カテゴリ:上野動物園( 153 )
特別な日、特別な旅、特別な二人
上野動物園で暮らすホッキョクグマ、イコロとデア

このお話しは前回→☆☆☆☆☆の続きになります
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北極点から眺める北極星、それは僕の頭の上でそっと瞬き輝いていた
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同じ時刻、きっと大勢のホッキョクグマ達が世界中から眺めていたことだろう
同じ時刻、北への目印にして旅をしている仲間たちがいたのかもしれない
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そんな北極星の隣で僕を見守ってくれていたユキオさんとレイコさんが輝かせるあの星は、さらにゆっくりと瞬き
ときには強く、時には優しく光り、まだ大人になりきれない僕に話しかけてくれているようだった
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「あの光り方、あの感じ。デアも眺めていたのかな───」

帰りのモノレールの中、北極点への旅を思い出していた僕
冬の始まり、少し冷えてきそうな窓の外、星空見つめ、僕はふと呟く
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───毎日窓の外を眺めるデアの顔を綺麗な星空に重ね、ふと、そう呟いていた
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「そろそろ動物園に着きますね」
運転手の猿はいつもの小さな声だ
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その声は少しぶっきらぼうにも感じるけど不思議と聞き取りやすく、何故か優しく僕の心をそっと撫でる
見下ろせば街の灯───今回の旅はもう少しで終わりになる

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「デアはまだ眠っているのかな」と、またデアのことを考えた
思えば最初から最後まで僕の頭の中にはデアの顔があった

出発する時、北極の氷の大地に立った時、北極点を目指し歩いている間一人道に迷った時
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そして北極星を、ユキオさんとレイコさんの星を見上げている時───
ずっと、ずっとデアのことを思い浮かべていた
───僕にとってのデアは上野動物園で暮らす理由、その全てになっていた
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右側の窓の向こうにエミューの姿が見えた
「ただいま」と、小さく呟いてみた
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モノレールは東園駅へと静かに吸い込まれていく
「到着です」と、運転手の猿は停まったモノレールのドアを静かに開け、僕の方に振り返る
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「楽しかった、素晴らしかったよ。そして色々なことを考えた」
僕がそう言うと運転手の猿は軽く頷き、そしていつもより少しだけ大きな声で言った
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「また来なさい。特別だと思った日、大切だと思った瞬間、いつだって私は大好きなモノレールを走らせます。動物達を乗せて走らせるモノレール、それはとても素敵なものです。時には悲しい時、寂しい時もありますけどね」
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「そうだね、きっとまた来るよ」
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僕がそう言うと運転手の猿は一度大きく頷いて、すぐに猿山に向かって走り出した
その背中は小さいけれど暖かい
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「ああ、そうだイコロ君。その時はまたフクロウから切符を貰ってくださいね」
と振り返って最後に一言
「あぁ、わかってる。今日はありがとう」と、僕が言うと、柵を軽く飛び越え運転手の猿は猿山へ帰っていった
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───僕も早く帰ろう
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明るくなり始めた東の空、気の早い小鳥の賑やかな声が遠くの方から聞こえていた
北極圏ほどじゃないけれど、やっぱり少し冷えてる夜明けの時間
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なんだか急に眠くなってきた僕は東園駅からホッキョクグマの家に向かって少し急いで歩く
空を見上げて大きく息を吸った
朝日の明るさで星はもう見えない、朝の月がぼんやり大きく街の建物のすぐ上にただ浮かんでいた
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『キッ』と少し音がするドアを開けてそっと部屋に入る
デアの部屋の方へ視線を静かに動かすと、目を覚ましていたデアは僕のことをじっと見つめている
入ってくる所から全部見られていたのかもしれない
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二人目を合わせて何秒間───すっ、とデアの姿は見えなくなる
どうやら床で横になったようだ
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壁を背にして座った僕はふと部屋の天井を見つめた
するとその天井は急にどこまでも広がり僕を囲む
無機質な色、風合いは青い夜空に変わり、北極点から見上げた星空、北極星が真上に輝くあの星空が部屋一面に広がった
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僕の身体は宙に浮き、部屋の星空へと吸い込まれていく
「夢への入り口───今日はここ、こんなふうなんだ」
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不思議な夢
不思議で楽しいホッキョクグマの夢
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ホッキョクグマの夢
大勢のホッキョクグマが北極点へと歩く夢
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北極点の夢
自転の芯棒そびえ立つ、あの北極点にホッキョクグマが集まり笑う
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そんな夢
なかなか覚めないそんな夢
深い眠りの僕が今、見ている夢はそんな夢───
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広がる青空、冬の空
アシカの声が大きく響く
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夢から覚めても僕はぼんやり、頭の中にはあの星空とデアのことばかり
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大勢のお客さん達が今日も僕等に会いに来ている
入れ代わり立ち代わり、すぐに過ぎていく人、長く見ている人
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一人のような人、二人で来ている人、大勢で来ている人
みんなそれぞれだ
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そんなお客さん達を眺めていて、僕はふと思った
───昨日一日、僕は動物園にいなかったはずなのに、なんでみんなは何も思ってないんだろう
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そういえば飼育係さんに会った時もみんないつもどおり、普通の朝だ
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あの時確かに運転手の猿は言っていた

『動物がモノレールに乗っていくこと、それは飼育係さんも知らない内緒のこと───』

そういうことなんだと
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聞いたときは深く考えなかったけど、こうして後から考えるととても不思議だ
「まあいいか」と、空を見上げ呟いた
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あの星空、輝く北極星の素晴らしさと比べたら、そんなことはちっぽけなこと
そう、ちっぽけだ
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冬の夕暮れ、それは凄く駆け足
動物園に閉園の時間が来るより早く陽は落ちて、いつのまにか増えてきた雲が空一面を覆ったこともあってか、辺りはもう薄暗い
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部屋へ戻るドアがいつものようにゆっくり開いて閉園の時間だといつものように僕に言う
動物園は今日一日何もなく、みんなただ穏やかに過ごせたようだ
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部屋に戻り夜を待つ
真っ暗になる少し前からデアはいつものように窓の外、いつもの夜空を眺め始める
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北極点への旅、あの素晴らしい光景のことをデアに話したかったけど、夜空に星を探し見つめるデアに僕は話しかけることが出来ない
星にユキオさんの姿を重ね、一緒に過ごしたその日々を想う時間───デアにとってきっと何より大切なその時間
───邪魔することなんて僕には出来ない
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長い時間、夜空を見つめるデア
「君はいつもそうだ───」

