カテゴリ:五月山動物園( 31 )
ただ訪れる冬
前回(→☆☆☆☆☆)からの続きになります

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「あれが北斗七星、向こうがカシオペア、その間のあの星が北極星────ホッキョクグマの星」
普段見えないような星まで見える不思議な冬の夜空の中に、僕は見覚え、聞き覚えのある星をみつけてなんとなく呟く
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────綺麗な星空、一生のうちに何回見ること出来るのか
僕は辺りを見渡した
ワインさん、ワンダーさん、コウとユキ
ヒツジ達にヤギたち、レモンライム
そしてもちろん隣のマルも────
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────真夜中さ、みんな眠って夢を見てる
そうそれはいつもと同じこと
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僕は部屋に戻りマルが眠っていると思われる場所の壁をそっと叩いてみる
本当は夢を途中で遮ることをしたくはなかったけど、僕はどうしても今日の星空をマルに見せたかった
「起こしてごめん。マル、起きてよ。少し寒いけど外へ出ておいでよ」
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「大丈夫、少し前から目は覚めてたから」
マルはみんなを起こさないように小さな声でそう言った
起こして嫌な気持ちにさせないかと不安だった僕は目を閉じ「ふぅ」と小さな深呼吸
またドアからそっと庭へ出た
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「わぁ」
隣でかわいい声が聞こえた
マルもこの星空に気がついたんだ
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「綺麗だろ。こんな星空は僕も見たことが無いんだ」
僕はタスマニアとは違う星、星座が広がっていることを少しだけ教えた
たくさん教えるには時間がかかる
それに今は必要がない
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マルの顔を僕は見る
昼間と一緒、傍にある優しい顔だ
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マルの瞳にはこの満天の星
これからの冬の星空全部をまとめて一度に広げてしまったような数の星が映る
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僕とマルの間にはいつもの金網
けど今それは気にならない
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二人見上げた星空は今もこれからもずっと一緒、同じ物
空が区切られること、ここの動物園に僕ら二人一緒にいれば絶対に無い
────それだけでも幸せさ
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「あっ!」
見上げた直した夜空に一つ二つと流れ星
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「見えた?」
とささやく僕にマルは言う
「うん、見えた」
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そうさ────僕ら二人、一緒の星空を見上げてる
そういうことなんだ
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“カシャ”

小さな音がした方を見てみると、マルの可愛い爪が金網からそっと出ているのが見えた
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僕はそっとその爪の上に自分の爪を重ねていた
何も考えずただそっと、当たり前のように自然にただ
ただそっと
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────マル

マルの爪に、マルの手に温かさを感じたその時だった
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僕ら二人の身体がふわりと地面を離れ浮かび上がる
ゆっくりゆっくり、だんだんと高く金網の上を越えていく
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久しぶりに見る金網越しじゃないマルの顔
身体が何故浮いているのかと考えるのは後回し
僕は傍にある顔をただ、ただ見つめて「マル」とさっきまでより少しだけ大きな声で言った
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「────っ」

マルが恥ずかしそうに小さな小さな声で何かを言った瞬間のこと────
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「えっ!?」
僕等の身体はすごいスピードで星空へ吸い込まれるように高く飛んで行く
マルが何を言ったのか、突然のことで僕はちゃんと聞き取れなかった
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僕の名前を呼んだような感じ
どう呼んでくれたのかはわからない
どんな状況かも今は関係ない
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ただ金網越しじゃない、かわいい顔が隣に、一番傍で微笑んでいること
それが一番大切なこと、きっときっと大切なこと
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僕は今どんな顔でいるんだろうと、映るガラスの無い夜空に向かってそっと微笑んでみた
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その間にもどんどんどんどん地面を離れて夜空の奥へ
向かう先は雲一つない星空さ
僕等は何も怖くない、不思議だけれど怖くはない
向かう先は雲一つない綺麗な綺麗な星空さ
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「夢、夢なのかな?」
僕はマルに訊いてみた
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訊いておきながら僕は思う
現実のことであったら嬉しいと、夢であっても構わない、と
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いつもよりも多く近くで輝く綺麗な星、遥か下の方輝き流れる街の灯り
そして傍にある顔────現実だろうと夢であろうと僕は今幸せさ
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僕の目に映るものは変わらない、別にどっちであっても幸せさ────
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「────夢だよね」
と、言おうとしたその瞬間、マルがにっこり笑って僕に言った
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「多分────きっと、きっと夢だよ」

