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さようなら、ホップくん
キリンのホップくんは、たくさんのお客さんにたくさんの応援をもらっていました。
ひとつひとつ、小さなしぐさがあいらしくて、いとおしい。
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うごけばうごくほど、きらきらとしたなにかが体じゅうからあふれて
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わたしたちにも降りそそがれた、おひさまの光のつぶのようなきらきら。
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お庭の中をかけまわっては、たくさんのいのちのきらきらをふりまいて、みんなを笑顔にしてくれました。
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3月24日の夜になくなったという突然のおしらせはとても悲しくて、今でもぼんやりしてしまいます。
ホップくん、最後はとてもつらい時間だったね。きっとすごくがんばったんだろうなと思います。
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ホップくんを見て過ごした時間、ホップくんの大きな瞳の先を追っているだけでも、とても楽しい時間でした。
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こどもらしくかわいい挑戦をしてみたり。
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楽しいことはいつでもおかあさんといっしょに。
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閉園時間が来て、お部屋へのとびらが開いてもおうちに帰らなかったり。
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おかあさんのおしりのあたりをすりすりする姿は、お尻大好きなワンダーおとうさんのようでちょっとだけ心配したり。
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小さなホップくんがくれた楽しい時間。お礼も満足にできないまま、今は思い出すだけの時間になってしまいました。
痛みや苦しみのないお空の上では、どんな楽しいことをしているのでしょう。そんな空想しかできません。
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どうしてもどうしてもどうしても、お空の上の世界でホップくんじゃなければできないことが起きたのでしょう。
突然のお別れの理由は、それ以外見つけることができません。
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本当に楽しい時間をありがとう。金沢動物園で出会えてよかったよ、ホップくん。今はここからお礼をいうしかないけれど
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いつかはみんなが出会うその場所で、忘れずにありがとうがいえますように。
そのときまでさようなら、ホップくん。
by bon_soir | 2014-03-30 05:04 | 金沢動物園 | Comments(2)
雪の夜のゆめ
ワカちゃんはざんざんぶりの雨を見ながら思い出します。
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ひと月前の夜のこと。いつもと違う風の音。
しゅーっしゅーっと吹き込む風たちが、動物園じゅうを雪いっぱいにした夜のこと。
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しんしんと降る雪はあらゆる音を消しながら降ってくるようで、うんと静かになる夜はとても素敵なものだと思っていたけれど
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その夜はしゅーっという風が鳴り続けて、ワカちゃんはあまりよく眠れませんでした。
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いつもならバニラおねえちゃんはわくわくしながら歩き回っているはずなのに、やっぱり怖いのかもしれません。
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ヒロキも、じっとしておそろしい風の嵐がすぎるのを待つしかありませんでした。
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じっとがまんをした夜にワカちゃんが見た夢。なんだか怖かったような気はするけれど、どんな夢だったかは思い出せません。
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それは大好きなおかあさんから教えてもらったおまじないのおかげ。
目覚めてすぐにとなえれば、あっという間に忘れてしまう、不思議なおまじない。