デアの心には星がはっきり見えているのか───今日も夜空は曇り空、目では見えないはずなのに
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気がつけばもう何日も曇りの日が続いていた
すっきりと青く高い空、澄んだ空気、綺麗に見えるようになった冬の星座も眺めることが出来ない
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ある日のこと
朝が来て目を覚ましたデアは空を見上げため息一つ、今日も肩を落としていた
今夜もこのまま曇り空───さみしげに思うこと、それはそういうことなんだろう
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僕等にとって気持ちがいい季節、冬はもう始まっているはずだった
雲の向こう、空はきっと青いんだ
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雲の向こう、夜空の星はとても綺麗なはずなんだ───
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デアが夜空を眺める時間はだんだんと短くなっていった
やっぱりどんなに想像力があったとしても、星の無い夜空は寂しいんだろう
雲の向こうにユキオさんとレイコさんが輝かせるあの星をいくら思い描いたとしても、きっと本当の輝きには勝てやしない
雲の向こうで輝いているはずなのに目で見ることが出来ないということ───きっとなにより寂しいんだろう
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窓から離れたデアの背中、悲しげなその背中を見た僕に不思議な力が湧いた───初めて「デア」と声をかけたあの日のように
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「デア」
この一言がまたやっと声に出た
初めて声をかけたあの日、その時よりも力強く大きな声で、僕はデアを呼び止めた
北極点から見上げた北極星、あの輝きが僕の心に力をくれる
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振り返り僕を見たデアの顔、涙に濡れてる綺麗な瞳
不思議な力に後追され僕の想いは声になり、驚くほどに次から次へと言葉になった
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「デア、この前僕は旅をした。上野動物園のモノレールで行く、動物達の素敵な旅だ」

「旅?」
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「そう、旅だよ。あまり長い旅じゃないけれど、僕は遠くへ行ったんだ。どこだと思う?僕が目指したのは北極点さ。全ての北の終わり、北が集まるただ一つの場所、それが北極点なんだ。北極点には何があると思う?僕も知らないことだったけど、北極点には地球が回転するために必要な芯棒が立っている。芯棒は地球をつらぬき、その端っこがはみ出して、高くそびえ立って見えるんだ。それは本当に大きな大きな芯棒なんだ」

「北極点───」
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「デア、僕は北極星が見たかったんだ。そう、僕が声をかけたあの時、君が毎日眺めていると言っていた星、北極星。この世界で一番大きく見えるかも知れない場所から北極星が見たかったんだ。モノレールの運転手さんから聞いた北の果て、それが北極点。世界で北極星に一番近いかもしれない場所、それが北極点。そこまで行ってデアの北極星、デアが眺める北極星を僕は探し、眺めてみたかったんだ」

「私の北極星───」
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「デアと同じ星を眺めたい───違うな、色々な意味で同じ風景を見たい、って僕の気持ち───少しはわかってくれるかい?」

「わかるよ、伝わるよ。イコロさんは今、とっても真剣だもの───」
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『キッ』と少し音がするドアを開けて部屋の外へ出た二人
イコロはデアを連れ、モノレールの東園駅へと歩き出しました
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それは曇ったままの重苦しい空の下、風一つ無い静かな夜のこと
饒舌だったさっきまでとは違い、イコロは少し緊張していて何故かやや早足
横を歩いていたはずなのに、いつの間にか歩くはデアの数歩前
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後ろで聞こえる足音、静かな吐息、微かに感じられるその体温
それは今まで感じたことの無い存在感となり、イコロをさらに緊張させていきました
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「大丈夫、僕は一度経験している。大丈夫、前と同じように星とホッキョクグマ達が僕等を導いてくれる───」
デアに聞こえないように小さく呟いたイコロ
歩いたまま一度振り向くと、ただイコロの背中を見つめ後を一生懸命についてくるデアと目が合いました
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「あっ」
つい声が出てしまったイコロは少し照れ、前に向き直すともうすぐそこにモノレールの駅が見えてきていました
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イコロは一度大きく頷いて、もう一度小さく呟きました
「大丈夫、きっと大丈夫───僕はデアを連れて行く。北極星を、デアの北極星を大切な場所で二人一緒に見上げるんだ」
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「止まったままのデアの時間をまた動かすんだ───」
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「フクロウさん、いますか?」
駅に着くとまず最初に券売機の前に立ち、イコロはフクロウの姿を探しました
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「あっ」
フクロウを呼んで数秒、暗闇に大きな丸い目が浮かんでいることをデアは見つけ、「ねえ、あそこ───」とイコロにそっと声をかけました
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二人に気がついたフクロウはパタパタと飛び、券売機のすぐ上、イコロとデア、今度は二人の前に止まりました

「良かった、今日もここにいてくれたんだね」と、イコロは一人小さな笑顔
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「北極点、北極点までの切符をください。今日は二枚、僕とデアのぶんです。切符を二枚ください」

イコロから行き先を聞き頷いたフクロウは券売機のボタンをそっと押しました
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すっと出てきた二枚の切符、それは前と同じように『北極点』と書いてある小さな切符
「デア、これを持って」と、イコロは切符を一枚デアに渡し、フクロウにお礼をしました
つられてデアもお礼をし、開いているドアに向かって思わず走り出したイコロの背中に可愛らしさを感じ、「待って───」と、後を追いかけます

デアは笑っていました
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静かに優しく、女の子らしく、そして可愛らしく
イコロと上野動物園のモノレールを見つめ、デアは笑っていました
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「君はまたすぐに来ると思っていました」
イコロがモノレールの中を覗くと、運転手の猿の小さな声がしました
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運転席に座ったままイコロに振り向くと、後ろにいるデアのことに気がついた運転手の猿
「デア、よく来ましたね」と、にっこりとした笑顔を浮かべ、イコロを見つめて頷きました
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「運転手さん、これ。また今日もよろしくお願いしたいんだ。ほら、デアも切符を渡すんだ」
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「『北極点』ですか。今日はデアも一緒の旅。なにより素敵な旅になりそうですね」
二人から切符を受け取った運転手の猿は受け取った切符を大切そうに袋に入れ、モノレールを動かす準備を丁寧に始めました
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「危ないですからね。さ、二人共、早く座ってください───」
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静かに上野動物園のモノレールは走り出した
僕を乗せて、デアを乗せて
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今日もエミューが見送ってくれている
「行ってくるよ」
僕は言う、声にはしないで心の中で
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上野動物園のモノレールはスピードを上げ、高く昇っていった
僕等の目には街の灯り、色とりどりの街の灯り
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デアはだんだん離れる街の灯りを眺めて微笑む
小さく一言「綺麗」と呟き微笑む
そう、それでいい───運転手の猿はうるさいのは嫌いなんだと言っていた
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動物園から大きな空へ
それが上野動物園のモノレール
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静かに聞こえるモーターの音
雲を抜けて星空へ、雲の隙間の青空走って、いつのまにか切符に書かれた目指す場所
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それが上野動物園のモノレール
それが動物達が内緒で乗ってる上野動物園のモノレール

運転手は猿だ───
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「デア」
街の灯りが見えなくなって、僕はそっと声をかけた
デアのお返事は無い
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見ればデアは眠っていた
子グマのように無邪気な顔で、お母さんのように優しい顔で
デアはモノレールにゆっくり揺られ、一人そっと眠っていた
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窓の向こう、夜空に浮かんだデアの顔
今はこうして、今日はこうして傍で微笑む
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どんな夢を見てるんだい
誰の夢を見てるんだい
夢に北極星はみえるかい
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僕も眠るよ
君の傍で僕も眠るよ───
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「イコロ君、もう少しです。北極点の近くまで来ましたよ」
運転手の猿が少しだけ大きな声で僕を呼ぶ
前と一緒だ
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身体を起こして覗いて見下ろす窓の外
これから歩く氷の大地
北極圏に僕等は着いた

───僕等、北極点まであと少し
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「本当にまたここでいいんですか?デアもいるのに───」
モノレールを地面に降ろし、ドアを開けた運転手の猿が訊いてくる
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「大丈夫、道ならわかるよ。この前歩いて思ったんだ。北極点はただ見ればいいってわけじゃない。この気持ち、どう説明すればいいのかわからないけどね───」
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運転手の猿とそんな話をしているうちにデアはモノレールを降り、夜空を見上げた