────そうだ、僕等二人同じ夢の中、同じ夢を今一緒に見ている
きっとそうなんだ
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────夢のほうがいいことがある
今こうして目の前に金網が無いように、たくさんの星の傍にいるように
想えばなんでも出来そうだって思えるように
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そう夢の中なら僕は自由、夢の中なら僕等は自由
僕等は二人一緒に雲一つないこの夜空を、この星空を駆けることが出来るんだ
自由に、醒めるまでは僕等は自由
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同じ時間、同じ瞬間、同じ夢の僕とマル
────そう、今僕等はきっと夢の中
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夢は素敵で楽しい方がいい
きっと現実はそればかりじゃないからね
────なんでもない日常が一番幸せ
僕はワインさんとワンダーさんに教わったのさ
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僕等は自由に星空を駆ける、飛んで駆けていく
夢の中なら僕等は自由、想うだけで僕等は自由
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ほら、見てごらん
あそこにいるのがタスマニアデビルの二人、女の子
同じタスマニアから来て今あそこで笑ってる
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────そう、僕等は今、きっと東京上空
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リンゴがたわわな山道を眺めて、土管の中をくぐり抜け
僕等は笑って夢の中
ウォンバットが今日もどこかで夢を見ている
今もどこかで、夜も昼間も夢を見ている、僕等二人、みんなは日本で暮らすウォンバット
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ウォンバットは木には登れない
穴を掘ることが出来るんだ
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食べて眠って散歩して、穴を掘ってあくびして、飼育係さんや歌のお姉さん、そしてみんなと一緒に笑うんだ
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そう、わかるかい?
なんでもない日常がきっと一番幸せ、そんな気持ちをわかってもらえるかい────
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きらきらきらきら、すぐ傍で星が光る
きらきらきらきら、すぐ傍でマルも光る
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きらきらきらきら、光る幸せ僕等の夢さ
きらきらきらきら、マルの笑顔は夢の中でも普通の時間の流れでも
きらきらきらきら、マルの笑顔は光って見えるのさ
きらきらきらきら、笑顔はきらきら、これからずっと瞬いて光るのさ
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爪に、指に触れてこの時間が始まったように
僕はこの先どんなことでもそっと触れて、そっとさわって始めよう
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自然になんでもないように、なんでもない幸せな毎日の中でのことさ
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自然にさ、僕は自然にこの先どんなことでもそっと触れて、そっとさわって始めよう

ワインさん、ワンダーさん
そうだろ? そういうことなんだろう?
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夢の中なら自由だけれど、それよりもっと、もっと幸せなこと────
こうして素敵な夢を見たから僕は本当によくわかる
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二人、幸せに暮らすワインさんとワンダーさんをずっと眺めていたからよくわかる
なんでもない日常はいつか自然に夢通り抜けてもっと先へ、もっと幸せ感じるその時へとたどり着く
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傍にある顔、進む季節
それだけだ
僕の幸せたどり着く、僕等二人の幸せにたどり着くのに必要なのはきっとそれだけ
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後は自然にその時が来る
そっと触れて、そっとさわって、その時にまた進んでいこう
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────夢の中のはずなのに夜が明けていく
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レモンライムの寝言が聞こえる
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僕等、そろそろ目が覚めるのか────

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動物園はいつもの朝だ
今日もよく晴れて木漏れ日眩しい、もうすっかりと冬の朝
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日陰は少し寒くなった
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ワインさんはどんな夢を見たんだろう
どんな夢を見てきたんだろう
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ワインさん、僕は幸せ者だね
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あの星空とマルの笑顔
冬が始まる日の思い出さ
きっとこの先ずっと色あせない、僕等二人の思い出さ
大切な思い出なのさ
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またそのうちに夜が来る
こんなに晴れた日のことさ、またたくさんの星が輝くだろう
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でもそれは、その星たちはここから遥か遠く絶対に手が届かないところで輝いている

────そうだ、隣を見るんだ
僕、隣を見ろ────

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隣の笑顔は今もすぐ傍、これからもずっとすぐ傍に
そうだよ、わかるだろう、わかっただろう────何が一番大切なのかがさ
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大丈夫、最初からわかっていたことさ
夜空を埋め尽くしたたくさんの星と踊りだした冬の星座
昨日のことは確認、きっとそうさ

僕の一番大切な、ね
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あの時、マルは僕のことをなんて呼んだんだろう


   

by bon_soir | 2017-11-16 17:35 | 五月山動物園 | Comments(6)
傍の顔と冬の星空
五月山動物園で暮らすウォンバット、フク
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毎日毎日少しずつ
冷えていく空気と増えていく星の数

「イチョウの葉っぱ、まだ散らないのかな」
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冬が来ること、来たことを感じだしてふと呟いたフク
でもただそれはただ、考えもなし深く思うこともなし
ただ呟いただけ
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あの日に見えた、思い描いた未来のこと
そのことがフクの頭の中、心の中にいつまでも残り
マルの顔をふと見るたびにそれはまた色濃く大きなっていく
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毎年この時期に気にしていたこと
イチョウの葉っぱの綺麗な黄色、青く高くなった空のことや軽く流れていく雲のこと
冷たいと感じだした水のことや、かなり減ってきた庭に生える草
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今までは毎日いつも眺め、考えていたこと
そんなこと全部、今はただ瞳に映るだけ
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思うこと、想うこと
起きている間、散歩している時間、ご飯を食べている間
そして夢の中までも
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マルの顔と思い描いた未来がフクの今、全部
隣で、傍で温かく
微笑む顔がただ、今のフクには全ての毎日
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向こう側で散歩を続けるマルを眺めふと思い呟いたフク
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「────今度はいつ、いつこのフェンスは開くんだろう」
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「なんだか恥ずかしいからさ、君に言ったことはないけれど、僕の頭はいっぱいなんだ。これ以上溜めておくことはもう無理、溢れ出してる」
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「あの時に見えてしまった幸せそうなあの未来、そこへ行くにはどうしたらいいのかって考え続けてさ、もう僕の頭の中はいっぱいなんだ」
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「傍で微笑む君の顔をずっと眺めてる、目が合うたびにまたいろんなことを考える」
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「馬鹿みたいだろ────もう僕は大人なのにさ」
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「馬鹿みたいだろ────本当にさ」
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「こんなに晴れた日の朝はさ、少し離れて散歩したっていいんだよ。君の可愛い顔に変な影がかかっちゃうからね」
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「これだけ明るいんだ。少し離れていたって君の顔はよく見える。だから少し離れていたっていいんだよ」
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「ごめん、嘘ついた。どんな時でも傍に居てくれたほうがいい」
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「可愛い顔を傍で見せてくれたほうが嬉しいよ」
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「やっぱり恥ずかしくってさ、こんなこと声には出来ないけどね────」
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「ワインさん、こんな時に僕はどうしたらいいんだい? こんな気持の時は何を考えればいいんだい?」
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「ワインさんとワンダーさんのようにさ、ずっとずっと幸せに暮していくにはどうすればいいんだい?」
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「僕の思い描いた未来はさ、ワインさんとワンダーさんの暮しそのものなんだよ」
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「ワインさん、僕もそこまでいけるかな────マルと二人、僕らは越えていけるかな」
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「わかってるよ。僕が思い描いた未来のこと、それは僕次第。わかってる、僕次第ってことなんだろうね」
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色々考えているうち陽は傾きゆっくりと、なんだか早く沈みだし
動物園は閉園を告げる声
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フクの傍に居たマルは日課のような道草おやつ
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「マル、そろそろ閉園の時間だよ」
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フクがそっと声をかけても楽しそうに駆け回り、お気に入りの道草おやつ
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「────あぁ、まただ。また見える。幸せな未来がさ」
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「マルの後ろをついてまわる小さな小さなウォンバット、君のことがまた見えてくるよ────」
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「はっきりと、ぼんやりと。僕の目には見えてくる。思い描いたあの未来────そう、見えてくる」
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「そこへ行くには、手にするにはどうすればいいんだろう────そのことでまた頭と心がいっぱいだ」
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「そしてそのまま、お部屋に戻る僕さ。そのうちマルも戻るだろう」
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「マル、夜になると冷えるね。冬だよ、もう、ね」
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────部屋に戻ってすぐに眠り、僕はいつものように夢を見た
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庭のガラスに映った僕の変な顔
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そしてすぐ傍となり、マルの顔と猫の声
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その猫達の声で僕はそっと目を覚ます
良くあること
また夢の中へ現実が滲んでいたらしい
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僕は部屋のドアをそっと開け庭へ出た
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真冬のような寒い夜
息は白く、ふとしたはずみに身体は震える
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ただそんなことが関係ないほどに素敵なことももちろんあった
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────見上げた夜空を埋め尽くすたくさんの星
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冬の星座が賑やかに踊りだす
見たことがない星空が冷えた身体を心の中から温める

