埼玉県こども動物自然公園で暮らすシマオイワワラビー達
会うことができたのは大人二人と小さな子
縦にも高い、シマオイワワラビー埼玉の庭
朝まだ誰もいない時間
そっと覗けばかさかさと冬の落ち葉の動く音
地面を跳ね、重なる台の上へと飛び乗る小さなシマオイワワラビー
岩の上じゃないけれどやっぱり高い所に跳ねて登る
それは小さなときから、まだ幼いときからずっとそう
きっとそう
小さくたってポッケの中へは戻れない
もう普段はお母さんから離れてる
人の賑やかな声が聞こえてきた
まだどきどきしてしまう
───そんなとき
すぐに茂みの中へ───
目立たないようにそっと
様子を伺いながら、静かにそっと
自分のことはもう自分でする
しなければいけない
そんな儚く健気な動物たち
大丈夫
みんな「かわいい」って言っているだけ
慌てなくて大丈夫、怖がらなくてきっと大丈夫
落ち着く茂みから離れても大丈夫
行きたいところへ行ってきっと大丈夫
日の当たる台の上
日向でぽかぽかしている所へ、行きたいところへ行ってきっと大丈夫
心配だったらかさかさ落ち葉の冬の地面に、落ち着く茂みの中へと戻ってしまうのもいい
ひびき動物ワールドのシマオイワワラビー、多摩動物公園のシマオイワワラビー
そしてあなたは埼玉県こども動物自然公園のシマオイワワラビー
みんなそれぞれ
毎日の過ごし方も、みんなそれぞれ
あなたは埼玉県こども動物自然公園のまだ小さなシマオイワワラビー
お母さんかな?
大人のシマオイワワラビーが傍へ来たよ
楽しいね!
「もし怖かったら茂みへと───」
いつもそう教わって暮してきた
ポッケの中から外へ出た
広がる世界はポッケの中より広かった
無事に大きくなるために、立派な大人になるために
「もし怖かったら茂みへと───」
教わってきた
また一人
動物たちはたくましく、また子供一人
大人たちは壁の上
まだ登れないから見上げて思う
「早く大きくならないかな、もっと高く跳ねられるように、もっと色々な所へ行けるように───」
小さな体にとってはまだ大きな動物園の世界
まだ知らない場所がたくさんある、高く登れば見たことのない景色が広がる
まだ産まれたばかり
お母さんのポッケから外へと出てきたばかり
寒い冬でも喉は乾くもの
大人が冷たい水を少し飲む
ピンク色のかわいいベロが見えた
小さなシマオイワワラビーのきっとまだ知らない場所
台の一番上の場所
冬は少し寒いけどきっと一番上って気持ちがいい、そんな場所
登ってみたいね
眺めてみたいね