「凄い───」

そう一言呟き、あたり一面の星の中にいつも眺める星座を探す
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動物園から眺める夜空の何倍の星が輝いて見えるんだろう、星座を探すのもままならない
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でも僕にはわかる、北極星の光る場所、ユキオさんとレイコさんの星が光る場所
一度見上げた僕にはわかる

「デア、大切なものは自分で見つけるんだ。迷ったら僕が教える、僕が導く───そう決めたんだ」
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「私はここで待っています。二人で好きなだけ旅を楽しんできてください。二人にもし何かあれば私はわかります。その時はイコロ君達を探しに行くことにしましょう」

運転手の猿はモノレールを走らせることが大好きだと言っていた
表情はあまり変わらないけれど、楽しそうにしていることだけはわかる
そしてこの場所、僕とデア、二人のホッキョクグマがここにいるということ。それを大好きだったって言うユキオさんとレイコさんとの旅に重ね、その日のことを思い出しているんだろう

まだ全然ユキオさん達の歴史には足らないけれど、僕とデアもホッキョクグマだ
───上野動物園のホッキョクグマだ
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「明日の動物園はどうなるの? 私達がいないと飼育係さんやお客さん達がびっくりしちゃう」
デアは落ちついた小さな声で運転手の猿に訊いた
前回の旅で僕は気にも止めなかったこと
デアはしっかり者だ
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「一日と一日の間に“動物達だけの特別な一日”を増やしておくんです。飼育係さん達やお客さん達にはその一日は気がつきません。そうすれば旅を思う存分楽しむことができると思います。時間ばかり気にしていたら旅が素敵なものにはなりませんからね。みんな最初は不思議に思うかもしれませんね。でも私にはそれが出来るんです」
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この前もそうだったんだ、と僕は感心した。
不思議なことというのは必ずある、どこにでもある
そうだ、運転手の猿は凄いんだ───ちっぽけなんかじゃない
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「じゃあ行ってくるよ」
僕が言うと、「ああ、ちょっと待ってイコロ君、デア」と、僕等を呼び止める
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「さっきイコロ君は『道ならわかる』と言いましたね。そう、一度歩いたイコロ君なら道が確かにわかるはずだと思います。行き方がわかるなら後は大事なのがその途中、“旅の途中”が大事になるんです。ただ見ればいいってわけじゃないとも言っていたから安心していますけど、今一度イコロ君に教えましょう。旅に大切なことというのはゴールだけじゃありません。旅の途中にたくさんあるんです。道がわかるなら後は途中、何を見るか、何を聞くか、何に触れるのか───そして誰と何を一緒に感じるか」

運転手の猿は少し大きな声で話す
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「誰と何を一緒に感じるか、旅が二人以上の時、誰かと知り合う時───そんな時には大切なことです」
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僕は歩いて、デアの前を
僕は歩いて、北極星を正面に
僕は歩いて、北に向かい
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僕等は歩く、歩いてく
僕等二人、北極点を目指して歩く
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夜空を埋めるたくさんの星、どこを見ても丸い星空
振り返るたびに流れ星、す、す、すーっと流れ星
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北極点へ向かう空、向こうに見える星の輝き
なんでだろう、何故か本当に懐かしい
なんでだろう、何故か本当に暖かい
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なんでだろう、背中がいつもよりも大きく見える
「わかるよ、また伝わるよ。イコロさんは今、とっても真剣でとっても優しいもの───」
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「芯棒が見えてきた───あともう少しだ」
心の中でふと呟く
もうきっとデアも気がついていることだろう、遠くに地球が自転するための芯棒が見えてきた
空を見上げなくなったデア、何も言わず北極点を見つめているんだと思っていた
でもそれは少し違っていた
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芯棒が近づいてくるたびにデアの目には涙が溜まってきている
そしてそれは一歩一歩と歩くたびに、ぽた、ぽた、と落ち始めていた
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芯棒まで本当にあと少し、というところで僕も気がついた
「誰だろう───」
芯棒の下からこっちを眺めているような光が見える
───優しい光のホッキョクグマ
「あれはきっと、ユキオさんとレイコさんだ───」
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僕等は北極点に着いた
自転するための芯棒もユキオさんとレイコさんも目の前だ
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「……はい、元気です。元気で変わらずやっている、そんなつもりです」
デアはユキオさんと話しているようだった。
涙があふれた瞳をたくさんの星で輝かせ、嬉しそうに話を続けた

なぜか僕にはユキオさんの声が聞こえない
でもそれでもいいと思った
悲しく寂しいお別れで涙をこぼし続けたデア、そのデアが今こんなに嬉しそうに涙をこぼしてる
僕にはそれだけで十分だ
北極点まで二人で来れたこと、不思議なことでデアが笑顔を見せてくれたこと
僕にはそれだけで十分だ
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見上げた空には北極星
僕とデア、そしてユキオさんとレイコさんの上で輝く北極星
僕等を誘い、導き続けるそんな星
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北の果て
寒くないんだ、冷たくないんだ

北極点は温かいんだ
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「……大丈夫です。私にはイコロさんがいます。だからレイコさんと二人、また幸せにのんびりとしていてください。いつも見守ってくれているのもちゃんと感じています。ユキオさん、レイコさん。ありがとう、いつもありがとう───今日はさようなら」

ユキオさんとデア、二人の短い邂逅は終わった
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ユキオさんとレイコさん、二人は手を繋いだ
僕は二人にお辞儀をした───その時だ
「デアをよろしく、イコロ君。きっと君なら大丈夫だ。明日も明後日も───そう、何年後もね」
───僕にも聞こえた
優しくて大きなホッキョクグマ、ユキオさんの声が僕にも聞こえたんだ
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遥か空へ、あの星空へ
二人のホッキョクグマはあの星空へ

───デアが眺め続けた、あの星へ
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「あ、あの星は!───」
デアの驚きは声になる
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ユキオさん達が帰っていった星が強く輝いた
デアが見つめ続けてきた星“デアの北極星”が本当の北極星の隣で輝いているということにデアは気がついた
デアの瞳からたくさんの涙がもう一度溢れ出していた
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「デア、また来よう。ここに、北極点にさ。何度でも来ようよ。きっとここから眺める星が一番綺麗だよ」

「駄目だよ、ここには特別な日にだけ来よう。この先きっとやって来る、特別な日にまた来よう。ここは特別な場所だから」

「特別な日? 特別な日ってどんな日だい?」

「もちろん今日みたいな日」

「今日は特別な日になったのかい?」

「イコロさん、あなたは特別だって感じない?」

「感じるよ、感じるよデア───今日はとびきり特別さ」

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僕等の所にやって来る
きっとまた特別な日がやって来る
上野動物園で二人一緒に暮らしていれば必ず特別な日がやって来る
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今日は始まり、その始まり、まだまだ始まり
これからこれから、まだまだこれから
僕は明日を信じてる
今日を明日を明後日を、この先ずっと何年も───
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僕等は未来を信じてる
僕等はもっと笑えるはずさ
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ホッキョクグマの春はその特別、特別なんだ
僕等の春がやって来る
毎年必ず、冬の後にやって来る