「バクさん、ゆうべ見た夢をあなたに差し上げます。どうかおなかいっぱいになりますように」
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するとあっという間に、とことことベアードバクのアグアがやってくるのです。
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いただきまーす!  ワカちゃんを見ながらぺろっと舌を出して、すーっと怖い夢をたいらげます。
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怖い夢がおいしいはずはないのに……アグアはごちそうさまをにっこり笑顔でいってくれるのがうれしくて
さらにさらにアグアのことが好きになったワカちゃんでした。
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その日の午後のこと、お庭に残る雪を避けながらお散歩するどうぶつたちが多いなか、雪の中をさっくさく歩いては
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何度も何度も雪を食べるアグア。
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それほど気温もあがらない日でしたが、冷たい雪をあふれるほど口の中に入れてはしゃくしゃくしゃくしゃく。
どれだけアグアが楽しいかは、この顔を見ればわかります。
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もしかしたらヒクイドリのナミヘイの夢を食べたあとだったのかも……と思ってもみたりしましたが
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「いくらヒクイドリの夢だからって、火のように熱いわけないでしょ」
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とっても楽しく雪と遊んでいたアグアに、雪の日の動物園No.1をあげたいと思いました。
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アグアは怖い夢を食べて生きてるわけじゃない。
アグアだってみんなと同じように、新鮮なおいしい葉っぱが大好物なのはワカだって知っています。
だけれど不思議なおまじないの効果はある、たぶん。そうも思っています。
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「こんどはすごい素敵な夢を見ても、アグアさんを呼んでみよう」
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「素敵な夢は怖い夢より、何倍も甘くていい匂いがしてふわふわでとってもおいしいと思うんだ」
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「だけどぼくが食べる夢は、怖いのも素敵なのもみんなどこかに行ってしまうよ。素敵な夢を忘れちゃってもいいの? 」
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「毎日夢を見るのが楽しくて仕方ないのは、アグアさんのおかげだもの。食べる前に素敵な話を一緒にできたらいいな」
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みんなのこわい夢やたくさんの雪でおなかがいっぱいになったアグアはすうすう眠ります。
アメリカ区の大きな大きな木々たちが見守る大きなお庭で。
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アグアが怖い夢を見たら、誰をおまじないで呼べばよいのでしょう。
いつもそんなことを思っていたけれど、きっと彼らは怖い夢なんて見ないのかもしれません。
それくらいにっこりと微笑んで楽しそうに眠るアグアでした。
by bon_soir | 2014-03-23 14:25 | 金沢動物園 | Comments(2)
本当に近くで会えるワリちゃん
どこへ行ってもたくさんのたくさんの、本当にたくさんのお客さんであふれていたズーラシア。
アマゾンセンターの小さなお部屋でワリちゃんは、おひさまのとてもよくあたる場所でうとうと。
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動物園をいっぱいに広がっていた楽しさいっぱいの空気を、ワリちゃんも感じていたようです。
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寒い冬の間に会えなかったぶん、今はうんとみんなのそばにいてくれるように思います。ワリちゃんありがとう。
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ばってんマークが気になる……じっと見つめていたのがかわいかったです。
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この日は、ズーラシアで動物園大学が開かれた日。
たくさんのおはなしを聞くために、休憩時間にちょっとだけしか会えなかったけれど
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思っていた以上に元気そうで、あいかわらずの美しい毛並みと若々しい顔を見られて本当に安心しました。
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ふっと吹き抜けた春の香りがいっぱいの風を、一緒に楽しめた幸せ。ここの小さなお部屋もそうそう悪くはないね、ワリちゃん。
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あとはタニちゃんのお庭の訓練がうまく行ってくれますように……
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by bon_soir | 2014-03-18 23:31 | ズーラシア | Comments(0)
春のはじまり
おひさまがとてもまぶしかった日曜日の午後、いつものようにヒロキはおひるねをしています。
そこは春の匂いがするあたたかくて気持ちのよいところ、私たちとヒロキがいちばん近くにいられるところ。
いつもの通り、みんなが笑顔になる優しいひるさがりです。
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ちょっと短いおひるねを切り上げて、ヒロキのお庭の点検がはじまります。
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開放された中庭でも、バックヤードのカワセミさんを非常に真剣に見守ったり
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ちょっと毛づくろいをしたり。
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きちんと整えられたお部屋も開いていて、いつでもおうちへ帰ることができたけれど
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「こんなにも気持ちのいい日を、お部屋でごろんと過ごすのはちょっともったいないよ」
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だんだんと優しくなってきたお外の空気を、ひとつひとつ確かめながらヒロキは楽しんでいるようでした。
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お庭のあちこちに少しずつ顔を出しはじめた、かわいい葉っぱたち。ちょっとずつちょっとずつヒロキはいただきます。
冬のお日さまをたくさんあびた茶色の草たちも、春の力がいっぱいつまった小さなみどりも、どっちもおいしいね。
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しゃくしゃくしゃくしゃく、ぶちっぶちっと草を食べる音が聞こえてきます。ヒロキはおなかが空いているのでしょうか。
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「ぼくのどんぐりあげる」 見ていた男の子が小さな優しい声で、ヒロキに話しかけました。
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「ありがとう、でもきみの大事などんぐりをもらうわけにはいかないよ。大丈夫、ぼくはおなかがすいてるわけじゃないんだ」
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「ぼくはお庭の草をこうして食べるのが大好きなんだ。お外に出られない寒い冬の間は、春の日のことを考えてたよ」
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「たくさんの雪が降った日も、葉っぱをたべながらお庭をただお散歩する夢を見た」
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「冬の日に夢の中で感じたことを、今こうして思い出しながら確かめる。それがぼくの春のはじまりなんだ」
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ヒロキはいつもの通り坂道をてくてく歩きはじめました。
今年の春は、ヒロキやオセアニア区、そして金沢動物園にどんなことを見せてくれるのでしょう。楽しみだね、ヒロキ。
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お庭のミモザのもあともうひといき。かわいい黄色のふわふわたちのおしゃべりもそろそろ聞こえてくる頃です。
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今日でヒロキが金沢動物園にやってきて27年目に入りました。
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今年もまたヒロキとこうして春を迎えられて本当に嬉しく思います。
ヒロキ、金沢動物園にきてくれて本当にありがとう。
またヒロキをいつもいつも大切にお世話してくださるスタッフの方々、本当に本当にありがとうございます。
あの小さな箱でやってきた春の日、ヒロキが感じたお日さまや風の匂いはどんなだったのかな……。
by bon_soir | 2014-03-13 02:10 | 金沢動物園 | Comments(0)
ワカの遠くが見える小窓