そんな夜の空気のように僕の気持ち、もやもやとしていた僕の気持ちは透き通っていったんだ────
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───続く





       

by bon_soir | 2017-11-12 15:56 | 五月山動物園 | Comments(4)
二人、小さなウォンバット
遠く離れた日本まで、二人の旅は一回目
みんなの想いで伸びた道、島と島を繋げた長い橋
二人、旅の目的────それは何
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コウとユキ
二人、小さなウォンバット
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立派な巣穴を掘った
中で落ち着き、時々外へと出てきてわくわく
二人、一人ずつ
二人、気ままに何も決めてない
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見つけたもの、感じたこと、気がついたこと
後でコウに教えたら、後でユキに教えたら
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それが二人の物語
1ページ、1ページ────
書き溜めていく二人の長い物語
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頭の中で心の文字に
心の文字、かすれたりはしないはず
自分たちの目で見たこと
強く残るよ、心の文字は
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フクに話しかけたコウ
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何を聞けばいいのか
何を伝えればいいのか
どんな笑顔を見せればいいのか
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まだ良くわからない
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小さかったフクも今、立派な大人
落ち着き、優しくコウに話す
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「あ、待って────」
コウ、フクを呼び止める
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一度立ち止まるフク
「────時間ほど大切なものは無いよ。ゆっくりだけど止まらないし戻らない。のんびりのんびりしていても、君もすぐに大きくなるのさ」
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「────僕の様に、ね」
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「僕はここで大きくなるのかな。ユキと一緒、僕等はここで大人になっていくのかな────」
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コウとユキ
二人の季節はこれから冬
初めて見た日本の秋はそっと進み冬へと進む
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今年の秋は特別な秋
小さな二人が初めて見た秋
黄色く染まり冬へと進む
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────僕はユキを誘ったんだ
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青空が綺麗だよ、少し一緒に散歩でもしようよって、ね
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「後で行くよ」
可愛い声でユキは言う
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日が暮れるまでに出てきてほしいな、と僕は呟く
大丈夫、きっとユキには聞こえてない
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タスマニアで過ごした日々を思い出した
ずっと仲が良かった僕等
こことは違う星空眺めて僕等は笑う
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あの日、「仲良く笑顔のままで日本へ行こう。また会いにいくよ、元気でね」と優しく言ったひげの人
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そう、振り返ればそれは思い出
僕はユキと一緒に進んでいる
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────大丈夫、僕等二人、楽しくやってるさ
変わらない笑顔のまま、僕等二人仲良く一緒に暮しているよ
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「────いつかまた、あの人に会いたいな」
僕はそっと呟いた
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ユキ、出ておいでよ
風が気持ちいいよ
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そう、風が気持ちいいいんだ
こんなよく晴れた日はね
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ユキ、君の右手はそう、“温かい雪”のよう
ユキ、君の右手はそう、あの青空浮かぶ“柔らかそうな雲”のよう
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いつも僕をそっと触る、僕の手そっと優しく掴む
もっと笑顔にしてくれる魔法の手
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僕はユキが好きなんだ
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「ユキ」
僕は呼ぶ
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ユキは僕の顔を見てただ優しく、かわいらしく笑っている
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僕はユキを追いかける
ユキはおどけて、また笑う
僕のことを追いかける
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楽しいね
僕等二人、こうして遊んで一緒に笑って
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────楽しいね
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────本当に楽しいね
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二人で書くよ
僕等二人の物語
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今の見出しは「楽しい秋の日」
それでどうだい?
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あの大きな木
イチョウって木なんだってさ
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葉っぱはきれいに色づいて、風も黄色くなっていく
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地面を黄色く染めてはさ、みんなを笑顔にしていくらしい
そう、秋の笑顔だ
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ユキ、君に黄色は似合うかな?
黄色い葉っぱ、たくさん集めて手に持って
にっこり笑って歌うんだ
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みんなが歌う“ウォンバットの歌”
僕等二人、黄色い庭で一緒に笑って歌うんだ
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僕はもう覚えたよ
ユキ、君はどうだい
覚えたかい?
踊って楽しく歌えるかい?
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そう、
ウォンバットパーティー始まるよ
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小さな動物園で始まるよ
楽しい楽しいウォンバットパーティー