特別な気持ちで心がいっぱい、そんな季節

特別な季節さ




      

by bon_soir | 2017-06-15 06:13 | 上野動物園 | Comments(4)
横になってるだけだけど
上野動物園で暮らすゼニガタアザラシ、ユカ
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去年生まれの野生由来
保護されて上野動物園へ
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そんなユカちゃん
この日、横になってるだけだけどかわいい
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すぐ頭抱えちゃう
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横になってるだけだけど、なんか色々やっている
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きっと色々考えている───そうなんだよね
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ベロ見えた
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何やっているのかわからないけどかわいいね
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笑ってユカちゃん
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何か気にしてユカちゃん
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どうしたの
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ふとした時、
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曲がった
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不思議だね
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横になってるだけだけどなんだか目が離せない
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そんなユカちゃん
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楽しいね!
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横になってごろごろ
楽しいね!
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横になってるユカちゃんに会いに行けば見せてくれる
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見せてくれる色々な顔、かわいい顔
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これはあくびかな?
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横になってるだけだけどこんなにかわいい
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横になってるだけだけど離れることが出来ないよ
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かわいいね
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by bon_soir | 2017-06-10 13:02 | 上野動物園 | Comments(0)
イコロが見た北極星、デアが見ていた北極星
上野動物園で暮らすホッキョクグマ、イコロ
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このお話は前回→☆☆☆☆☆の続きになります
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エミューに見送られ上野動物園を出発したモノレールは星空の中に吸い込まれ滑るように走り続け、
そして今度は北極圏、月に照らされぼんやり輝く氷の大地に引き寄せられるように降りていく。
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運転手の猿はいつまでも静かに上野動物園のモノレールを走らせ、動物園を出発してからもあまり話はしなかった。
走り出してから一言二言ほど話し、そしてさっき『北極点の近くまで来ました───』と言ったっきり、また黙っていた。
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上野動物園のモノレールはスピードを落として地面のすぐ上を走っていた。
ときおり雪のような氷の粒が舞い上がるのが見える。
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───どこまでいくんだろう
星空の中を抜け出してからだいぶ時間が経った気がした僕は、運転手の猿に小さな声で訊く───運転手の猿はうるさいのが嫌いなんだ。

「あとどれくらいかかるんだい?」
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その声を聞いた運転手の猿は運転席の前の窓をちらりと上目遣いで見た。
きっと僕の顔が映っているんだろう。
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「そうですね、ではこの辺りにしましょうか───」

そう小さな声で一言言うと、上野動物園のモノレールは更にスピードを落とし、そして氷の大地の上にそっと停まった。
静かに動いていたモノレールのモーターの音が止まり、そっとドアが開く。
「さあ、着きましたよ」と、運転手の猿は僕の方に振り返る。
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ドアの外へ出た僕はまず最初に夜空を見上げた。
普段見る夜空とは何もかもが違う、僕一人を包み込むような力強い星空が広がっている。
「あぁ、凄いや───」
僕の口からふいに言葉が出る。
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傍で僕を見つめる運転手の猿の顔は少し微笑んでいる。
「どうかしたのかい?」と僕が聞くと、
「みんな同じ、だなと思いましてね」と、星空を見上げて言った。
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「ここへ来た、またはこんな星空を見た動物達はみんなイコロ君と同じような顔をして、同じようなことを言うものです。運転している間、ずっと考えていたんです───イコロ君はどんな顔してなんていうかなって、てね」
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「そうしたら想像通りの感じでイコロ君は星空を見上げた。それが少し可笑しかった、ってだけのことです」
運転手の猿は今までで一番楽しそうだ。
少し照れくさかった僕は少し慌て、少し早口で訊いた。
「北極点、北極点はどこなんだい?僕は北極点に行くためにモノレールに乗ったんだ」
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「実を言うと、北極点まではまだもう少しかかります。まだ見えているわけじゃありません」
あいかわらずの小さな声で運転手の猿は話す。顔はもう笑ってはいないように見える。
「またモノレールに乗れってことかい?」
僕は戸惑いを隠すように、なるべくゆっくり、なるべく静かに一言また訊いた。

運転手の猿はゆっくりと首を横に振り、指差しながらまた小さな声で話し始めた。
「向こうの方角です。ここから先はイコロ君、自分で歩いて一人で行きなさい。考えていた、モノレールを走らせながらずっと考えていたんです。なにも、星空を見上げた時のイコロ君の顔のことだけ考えていたわけじゃありません」
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「自分で、自分で歩く───」
運転手の猿が指差す方を僕はじっと見つめたけど何かが見えるわけじゃない。ただ氷の大地がどこまでも広がっている。
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「───いいですか」
運転手の猿はそう切りだし、静かに話を始めた。

「もう動物園からはずっと遠い所に私達はいるんです。モノレールを走らせれば北極点まではすぐに着きます。ただ、さっきも言ったとおり私は考えていた。イコロ君にとって一番いい形で北極点まで行くことということは、それはどんなことなのか、ってことをね。考えた結果が最後は自分で歩いて行く、っていうことなんです」

風も無い北極圏、たくさんの星はそれぞれがそれぞれに瞬くけど、当たり前のように音がするわけじゃない。
静かな静かな北極圏に運転手の猿の小さな声だけが聞こえている。

「少しの距離でも自分で歩き、一人でたどり着く。ただ誰かに連れられて行ってきたってだけじゃない、ということ。それだけでも意味があるでしょう。特にイコロ君、君は男のホッキョクグマだ。旅には冒険、素敵なことです。大丈夫だとは思いますが万が一迷いそうになってもその時は───きっと君を誰かが導いてくれることでしょう」
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───北極点に向かって長い時間、もう何時間も僕は歩いていた。
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ユキオさんの代わりになろうとなんて思っていない、僕が上野動物園のホッキョクグマだとと胸を張って言える日なんていつ来るのかわからない。
けどデアと一緒に暮らしたい、暮していきたい。勝手だけれどデアの傍でデアを支えていきたいと思っていた僕には迷いがなかった。
「きっと何かを感じることができるでしょう───」と運転手の猿は言った。
僕はもっとたくましく、立派な大人になりたい。

───そう、一人で北極点にたどり着く
大好きなデアの顔を思い浮かべれば大丈夫、簡単だ
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「日本も北極圏も今は冬の始まり、特に北極圏の夜は驚くほど長い。だから時間がかかってしまっても大丈夫」と、運転手の猿は教えてくれた。
だから最後まで頑張りなさいという、そんな小さな声のメッセージだ。
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───デアは今頃どうしているんだろう。
いつものようにデアの北極星を窓から探し眺めているのだろうか、それとももう夢の中へと入っていったのだろうか───
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ユキオさんのことを今日も思い出し、そっと涙を溢しているのだろうか───
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それとも、今部屋にいない僕のことを少しでも思ってくれてはいるのだろうか───
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圧倒的な数の星にも慣れてきた僕は、その星空を眺め考え出していた。
「そうだ、北極星ってどれだろう───」
一人でいる時、考えていることはふいに声になる。
でも今はまず先に北極点に行くことだけを考えなくてはいけないのかもしれない───そう、北の果てまでの冒険中だ。緊張感が無ければ僕自身の強さはきっと生まれない。
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夜は長く昼が短いと言っても少しずつ空は明るくなりだしていた。
もうどれだけ歩いたんだろう、僕はまだ北極点にたどり着かないことに少し焦りを感じ出していた。
早くたどり着かないと星も見えなくなってしまうかもしれない。北極星を見ることが出来なければここまで来た意味が無くなってしまいそうだ。