金沢動物園のコアラ、ワカ
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お母さんのウメは王子動物園に行ってしまいました。
まだまだ小さなワカは少しさみしかったけれど、お母さんに言われた約束を守って、毎日暮らしています。
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お母さんのウメが出発する前にワカに約束したこと。
それは少しさみしくても毎日金沢動物園での暮らしを楽しむこと。
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そして、本当にさみしくなっても泣かないこと。


ワカはバニラと一緒にいた時に色々教わりました。
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木の上だけじゃなくって床を歩くととっても面白いこと。
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金沢動物園はとっても広くて楽しいこと。
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大勢の優しい動物達が暮らしていること。
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そして、すぐ近くにはウォンバットのヒロキがいてくれること。
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お母さんのウメとの一つ目の約束はバニラから教えてもらったたくさんのこと、それを考えることで守れていました。
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お部屋のドアが開く時があるから、その時はそっと外に出て金沢動物園の中を歩いたり、ヒロキさんに世界の大陸のお話を聞かせて貰えばいいとバニラに聞いていたので、ワカは楽しみでしょうがなかったのです。
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なにより、お部屋から見えている空まで届くように立っているオセアニア区の大きなユーカリの木に登ることがワカの夢でした。
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「いつドアは開くんだろう」
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今日もワカはドアのチェックをかかしません。

「今日も開いてないみたい……」
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ワカは少し残念そうにしました。
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でもきっといつかドアは開くと信じているワカはまた明日見てみようと小さく声に出し、いつものようにユーカリの葉を少し食べました。
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いつもと同じユーカリの葉の味です。
でもワカは気がついていました。
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ユーカリの葉の形はみんな一つ一つ違っていることを。
そして、自分も少しづつ少しづつ大人になっていっていることを。
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「同じように見えて同じ日はない。そう、いつかドアも開くんだ」
ワカはそうつぶやいて、お部屋から外を眺めました。
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今日は雨降りです。お客さんの姿も見えません。
ワカはこんな日、どうしてもさみしくなってきてしまいます。