みんなと一緒に始めるよ────
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ユキ
コウに向かって飛びかかる
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嫌がってるわけじゃない
楽しく、少し激しく見える子供の遊び
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小さな二人、追いかけて追いかけられて
なんだか楽しく
楽しい声とかわいい顔
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ウォンバットどうしがこうして触れる、触れ合い遊ぶ
夢のよう
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心の中に描き続けた夢のよう
ここにくれば見ること出来るかもしれない、そんな夢
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きっとこれからも
ずっとずっと見ること出来る
小さな動物園で見ること出来る大きな夢
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続く
続いていく
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夢のような日々はずっとずっと続いてく
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これが当たり前のようになってはいけない
特別なこと、とても素敵なことだから
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遠く離れた日本まで、二人の旅は一回目
みんなの想いで伸びた道、島と島を繋げた長い橋
二人、旅の目的────それは何
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コウとユキ
二人、小さなウォンバット
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見つけたもの、感じたこと、気がついたこと
後でコウに教えたら、後でユキに教えたら
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それが二人の物語
1ページ、1ページ────
書き溜めていく二人の長い物語
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頭の中で心の文字に
心の文字、かすれたりはしないはず
自分たちの目で見たこと
強く残るよ、心の文字は
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コウとユキ
二人、小さなウォンバット
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二人にとっても、ワインやワンダー、フクとマル
みんなにとっても特別な年、特別な秋

もちろんみんなを眺める人達にとっても特別
本当に特別な年
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そしてこれからもここで過ごす時間は少し特別で大切な時間
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続いてく
ずっとずっと、みんなと一緒
続いてく
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小豆色のあの電車に乗って、みんなで行こう
楽しい楽しいウォンバットパーティー
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商店街をとことこ歩いて
坂道、階段登ってみんなで行こう
あの、楽しい楽しいウォンバットパーティー
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ころころ走って、のんびりおしゃべり
少し疲れてお昼寝みんな夢の中
そんな楽しい楽しい、僕等みんなのウォンバットパーティー
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小豆色のあの電車に乗って、みんなで行こう
楽しい楽しいウォンバットパーティー
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秋にはイチョウ
冬は雪
春になれば桜が咲くよ
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小豆色のあの電車に乗って、みんなで行こう
楽しい楽しいウォンバットパーティー
9時15分に始まるよ



        

by bon_soir | 2017-11-07 15:34 | 五月山動物園 | Comments(4)
フク、そっと
五月山動物園で暮らすウォンバット、フク
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隣でマルが暮らすようになって、話しかけたりしての忙しい時
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伝えたいこと話したいこと
たくさん
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でもちゃんと休む
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隣はちゃんと気にして
でもちょっと変な顔
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ゆっくりのんびり
秋の日々、今年は少し忙しい
そんな今までとはちょっと違う秋の日々
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眠そう
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あれだけいつも忙しくしてたらさ
やっぱり眠いね
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マルはいつも傍にいる
傍にいてくれる
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頑張る
伝えたいこと話したいこと
たくさん
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焦らないで急がないで大丈夫
のんびりのんびり
ウォンバットはそれでいい
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空、見上げよう
必ず一度立ち止まって
空、見上げよう



   



by bon_soir | 2017-11-06 13:03 | 五月山動物園 | Comments(4)
心と頭に一つ一つ
五月山動物園で暮らすウォンバット、コウ

