮らすみんなを岩山の頂上から見つめていました。
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上から自分が暮らしてきたひびき動物ワールド見ていると、色々なことがゴロさんの頭の中に浮かんできました。
今まで一緒に暮らしてきた仲間のウォンバット。
いつも優しくしてくれる飼育係さん達。
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一人になってしまったゴロさんがさみしくないように、と遊びに来てくれるシマオイワワラビー達。
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美味しいご飯のこと。
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「僕はずっとここで暮らしてきたんだ。そしてこれからもずっとずっとここで暮らしていくんだ」

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「飼育係さん、そしてみんな。これからもよろしく願います」




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本当の幸せを感じたゴロさんは微笑んでいました。
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北九州にある小さなオーストラリア、ひびき動物ワールド。
ゴロさんにとっての小さなオーストラリアは決して小さくはありません。
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儚く健気に暮らすゴロさんにとってはここが一番大切な場所、大きくて広い大好きな動物園です。
ゴロさんだけではなく暮らしている動物達みんなが大好きな故郷だと感じています。


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「良かった、家のドアはまだ開いていた」
ゴロさんは自分の家に帰ってきました。ウォンバットの神様がくれた特別な日はいつのまにか大切な日へと変わっていました。
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「冒険をしたからね、少し疲れたよ」
そうつぶやいて大好きな干し草のベッドに横になりました。

たくさんのの素敵な風景を見て、みんなと楽しく遊んで夢を見る準備をしっかり出来たゴロさんは素敵な夢を見ることが出来ました。
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夢にはひびき動物ワールドのみんなとどこかで暮らしているたくさんのウォンバット、そして大好きな飼育係さん達が出てきました。


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お昼が過ぎ目の覚める前の浅い眠りの中、外からゴロさんに話しかける声がまた聞こえてきました。


「ゴロさん、起きてよ。こっちに来てよ」


ひびき動物ワールドを訪れるお客さん、みんながゴロさんに声をかけていきます。


「ゴロさん、起きてよ。こっちに来てよ」




  


  

by bon_soir | 2014-05-12 23:17 | ひびき動物ワールド | Comments(6)
ヒロキのスピードと春のスピード
連休直前の平日の朝のことです。ヒロキはそれはそれはおいしそうに大好きな青草を食べていました。
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顔を見ればわかります。とっても楽しい朝ごはんだね、ヒロキ。のんびりとした朝の様子……に見えますが
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実のところヒロキが動かすお口のスピードは超高速。するすると青草はどんどんヒロキの口の中に入っていきます。
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そんなに勢いよく食べたら、舌をかんじゃうよ。
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坂道の途中に置かれた青草もちゃっちゃと口に入れて
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ぐっぐぐっぐと噛んで、長い青草が振り回されながらヒロキの中に入っていくのです。
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ちょっと黄色くなってる太いのは、食べづらかったね。
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とっても速いスピードでの朝ごはん。おなかがぺこぺこというよりは、楽しくて仕方ない、そんな感じの朝でした。
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まだひんやりとした感触が残る朝の風が吹くと、迷うことなく毛づくろいを始めたヒロキ。
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少し湿った朝露のにおいがするお庭の中で、ヒロキはいつもの朝の支度をしていきます。
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すみっこでこそこそ。
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大好きなドライになったミモザをひとくちふたくちといただいて
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思い出したようにお庭へおりてきました。
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耳の後ろはこの棒でごしごし。いい位置にあるのを見つけたね、ヒロキ。
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オセアニア区の坂道を遠足の子どもたちが元気よくやってくる声がきこえてきます。
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子どもたちが来る前に、トイレも済ませて
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さあみんながやってきますよ。色とりどりの帽子をかぶった子どもたち。大きい子、小さい子。
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「みんなおはよう!」 毛づくろいもばっちりに整えたのに……残念ながら砂がお顔に残っちゃってるよ、ヒロキ……。
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大好きなトンネルを通ってみんなのそばにやってはきてくれたけど、この日はすぐにUターン。
この日のお客さんたちはとってもたくさん。お昼寝するにはちょっとばかり賑やかすぎたのかもしれません。
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みんなに近くはないけれど、そのかわりほっぺの落ちたかわいい寝顔をみんなに見せてのお昼寝に入りました。
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ヒロキの朝の様子、これは開園後の1,2時間の間の朝のできごとです。
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ついこの間までは花の香りをのせてやさしく吹いていた風も、葉っぱたちの瑞々しい匂いを運んでくるようになり
オセアニア区に植えられた小さなユーカリたちからも、かわいい黄緑色の葉を付けはじめました。
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いつもの青草がおいしくて仕方ないのは、春のちからがいっぱいつまっているからだね、ヒロキ。
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「今はできるだけたくさんの春のちからをつかまえておかなきゃいけないんだ。青草だけじゃなくてすべてのものからね」
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「だから少しだけスピードをあげてたくさん食べなくちゃって思ったんだ。だってね、春は本当にあっという間にいってしまうから」

森の中の金沢動物園の木立ちも一斉にかわいい葉っぱたちが芽吹いて、たくさんの小鳥たちがさえずりはじめています。
オセアニア区の休憩所の窓の向こうにも、こんなかわいい小さな建物があらわれました。
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いったいどんな鳥たちを見ることができるのでしょう。とても楽しみです。
by bon_soir | 2014-05-09 07:28 | 金沢動物園 | Comments(0)
カンガルーたちのドリームタイム
たくさんのたくさんの、約130頭が暮らすオオカンガルーたちのお庭にお邪魔できる幸せ。
金沢動物園にも同じオオカンガルーが暮らしていますが、いつもテラス越しに会えるのは20頭くらいでしょうか?
とにかく思ってもみなかった事態にもうどうしていいかわからず、私は軽いパニック状態です。
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こうして集団でかたまって集合するときは、おなかがそろそろ空いてきたとき。
みんなごはんを持ってきてくれる飼育員さんたちを待ちわびています。
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これだけのカンガルーさんたちに囲まれて、どこを見てみたらよいのかな。
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お水が入った大きなおなべ。ちゃぷちゃぷする小さな小さなかわいい手。
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こちらはおひるねまくらにしてる小さな手。
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ポッケの赤ちゃんが見つめるのは、お母さんの小さな手。
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赤ちゃんのおてては、おかあさんのあったかいポッケの中だね。
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こちらの大きな赤ちゃんも、手だけはポッケのなか。
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ぐっと力を込めてひょいっとポッケの中に入って行きました。
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ぎゅーっとするミルクを飲む子どもの手。
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たくさん飲んでちょっと休憩の手。
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こちらの子どもさんは、もう一体どんなことになっているのやら。
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ひとりずつひとりずつ剥がしてやりたい、重なりあう大人たち。
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いつもはテラスや柵越しで楽しんでいた、彼らの体の動きをすぐそばで見られる嬉しさ。
そしてふれあえる嬉しさ。
だけどいちばんの幸せはカンガルーさんたちのフリーダムに過ごす時間の中に、一緒に入れてもらったこと。
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ありがとうと小さな手と握手をしました。
ぷくっとした、ぎゅーっとしたらこわれそうなちっちゃな手。
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まるで夢の中での手ざわりのような、確かに手の中には残っているのだけれど、とてもぼんやりとした感触なのです。
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もしかしたら夢の中のできごとだったのかしら?
カンガルーさんたちの時間には、不思議な力があるのかもしれません。
本当に不思議な特別な時間でした。
by bon_soir | 2014-05-04 13:10 | ひびき動物ワールド | Comments(0)