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お母さんに言われた約束、2つ目のさみしくっても泣かないこと、それを時々破ってしまうことをワカは心のなかでお母さんのウメに謝っていました。
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「お母さんごめんなさい、やっぱりお母さんがそばにいてくれないとさみしいよ」
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「こんなこと言っちゃいけないのかもしれない、でもさみしいからしょうがない」
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「バニラさんのお母さんはいつもそばにいるのに、私のお母さんはどこか遠くに行ってしまった」
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「優しかったお母さん、面白かったお母さん、そして暖かかったお母さん」


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「私はお母さんに会いたい。だからドアが開くのを待っている」
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「きっと、ペリカンのモモさんなら背中に乗せてくれて、お母さんのいる所まで飛んでいってくれるってバニラさんが言っていた」
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「お母さんのいる場所はきっとヒロキさんが知っている。きっとヒロキさんはオセアニア区のことをなんでも知っている」


バニラはさみしそうにしているワカを見て慰めます。バニラはもうすっかりお姉さんになっています。
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「ワカちゃん、ドアが開いたら一緒に行こう。ウメさんの暮らす所まで一緒に行こう。ワカちゃんはモモさんの背中、私はワカメさんの背中に乗せてもらうの。4人でウメさんの所まで一緒に行こう」

そう言ってバニラはワカが笑顔になるまでお話を続けました。そしていつのまにかワカは笑っていました。
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その時、ワカが何かがあることに気が付きました。

「あれはなんだろ?」
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ワカが気がついたあるもの、それはお部屋の片隅にある小さな小窓でした。
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いつからあるのかわかりません。ずっとあったのかもしれません。
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ワカは覗いてみることにしました。
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小窓の先に見えたもの、それは王子動物園で暮らしているお母さんのウメの姿でした。
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金沢動物園にいた時からよくお昼寝をしていたウメ。小窓の先に見えるウメもお昼寝をしているようでした。

「どこにいるのかわからないけど、これは間違いなくお母さん。ここからお母さんを見ることが出来るんだ」
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「誰がくれたのかわからないけど素敵な小窓をありがとう、大切なプレゼントをありがとう」
ワカの目から少し涙がこぼれていました。
それは金沢動物園でワカが見せた最後の涙になりました。

ワカはウメとの2つ目の約束もこれからはきっと守れると思いました。


それは、本当にさみしくなっても泣かないこと


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「お母さん、いつかきっとそこまで会いに行きます。それまで元気でいてくださいね」




ワカにとって二回目の春がやって来ます。
優しいテルちゃんとバニラ、そしてヒロキや金沢動物園の飼育係さんと大勢の動物達。ワカはみんなに見守られながら少しづつ少しづつ大人になっていきます。






    



by bon_soir | 2014-03-08 18:20 | 金沢動物園 | Comments(0)
キョウコさん
雪が残るマレーグマ舎。
キョウコさんはいつものとおり何も変わらず、それは安心を与えてくれます。
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初めは雪を避けるようにモートの縁をてくてく歩くキョウコさん。
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でも冷たい雪の中を歩かなければおやつを食べることが出来ません。
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少しためらうキョウコさん。
裸足だもんね。

それでもいつのまにか雪の上を歩き、おやつを見つけます。
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リンゴかな?
美味しそうです。
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ごくんと飲み込み、満足そうなキョウコさん。
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なんだか下唇がかわいいですね。


キョウコさんは木にもよく登ります。
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男でも女でも子どもでも大人でも、やっぱり木の上は気持ちが良いんです。
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それはきっと遠くまで見渡せるから。


その後また美味しそうにおやつを食べたり散歩を楽しむキョウコさん。
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同じような毎日に見えますが、きっとキョウコさんの中では一日一日が違った楽しい日々に違いありません。
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夜に見る夢だって毎日違う夢を見ています。
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キョウコさんの素晴らしい毎日はこれからもずっとずっと続いていきます。
同じに見えて少し違う素敵な毎日。

マレーグマ舎にまた特別な日が来るのも先のことではないのかもしれません。



 

by bon_soir | 2014-03-01 15:42 | 上野動物園 | Comments(2)