北の果てで世界中で一番大きな北極星を見る───それがこの旅の目的だ。
運転手の猿は元の場所で待っている、今僕は北極圏に一人、ただ一人歩くホッキョクグマだ。
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寂しくなるとデアの顔が頭に浮かぶ。
デアだけじゃない、お母さんやキロル、みんなの顔が次々に思い出されていく。
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「みんな、元気かな」
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流れ星が続けて輝き、明るくなりだした夜空へと次々に消えていく。
流れ星は見る方向見る方向で輝き流れている時もあれば、何故かなかなか目に入らない時もある。
星空の動きが止まり静かさがふと僕を包んだ瞬間、僕はやっぱり不安になった。
「星ばかり眺めすぎたのか───道に迷ったのかもしれない」
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「緊張感を───」と考えていたはずなのに、すぐに忘れてしまっていた僕はなかなか駄目な奴だ。
一度不安になると急に怖くなってくる。思えば一人でどこかへ行ったことなんか今まで無かった。
初めての引っ越しだってキロルと一緒だ。お母さんがいない寂しさもキロルと二人一緒だったから自然と乗り越えていたのかもしれない。

今、僕は一人だ。運転手の猿はモノレールと一緒に待っていてくれているのかもしれないけど、後戻りはしたくない。
僕は一人でもデアを支え、守ることができるホッキョクグマにならなくてはいけない。
“北極点には着かなかった” ってことじゃ恥ずかしくてたまらない。
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ふと見上げた星の一つが急に強く、明るく瞬き出した。
その星の色は白く、瞬くリズムはゆっくりと落ち着いていて、眺めていると何故か気持ちが落ち着いてきた。
明るくなり始めた空に雲が一つ浮かんで見える。その雲はホッキョクグマのような形だと僕は思った。
頭の中にデアの顔がまた浮かび、今度はその雲から声が聞こえた。
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『輝く星が見えるかい?その方向へ歩くんだ。後は君ならすぐわかる』
落ち着いていてどこまでも優しい声、その声は男のホッキョクグマだ───

「ユキオさん、かい?」
僕はふと声に出して、星の方へと歩きだしていた。
会ったこともないのに絶対にそうだと、ユキオさんの声だと決めつけた。

そう決めた瞬間、今の僕の顔は小さかった頃のように無邪気に笑っている、そんなことを感じだしていた。
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一回、二回、三回、四回……と星が瞬く。僕は何故か子供のように数を数えて歩いている。
「十回だ」と呟いて声がした雲の方に振り返った。
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もうそこにさっきの雲は浮かんではいなかった。
「ユキオさん」
僕はもう一度呟いた。
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ふと足元を見ると大きな足跡が一直線に続いていた。
僕でもわかる。ホッキョクグマの足跡、大きな男のホッキョクグマの足跡だ。
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───北極点を目指して歩いたホッキョクグマが今の僕一人ってわけじゃない。
野生のホッキョクグマ、日本の、世界の色々な動物園で暮らしているホッキョクグマ。
そして遥か昔のことまで考えることをしたならば、それはもう数え切れない数のホッキョクグマが北極点へと歩いたことだろう。
いまここにある足跡はそんな北極点を目指し歩いたホッキョクグマの足跡だ。
僕より少し前のことかもしれない、もしかするとずっと昔のこと、ユキオさんの足跡なのかもしれない。
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そうだ、今はこの足跡をたどるんだ。
仲間たちの、先輩たちのこの大きな足跡を追いかけて、僕は北極点まで歩いていけばいい。
僕は今一人だけど一人ぼっちじゃない。今もどこかでホッキョクグマは暮らしてる。
そして上野動物園にはデアがいて、ユキオさんとレイコさんが僕達二人をきっと見守ってくれている。

僕は歩いた、足跡をたどり星を時々見上げ、疲れているのに早足だ。
「デア、僕は北極点まであと少し、僕の北極星に会えるまであと少しみたいなんだ」

頭の中に浮かぶのデアの顔はいつのまにか優しく微笑んでいた。
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さっきよりもより明るくなってきた空に照らされ、ぼんやりと浮かび上がる柱のようなものが遠くに見えてきた。
高く空を突き抜けていくようにそびえ立ち、足跡もそこへと向かって一直線───

「北極点だ───」

僕は力を振り絞って走り出す。あと少し───そんな時はきっと誰でも走り出す。
早くそこまで行きたい、早くそれを見たい───それは当たり前の気持ちなんだ。
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遠くから見たとおり北極点には大きな棒が立っていた。ずっと上まで伸びていて真下から見上げるとてっぺんは見えない。
触るとほんのり温かく、小さくずっと振動している。
少し上には“N”と書いてあった。
注意深く辺りを見回すとこの棒に向かってたくさんの足跡が集まってきている。
それは色々な方角からここを目指したホッキョクグマ達の足跡だ───

───僕は今、北極点に辿り着いた

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「デア───」
そう呟いたときにはもうイコロは眠ってしまっていました。
北極点にそびえ立つ“地球が自転するための芯棒”にもたれかかり腰掛けて、幸せそうにそっと微笑み、すぐにイコロは夢の中。
たくさん歩いて身体は疲れ、いつのまにか夢の中。

今日の夢は何の夢
今日の夢はホッキョクグマが笑う夢
今日の夢は世界中のホッキョクグマが北極点で集まりみんなで笑う、イコロの夢はそんな夢
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静かな静かな北極圏、北極点にそびえ立つ大きな芯棒の下
一人眠り続けたイコロ。

「おはよう、イコロ君」
夢から醒めそっと目を開くと、目の前には運転手の猿がいました。上野動物園のモノレールもしっかりと側まで来ています。

辺りを見回し「おはよう」とだけ少し寝ぼけた声で言うイコロ
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「そうだ、北極点に僕は今いるんだった。ありがとう運転手さん、ここまで来てくれたのかい?」

「最初からイコロ君が到着する頃を見計らって迎えに行くつもりだったんですよ。でも先に着いてしまい、少し待っていました。イコロ君がなかなか来ないから少し心配しました。少し道を外れていたようですが、よくここまで辿り着けましたね。きっと導きがあるとは信じてはいたのですが───もう少しで探しに行こうと思っていたところです」
運転手の猿はイコロに近寄り、そう言って優しく微笑みました。

「イコロ君が気持ちよさそうに眠りだしたから声はかけませんでした。きっと疲れていたんでしょう。でもその分いい夢を見られたんじゃないですか?」
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「なんだ、ずっと見られてたのか。僕は確かに道に迷ったんだ。星があまりにも凄くてさ、ずっと上ばかり見て歩いてたら変な方へと向かってしまったみたい。でもね、そのおかげなのか僕は声を聞いたんだ。その“導き”っていうのかな───きっとユキオさんの声だ」
イコロは頭のなかに残るユキオの声を何度も思い浮かべ、落ち着いて話していきました。