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瞳が大きく見えるのはまだまだ小さな身体のせい
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日本で出会った14番目のウォンバット
気になるのはきっとまだ慣れない外の景色
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そして美味しいご飯
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タスマニアで食べる味ときっと違う
これからずっと食べる味
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気になることがあるのなら、自分で確かめに行けばいい
見つめて探して、感じて少し考えて
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ここでの暮しは少しずつ変わって、自分も変わっていくけれど
毎日毎日どんなことでも一つ一つ
心と頭に一つ一つ
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ご飯をしっかり食べながら
心と頭に一つ一つ
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幼い日の長い旅はお引っ越し
初めての旅、始まる時間
まだまだ知らないことばかり
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流れていく風、今
日本の風
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見上げる空、今
日本で見る空
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木漏れ日きらり
小さな日向
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窓の向こう
誰かの笑顔
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君は遠く長い旅をして
君は小さな身体で日本の小さな動物園までやって来た
まだまだ笑顔幼いけれど、君は男のウォンバット
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ここでの暮しは少しずつ変わって、自分も変わっていくけれど
毎日毎日どんなことでも一つ一つ
心と頭に一つ一つ
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ご飯をしっかり食べながら
心と頭に一つ一つ
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幼い日の長い旅はお引っ越し
初めての旅、始まる時間
まだまだ知らないことばかり
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のんびりいこう
時間はたっぷり
季節はまだ一巡りもしていない
まだまだ一つ目、秋の風
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どんなことでも一つ一つ
それはみんな一緒
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隣に見えるウォンバット
今は大人のフクも一緒
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毎日毎日どんなことでも一つ一つ
心と頭に一つ一つ
ご飯をしっかり食べながら
心と頭に一つ一つ
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少し離れたワインのことも見えるかな
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ユキと二人
仲良く仲良く
次の季節は冬
今年だけはもう一度
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気になることがあるのなら、自分で確かめに行けばいい
見つめて探して、感じて少し考えて
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必ず見つかる何かある
必ずわかる何かきっとそこにある
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難しいことあったなら
どうしていいのか迷ったら
教えてくれるよ優しい声で
教えてくれるよ優しい笑顔で
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きっと誰か教えてくれるよ
一人じゃない
ユキと二人きりでもない
傍にいる、優しい声で傍にいる
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ここには大勢のウォンバットが
ここには大勢の動物達が
ここには大勢の優しい人達が
君達を迎えたのだから
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フクは隣で何してる
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フクは隣で何してる
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気になることがあるのなら、自分で確かめに行けばいい
困ったことがあったなら誰かに聞きにいってもいい
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見つめて探して、感じて少し考えて
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毎日毎日どんなことでも一つ一つ
心と頭に一つ一つ
ご飯をしっかり食べながら
心と頭に一つ一つ
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窓の向こう
そこにも何かきっとある
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窓の向こう
そこにも誰かきっといる
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見上げた空は今までとは違う青空、違う星空
幼い日の長い旅はお引っ越し
初めての旅、始まる時間
まだまだ知らないことばかり
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ご飯をたくさん食べて身体を大きく
太ってしまわないように
大きく大きく
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体重測定
いつになるのか
体重測定
どんな顔になってしまうか
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みんなが待ってる、気にしてる
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怖くないよ
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「ユキ、出ておいでよ」
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「ほら、あそこを見てみてよ────」
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「綺麗な、ほらあそこに綺麗な────ね、見えるだろ?」
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気になることがあるのなら、自分で確かめに行けばいい
困ったことがあったなら誰かに聞きにいってもいい
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見上げた空は今までとは違う青空、違う星空
幼い日の長い旅はお引っ越し
初めての旅、始まる時間
まだまだ知らないことばかり
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毎日毎日どんなことでも一つ一つ
心と頭に一つ一つ
ご飯をしっかり食べながら
心と頭に一つ一つ
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つめきれないほど色んなことがある
最初、大切なことから一つ一つ
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心と頭に一つ一つ
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長い旅には長い時間をかけながら
心と頭に一つ一つ
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ご飯をしっかり食べながら
心と頭に一つ一つ
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by bon_soir | 2017-11-04 14:50 | 五月山動物園 | Comments(4)
白い右手は温かい雪のよう
五月山動物園で暮らすウォンバット、ユキ
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しっかり出会えたこの日
秋晴れ、日向は少し汗ばむ日
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まだまだ小さな女の子
この日の出会い、始めはガラスの目の前
興味深そう、幼いけれどどこか思慮深い
ユキの眼差し
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毎日毎日、見たことない空、景色ばかり
聞いたことない声、音ばかり
感じたことない風ばかり

