金沢動物園で暮らすカンガルー達
それぞれがそれぞれ
小さな君はロープを眺めじっと考えて
くぐった
おなじみルビー
一人干し草の上、寝そべって
少しずつ少しずつもぞもぞ食べる
今日は一人
一人のんびりだねだなんて思っていたら
そっと誰かがルビーのところ
みんなはだんだんルビーのところ
さすがのルビー
人気者
そんなにくっついたらきっともう
きっともう少し暑い
跳ねてはどんな日でもカンガルー
ゆっくりと近づいてきてはどんな日でもカンガルー
どんな日でも静かに賑やか
オセアニア区でカンガルー
大勢のカンガルー
芝は食べても黄色いお花は食べなかった
おばあちゃんのキノコさん
静かに一人眺めた広場
思い出すのは昔の風景、あの懐かしい工事前
そんなキノコさんは少し若めなオスがこの日もべったり
ずっとモテモテ
モテモテカンガルー
それはフェイジョア、丸い葉っぱのかわいい木
背が伸びてくればもっと上に手は届く
もっと、もっともっと上まで手は届く
手で引き寄せたフェイジョアの、しっかり掴んだ丸い葉っぱ
今日は少しだけ───齧った
ポッケの中に小さな小さなカンガルー
ポッケの中から小さな小さなカンガルー
ふとした瞬間、小さな身体がこの世界
初めて見えた物
初めて触ったもの
初めて感じたこと
今日は少し、少しづつ
きっと明日も少し、少しづつ
これから見える、これから触る
これから感じて考え想っていく
そんな少し、少しづつ
ポッケの中から見えていたこの風景
一人で眺めたこの風景
まだ一人では見て回れない
お母さんが大好き
「迎えに来てよ、お母さん」
迎えに来たよ
お母さん
どんな日でもカンガルー
色々色々カンガルー
どんな日でも静かに賑やか
どんな日でも儚く健気に人の傍
動物達に優しい気持ちを貰ったら、優しい気持ちでみんなの傍へ
どんな日でも、どんな場所でも同じこと