「ユキオさん、ですか?」

「そうだよ、あの声はきっとユキオさんの声だ。わかるんだ、今回はなぜかね」
頷く運転手の猿の顔を見てイコロはそっと微笑みました。

「それとさ、足跡があるんだよ。先にここまで来た大勢のホッキョクグマの足跡が、地面にしっかりと残っていたんだ。途中からはその足跡をたどって歩いたんだ」
薄っすらと残るたくさんの足跡を指差してイコロは笑いました。
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「でもモノレールには気がつかなかった。きっとこの棒しか目に入ってなかったんだろうね。こんな凄いものがあるなんてさ───」
そう言って見上げるイコロ。ずっと眠っていたせいかすっかりと青空が広がり、星は見えません。
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小さな声で運転手の猿は話し出しました。
「この棒はですね、地球を北極と南極をつらぬいています、端っこがこうしてそびえ立って見えるんです。南極点の方もこうして同じようになっています。地球が自転するために必要な芯棒なんですよ。地球が自転しなければ一日が昼ばかりか夜ばかり、どっちかになってしまいます。一日という時間も味気なくなってしまいますね。とても大切な芯棒なんですよ」
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「なるほど、だからほんのり温かくて小さくずっと振動しているんだね」
手を芯棒にあて、もう一度温度と振動を感じ取ったイコロ。
「───あっ」と、大切なことを思い出し、傍で微笑んでいる運転手の猿に訊きました。

「北極星を見ていないんだ。あの時、歩いて行くってことに驚いていたからさ、どの星かを聞くのを忘れた。だからどれなのかわからなかった」
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「大丈夫、そろそろまた暗くなります。星はまたすぐに輝き出します。北極の冬はすぐに暗くなり、なかなか明るくなりません。もう少し待ってなさい」
イコロにそう言うと「寒い」といって上野動物園のモノレールの中へ入り、そっと目を閉じた運転手の猿。

「もう少し、か───」と、空を見上げまた暗くなるのを待つイコロ。
自転のための芯棒は震え続け地球は少しづつ回転し、時間もゆっくりと進んでいきました。
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一人空を見上げていると何度もデアの顔が浮かんできます。
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一人のデア、そして今まで浮かぶことのなかった自分と一緒、イコロとデア、二人のホッキョクグマの姿も浮かんでくるようになりました。
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「デア、北極星を見たらすぐに動物園に戻るからね。そうしたら二人で話をしよう。この旅の話、ユキオさんやレイコさん、そして僕達二人の話をたくさんしよう───」
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「デアは本当にかわいいね」
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モノレールのドアが開き、運転手の猿が静かに出てきました。
(どの星が北極星なんだい?)とは聞かず、ただ芯棒にもたれて座り、「運転手さん」と微笑んだイコロ。
見上げた空はすっかり暗くなり始め、気の早い星から順番に輝きだしていました。
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「イコロ君、真上を見上げて見なさい」

「真上、真上かい?」
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「北極点から真上に光る星、あの星が北極星ですよ」
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「そして北極星は“こぐま座”を形取る星、そういうことなんです」
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北極星を眺め、ふとあることに気がついたイコロは涙を溢していました。
「やっぱりそうだったのか。やっぱり、やっぱり───」と、声にならない小さな声で何度も何度も呟きます。

「イコロ君、」と運転手の猿が声をかけるようとすると、イコロは涙を何度も拭いました。
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「僕を励まし、導いてくれた星はあの星だ。北極星の隣で輝く、優しい光のあの星だ───」
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「デア、ユキオさんとレイコさんが輝かせている星を眺めてるって、それがデアの北極星だって、君はそう言っていたね」
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「僕にはわかる、デアの眺める星はきっとあの星だ───北極星を傍で眺めるあの星だ。僕もユキオさんとレイコさんの星を見ていたんだ」



続く



   

by bon_soir | 2017-03-23 06:01 | 上野動物園 | Comments(4)
春にアズマ
上野動物園で暮らすマレーグマ、アズマ
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アズマの傍の春
アズマの傍にスズメ達
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チュンチュン、チチチ
チュンチュン、チチチ、と集まった
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上野の春は賑やかな春
次から次へと人の波
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のんびり一日過ごすには向いてない
そんな時、アズマはどういう気持かな
そんな時、アズハは何をするのかな
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そんな時、いつものハトも何を思うかな
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by bon_soir | 2017-03-22 12:33 | 上野動物園 | Comments(0)
冬のペリカン
上野動物園で暮らすペリカン達の冬
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夏の間は蓮の葉ばかりの不忍池
冬の間はきらりきらり湖面が光る
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ペリカン達はきっと今はここにいない
悲しく辛い病気から守るため、みんな元気でこれからも暮らすため
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避難する前
そんなペリカン達は池をすいすい、すいすいすいすい
すーっと
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冬枯れ蓮をくぐり抜け
すいすい、すいすいすいすい
すーっとのんびり穏やかに
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みんなが安心できる日はいつだろう
大きなくちばし広げて笑う日は、いつのことになるんだろう
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きらりきらりと湖面は光る
風でさざなみ
湖面が光る
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夏、照りつけた太陽は
冬、そっとみんなを温める
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すいすい、すいすいすいすい
すーっと
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きらりきらりと湖面は光る
風でさざなみ
湖面が光る
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すいすいすいすいすーっと
きらりきらりきらきらきらきら
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今は辛抱
少しの間のみんなの辛抱
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青い空は無くならない
いつになっても無くならない
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早く会えたらいいね
またすぐに会えるんだろうね
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by bon_soir | 2017-02-15 07:00 | 上野動物園 | Comments(4)
大きなあくびとジローさん
上野動物園で暮らすカバ、ジロー
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会うのも久しぶり
水の中じゃないのもなんだか久しぶり
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あくびした
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大きな身体であくびした
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お客さんがみんな言う
「凄い凄い」と、みんな言う
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ジローさんは大きなカバ
なんだかとっても可愛らしくて大きなカバ
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33歳
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またあくび
大きな、本当に大きなあくび
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顎は、口はどうなってるのかな
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ジローさんは素敵だね
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またまたあくび
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大きな大きな、本当に大きな大きな
大きなあくび
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あくびじゃなかったりしてね
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その大きさならなんでも入るねジローさん
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きっとどんな物でも入っちゃうねジローさん
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何度も何度も大きな大きな
大きな大きなジローさんの大あくび
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そのまま飼育係さんを気にしちゃう
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そんなかわいいジローさん
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上野動物園にはカバがいる
大きな大きなカバがいる
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大きなカバは大きな口で大あくび
誰にも負けない大あくび
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地面についちゃったよ、ジローさん
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そのままちょっと、少し休憩、ジローさん
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楽しいね!
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あの悲しいこと
お別れ
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15年も一緒だったサツキさんが旅立ってからもずっと頑張るジローさん
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のんびりと頑張る
のんびりのんびり暮らしてる
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大好きなジローさん