白い右手は雪のよう
冷たくない、きっと温かくて柔らかい
そんな不思議な雪のよう
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タスマニアの冬、そして春
────長い旅、お引っ越し
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日本は秋
そう、また冬が来る
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雪色かわいい小さな右手
またその右手で雪、触ることになるかもしれない
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日本は、五月山動物園の今は秋
少し散りだすイチョウの木
白い世界が来る前に、黄色の風に包まれる
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ユキにコウ、そしてマル
みんなはまだ見たことがない黄色い世界にそっと立つ日がやって来る
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その足で、ね
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まだ知らない日本の秋を一日一日、先へ先へと通り抜け
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今この瞬間はこうして影、色々な影の下くぐり抜け
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ガラス面
秋晴れ青空見上げてまた
何かを想う
想う、女の子
想う
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毎日毎日、見たことない空、景色ばかり
聞いたことない声、音ばかり
感じたことない風ばかり
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小さなウォンバット
小さな動物園で大きく育つ
色々なこときっと感じて、これから紡ぐ物語
まだ白い今日のページに何を書く
読み返して何想う
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そこからワラビー見えるかな
そこでお話し出来るかな
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小さな動物園
まだ小さなウォンバット
小さな両目
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何が見えるかな
何が瞳に映るかな
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そこから見えるお隣大きなウォンバット
それはフク
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「やあ!」
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白い右手は雪のよう
冷たくない、きっと温かくて柔らかい
そんな不思議な雪のよう
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ガラスの自分は左手が
左手が白いんだよ
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きらきら
眺めてきらきら
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見たいものばかり
感じたいこと、想いたいことばかり
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つたい歩き
つたい歩き
眺めて感じて考えて
一生懸命つたい歩き
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眺めて
見つめて
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景色
毎日変わる、少しづつ
音、声
毎日変わる、少しづつ
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穴から出てドアから足、踏み出して
出かける
静かにそっと出かけていく
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陽射し温かくて
眠くなる
疲れたわけじゃない
ただ夢を見る準備、出来ただけ
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「まだ駄目だよ、まだまだ駄目だよ見足りないよ」
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「眠っちゃ駄目だよ、開け開け私の目────」
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「暖かいね」
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「2回目の冬、やって来るんだね」
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「そんな夢と青空、青空だ」
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毎日毎日、見たことない空、景色ばかり
聞いたことない声、音ばかり
感じたことない風ばかり
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白い右手は雪のよう
冷たくない、きっと温かくて柔らかい
そんな不思議な雪のよう
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また影の下
くぐり抜けた
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遠く離れた生まれ故郷
島国と島、青い海で繋がっている
島国の空と島の空 青く青く繋がっている
日本とタスマニア
大勢の人の力で今、橋がかかってる
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細いかもしれないけれど強くて優しい
日本とタスマニアを繋ぐ橋
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橋はきっとかかってる
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フクは今
何してる
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何かしてる
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木漏れ日
形と場所が変わってる
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時間は過ぎて、雲の形も変わったね
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毎日毎日、見たことない空、景色ばかり
聞いたことない声、音ばかり
感じたことない風ばかり
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白い右手は雪のよう
冷たくない、きっと温かくて柔らかい
そんな不思議な雪のよう
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毎日毎日、見たことない空、景色ばかり
聞いたことない声、音ばかり
感じたことない風ばかり
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白い右手は雪のよう
冷たくない、きっと温かくて柔らかい
そんな不思議な雪のよう
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白い右手は雪のよう
ユキ
ユキの右手は温かくて柔らかい
そんな不思議な雪のよう
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ほっぺに葉っぱ
葉っぱだよ
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これからまだまだ
まだまだまだまだ
きっとまだあと30年くらい
続く続く、ユキの物語は色々見て経験して、感じて想ってまだまだ続く
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この日のこと、次の日のこと
それも続く、小さく続く
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by bon_soir | 2017-11-03 10:20 | 五月山動物園 | Comments(4)
思い描く未来
────賑やかに、動物園は賑やかになったんだ
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いつか僕にさ、いつかまた僕にお嫁さんを────って飼育係さん達が言っていたんだ
アヤハのことが僕の頭の中にあるからさ、気分は少し複雑だったけどね
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ワインさんは言っていた
「フク、君は優しいウォンバットだ。でもね優しすぎて辛いこともあるだろう」
って、ね
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前を、先のことを見ることだって大切だって、そうワインさんは言う
幸せになれる分岐点がもし来るようなことがあれば迷わず進めって、そう話す
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行き先を変え、進んだからって昔のことを忘れるわけじゃない、昔があるから今がある
あの笑顔を忘れるわけじゃない、色あせないから大丈夫────そう言うんだ、ワインさんはゆっくりとそう言ったんだ
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いつの頃からだろう
僕のために、動物園のために、大勢の人が頑張ってくれていた
歌声とともに広がり、強い力になっていったんだ────後で聞いた話だけどね
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そう、僕の目の前に小さなウォンバットが二人
そしてかわいい女の子が僕を見つめていた
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「こんにちは」
女の子は少しなまった小さな声で僕に言う
────タスマニアなまり
そうだ、タスマニアから遠く日本まで来てくれたんだ
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その日から僕は女の子を見つめるようになった、かわいい声に耳を澄ますようになった
僕はその女の子をいつだって気にするようになっていた
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大丈夫
アヤハのことは少しも忘れてない
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日本のご飯は美味しいかい
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飼育係さんは優しくしてくれているかい
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星空、少し違うだろ
風、少し違うだろ
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また冬になるんだよ
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ワインさんとワンダーさん
二人の優しい笑顔が見えるかい
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飼育係さんに歌のお姉さん
みんなの笑顔が見えるかい
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君に上手く話しかけることが出来ない僕の戸惑う顔が見えるかい
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そうだ、ここが日本、五月山動物園だ
僕の名前はフク
────君はなんて言うんだい
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タスマニアの話を聞かせてはくれないかい
日本の話を聞いてくれないかい
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君のことを教えてはくれないかい
僕のこと、知ってはもらえないのかい
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────僕はあの子と追いかけっこ
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────あの子は僕と追いかけっこ
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ころころころころ
ふわふわふわふわ
晴れの日も雨の日も、朝でも夜でも
僕等二人は追いかけっこ
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夢の中でも僕等はずっと
────二人は一緒、二人は笑顔で追いかけっこ
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ワインさんがこっちを見てる
ワンダーさんの声が聞こえる
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僕等はずっと追いかけっこ
────夢の中でもそうさ、僕等二人追いかけっこ
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────ごめんよアヤハ

今、僕は分岐点にいるようだ
新しい出会いと新しい未来
進む道は一つの分かれ道
大きく曲がって今までとは違う先、違った方向、行き先は今までとは別の幸せだ
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ごめんよアヤハ
僕はその方向へと歩きたい、歩いていきたい
ごめんよアヤハ
君のこと、忘れるつもりはないんだよ
色あせない思い出さ
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サツキさん、どこかで聞いてくれてるかい?
僕の道は今
そうさ────
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このままこのまま
進まなくたっていいのかもしれないね
無理して先へと進まなくたっていいのかもしれないね
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幸せさ
今、僕は幸せさ
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ワインさんとワンダーさん
小さな二人のウォンバット
そして、みんなが言う「僕のお嫁さん」
楽しい笑い声
賑やかな動物園で今、僕は幸せなんだ
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ウォンバットの神様────
動物園に時計なんて必要あるのかい
僕等の暮しに時計なんて必要ほんとにあるのかい
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僕は思う
ただ楽しい毎日が続いていけばいい
ただ楽しい今日一日があればいい
ただ楽しい明日がまた繰り返しくればいい
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ワインさんもワンダーさんもずっとずっとこのままさ
そうだろワインさん────
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僕等の今、こんなに楽しいんだから
僕の今、こんなに幸せなんだから
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『フク、君の見ているものはそんなに小さな物だけでいいのかい────』