    

by bon_soir | 2017-02-13 07:47 | 上野動物園 | Comments(6)
立派なQ
上野動物園で暮らすエゾシカ、Q
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上野動物園の五重塔の下
いつも静かに暮らすQ
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角が本当に立派
しっかりと大人になってた
そんなQ
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眠いのかな
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ベロが出たら始まりの合図
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それは
あくび
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ゆっくりとした
そんなあくび
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あくびの終わり
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かわいいQ
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かっこいいQ
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ナギはどこ?
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ナギはここ
いつものここ
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エゾシカのQ
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カモシカのナギ
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上野動物園の五重塔の下
仲がいいのか、そうでもないのか
静かに、一緒に暮らす二人
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お腹空いたね
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ナギもね
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Q、大きな角
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Qが来る前の偉大なエゾシカ、トンちゃん
トンちゃんのようにずっと長く生きて、愛されまくって欲しい
そうだよ、Q
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みんなと一緒に、長く長く
ここでずっと、長く
来ればいつでも会えるよう
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そんな、そんなエゾシカ
名前は、Q
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by bon_soir | 2017-02-12 08:51 | 上野動物園 | Comments(2)
モモコ
上野動物園で暮らすマレーグマ、モモコ
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すごく久しぶりに会う上野動物園のマレーグマ
大好きなウメキチとフジの大好きなお母さん
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特になにも変わってない
そんなマレーグマの庭
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いつもどおり
おやつが置かれてく
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そっと出てきた、モモコ
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ここに手を入れる仕草
おやつを引っ張り出す、そんな光景
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変わらないね
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おやつはまだまだ置いてある
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早くしないと鳥達に持ってかれちゃうよ
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どんな顔も、どんな仕草も
みんなモモコだね
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☆☆☆☆☆あの頃から、そのずっと前から変わらない
ずっとかわいいモモコだね
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バナナ
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甘くて美味しいね
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下と上
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美味しいね
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モモコはお母さん
子どもたちは遠くへ引っ越してしまったけれど、大丈夫
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いつまでたってもずっとみんなのお母さん
優しくてかわいい、マレーグマのお母さん
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会いたくなったらモノレール
上野動物園にはモノレールがある
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美味しいね!
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バナナが甘くて美味しいね
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やっぱりここは思い出の場所
きっとこれからもまた思い出ができる場所
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大好きなマレーグマ
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大好きな親子達
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マレーグマは木に登る
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大人も子供も、みんな木に登る
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風に吹かれておやつを食べて、風に吹かれ見上げる青い空
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マレーグマ、だね
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上野動物園のマレーグマ、だね
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あの頃のことを今は懐かしく思うけど、いつかは今日のことが懐かしく感じられるかもしれないね
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続いていくね
動物園はこれからもずっと続いていくね
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あれ?
へんな寝相のモモコ
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日向だもん、暖かいよね
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起きてる?
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眠っているよ
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by bon_soir | 2017-02-11 14:43 | 上野動物園 | Comments(0)
雨にはしゃぐ
上野動物園で暮らすクロサイ、マロ
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ハシビロコウも静かに濡れる雨の上野動物園
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マロが何かしそう
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それは突然に
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雨降る庭でゴロンと転がる
顔も面白い
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そんなクロサイ
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マロ
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戻る
こっち見る
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もう一度
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雨の降る日も楽しいね!
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戻る
こっち見る
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さっと立つ
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そんなマロ
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アルゴ
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穏やかな顔のクロサイ
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優しい瞳のクロサイ
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そんな時、飛んだ水しぶき
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マロ、雨の中
マロ、走り回る
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走れば速い
走ると速い
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大はしゃぎは楽しいね
大はしゃぎは最高だね
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隣を気にする
隣を覗く
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だって大好きなアルゴがいるから
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いつのまにか雨音しか聞こえなくなるサイの庭
いつのまにかみんな静かなサイの庭
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そんな雨の日の上野動物園





  

by bon_soir | 2016-05-31 08:26 | 上野動物園 | Comments(2)
イコロと上野動物園のモノレール
ユキオが遠く高い所へ旅立ってからちょうど一年経った日の昨日
デアの涙を見たイコロはどうしても眠れないまま、いつもと同じような朝を迎えていました

庭へと出たイコロは空に浮かぶ秋の雲をぼんやりと眺め、一人考えていました
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「デアは確かに泣いていた。きっと一年前の悲しい日のこと、悲しい時間、お別れの瞬間のことを思い出して泣いたんだ。僕が上野動物園に来る前からずっと毎日、毎日デアは星を眺め寂しさをこらえていたんだ。毎日探したデアの星、その星が輝くずっと向こう側、どこかで見守るユキオさんとレイコさんの姿を心に映し、溢れる涙をずっとこらえていたんだ」
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「一年経ってもまだ悲しい、きっと十年たってもまだまだ悲しい。ある日、自分の目の前から大切な、大好きな命がいなくなる───そんな悲しみを僕はまだ知らない」
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「悲しみを知らないままの僕がどんなに慰めても、どんな言葉をかけてあげても、それはきっと薄っぺらな言葉になってしまう」
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「悲しみを知っているだけ、流した涙の分だけデアの方が僕よりずっと大人だ。そしてこのままじゃその差は埋まらない」
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「デアのために、デアとのこれからのために───そして僕のために」
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「僕はもっと大きな、身体も心も大きなホッキョクグマになりたい。僕は誰よりも優しく強い男のホッキョクグマになりたい」
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「ユキオさんのような“上野動物園のホッキョクグマ”に僕はなりたい」
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「デアは今日も遠くを眺めている。きっと今夜も星空を一人見つめ“北極星”を探すんだろう」
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「デア、僕じゃ駄目かい?」


その夜、窓からいつもの様に夜空を眺めるデアを、いつもの様に見たイコロ
これまでと一つだけ違うこと、それはデアが毎日何を想いそうしているのか───それを知っているということでした
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イコロはそっとドアを開け部屋を出ました
静かな夜の上野動物園、そこで見上げた夜空にはたくさんの星が輝いていました

「北極星ってどれだろう、デアが見つめる星はどれなんだろう」と、小さな声で呟くイコロ
部屋へ戻ろうと振り返った瞬間、目の前を横切り、大きな鳥がどこかへ向かって飛んでいくのが見えました
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「こんな夜に鳥だ」
イコロは自然とその鳥が飛んでいった方へと歩いていました
ホッキョクグマの家の裏へと続く坂を登り、夜空に映しだされた猿山の横を抜けて歩くイコロ
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そんなイコロを猿山の上から猿が一人眺めていました
「イコロ君、か」
とその猿は表情を変えずに呟き、そして柵を飛び越えイコロの後を追いかけるように静かに走り出しました
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目の前を飛んでいった鳥を追いかけ、少し早足で歩いたイコロ
イコロが辿り着いたのはモノレールの駅でした
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「これが上野動物園のモノレール──」
イコロは駅の中で静かに停まるモノレールを見つけ、しばらくの間動けずただ見つめていました
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「あっ、さっきの鳥は、あの大きな鳥はどこだ───」
駅の中をくまなく探したイコロは自分のことを見ている大きな目に気が付きました

券売機の所にそっと止まり、目を光らせイコロを見つめていたのは一羽のフクロウでした

「フクロウ、フクロウさんだよね? こんな夜にどうしたの?」
イコロがそう訊いてもフクロウは何も答えず、ただ丸く大きな目をくるくると動かしています
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「イコロ君」
戸惑うイコロの後ろから小さな声がしました
振り返るとそこには猿が立っています。イコロを追いかけ走ってきた猿もまた、明るい夜空にぼんやりと照らされたモノレールの駅へとやって来ていました

「そう、僕はイコロ。ホッキョクグマのイコロです。あなたは、あなたは誰ですか?」
名前を呼ばれたことを不思議に思い、目の前に立つ猿にイコロは訊きました
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「私はただの運転手です。自慢は上野動物園の動物達のことを誰より知っていること」とその猿は言い、フクロウと一緒に券売機の横に立ちました