そんな声が聞こえた気がしたんだ

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ふと僕は隣を眺める
────そう、女の子の方だ
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なぜだろう
女の子はワンダーさんのように見え、ワインさんと話をしているように笑っていたんだ
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傍にあと二人────
サツキさんと、あれはサクラさんなのか
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みんな笑顔だ
みんなだ
みんなが幸せそうに話し、笑っていたんだ
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さっきまで雨が降っていたはずなのに、今、空はやけに青く高く
みんなの笑顔に照らされているように辺りはぼんやり明るく包む
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ふとそこにいるみんなが僕の方へと振り返る
ワインさんとワンダーさんに見えていたのに、振り返った顔は僕と女の子────
そしてサツキさんとサクラさんと思っていたのは小さな小さなウォンバットが二人
タスマニアから来た二人じゃないようだ
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不思議な光景僕の中へ、僕の頭の奥の方へ────
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僕の頭を通りぬけて温かく
胸まで滲み広がり心を満たす
「ああ、わかったよ」と、僕は微笑む
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────今僕の心に広がり灯ったもの
今僕が見たものは僕等の未来だ
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時間は進む
必ず進む
地球の自転は止まらない、太陽の周り回ること
それも絶対止まらない
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僕にもわかったよ
大切なこと、それは思い描いた未来に向かうことなんだ
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僕が今思い描いた未来
幸せさ
今感じている幸せよりももっと、もっともっと
幸せさ
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ワインさんとワンダーさんにも見せてあげたいね
動物園がもっと幸せでもっと優しく温かくなるところを、ね
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世界中のみんなに見せてあげたいね
あの新しい機械でさ
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時間を少しかけてもいい
のんびりのんびり僕は進もう
僕等のんびりのんびり少しづつ、ゆっくりと進んでいこう
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あの思い描いた未来へさ

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イチョウが黄色くなれば、またすぐに冬になる
“温かライト”の準備もオッケー
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行こう
思い描いたあの未来へ
僕等二人一緒に行こう
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そう、これからずっと、ずっと一緒だ
ワインさんとワンダーさんのように、ね
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太陽が夕日に変わり沈んでく
また明日、朝日に戻って昇るのさ




   

by bon_soir | 2017-10-28 09:55 | 五月山動物園 | Comments(4)
色あせない思い出
────僕の思い出色あせない、幸せなあの日のこと、僕等の思い出少しも色あせない
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五月山動物園で暮らすウォンバット、ワイン
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「よく来たね」
タスマニアから日本へ────長い旅を終えた小さなウォンバット達
緊張してまだ言葉少ない新しい子達にそっと声をかけたワイン
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聞きなれない言葉を話す人の傍できょろきょろと辺りを見回している女の子をそっと見つめワインはそっと微笑み、そっと呟きました
「良い子そうじゃないか、フク────」
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「思い出すね。フクとアヤハが来た日のことを。思い出すね────僕等がここへ来た日のこと、ずっと昔のあの日のことを」
ワインは一度頷き、窓の向こうの秋の空を見上げてから振り返り、隣でみんなを見つめて微笑むワンダーの顔を見ました
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「ワンダーさん、君の目にも見えるだろう、心の中、そっと浮かんでくるだろう。あの日のこと、あの日々のことが、ね」
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「あの子達を見ていると思い出すだろう、色あせない思い出の数々、僕等で書き溜めた、僕等の物語の途中途中の幸せをね」
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「フクの顔、あのときめく少年の顔は、きっとあの日の僕の顔と一緒さ。ワンダーさんに恋したあの日の僕、僕と一緒のあの顔さ」
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「そんなフクを、あの子達を眺めていると空と心に浮かび上がるんだ────」
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「青い空はもっと青く、風が背中をそっと押し、星が綺麗に瞬き降った日々────そんな日々の色あせない思い出さ」
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「ワンダーさん、僕等二人もっともっと書き続けよう、物語を紡ぎ続けよう。僕等二人だけのことじゃない、この動物園での幸せな日々の物語、僕等────」
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「────また新しい章が始まりだしたんだ。悲しい思い出、悲しい物語は一度お終い」
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「色あせない思い出はいつだって、いつだってこうして浮かび上がって広がるよ。新しい物語がまた色あせない思い出にとつながるよ」
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「いつまでも、いつまでも────そう、いつまでも」
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「いつまでも色あせない思い出、いつまでも続く僕等の物語────ワンダーさんならわかるだろ?」
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「みんなの笑顔でそれはもっと深く、もっと色濃く、もっともっと楽しいもの幸せな物へとなりそうだ」
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「今年もまた、イチョウが黄色くなるね。黄色く染まってワンダーさんをもっと笑顔にしていくね────」
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「染まれ染まれ、黄色く染まれ。染まれ染まれ、動物園は幸せ色へとどんどん染まれ」
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「心にもっと深く濃く、どんどん染まればほらもう────思い出は色あせない」
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「みんなの心でいつまでも色あせない、そんな思い出、きっと誰でも作れるよ」
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「ほら、機械も新しくなったし、ね」
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台風近づく雨の中
ワインは外で美味しい道草
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雨に濡れてワイン
雨に濡れた草
雨に濡れても色あせない、この日の思い出
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誰の心の中にも思い出一つ、思い出どれだけ何ページ
色褪せることない思い出一つ、思い出どれだけ何ページ
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新しい出会い、今までどおりの出会い
全部揃ってきっと幸せ
小さな動物園の大きな大きな、大きな幸せ
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今日の空はどんな空、あの日の空はどんな空
今日の風はどんな空、あの日の風はどんな風
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今日見た笑顔、あの日見たあの笑顔
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色あせない思い出は忘れることない物語
紡ぎ続けて、これから紡いで
きっといつか小さな一つの動物園の、大きく厚いそれぞれ心の物語
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色々な、大勢の方でここまで繋ぎ、これから始まる新しい
新しいそれぞれみんなの思い出、思い出重ねた物語
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動物達
傍にいる人、会いに来る人
みんなの胸に心の中に