状況がつかめず戸惑ったままのイコロに向かい猿は話を続けます
「どこか行きたいと考える場所があるんじゃないのですか? だからモノレールの駅まで来た、そういうことではないのですか?」
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「僕はただ夜空を眺めたくて部屋を出た。部屋にはデアがいるからね、すぐ傍で一緒に眺めていたらきっと嫌がると思ったんだ」

「なるほど」
猿は表情一つ変えずただ頷きます

「そうしたら目の前をそこにいるフクロウさんが飛んでいった。ただ気になって追いかけただけなんだ」

「なるほど。誰かにこのモノレールの話を聞いたわけではないんですね──」
猿はイコロの顔をじっと見つめ、少しだけ大きな声で話しを続けました
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「イコロ君、上野動物園にはモノレールがあります。それは知っていますね? 動物園に来たお客さんを乗せて何度も走る、このモノレールです」
猿は目の前に静かに停まる上野動物園のモノレールを見ました。

「知ってるよ、でも実際に見るのは初めてだ。こういう形でこんな色なんだね。なんだか楽しそうだ」
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そう言って楽しそうに微笑むイコロを見た猿はまた頷き、今度はモノレールのドアを開けて言いました
「上野動物園のモノレールは動物達を乗せて走る日があります。飼育係さんも知らない内緒のことです」

「えっ?」
イコロは何のことなのかわからず、なにも答えることができません
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「今日は特別です。ユキオさんが旅立ってから一年経った次の日、今日は特別な日です。私は運転手、君のためにこのモノレールを今日は走らせましょう」
小さな声でそう言った運転手の猿はモノレールの中へと入って行きました

「どこか行きたいと思う場所をフクロウに言い、そこまでの切符を貰いなさい。イコロ君の行きたいと思う場所はどこですか? 円山動物園ですか? おびひろ動物園ですか? それとも他に何処かありますか?」
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「行き先を言わなければ切符は貰えません。切符がなければモノレールを走らせることはできません。さあ早く、フクロウに行き先を言いなさい」
そうして淡々と運転手の猿に言われたイコロの口からぽつりとした言葉が出てきました

「北極星が見たい」
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「北極星?」
運転手の猿はイコロに訊き返します

「そうだ、僕は北極星が一番きれいに見える所に行きたい。それはどこですか? そもそも北極星はどこにありますか?」
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運転手の猿はそのイコロの言葉にどこか懐かしさのような物を感じだしていました
「北極星は北に光ります。その名の通り遥か北で光っています。ここからも見えるはず──」

そう言いかけた運転手の猿の話が終わらないうちにイコロは大きな声で言いました
「それならば北だ、とにかく北へ行きたい。少しでも北極星の近くへ行ってそこで見たい。北へ、北の果てに僕は行きたい」
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そのイコロの言葉に運転手の猿は大きく頷き、嬉しそうに微笑みました
「それならば“北極点”ですね。ユキオさんも大好きだと言っていた、そんな素敵な場所です」

「北極点───そうだ、僕をそこまで連れて行ってください。世界で一番大きな北極星を僕に見せてください」
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運転手の猿の頭の中に忘れられないあの光景がはっきりと戻ってきていました
「ユキオさんはレイコさんを連れ北極点まで行きました。イコロ君はデアと一緒じゃなくてもいいのですか?」

イコロは寂しそうに微笑み、デアの顔を思い浮かべます
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「今はまだ、今はまだ駄目なんだ。デアの心には僕より大きなユキオさんがいる。デアの中にある僕の存在はまだまだちっぽけなんだ」
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「なるほど」
と小さな声で言い納得した様子の運転手の猿はその後は何も言わず、何かを想い一生懸命に伝えようと頑張っていたイコロにそっと微笑みかけました
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「いつか一緒に、いつか絶対にデアとも行くよ。二人で笑って楽しく行ける日が来るように、そんな日のために今日は一人で行く。そんな僕の気持ちがわかるでしょう?」
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「ええ、もちろんわかりますよ」
運転手の猿はそう言ってもう一度頷き、券売機の前に止まるフクロウの方へ目をやりました

イコロも頷き、微笑みながらフクロウに言いました
「北極点まで、北極点までの切符を一枚ください」
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「僕は今モノレールに乗っている。静かで速い、そんな乗り物。運転手は猿だ」
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あの時、僕が『北極点までの切符を──』と言うと、フクロウはくちばしで券売機のボタンを押した。すると一枚の切符が出てきたんだ
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“上野動物園→北極点”と書いてある小さな切符だ。それを運転手の猿に見せるとモノレールは静かに走りだした
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出発してすぐ、左側窓の外に大きな鳥の顔が見えた。券売機のフクロウじゃない黒っぽくてもっと大きな鳥だ。『“エミュー”です』と運転手の猿は言う
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モノレールに乗るお客さん、そして動物達を毎日いつも見送ってくれていると運転手の猿は言う
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そんなエミューに『行ってきます』と僕は小さな声で言った。旅の目的地は北の果て“北極点”だ
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デアは今も夜空を眺めているのだろうか、今日もデアの北極星を探しその光を見つめているのだろうか
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今日もユキオさんのことを想い一人涙をこぼしているのだろうか
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僕が喋らなければ運転手の猿もしゃべらない、そんな静かなモノレール
僕は窓の外でキラキラと光り流れる街並を見ながら、そんなデアのことを考えた
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『北極点までは遠いんです。スピードを上げますよ』と小さな声で運転手の猿が言う
するとモノレールのモーターの音が少しだけ大きくなった
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『うるさいのは少し苦手』と運転手の猿は言う
だから僕も小さな声で話す
「僕もユキオさんの様になれるかな?」
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すると運転手の猿は“大好き”だというモノレールの運転を続けたまま、前を向き振り返らないまま小さな声で話す
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「それはわかりません。ユキオさんはユキオさん、イコロ君はイコロ君です。ただこうして旅に出れば少しずつ大人になっていくことと思います。あなたはホッキョクグマです。北極点に行けばきっと何かが変わります。その時、夜空に輝く北極星を見上げ、イコロ君が何を感じ何を思うか──それがなにより大切なことかもしれませんね」



上野動物園のモノレールはどんどんスピードを上げていく
街の明かりは遠くなり、今度は輝く星空へと吸い込まれていく

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「デア、そこから夜空を走るモノレールが見えるかい? 僕は一度見てくるよ。北極点から北極星を、一番大きく輝くそんな北極星を見てくるよ」
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「いつか一緒に北極点へ行こう。ユキオさんとレイコさんの様に二人で歩いて北極点まで行こう。二人で北極星を見上げ、そして一緒に笑おう」
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「大丈夫、その時は僕がかっこ良く案内するよ。一度行けば大丈夫、一度見れば大丈夫。僕は道のりを忘れない」
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流れる星空の向こうにデアの顔が浮かび続ける
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窓の外を眺め微笑んでいる、そんなデアの顔が浮かび続けている
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「イコロ君、もう少しです。北極点の近くまで来ましたよ」
運転手の猿が少しだけ大きな声で僕を呼ぶ
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窓の外は氷の大地だ

僕は遠くまで来た
北の果て北極点まであと少し──








by bon_soir | 2015-11-26 08:00 | 上野動物園 | Comments(4)