一緒に紡ぐ
優しく温かく
これからずっと一緒に紡ぐ
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by bon_soir | 2017-10-26 08:00 | 五月山動物園 | Comments(6)
新しい出会い
10月22日
台風通過直前の大雨の中、五月山動物園にてタスマニア、「トロワナワイルドライフパーク」よりやって来てくれた子達のお披露目
そして、久しぶりの全面開園が行われました
今回は簡単なご紹介

フクのお嫁様候補の女の子(候補といってもほぼお嫁様)
日本で出会う12番めのウォンバット
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大雨の中でも飼育係さんについて庭をお散歩
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部屋の中から風に揺れる木、降りしきる雨を見つめる
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隣のフクとのフェンス際がこの日の散歩道
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出てきたフクに優しく追いかけられた
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そのフクは明らかに表情が変わり、新しい青春の始まりをそっと感じているよう
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大雨、びしょ濡れウォンバット
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普段通り?
ご飯に夢中
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お嫁様は入ったり、出ていったり
まだ落ち着かないのか、活発な子
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かわいいウォンバット
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大雨の中でも楽しい時間、素敵な出会い
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一緒にやって来た若いもう一つのカップル
女の子にだけ会えたこの瞬間
白い右手がかわいいね
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日本で出会う13番目のウォンバット
これ以降穴の中へ行ったようで姿は見れず
でもそれでもいい
まだまだまだまだこの先ずっと、五月山に行けば会えるだろうから
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そしてワイン
少し小雨な瞬間に外をお散歩
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軽く道草
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みんな、みんな元気でいて欲しい
今こんなに素晴らしい毎日なのだから
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後日詳しく




    
    

by bon_soir | 2017-10-23 14:59 | 五月山動物園 | Comments(8)
フクとガラスに映る自分の瞳


五月山動物園で暮らすウォンバット、フク
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秋になれば自分の目に映る世界が変わる、自分も変わる、変わらなくちゃいけないと自覚している夏のフク
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夏の日差し、ガラスに反射
夏の風景、ガラス越し
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フェンスからガラスに変わり、見える世界はどこか現実離れ
一見透明、何も無い
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よく見てみればガラスの色を重ねた世界
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朝から昼間、昼から夕方
晴れの日雨の日曇りの日
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変わる色を薄く重ねた不思議な世界
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不意に映る自分の顔
向こうも見つめる自分の瞳
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「これが僕だ───」
そっとつぶやく
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「君がフクかい?僕はフクだ」
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「今僕の瞳に映っているのは君の瞳、僕の瞳が僕の瞳を見つめている」
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「そう、ただそれだけのことなんだ」
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「ドアの前で考えがまとまらなかったり、何も出来ずにうろうろしていたり────」
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「君はきっと全部を見ているんだろうね」
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「ガラスの僕、君にも見えるだろ? 今日はこんなに晴れている」
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「ガラスの僕、そっちから見たワインさんはどうだい? 暑そうにしているかい?楽しそうにしているかい?」
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「僕はガラスの僕にばかり話しかけ続ける」
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「君はなぜ僕をずっと見つめているんだい? そんなことより教えてくれよ、僕はこのままでいいのかい?僕はこれでいいのかい?」
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「わかっているよ、僕だって間抜けじゃない。君はただの僕だ。ただ少し、僕は馬鹿なふりをしてみただけなんだ」
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「間抜けなふりも僕はそのうちできなくなるのさ。僕も大人だからね」
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「なんてことだ。明日を、次の季節を望んでいると、過ぎた昨日を後悔してしまう」
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「そう、僕は時間を無駄にしているような気がしてくる」
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「ガラスの僕、僕を見つめ続けてくれていい。その黒い瞳に僕を映し続けてくれていればいい。それだけでいい」
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「僕も君を見つめ返してみるよ。わかるだろ?」
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「そうだ、君が笑顔ならその時僕も笑顔なはずだ。そういうことだ────」
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「のんびり行こうよ、ガラスの僕」
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「僕等はウォンバット。のんびり行こう────」
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目の前何かが塞いでる
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ちゃんと見て考えて、きっとこれだと先へ行く
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振り返れば通過したことなんでもないこと
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その繰り返し

春夏秋冬、繰り返し
その中、繰り返さないことがある
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繰り返しやって来ないことは重要なことばかり
フクに大切なことばかり
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その時フクはどんな顔
笑っている時、泣いている時
その時フクはどんな顔
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その時みんなはどんな顔
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ガラスに映ったみんなの顔はどんな顔
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ちょっとどけよと少しわがまま
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甘えてわがまま
一人でわがまま
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動物園の夏の日は静かに進む
変わる、変わっていくその前は変に静かに進んでいく
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静かに駆け出す夏のフク
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木漏れ日そっと影作る
足音かき消すセミの声
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見える世界はどこか現実離れ
ガラスに映った姿、きっと何処かは違っているはず
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変わる色を薄く重ねた不思議な世界
そこにはきっと────
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────そこにはきっとみんなの笑顔
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ガラスに映った顔は笑っているのか涙溢して泣いているのか
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動物園の動物時間
呼吸合わせてのんびりのんびり
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のんびりのんびりまた今度
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今日の続きを信じて帰る
星空信じて今日は帰る

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そんなフク




     

by bon_soir | 2017-08-07 11:09 | 五月山動物園 | Comments(4)